オフィス移転におけるプロジェクトマネジメント(PM)の役割とは?業者の選び方から注意点まで
オフィス移転
近年、働き方改革に伴うテレワークの推進によって、オフィスの在り方を見直すきっかけとなり、オフィス移転を検討する企業が増えつつあります。そこで注目されている組織内の役割において、オフィス移転という一大プロジェクトを管理する「プロジェクトマネージャー」というものがあります。
しかし、自社のプロジェクトマネージャーに任命されたは良いものの、「具体的に何から着手すべきか」悩んでいる担当者は少なくありません。
オフィス移転は工事業者や引越し業者など多方面においてやり取りが発生し、スケジュール管理を綿密におこなわなければなりません。プロジェクト管理の役割はまさに多岐にわたります。
本記事では、オフィス移転の際にプロジェクトマネジメント(PM)においてやるべき業務内容をはじめ、業者へ委託して運用するメリットも一緒に詳しく解説します。プロジェクトマネージャーに任命された担当者はもちろんのこと、これからオフィス移転を検討している企業の方も、ぜひ参考にしてください。
目次
- 【オフィス移転に必要な14の手続き】スムーズに移転を進めるコツや補助金制度も解説
- 【PDF付き】オフィス移転で活用したいチェックリスト|必要な手続きを徹底解説
オフィス移転におけるプロジェクトマネージャーとは
ここでは、オフィス移転におけるプロジェクトマネージャーがどのような役割を果たすのか説明します。
■オフィス移転に関する一連の業務管理に携わること
プロジェクトマネ―ジャーとは、オフィス移転計画の立ち上げから移転完了までの、一連の仕事に関わる担当者のことを指します。オフィス移転はレイアウトの設計や家具の用意のほか、プロジェクト全体の工程管理、届出や申請等の各種手続き、社内調整など多岐にわたる業務マネジメントが求められます。
スムーズにオフィス移転を進めるためには、意思決定に必要な材料を揃えたうえで、かかる時間や費用のバランスを取りながらプロジェクトを進める必要があります。
■プロジェクトマネジメント(PM)は業者に委託するのが主流
オフィス移転のプロジェクトマネジメント(PM)は、外部の業者に依頼するのが一般的です。オフィス移転に関するすべての業務を自社で展開するのは、容易なことではありません。
オフィス移転では、レイアウトデザインの決定や内装工事に関する事項、移転手続きなど一定の専門スキルが求められます。想定以上に手間がかかってしまい、円滑にプロジェクトが進まないだけではなく、本来の業務に支障を来してしまうこともあるでしょう。そのため、オフィス移転におけるプロジェクトマネジメント(PM)は、ノウハウのある外部の業者に委託する方がトラブルのリスクが少なく、円滑にプロジェクトを遂行しやすいでしょう。
自社でオフィス移転のプロジェクトマネジメント(PM)をおこなう基本的な流れ
オフィス移転のすべての工程を自社で進める場合の基本的な流れをご紹介します。
■オフィス移転の目的を確認
まずは、何のためにオフィス移転をおこなうのか考えましょう。
目的がはっきりしていない状態では、移転先の決定、内装工事のすり合わせ、新しいオフィス家具の導入など、一連の流れを進められません。
目的をはっきりさせるには、現在のオフィスで抱える問題点をリストアップしましょう。たとえば、交通の便の悪さ・賃料の高さ・従業員数に見合わないオフィス面積などを課題とする企業が多いです。自社の現状を把握し、改善すべき点に沿って目的を決めていきましょう。
■オフィス移転計画を作成
続いて、オフィス移転の計画を作成します。計画の具体的な内容は次のとおりです。
- 移転先の選定
- 現オフィスの賃貸契約の解約予告
- 移転先のオフィスレイアウトのデザイン
- 移転先で必要になるオフィス家具・OA機器の手配
- 引越し・内装、電気、設備、セキュリティ、電話やネットワークの配線の工事の手配
- 関係各所(金融機関や取引先)へのオフィス移転連絡
特に、新オフィスのレイアウトデザイン決めや原状回復工事・入居工事の依頼には専門性の高い知識が必要になります。たとえば、働きやすさを向上させるための動線や、コミュニケーションが取りやすい机の配置は、目的や従業員数、オフィスの形状などによります。
また、オフィスレイアウトは入居工事で必要になる工事の種類や費用の負担先、責任の所在にも関係します。委託せずにオフィス移転を進める場合は、それらも含めて自社で決定していくことになります。
