フリーアドレスオフィスを導入する3つのメリットと失敗させないコツを徹底解説

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フリーアドレスオフィスを導入する3つのメリットと失敗させないコツを徹底解説

各個人の席を決めず、オフィス内の席を自由に選べるフリーアドレスオフィスを採用する企業が増えています。近年、新しい働き方として注目されていますが、実は1980年代から提唱されているオフィス形態です。

フリーアドレスはただオフィス内に自由席を作れば良いわけではありません。メリットやデメリットを踏まえたうえで、自社に適した導入方法を検討する必要があります。

この記事では、フリーアドレスオフィスの特徴やメリット、デメリットなどの基本から、導入の流れや失敗しないためのコツも解説します。フリーアドレスを検討予定の企業はぜひ参考にしてください。

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フリーアドレスオフィスとは

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近年注目されているフリーアドレスオフィスの歴史は意外に古く、最初に登場したのは1980年代です。当初は、外回りや出張などで不在となる社員の座席を有効活用するのが主な目的とされていました。社員は各個人の席を持たず、空いている席に座って働きます。

近年、政府が働き方改革でテレワークを推進しています。その影響もあり、社内にいる社員分の席だけあれば良い、フリーアドレスオフィスを採用する企業が増加傾向です。新しい働き方として、今後もますます浸透していくことが予想されます。

ただし導入すれば、すべての企業でプラスの効果を期待できるわけではありません。導入を検討する際は、その特徴やメリット、デメリットを知ったうえで、自社に適しているか見極めることも大切です。

フリーアドレスオフィスにする3つのメリット

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フリーアドレスオフィスの導入によって、得られる可能性が高い3つのメリットをご紹介します。

■1. コミュニケーション活性化につながる

フリーアドレスオフィスでは、出社するたびに違う席に座ることになるため、同一プロジェクトやチームの社員だけではなく、さまざまな社員と隣席になる可能性があります。そのため、今まで話す機会のなかった社員とも話しやすくなったり、業務でもやり取りをしやすくなったりするなどの効果が期待できます。

日によって隣席にいる人が違うため、社員によっては慣れるまでに時間がかかるかもしれません。しかし長期的に見れば、企業の利益に繋がる可能性は十分考えられます。

さまざまな社員と関わりを持つことによって、普段の顔ぶれでは思いつかないアイデアや企画が生まれる可能性もあるでしょう。

■2. スペースの有効利用やコスト削減に繋がる

フリーアドレスオフィスでは社員一人ひとりに席を用意する必要がないため、各個人のデスクやチェアの購入費を削減できます。また座席数の減少に伴い、空いたスペースを別の用途に活用したり、オフィスの面積を小さくすることで賃料の削減ができたりと、オフィス空間のコスト削減にもつながります。特に出張や外回りなどで不在になる社員が多い企業は、空席率を下げてオフィスの空間を効率よく利用できます。

省スペース化を図れるため、オフィスが狭いと感じている企業にもおすすめです。また、人事異動や人数の増減が生じても、レイアウトを変更せずにそのまま対応可能な点もメリットと考えられます。

■3. 主体性のある働き方を促進させる

フリーアドレスオフィスでは、集中できる席を選んだり、その日の業務内容に関連する社員の近くの席に座ったりするなど、社員自身で利用する席を自由に選択可能です。

出勤のたびに自分で考えて働きやすい環境を作る必要性から、社員の主体性や自主性が育まれて、業務に良い影響をもたらすことが期待できます。

 

フリーアドレス導入でのコミュニケーション活性化に関する事例はこちらの記事でも解説しています。

フリーアドレスオフィスにする3つのデメリット

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フリーアドレスオフィスの導入によって、懸念されるデメリットを3つご紹介します。導入を決定する前に、どのようなデメリットが生じる可能性があるのか知っておくことも大切です。

■1.私物を管理する手間が発生する

フリーアドレスにおいてデスクは社員共有です。使用しているデスクは明日には別の社員が使う可能性があり、また引き出しなどのデスク収納がないことから、私物を置いておくことができません。仕事に必要な私物や事務用品、資料などは日々持ち運ぶ必要があります。

多くの企業では私物を管理するためのロッカーを設置し、退勤時や長時間離席する際に収納できるようにしています。慣れてしまえばそこまで負担に感じることはありませんが、今まで自分の席があって私物を保管していた人は不便に感じるかもしれません。

