オフィスコミュニケーションを活性化させるには?効果的なオフィスレイアウトの導入方法も解説
オフィスレイアウト・デザイン・設計
従来と現代を振り返ると、オフィスコミュニケーションの在り方が年月とともに変化しているのがわかります。近年では、テレワークが推進されている背景も相まって、オフィスコミュニケーションの活性化がより求められるようになりました。
企業の責任者であれば、「部署間の連携が取りにくく業務状況が把握しづらい」「社員間のコミュニケーション不足で適切な情報共有がされていない」といった課題を抱えているケースも少なくないでしょう。一体どのようにしてオフィスコミュニケーションの在り方を見直せばよいのでしょうか。
そこで本記事では、オフィスコミュニケーションを活性化させるための具体的な方法について詳しくご紹介します。ぜひ最後までお読みください。
社内コミュニケーションの活性化に関する詳細はこちらの記事でも解説しています。
目次
従来と現代に見られるオフィスコミュニケーションの特徴を比較
従来の働き方では、社員はオフィスに出勤し顔を合わせながら業務を進めていました。一方で現代においては、自宅で働くテレワーク、必要に応じて出勤するスタイルも広まっています。
また、業務内容も一つの部署に収まらない形に変化してきました。業務内容や進め方が変わると、オフィス内のコミュニケーション動線の工夫も求められます。
最初の章では、従来とこれからのコミュニケーション導線の特徴を紹介しながら、今後はどのような動線が求められるかを解説します。
■従来のコミュニケーション動線|社員同士の接点が限られる
従来は、組織運営を円滑に進めることを意識したオフィスレイアウトが一般的でした。そのため、部署ごとに机を向かい合わせにして島のように固まる「対向島型」のレイアウトをとる企業が多く見られました。
対向島型のレイアウトでは、社員が向かい合わせになるため、PC作業中は正面の社員に目線が行くことになり、視界が狭くなります。
また、近くに座っている社員とはコミュニケーションを取りやすいですが、遠くに座っている他部署の社員とは一言も話すことなく一日を終えることも珍しくありません。そのため、従来のレイアウトでは、部署内のコミュニケーションが活発になるものの他部署と連携する際は不便を感じやすいと言えるでしょう。
■これから求められるコミュニケーション動線|部署外の連携がしやすい
部署間の連携が必要なプロジェクトの増加により、業務が多角化してきており、部署を超えた連携がさらに増えるようになります。部署間の打ち合わせを円滑におこなうために、組織図に関係なく社員が気軽に集まって話せる場所も必要です。
それに伴い、他部署への接点を持ちやすい「ジグザグ式」やオフィス内を自由に行き来しやすい「回遊型」のオフィスレイアウトが求められます。ジグザグ式や回遊型では机を向かい合わせにしないため、視界が開け、オフィス内の状況を把握しやすくなります。
誰とでも気軽にコミュニケーションが取れ、他部署の状況も把握しやすくなるように机や椅子の配置に工夫が必要なのです。
オフィスコミュニケーションの活性化による効果・メリット
オフィスコミュニケーションの活性化によってさまざまな効果が得られます。ここでは3つの効果やメリットをご紹介します。
■業務効率化の向上
オフィスコミュニケーションが活性化すれば、気軽に誰とでも話せるようになり情報伝達がスムーズになるため、業務効率化を図れます。情報伝達がしやすくなれば、報告・連絡・相談の頻度も向上し、連絡不足によって生じるミスを減らせるでしょう。
また、経営者や上層部の考えが部下にまで広く浸透するため、同じビジョンを持って効率的に業務に取り組んでもらえます。さらに、他部署とのつながりが生まれると、プロジェクトの全体像が見えやすくなり、自身が取り組んでいる業務がプロジェクトのどの役割を担っているのかを把握できます。
自分の仕事の目的や役割を把握しておくと、より迅速にかつ柔軟な行動ができるようになるため、業務効率化を図りやすくなるでしょう。
オフィスコミュニケーションの活性化に関する詳細はこちらの記事でも解説しています。
■社員の離職防止
オフィスコミュニケーションが盛んになれば、社員の離職防止につながりやすくなるというメリットがあります。なぜでしょうか。
一般的に、企業に勤める社員の退職理由として、「コミュニケーション不足により生じる孤独感」が挙げられます。つまり、社内のコミュニケーション体制を強化しておけば、社員の孤独を回避することができ、離職防止になるということです。