オフィス移転までのスケジュールに関する詳細はこちらの記事でも解説しています。
■社内向けマニュアルを作成・周知
オフィス移転の計画を作成できたら、社内向けのマニュアルを作成し、周知します。マニュアルには、上でも解説した移転先の選定から関係各所へのオフィス移転連絡までをステップごとに分け、それぞれの期日の目安や行うことを記載しましょう。
また、オフィス移転をする当日の役割分担を事前に決めておき、マニュアルに反映させることで混乱なく当日も進められるでしょう。
マニュアルはメールやチャットツールで従業員に共有するだけでなく、説明会を設けると、より浸透しやすいです。データでの共有は見逃してしまう可能性がありますが、説明会時には従業員一人ひとりがマニュアルをもとに説明を受けることになるので伝達漏れを防げるでしょう。
また、不明点をその場で質問してもらえるので、記載内容の不足も見つけやすくブラッシュアップも早くおこなえます。
オフィス移転マニュアルに関する詳細はこちらの記事でも解説しています。
■各種手続き後にオフィス移転を実施
オフィス移転の実行前には、各種手続きを済ませなければなりません。おこなうべき手続きの概要は次のとおりです。
届出先 | 提出書類 |
消防署 | 防火対象物使用開始届出書、防火対象物工事等計画届出書 |
郵便局 | 転送届 |
税務署 | 法人税の取り扱いに関係する異動届出書 |
警察署 | 自動車保管場所証明申請書、安全運転管理者変更届(ナンバープレートの変更が必要な場合) |
年金事務所への届出 | 適用事業所所在地、名称変更届 |
労働基準監督署やハローワークへの届出 | 労働保険名称・所在地変更届・雇用保険事業主事業所各種変更届 |
法務局への届出 | 本店・支店移転登記申請書 |
上記のほかにも、電気・ガス・水道・インターネット・電話回線などのライフラインの切り替えも必要です。また、利用している銀行口座やクレジットカードに登録している住所、電話番号なども変更しましょう。
オフィス移転当日を迎えたら、マニュアルに記載した役割分担やタイムスケジュールをもとに移転を進めます。
■旧オフィスの原状回復工事
オフィス移転が完了したら、旧オフィスの原状回復工事をおこないます。原状回復工事とは、オフィスを借りる前の状態へ復旧する工事のことを指します。原状回復工事を素人がおこなうのは困難なため、専門業者に依頼するのが通例です。
業者が原状回復工事をおこなったあとは、指示通りに工事が完了しているか確認しましょう。問題がある場合は業者に指摘する必要があります。また、現場の確認が終わったら、事前に予告した解約日までに引き渡さなければいけません。
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■オフィス移転計画の評価
最後に、将来に活かすためにオフィス移転計画の評価をしましょう。移転前に抱えていた問題点の解決度合いや目的の達成度合いを、従業員へのアンケートで定期的に収集することで適切な評価をできるでしょう。
また、計画を実行した手順やかかった費用などをデータにして残しておけば、次回以降のオフィス移転計画を立てやすくなります。
なお、外部業者へ依頼する場合は、オフィス移転の目的・予算・大まかなスケジュールを業者に伝えることで、構想段階からサポートを受けられます。
オフィス移転のプロジェクトマネジメント(PM)を業者に委託するメリット
オフィス移転のプロジェクトマネジメント(PM)は、外部の業者に委託するのが一般的です。専門業者にプロジェクトマネジメント(PM)を依頼すると、次のメリットを得られます。
- 業務負担を軽減できる
- コストを削減できる
- オフィス移転の不安を軽減できる
メリットを理解したうえで、プロジェクトマネジメント(PM)を外部業者に依頼するか判断しましょう。
■業務負担を軽減できる
外部業者へは次の業務を依頼できるため、大幅に業務負担を軽減できます。
- オフィス移転全体のスケジューリング
- オフィスの移転先探し
- オフィスデザイン
- 内装工事や原状回復工事の手配・ネットワーク環境の構築
- 引越しの手配
- 必要になるオフィス家具の手配
なかでも全体のスケジューリングや移転先探し、オフィスデザインの考案・決定などは時間がかかりやすいです。目的やコンセプトに合った物件がすぐに見つかるとは限らず、かつ通常業務をおこないながらだと、なかなか進まないこともあるでしょう。スケジューリングも各業者との調整が必要になり、場合によっては組み直しが必要になります。
