オフィスブランディングとは?成功に導く具体的な方法を徹底解説
オフィスレイアウト・デザイン・設計
新しい働き方を求められる現代において、オフィスブランディングの重要性が高まってきています。一体なぜでしょうか。
昨今の世界情勢により、社会として企業のリモートワークやテレワークの導入が推奨されることで、場所にとらわれない働き方を実現させる企業への需要が高まっているということが関係しています。
そこで本記事では、企業の働き方を見つめ直すために、オフィスブランディングについて詳しく解説します。
「オフィスブランディングとは、一体何を意味するのか?」
「具体的にオフィスブランディングを成功させる方法とは?」
こういった疑問に関する解決策をご提供します。
オフィスブランディングを強化したいと思っている企業の担当者はもちろん、オフィスブランディングに興味のある方は、本記事がきっと参考になるはずです。ぜひ最後までお読みください。
目次
オフィスブランディングとは
オフィスブランディングとは、社員にとって働きやすい社内環境を実現しつつ、オフィスにおける企業のブランディングを確立することを指します。
オフィスブランディングには、大きく分けるとインナーブランディングとアウターブランディングがあります。それぞれの特徴は次のとおりです。
- インナーブランディング:自社の社員に向けておこなうブランディング。自社へのエンゲージメントや社員満足度・モチベーションの向上が目的
- アウターブランディング:消費者や顧客に対するブランディング。顧客の新規獲得や長期的な収益などが目的
インナーブランディングとアウターブランディングの両方を実践することで、売り上げの向上や企業の成長につながります。
働きやすい職場に関する詳細はこちらの記事でも解説しています。
オフィスブランディングが重要視されている理由
なぜオフィスブランディングが注目されているのか、ここでは、オフィスブランディングが重要視されている理由を4つご紹介します。
■1.一体感・連帯感の強化
オフィスブランディングを進めると、社員の一体感や連帯感が強化します。自社の価値観や理念などを浸透させたい方は、ぜひオフィスブランディングを進めましょう。
社内で価値観や理念などが共有されていれば、顧客・取引先といった社外にアピールしやすくなります。たとえば、商談やイベントなどで顧客・取引先と接触する際に、価値観や理念を踏まえて話を展開できるでしょう。結果として、社外に対する自社イメージの向上にもつながります。
また、社員同士の連帯感が強まれば、社員一人ひとりが心地良く働けるうえに、スピーディーに業務を進められます。オフィスブランディングを通じて社員の一体感や連帯感が強まると、社内外において良い影響をもたらせます。
■2.ワークエンゲージメントの向上
ワークエンゲージメントが向上する点も、オフィスブランディングが注目されている理由の一つです。ワークエンゲージメントとは、仕事に対するポジティブで充実した気持ちのことを指します。
企業理念の実現を意識しながら、働きやすい社内環境を整えれば、社員のワークエンゲージメントが向上し、多くの社員が生き生きと働けることでしょう。社員のワークエンゲージメントが高まれば、仕事のパフォーマンスも向上し、結果として会社全体の成長につながります。
具体的には、社員が動きやすいようにレイアウトや動線を見直す、適切なオフィス家具を設置する、などの方法が挙げられます。肉体的・精神的な負担が減り、ワークエンゲージメントが向上するでしょう。
ワークエンゲージメントに関する詳細はこちらの記事でも解説しています。
■3.定着率のアップ
オフィスブランディングによって自社への愛着が育まれれば、社員の定着率アップにつながります。入社後に「働く目的がわからず仕事へのモチベーションが上がらない」といった理由から、社員がすぐに離職してしまう企業は少なくありません。
その点、オフィスブランディングを推し進めれば、自社の理念や価値観に共感する人材が増えます。結果として、仕事をする動機が明確となり、自社に適した優秀な人材を確保しやすくなるため、離職率が低下します。
離職率が下がれば、コストを大幅におさえられるうえに、社員のモチベーション維持にもつながるでしょう。
■4.企業ブランド力の向上
オフィスブランディングを実施したうえで社外に発信すれば、企業ブランド力の向上にもつながります。企業の在り方そのものが、社会・顧客・社員に発信するメッセ―ジの一つとなるということです。
具体的には、オフィスを通じて企業の一貫したメッセージを伝えられるため、ブランド価値のイメージアップにつながります。企業ブランドが向上すれば「〇〇社の商品だからこそ買いたい」「他者より割高でも〇〇社に依頼することに意味がある」といった考えを持つ顧客が増えることでしょう。
オフィスブランディングを成功させる方法
オフィスブランディングを実現したいものの、具体的な方法がわからず困っている方もいるでしょう。ここでは、オフィスブランディングを成功させる方法を6つご紹介します。
■1.オフィスデザインの刷新
一つ目の方法は、社内環境のデザインを変更することです。社員が働きやすい環境を整えれば、社内コミュニケーションの活性化や自社への愛着心の育成に成功します。
コミュニケーション不足に課題を抱いている場合は、フリーアドレスを導入するのも一つの選択肢です。フリーアドレスとは、席を固定せずに好きな席を選んで働ける制度のことを指します。
【事例】フジテック株式会社
フジテック株式会社では、条件の良い物件が近くに新設されたことや旧オフィスが狭くなったことを受け、社内環境のデザインやレイアウトを変更しました。
具体的には、メインのオフィス内の動線を見晴らしの良いレイアウトにしたこと、一つの空間にすべての部署を設置して交流を活性化させる、といった取り組みをされました。結果として、来客に好印象を与えつつ社員同士のコミュニケーション活性化につながったようです。
フリーアドレスオフィスに関する詳細はこちらの記事でも解説しています。