たとえば、日頃から密にコミュニケーションを取り、仕事やプライベートの相談をしやすい関係を築いていくことが重要です。また、自分の居場所を感じられれば、企業に対する帰属意識も高まることでしょう。
やがて、社員一人ひとりの満足度が向上すれば、良い口コミが広まって新たな良い人材を採用しやすくなるという効果も期待できます。
■顧客満足度向上
オフィスコミュニケーションが活発だと、日頃の業務レベルを高める方法、営業のテクニックなどの具体的なノウハウを社員同士で共有しやすくなります。
また、社員同士の関係が良好であれば自然とお互いを助け合い、不足しているリソース面を他の社員よりフォローしてもらう体制も作りやすくなります。そうすることで、部署や会社全体の生産性が上がるとともに、個々の働く満足度も向上し、業務に誠実に取り組めるようになるでしょう。
これら2つの点からもわかる通り、オフィスコミュニケーションが活発になるとサービス提供の質が高まるため、結果的に、顧客満足度が向上しリピーターやファンの獲得につながっていきます。リピーターやファンの獲得は、企業の売上全体にも大きく貢献します。
オフィスコミュニケーションを活性化させるオフィスレイアウトの特徴
ここでは、オフィスコミュニケーションを活性化させるオフィスレイアウトの特徴を5つご紹介します。
■オフィス内を回遊できる動線
机をジグザグに並べるジグザグ型や放射状に机を配置した「プラザ型」を取り入れれば、社員がオフィス内を回遊しやすくなります。たとえば、ジグザグ型だと隣り合う島が並行に並ばないように、動線を挟んで垂直の向きに配置します。これを繰り返すことで動線がジグザグになり、島を回るような移動になります。
プラザ型はオフィスの中心に書類棚や備品棚、複合機などを配置し、放射線状に机を配置する方法です。人が集まりやすいスペースを中心に置くことで、オフィスの外側から内側、内側から外側へ移動する動線ができ、回遊しやすくなります。
回遊しやすくなれば、社員がストレスを感じることなく、スムーズにコミュニケーションを活性化できるでしょう。
オフィスレイアウトに関する詳細はこちらの記事でも解説しています。
■フリーアドレスオフィスの導入
フリーアドレスオフィスの導入も、社内のコミュニケーションを活性化させるのに有効です。フリーアドレスオフィスとは、固定席を作らず誰でも自由に席を決められる制度のことです。書類や資料などの持ち物は、専用のロッカーで保管します。
席を自由に決められるため、毎日異なる人とコミュニケーションを取ることが可能です。固定席では関わることのなかった他部署ととも交流が生まれやすくなります。
このように、フリーアドレスオフィスを導入すれば、社員同士が気軽にコミュニケーションを取れるようになり、より協力して業務に臨めるようになるでしょう。
ただし、フリーアドレスオフィスを導入する際には、いつも同じ席に同じ人が座らないように注意して運用ルールを整備することが必要です。ランダムで席を決める仕組みも導入しましょう。
■パーテーションの撤去
感染症対策のものとは別に、空間や視界を遮るパーテーションが多すぎると、閉鎖的になり社員同士が顔を合わせる機会が減ってしまいます。
余分なパーテーションを撤去すれば、多くの社員が顔を合わせやすくなり、コミュニケーションが活性化します。なかには、集中しにくくなり気が散る社員もいるかもしれません。その場合は、オープンスペースとは別に集中ブースを設置して対策するのも良いでしょう。そうすることで、コミュニケーションを取りたい社員と集中して業務に取り組みたい社員両方の気持ちを尊重できます。
オフィスに「集中ブース」を設置するメリットに関する詳細はこちらの記事でも解説しています。
フルクローズ型ブース「テレキューブ AIR by アイリスチトセ」
■ミーティングスペースの確保
オフィスに予約が必要な会議室しかない場合、急に話し合いが必要になった際に会議室が使えず不便なこともあるでしょう。予約不要かつ誰でも利用できるミーティングスペースを確保しておくと、気軽に打ち合わせがしやすくなるでしょう。
ミーティングスペースはオープンタイプとクローズドタイプの2種類があると良いでしょう。ブレインストーミングやアイデア出しをおこなうなら、カフェ風のスペースやグリーンを設置するなど開放感を意識すると、アイデアが湧きやすいです。
クローズドタイプは完全に個室にするのではなく、ファミレスのソファー席のようなスペースにするとプライバシーを守りながら、リラックスした雰囲気でミーティングができます。
また、ミーティングスペースを執務スペースの近くに設置すれば、遠くに設置する場合に比べて目にする機会が多いため、社員が気軽に立ち寄れるでしょう。ブレインストーミングやミーティングが気軽にできるようになると、情報共有が綿密におこなえるだけでなく、業務以外の雑談も生まれやすくなります。