プロジェクトマネジメント(PM)を委託すれば通常業務に支障を来さず、オフィス移転を遂行することが可能です。
■コストを削減できる
オフィス移転を外部業者に委託すれば、家具の選定や各種工事などで費用を最適化してくれるため、自社でおこなうよりも費用を削減しやすくなります。
また、レイアウト設計や搬入といったさまざまな工程を一任することで、無駄のないスケジュールで計画を進められます。無駄な工程をなくすことができるため、作業コストの軽減も可能です。
■オフィス移転の不安を軽減できる
初めてオフィス移転をする際には、「条件に合った物件が期限内に見つかるか」「退去時の原状回復にどのくらい費用がかかるのか」といった不安を抱えていることでしょう。
実績のある業者や経験豊富な業者へ依頼すれば、蓄積されたノウハウを駆使して的確なアドバイスをもらえます。
また、自社だけでオフィス移転をしようとすると手探りで進めることになるため、工事業者や引越し業者選びの際もどの業者がいいのか判断しにくい問題があります。オフィス移転をトータルで任せられる業者に依頼すれば不安な気持ちが解消され、オフィス移転に臨めるでしょう。
オフィス移転のプロジェクトマネジメント(PM)を依頼する業者の選び方
プロジェクトマネジメント(PM)を業者に依頼したいものの、数ある業者のなかからどこを選ぶべきか悩んでいる方もいるでしょう。この章では、業者の選び方をご紹介します。
オフィス移転の業者の選び方に関する詳細はこちらの記事でも解説しています。
■委託可能な範囲
「オフィス移転」といっても、依頼する業者によって委託可能な範囲は異なります。あらかじめ、どの作業においてサポートが必要か検討しておきましょう。
もし移転が必要なのかどうか判断に迷っているのであれば、現状の問題点の洗い出しやコストシミュレーションなど事前段階から相談できる業者にしましょう。オフィスのレイアウトデザインや内装に関して詳しくアドバイスをもらいたい場合は、インテリアデザインに注力している業者に依頼するとより具体的な提案をしてもらえるでしょう。
■オフィス移転実績の豊富さ
業者選びの際には、オフィス移転実績の豊富さも重要な観点です。実績がある業者を選べば、豊富なノウハウに基づいた的確なアドバイスをもらえます。
一つの指標としては、年間1,000件を超える実績があると、安心して依頼できる業者だと言えます。実際に、オフィス移転の企業事例として、移転後のオフィスを写真付きで紹介している業者もあるので、気になる業者のホームページをしっかり確認してみましょう。自社の要望に近そうな実績が見つかるかもしれません。
■オフィス移転にかかるトータル費用
オフィス移転にかかるトータル費用は業者によって異なります。内装工事をあまり行わない移転でも、100名ほどの会社では500~700万円ほどかかるとされています。
複数の業者に見積りを作成してもらい、コストパフォーマンスが高いところに依頼すると良いでしょう。一社だけでは相場に基づいた判断が難しいため、複数社に依頼するのがポイントです。
ただし、費用を優先し過ぎるとサービスの質が低いリスクもあるため、費用と品質のバランスを見て考えましょう。
オフィス移転にかかる費用に関する詳細はこちらの記事でも解説しています。
■口コミ・評判の良さ
サービスの品質を見極めるポイントは、口コミや評判の良さです。各口コミは業者のホームページに掲載されている場合がありますが、業者によっては良い評判のみしか開示していない可能性もあるので、SNSやインターネット上で良い評判や口コミがあるかチェックしてみるのも大切です。
また、知人や取引先がオフィス移転をした経験があるなら、直接良い業者を聞くのが信憑性が高いと言えるでしょう。
プロジェクトマネジメント(PM)を委託してオフィス移転を成功させるポイント
ここでは、プロジェクトマネジメント(PM)を委託してオフィス移転を成功させるための3つのポイントについて解説します。
■余裕を持って早めに依頼する
オフィス移転のプロジェクトマネジメント(PM)を外部業者へ依頼する際には、余裕を持って早めに依頼しましょう。
特に、1~3月と9~12月は、オフィス移転の繁忙期なため予定通りに進まない可能性があります。3月や12月を決算期とする会社が多く、経費消化のためにオフィス移転をおこなうことがあるためです。一方、6〜8月は新年度や決算期と重ならないため、閑散期として狙い目のタイミングとなります。