■2.エントランス・応接室の工夫
オフィス環境において、エントランスと応接室は来訪者が頻繁に利用するため、来訪者による第一印象が決まる大切な場所だと言えます。そのため、エントランスや応接室を工夫することは、オフィスブランディングの成功につながります。
また、社員にとっても心地良く過ごせるエントランスや応接間を用意できれば、企業への愛着が高まります。具体的には、カラーやコンセプトに統一感を持たせる、心地良い明るさを保つ、といった工夫ができるでしょう。
社内・社外どちらにおいても企業のポジティブな印象を与えられるため、エントランスと応接室の刷新は、非常に重要な取り組みだと言えます。
オフィスのエントランスにこだわるべき理由とは?デザインの注意点や導入事例も紹介
■3.企業イメージに合うロケーションに移転する
企業のイメージに合う街や立地を選ぶことも重要です。企業がどこに位置しているかによって、外部に特定の業種を印象づけることができるため、オフィスのロケーション選びは慎重におこないたいところです。日本全国に応じて、各業種を連想させる都市はどこなのか事前に調べておきましょう。
もし新たな場所に移転計画を立てる際には、外部の専門業者に依頼することを推奨します。オフィス移転は一定の手間や時間がかかってしまうため、外部に委託することでスムーズに進められるでしょう。スケジュール作成や搬入作業の代行のみならず、オフィス移転先に当たるロケーション選びもサポートしてくれます。
■4.クレドカードの配布
クレドカードを配布して社員の意識向上をはじめ、会社全体の一体感や連帯感を高められます。結果的に、オフィスブランディングにつながるインナー向けのブランディング活動に当たります。経営者が抱いている思想を社員に共有するためにうってつけの方法です。
クレドカードとは、企業の理念や価値観を記載したカードのことです。理想の社員像が何か具体的に明記し、常に携帯できる大きさにしておくのがポイントです。
■5.社内イベントの開催
社内イベントを開催すれば、多くの社員の帰属意識を高められます。また、社員全体のコミュニケーション活性化にもつながります。
社内イベントは、業務に関して新しい知識を習得させるセミナー形式、社員同士がアイディアを持ち寄って開催する座談会形式など、種類と目的は多岐にわたります。
実際にイベントの計画ができたら、告知に力を入れて多くの社員の参加を促しましょう。一人だけで進めるのではなく、複数人・チームを巻き込むことでイベントを成功させやすくします。
■6.社内報の活用
社内報を活用するのも一つの方法です。社内報に自社の理念や価値観などを記載すれば、社員が企業理念に対する理解を深めるきっかけになります。また、顧客からの声を掲載することで、社員の仕事に対するモチベーションを高めるきっかけにもなるでしょう。
社内報を発信する際には、社内向けに発行する冊子、Webサイトへの掲載、メールやチャットツールでの周知など、運用方法はさまざまです。自社にあったスタイルを導入してみてください。
オフィスブランディングを進める上での注意点
オフィスブランディングを進める際の注意点を3つご紹介します。
■予算計画を綿密に立てておく
オフィスブランディングを進める際には、予算計画を綿密に立てておく必要があります。
オフィスブランディングは一定のコストがかかります。事前にコストをシミュレーションして予算計画を立てないと、予算オーバーする恐れがあるため注意が必要です。
予算計画を立てる際には、総務部・人事部などの部署における責任者とすり合わせながら進めましょう。予算に応じて、新しい家具の導入や内装工事の内容を煮詰めることができます。
■社員に強要しない
オフィスブランディングを推し進めたい一心で、社員に強要するスタンスで運用してしまわないよう注意を払う必要があります。
たとえば、オフィスレイアウトの変更目的を周知せぬまま、新しいオフィス形態を導入するとどうなるでしょうか。社員が混乱してしまい、業務の進行においても大きな負荷がかかってしまうことでしょう。
そこで大切なのは、社員に強要するのではなく、オフィスブランディングに自然と興味を持ってもらえるような工夫をすることです。具体的な対策としては、前の章で取り上げたイベントの開催やクレドカードの配布などが挙げられます。
また、社内の多様性を重んじることも大切です。さまざまな考えを持つ社員がいることを理解したうえで、時には社員の意見を取り入れながら、オフィスブランディングを推進させていきましょう。
■あきらめずに効果検証を繰り返す
オフィスブランディングの効果をあまり感じられなくてもあきらめずに、効果検証を繰り返すことが重要です。
インナーブランディングを実践したからといって、すぐにワークエンゲージメントの向上や、企業ブランドの確立といった効果が現れるわけではありません。企業理念や価値観を十分に浸透させるためには平均的に1~3年はかかるケースが多いので、焦らず計画的に進めていきましょう。
一時的に注力するのではなく、継続的に進めていき、定期的に離職率が低下しているかといった成果を数値化して効果を図ることも大切です。数値が振るわないときはもちろんのこと、順調なときでもさらに成果を出すための方法を考えましょう。
また、オフィスブランディングは、担当者が一人で業務を抱えても推進されにくいため、ほかの社員の協力を得て進めると良いでしょう。
まとめ:オフィスブランディングは継続的に取り組もう
オフィスブランディングのなかでも、インナーブランディングをおこなうことで社員に良い影響をもたらせます。具体的には、ワークエンゲージメントが向上する、離職率が低下する、などの効果が期待できるでしょう。結果的には企業の売上向上や事業拡大につながります。
ただし、オフィスブランディングを進める際には、強要しないようにすること、あきらめずに効果検証を繰り返すことが非常に大切です。
世の中の変化が目まぐるしい現代を生き抜くうえで、オフィスブランディングは今後より重要視されていくことでしょう。