ミーティングスペースに関する詳細はこちらの記事でも解説しています。
■リフレッシュスペースやマグネットスペースの新設
業務の話だけでなく、趣味や家族などのプライベートな話もできる状態にしたいなら、リフレッシュスペースやマグネットスペースを新設するのも一つの手段です。
リフレッシュスペースでは休憩や気分転換をすることがおもな目的です。フリードリンクやハンモック、手軽に食べられるお菓子を設置すると社員が立ち寄りやすいでしょう。オンオフを切り替えるスペースになるため、生産性も向上します。カフェのようなデザインを取り入れてレイアウトを考えれば、社員のリラックス効果が期待できます。
また、マグネットスペースは、部署に関係なく社員が集まりやすくなる工夫がされたスペースのことです。リフレッシュスペースと違い、必ずしも休息を取ることを目的としていません。人が通りやすいエレベーターやトイレの近くに、複合機・自動販売機・ゴミ箱・コートラックなどを設置すれば社員を自然と一つの場所に引き寄せることができます。
マグネットスペースを新設すると社員同士の雑談が弾むだけでなく、プロジェクトの報連相も活発になります。息抜きにもなるため、ストレスの緩和にもつながるでしょう。
リフレッシュルームに関する詳細はこちらの記事でも解説しています。
オフィスコミュニケーションを活性化させるための導入ツール・制度
オフィスコミュニケーションを活性化したいものの、どんなツールや制度を活用すべきか分からないと感じている方もいるでしょう。ここではオフィスコミュニケーションを活性化させるための導入ツールや制度を解説します。
■コミュニケーションツールを導入する
今や、コミュニケーションの取り方はオフラインだけではなくなりました。社内にいる・いないに関わらず、コミュニケーションを円滑に取りやすくするのがコミュニケーションツールの導入目的です。
メールや電話に比べ、気軽にコミュニケーションが取れ、タスク管理やファイル共有もおこなえます。コミュニケーションツールには有料のものもありますが、ツールやプランによっては無料で使えます。まずは無料で試してみて、必要に応じて有料プランに切り替えると良いでしょう。
■社内イベントや1on1の機会を増やす
社内イベントや1on1の機会を増やし、対面でのコミュニケーションを増やすことも重要です。
社内イベントの機会を増やすと同じ部署の社員だけでなく普段関わりの薄い部署の社員とも親睦が深められます。1on1では面談と違い、上司と部下、双方向でのコミュニケーションを増やしていけます。部下の目標に対しての進捗や評価のすり合わせ、部下の悩みなどをヒアリングしていくため相互理解を深められるでしょう。
たとえば、部署や役職を超えて交流をするのが目的であれば、オープンな雰囲気のあるシャッフルランチやお花見、バーベキューが良いでしょう。チーム内のコミュニケーションを深めるのであれば、パーソナルな部分も知れる誕生日会やボードゲームなどを取り入れてみましょう。1on1は隔週や1週間に一度のペースでおこなうのが一般的です。
対面での1on1が難しい場合、ビデオ通話を活用するのも一つの方法です。不慣れなビデオ通話を導入する際には社員に負荷がかかりますが、定着すれば便利に感じられるでしょう。
文字ベースのコミュニケーションと対面のコミュニケーション両方を実施することで、社内の団結力が強まり、生産性の向上につながります。
■メンター制度を導入する
オフィスコミュニケーションを活性化するためには、メンター制度を導入することも大切です。メンター制度とは、直属の上司とは別に、新人や若手社員に先輩社員が相談役としてつく仕組みのことです。
基本的には直接的な利害関係のない、他部署に属している人がメンターとなります。メンターは仕事のサポートをおこなうのではなく、仕事やキャリア、人間関係の悩みなどを聞き、解決に導きます。
メンター制度には、直属の上司に相談しにくいことも先輩社員になら話しやすいメリットがあります。良いメンターに出会えた社員はモチベーションやパフォーマンスが向上しやすいです。上司の他に相談できる相手がいるのは、社員にとって心強く感じられるものです。
ただし、社員とメンターの相性が悪いケースも考えられるため、満足度に関するアンケートやヒアリングなどを定期的に取ると良いでしょう。
オフィスコミュニケーションの活性化に成功した企業事例
オフィスコミュニケーションが活性化したレイアウト変更のハード面と、コミュニケーションの在り方の再構築のソフト面の2つを、アイリスチトセの納入実績からご紹介します。ぜひ参考にしてください。