オフィス移転が予定通りに進まないと、従業員や取引先を混乱させてしまう恐れがあるため、余裕を持って依頼するように心がけましょう。
■不安を解消してから契約する
オフィス移転に関する不安を放置したまま進行してしまうと、思わぬトラブルに発展し、思い通りに仕上がらない恐れがあります。また、一度契約してしまうと、決められた範囲内でしかサービスを受けられません。
「移転先のネットワーク構築も行ってくれるのか」「移転後のアフターフォローはどこまでしてもらえるのか」など少しでも気がかりなことがあれば事前に業者の担当者に相談して疑問点を解消しましょう。契約前に見積り内容と相違がないかチェックすることも大切です。
■業者の提案を鵜呑みにしない
業者にすすめられるままオフィス移転の詳細を決めてしまうと、想定以上に費用がかかる、オフィス移転の目的を達成できない、といった恐れがあります。オフィス移転の際は業者から提案を受けることが多いですが、業者の提案を鵜呑みにするのは危険です。
提案された内容をもとに、社内で慎重に検討して最終的な決断を下しましょう。また、複数の業者の提案を比較検討することも重要です。
アイリスチトセのオフィス移転トータルサービス
オフィス移転のプロジェクトマネジメント(PM)を委託する際に推奨するのが、アイリスチトセのオフィス移転トータルサービスです。ここでは、アイリスチトセのオフィス移転トータルサービスの優れたポイントを3つご紹介します。
■サポート内容
アイリスチトセでは、幅広いサポート内容を用意しています。具体的には次のとおりです。
- オフィス移転コンサルティング
- オフィス物件紹介
- オフィスデザインプランニング
- 原状回復工事
- オフィス引越し
- ITネットワーク環境構築
- オフィス内装工事
- オフィス家具販売
作業範囲が広くさまざまなサポートを受けられるため、自社の負担をおさえてオフィス移転を進められるでしょう。また、年間1,000件以上のオフィス移転や改修をした豊富な実績があるため、的確なサポートを受けられます。
■オフィス移転フロー
アイリスチトセでおこなっているオフィス移転サービスの流れは次のとおりです。
- ビジョン・要件(働き方)確認
- オフィス物件紹介
- 現地調査
- ワークスタイルデザインコンセプト設定
- レイアウト・デザイン決定、商品選定
- 内装工事、家具納品
- 引越し
オフィス移転を検討している段階でも相談でき、予算や課題、目指す働き方から適したプランを提案します。メーカーダイレクトだからこそオフィスレイアウトや内装のノウハウも豊富です。トラブルが起こりやすい退去時の原状回復工事やネットワーク環境の構築なども任せられるので、安心してオフィス移転を進められます。
■オフィス移転実績
ナノマテリアルコートを研究開発しているハドラスホールディングス株式会社では、従業員のために働きやすい環境を整えるためにオフィス移転をしました。代表取締役社長 山本英明様によると、アイリスチトセの提案したデザインがイメージと良く合っていた点が依頼の決め手になったようです。設計・価格にも満足し、さまざまな業務を依頼できたのも良かったと語っています。
また、オフィス移転を機にフリーアドレスを導入したところ、部署を超えたコミュニケーションが活発になり、以前よりも社外に「働きやすい環境」をアピールできるようになったとメリットを感じているようです。
次の記事でオフィス移転時の具体的な模様をはじめ、移転後の感想など詳しいインタビューをおこなっています。続きはこちらからご覧ください。
まとめ:オフィス移転のプロジェクトマネジメント(PM)は外部業者に依頼しよう!
オフィス移転の際、プロジェクトマネージャー(PM)はオフィス移転に関する一連の作業を管理する必要があります。そのため、通常業務に支障を来さないためにも、外部業者に依頼するのが一般的です。
外部業者に依頼すれば、作業コスト・金銭的コストを軽減でき、不安を解消できるといったメリットを得られます。業者選びの際は、作業内容と費用のコストパフォーマンスを重視しましょう。また、リアルな評判や口コミを参考にするのが良いです。
アイリスチトセではオフィス移転コンサルティングからオフィス内装工事、オフィス家具納入まで一貫して依頼できる「オフィス移転トータルサービス」を提供しています。アイリスグループならではの実績とネットワークで、オフィス移転をトータルでサポートします。オフィス移転に関して、どうぞお気軽にご相談ください。