■2.人材の育成や管理に支障が出る

オフィス内であればどの席でも自由に座れるため、常に上司や直属の先輩が近くにいるとは限りません。そのため、新入社員や若い社員が、先輩の仕事ぶりを見ながら学んでいくスタイルは難しくなります。先輩や上司に質問したくても、近くにいなくてすぐに聞けない事態も発生するかもしれません。

上司の立場から見ても、部下との距離が物理的に離れてしまうため、管理に支障が出る可能性があります。そのため人材の育成や管理には、従来のオフィス以上に気を配る必要があるでしょう。必要に応じてメールやチャットで連絡をとったり、たまには席に様子を見に行ったりするのもおすすめです。

■3.オープンな環境が負担に感じる人もいる

オープンな環境がデメリットになる場合もあります。なぜなら、他者との距離が近くなるため、それをストレスに感じる人もいるからです。このような傾向は、40代以上で長年にわたって固定席で働いてきた人に比較的多く見られます。

人によっては仕事に集中しにくくなり、生産性が落ちてしまう場合もあるため注意が必要です。導入の目的やメリットを周知して、納得してもらうように努めましょう。社員一人ひとりが、導入の意義を理解して取り組むことが成功への道です。

どうしてもフリーアドレスオフィスでは集中できない社員がいる場合は、パーティションで区切ったり、密閉型の集中できるスペースを用意したりすることを検討してみてください。

 

集中ブースに関する詳細はこちらの記事でも解説しています。

フリーアドレスオフィス導入の流れ

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導入作業は闇雲に進めるのではなく、しっかり計画を立てて進めていく必要があります。ここからは導入の流れを解説します。

■導入目的を明確にする

まずはフリーアドレスを導入する目的を明確化することが大切です。なぜ導入するのか、導入すればその目的は達成できるのかなど、具体的にイメージしましょう。目的を明確化することによって、導入計画も立てやすくなります。

さらに社員に目的を理解してもらうことも重要です。でなければ、出社の度に同じ席に座る社員が出てくるなど、フリーアドレスのメリットが得られない状況になりかねません。経営側だけで話を進めるのではなく、社員に対しても導入の目的を明確に説明できるようにしておきましょう。

なお、フリーアドレスを採用した企業の導入理由として多いのは「社員同士のコミュニケーションを活性化したい」「オフィスの空間を有効活用したい」などです。

■適用範囲を決める

すべての業種や部署がフリーアドレスに向いているわけではありません。最初から全部署に適用するのではなく、まずはフリーアドレスが向いていると考えられる部署から適用するのがおすすめです。部署ごとに導入したほうが良いか、現状のままが良いか検討しましょう。

一例として、ノートパソコンが1台あれば業務可能な部署は、自由席になっても業務に支障がなく、フリーアドレスに向いていると考えられます。ペーパーレス化が進んでいる部署も席を移動しやすいため、スムーズに導入できる可能性が高いでしょう。

映像編集やデザインなど、大きなディスプレイで作業することが求められる職種の場合は、デスクに共用の外部ディスプレイを設置するのも一つの手です。

一方、総務や労務、人事などのコーポレート部門や営業アシスタントなどは、社内でやり取りすることが多いため、席は移動しないほうが効率的です。日によって席が違うと、用事のある社員が社内で探す手間と時間がかかってしまう可能性があります。

また、セキュリティレベルが高い内容を扱う部署も、情報漏えいのリスクを考慮すると固定席がおすすめです。

■レイアウトを検討する

どの程度の座席数が必要か、オフィスを使用する社員人数や勤務形態などから、レイアウトを検討しましょう。

座席数とともに、完全なフリーアドレスとするか、部署ごとで利用できるエリアを限定するかも決める必要があります。自社の組織編成などを鑑みて、どちらの運用形態が向いているかもしっかり検討しましょう。

レイアウトを考えるうえで、考慮しなければならないのが感染症対策です。ソーシャルディスタンスを確保できるようなレイアウトにする必要があります。対面となる箇所には、飛沫防止パネルを設置するのが効果的です。真正面で対面とならないように、横並びにしたり、斜め前にレイアウトしたりするのも効果があります。

席を使用した後は、除菌シートでデスクや椅子を拭くなどのルールを決めるのがおすすめです。各座席に除菌シートなどを設置しておくと良いでしょう。社員一人ひとりが、次に使用する人のことも考えて、気持ちよく使用できる環境を心がけることが大切です。

■新しいオフィスの使用ルールを作る

最後に新しいオフィスのルールを策定します。特にセキュリティに関することや私物の扱い、感染対策については明確にルールを定めておきましょう。例として、次のようなルールが考えられます。