■フリーアドレス事例|村田機械株式会社様
工作機械やデジタル複合機などの機械を取り扱っている村田機械株式会社では、オフィスが狭くなってきたことをきっかけに、オフィス改修をおこないました。その際に、オフィスコミュニケーションを活性化することを目的として、一つの空間に複数の部署を入れる、フリーアドレスを導入する、といった施策を打ち出しました。
社内で意見をまとめるのが大変だったものの、オフィス改修後はコミュニケーションが活性化し、社員からも「毎日新鮮な気持ちで出社できる」と好評のようです。
現在は事業部ごとにフロアを分けていますが、今後は事業部の垣根を超えた交流を目指して環境を整えていきます。次の記事でフリーアドレスを導入するに至ったきっかけやその後の変化などをお聞きしているので、ぜひご覧ください。
【インタビュー】村田機械株式会社「フリーアドレス導入で起きたコミュニケーションの変化」
■働き方の変化事例|アイリスチトセ株式会社
アイリスチトセ株式会社は、テレワークやWeb会議の増加によって新しい働き方をする社員が増え、ワークライフバランスを取りやすくなりました。一方で、一緒に働く部下や同僚の姿が見えず、問題を可視化しにくくなくなった点が課題だと感じていました。
Web会議の対策として、ブレインストーミングをする際にはなるべく出社する、組織を細分化してショートミーティングを沢山実施する、といった施策を打ち出しました。結果として社員同士のコミュニケーションが増え、生産性を維持しつつ時代に合った働き方を実現しています。
オフィスコミュニケーションを改善する際の注意点
オフィスコミュニケーションを改善するために注意すべき2つの点について解説します。
■業務内容によっては集中しにくくなる
オフィスコミュニケーションが活性化すると、周りから声を掛けられる頻度が高まり、他の社員の話も聞こえやすくなるため、集中力がそがれる恐れがあります。
特に、企画作成やデザイン業務などはアイデアを生み出し、言語化するために深く集中しなければなりません。独創性を必要とする業務をおこなっている時間は、外部刺激や雑音が多いと気が散ってしまい、集中しにくくなるでしょう。
対策としては、早急に仕上げたい仕事は集中ブースで、話し合いながら進めたい仕事は通常席でおこなうようにすれば、コミュニケーションと集中力をどちらも維持しながらできるでしょう。
■情報漏洩が起こり得る
コミュニケーションが活性化され情報共有が盛んになると、顧客情報や社内情報に関するやり取りが増えてきます。執務スペースと社外の人物が出入りする会議室やエントランスが近い場合、機密情報が漏れ聞こえてしまう、PC画面や書類が見えてしまうなどの可能性があるでしょう。
そこで機密情報が漏れたらどうなるのか、なぜ機密情報を大切に扱う必要があるのか、社員への教育を徹底させましょう。機密情報を取り扱う場所を決める、資料を持ち出す場合は使用後に元の場所に戻すなどのルールを周知させることも重要です。
また、テレワークをしている社員とチャットツールでやり取りをする際には、情報が漏れないようデータの暗号化やウイルス対策ソフトを導入します。これらの方法を実践して、大切な情報を守りながらコミュニケーションの活性化を進めることが大切です。
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まとめ:オフィスコミュニケーションを活性化して生産性を高めよう!
最近では、テレワークや在宅勤務が広まり、オフィスコミュニケーションの不足を問題視している企業が増えています。オフィスコミュニケーションが不足していると、ミスやトラブルが発生する、社員のモチベーションが下がり離職につながるリスクがあります。
オフィスコミュニケーションを活性化するためには、フリーアドレスを導入する、リフレッシュスペースやマグネットスペースを新設するなどの施策が有効でしょう。オフィスコミュニケーションを活性化すると、集中力が下がる場合や情報漏洩に細心の注意を払わなければならないケースもあるので注意しましょう。
どのような対策が適切かは、コミュニケーション不足を招いている原因やオフィスのレイアウトの課題を把握することから始めましょう。プロの目からも自社の課題を知りたい場合はオフィス環境改善コンサルタントやオフィス移転サービスなどに相談してみるのも一つの選択肢です。
アイリスチトセではオフィスコミュニケーションを活性化させるレイアウトやオフィス家具などの提案をおこなっています。まずはオフィスコミュニケーションに関して気になることがあれば、ぜひお気軽にお問い合わせください。