・使用後はデスクを除菌シートで拭く
・使用後はデスク上に物がない状態にする
・長時間、席を外すときはデスク上に物を放置しない
・ロッカーは施錠する

いつも座る席が同じだったり、仲の良い社員でかたまっていたりする場合は、「出社時にくじ引きなどで座る席を決める」などのルール策定が効果的です。

使用ルールは一度策定したら完了ではなく、アップデートしていくのがおすすめです。運用していくなかで、都度見直しを行いましょう。

 

オフィスレイアウトに関する詳細はこちらの記事でも解説しています。

フリーアドレスオフィス導入で失敗しないコツ

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ここからは、フリーアドレスオフィスの導入にあたって失敗しないためのコツをご紹介します。コツを知っておくことで、導入の成功確率を高められます。

■導入目的やルールの周知を徹底する

導入する目的やルールの周知を徹底しましょう。社員の立場で考えると、自分の働く環境が大きく変わるため、不安を感じてもおかしくありません。場合によっては、ネガティブに捉えられてしまう可能性もあります。

なぜ導入するのか、導入することによってどのようなメリットがあるのかを、なるべく早めに伝えて理解してもらいましょう。社員が納得しないまま導入すると、いつも同じ席に座る社員ばかりで席が固定化されてしまい、導入した意味がなくなってしまうことも考えられます。

またルールの周知も忘れずに行いましょう。実際にオフィスを利用する社員がルールを把握していないと、混乱が生じる可能性があります。ルールを周知する際は、一方的な押し付けにならないように注意が必要です。経営側と社員で双方合意のうえ、導入を進めていきましょう。

■ペーパーレス化を進める

私物の持ち運びを減らすために、紙資料はペーパーレス化を推進しましょう。フリーアドレスオフィスは個人の資料を保管するための設備がないため、ペーパーレス化は重要です。保管するためのラックや棚などが不要になり、オフィスの空間に余裕が生まれます。

具体的には紙資料のPDF化や、共有フォルダに資料をまとめるなどの方法が考えられます。FAXはデジタルデータで送受信可能です。契約書も電子契約書や電子署名を利用することでペーパーレス化できます。そのほか、Eメールやタブレットも効果的に活用するのがおすすめです。

ペーパーレス化を推進すると、最初のうちは社員に戸惑いが生じるかもしれません。経営側はルールを明確に提示したうえで、社員をサポートしながら推進していく必要があります。

業種や作業内容によっては、どうしてもペーパーレス化できない部分があるかもしれません。業務内容も考慮したうえで最適なルールを決めて、業務に支障がないように進めていくことが大切です。

■私物の収納スペースを確保する

フリーアドレスオフィスを導入するためには、私物の収納スペースを確保する必要があります。社員一人ひとりに専用のロッカーを用意して、割り当てるのがおすすめです。鍵付きのロッカーならセキュリティも確保できます。

社員は出勤したら自分専用のロッカーから必要な道具を取り出し、退勤時や外出時にはロッカーに収納します。仕事に必要なものだけではなく、冬は上着などを収納することもあるでしょう。せっかくロッカーを設置しても使用されなければ意味がないため、運用ルールでロッカーの使用を徹底するのがおすすめです。

アイリスチトセの「PERSONAL LOCKER」は、オフィス内での私物収納スペースとして最適なロッカーです。扉部分にはメール投函口が付いているため、個人宛の郵便物を投函することも可能です。内部には棚板が付いており、空間を有効活用できます。

■業務中の集中スペースを用意する

フリーアドレスオフィスの導入にあたって、社員が集中できるスペースも用意したいところです。なぜなら、周囲が気になり仕事に集中できず、業務の効率が落ちるケースがあるからです。作業内容によっては、誰にも話しかけられずに集中して行いたい場合も考えられます。

そのため、パーテーションを設置したスペースを用意したり、個別に閉じたブースを用意したりするのが望ましいです。

アイリスチトセでは、フルクローズ型で周囲の目が気になりにくい「TELECUBE by IRISCHITOSE」や「FOCUS booth」といった集中できる環境をつくれる個別ブースを取り扱っています。

完全にクローズされた遮音性の高いタイプから、セミクローズドタイプ、2人や4人で利用するものなどバリエーション多く展開しており、利用目的に合わせて選ぶことができます。

■社内のコミュニケーション設計を強化する

フリーアドレスオフィスでは席が自由になるため、誰がどこにいるかわからないということにもなりかねません。場合によっては、社員間のやり取りがスムーズに行われなかったり、疎遠になってしまったりする可能性があります。したがって、社内のコミュニケーション設計を強化しましょう。

社員同士のやり取りをするツールとしておすすめなのがチャットです。メールや電話より気軽に利用できてレスポンスにも優れているため、業務中のちょっとした連絡手段として便利です。日常的にチャットを活用することで、社内のコミュニケーション円滑化が期待できます。

また対面でのミーティングを開くこともおすすめです。ただし、コミュニケーションを重視するあまり、ミーティングの回数が増えすぎないように注意しましょう。ミーティングに時間を取られて、本来の業務時間が削られてしまったら本末転倒です。

■導入後の効果検証を行う

導入してしばらく経過したら、効果検証を行いましょう。導入直後は成果が上がっても、時間が経つと新しい問題が発生したり、より良いかたちに気づいたりする場合があるからです。検証の結果、効果があまり出ていなかった場合は、改善を試みる必要があります。

導入後も常に状態を見直して、改善を図っていきましょう。日頃からオフィスの様子を観察して、意図通りに機能しているかチェックするのが望ましいです。また、アンケートや対面でのヒアリングなどを実施して、実際に利用している社員の声を聞くのも効果的です。

 

ペーパーレス化に関する詳細はこちらの記事でも解説しています。

フリーアドレスオフィス導入に関するよくある質問

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フリーアドレスオフィス導入に関して、よくある質問をご紹介します。導入前に疑問点を解消しておきましょう。

■ABWとは何が違うのか

フリーアドレスオフィスと似ている働き方としてABWが挙げられます。ABWとは「Activity Based Working」の略で、作業内容に応じて働く場所を変えることが可能です。個人専用の席がない点はフリーアドレスオフィスと同様ですが、次のような点が異なります。

・働く場所がオフィスに限定されない
・デスクだけではなくソファや個室、特別な設備を備えた部屋など業務に最適な場所で働ける

ABWでは自宅やレストラン、カフェ、コワーキングスペースやレンタルオフィスなども働く場所の選択肢に入ります。社員はその日の業務内容や自分自身の都合に合わせ、場所を選んで働けます。一方、フリーアドレスオフィスは、オフィス内で自由に移動できる勤務形態です。

 

ABWに関する詳細はこちらの記事でも解説しています。

■導入は専門業者へ相談したほうが良いか

自社で検討から導入まで行って成功させるのは、ハードルが高い場合もあるかもしれません。なぜなら先述したように、フリーアドレスを導入するまでには、目的の明確化やレイアウトの検討、社員への周知など多くの手間や時間を要するためです。

導入を成功させるために、専門業者に相談するという手段もあります。専門業者は、現状の問題を正確に把握して導入目的を明確化し、レイアウトの設計やルールの策定などもサポートしてくれます。さらに必要に応じて、家具や備品の手配なども可能です。

相談だけではなく、専門業者のサポートを受けると通常業務を行いながら無理なく導入を進めることができます。プロの目線でサポートしてもらえるため、無駄なく的確に進められるのも専門業者に相談するメリットです。

アイリスチトセでも、オフィス移転のトータルサービスを提供しています。物件探しやレイアウトの設計はもちろん、必要な家具や備品の手配、引っ越し作業までワンストップでサポート可能です。アイリスグループのネットワークを活用して、最適なサポートを提供します。

オフィスの移転や導入などで多くの実績を持つアイリスチトセでは、運用まで考慮したご提案が可能です。フリーアドレスオフィス導入を検討の際には、ぜひお気軽にご相談ください。

 

以下では、オフィス改修のタイミングでフリーアドレス化を行った村田機械株式会社様のインタビュー記事がご覧いただけますので、ぜひ参考にしてみてください。

フリーアドレス導入で起きたコミュニケーションの変化

フリーアドレスオフィスで快適な職場を実現しよう

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フリーアドレスオフィスは、固定席を設けず空いている席を自由に使用できる働き方です。導入することによって業務の効率化や生産性の向上、空間コストの削減などが期待できます。ただし、業務内容によって向き不向きがあるため、その点をしっかり見極めることが大切です。

導入に関しては、自社ですべてを行おうとせず、専門業者に相談するのがおすすめです。専門業者はプロの目線で的確にサポートしてくれます。アイリスチトセでもワンストップで導入のサポートが可能です。ぜひオフィスをフリーアドレス化して、快適に働ける環境を実現しましょう。

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