【インタビュー】ハドラスホールディングス株式会社「ピンチをチャンスに」アフターコロナを見据えたオフィス移転

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【インタビュー】ハドラスホールディングス株式会社「ピンチをチャンスに」アフターコロナを見据えたオフィス移転

【Dr.ハドラス】などのナノマテリアルコートを研究開発されているハドラスホールディングス株式会社様のオフィス移転について、ハドラスホールディングス株式会社 代表取締役社長 山本英明様にお話を伺いました。

所在地東京都中央区
クライアントハドラスホールディングス株式会社
業種研究開発・製造業
完成年月2022年6月

社員にとっての働きやすい環境とは

早速ですが、移転に至った経緯を教えていただけますか?

社員にとって快適に働きやすい環境を作りたいという想いが強く、そこからスタートました。

元々の趣旨としては、そうした考えで移転計画を進行していましたが、新型コロナウイルスの影響によりテレワークが浸透し、一時は移転すべきかどうかとても悩みました。

約2年前にこの新しいトリトンスクエアオフィスの契約をしましたが、不動産を探していた時にはコロナの状況が本当に厳しい状況でした。
そうした背景もあり、当時は新しいオフィスを構えるべきかどうかを本当に迷いました。

創業以来、「ピンチをチャンス」に変えるということを常に意識しておりました。このコロナ禍をピンチと捉え「ピンチをチャンス」に変えるためには、今やるべきだという考えに至りオフィス移転を実行しました。

契約が約2年前ということですが、新型コロナウイルス蔓延前から移転の構想はされていたのでしょうか?

そうですね。社員の働く環境をよくしたいというところからスタートしています。
新型コロナウイルスの影響でテレワークが浸透したものの、アフターコロナはどうなるのかわからない状況でした。ただ、先を見通して準備しておくことによって「有利な価値を持てるのではないか?」ということで計画を進めてきました。

そしていい物件を見つけた後にオフィス内の設計をどうやってやるか。これについては非常にこだわりました。
なぜかというと我々はベンチャー企業なので、オフィスに入って来た時のイメージが大切だと考えています。

例えば新卒採用をする時、新卒の方は正直に言って会社の内容をそこまで細かくはわからないはずです。
だからこそオフィスに来た時の第一印象の雰囲気や見た目で、「この会社で働きたい」といった感覚を持ってもらいたいと考えています。
そういった印象的を持ってもらうためには、良い設計をし、かっこいいものを作りたいと考えていました。
優秀な社員を採用するためには必要なことだと考えます。

移転される前の環境は、どういった課題をお持ちだったのでしょうか?

元々は東京都の施設である東京都立産業技術研究センター内で業務を行っており、非常に恵まれた環境でした。
今もまだその施設を借りてはいます。

ただ実際にオフィスとして運用するには、例えば会議をするにしても、会議室は別で借りる必要があったり、そもそも借りることができなかったりなどの制限が多く、少し自由が利かない部分もありました。
会議ができないと仕事ができないですし、お客様が来社される際に、いざ会議室を予約しようとしても借りることができないような状態になってしまっていました。

そうした環境下だと、会議をするのも大変だな…ということで、自由に使えて働きやすい環境でのびのびとできることを目的として移転計画をスタートさせました。

また、新型コロナウイルスの影響で急にWEBでの打ち合わせが増えましたが、こっちではリアル会議、こっちでWEB会議、更にまた別の場所でもWEB会議…ともうあらゆるところで行われている会議の声が入ってしまったり、WEB会議で話している後ろを人が横切ったりしていました。

そうなって来るとさすがに限界を感じ、我々でしっかりしたオフィスを持ちたいと考えました。そして持つだけではなく、やはりオフィスを持つ以上は快適で会議がしやすい環境にしたいという想いがあったので、会議室のデザイン、設計というところには非常にこだわりました。

今回、弊社にご依頼いただいたきっかけを教えていただけますか?

当初はまさかアイリスグループでオフィス事業をやっているとは思っていませんでした。本当に(笑)
どちらかというと「電化製品」だとか、「安い」というイメージでした。

それが、たまたま仕事の関係でアイリスグループの東京アンテナオフィスに行ったのですが、そこでの印象が非常に良かったんです。

当時は私もオフィス移転することを考えていたので、色んな会社を訪問した際にはその会社のオフィスも見ていました。
この会社はこういうデザインか…こういう感じか‥と。
むしろ仕事の打ち合わせよりもそっちがメインじゃないかというくらい見ていました(笑)

そんな時にアイリスグループのオフィスで通された会議室をパっと見たときに、正面のアプローチに非常にいいイメージがあり、印象に残りました。

そこで、「あれ?もしかしてアイリスさんこういう家具とか設計やっているんですか?」と聞くとやっているということでしたので、その場で皆さんが仕事をしている最中のオフィス内を見せていただきました。

その時にすごくイメージが湧きまして「ああいいな」と。そこから本格的に設計を始めようかということでスタートしました

後からそのオフィスがライブショールームだとは知ったのですが、無人のショールームでは見えてこないリアルなオフィスを見ることができたので、すごく良かったですし、驚きました。

弊社のライブショールームがきっかけだったのですね。

そうですね。実はそれでも何社かにご提案を頂きました。

我々も事業で建築に携わっていることもありまして、一般の方々より少し詳しいんですよ。
そうしたこともあり本当のところを言うと、オフィスのデザインを専門でやっている会社ほどのクオリティは期待できないのではないかと思っていました。
「家電方面は強いのかもしれないが、オフィス設計方面はあまり強くないのではないか」と、勝手なイメージを持っていました。

ところが全然違いました。
本当に提案力も良かったですし、あとは設計デザインの方の提案もさりげなく方向性を導いてくれたので、すごく良かったです。

デザインについても、初めは他社さんと合わせて値段関係なく感覚で「この会社の提案はこんな感じか」「ここはこんな感じか」と見ていたのですが、私の考えていたイメージとよく合っていたのが実はアイリスチトセさんだったんですよ。

新型コロナウィルスの感染拡大真っ最中で、予算との兼ね合いを見ながらどういう設計をやっていくべきかを考えていく中で、本当にしっかりと何社も見ました。
最終的にデザインや設計、もちろん価格も含めてすばらしいなと思い、アイリスチトセさんに依頼する判断をしました。

私自身も創業者としてゼロからスタートして、ここまでやってきているものですから、ミスをするとお客さんがいなくなってしまうということをよく知っているので、厳しい目線で判断しました。

そういった意味では工事も担当者に任せるのではなく、頻繁に見学しに行っていました。
実際の現場を見て、工事も良かったし、設計もすごく良かったんです。
設計から工程から…何よりとてもよかったのは工事ですね。そこが本当にすごいと感じたところです。

働きやすさとアフターコロナ

少しお話は変わりますが、移転を機に具体的にどこをどう変えようとされましたか?

社員の働く環境を整えたいということと、アフターコロナに向けた設計をしたいと考えていました。
社会情勢もありテレワークが続いていましたが、やはりテレワークだとなかなか生産性が上がらないという実情がありました。

我々の事業だと、顔を合わせてコミュニケーションを取ることが重要な部分が多々あります。
とはいえ、感染対策も考えなければいけないし、働きやすい環境を整えないといけない。
そうした中でアフターコロナに向けた仕組み、設計というのがやっぱりすごく大事だと感じていました。

現在のオフィスにはセキュリティの一環として、スタッフとお客様の導線を分けるためにドアが二つあるのですが、限られた人にしか会わず、不特定多数との接触が無い環境を作ることができたので、感染対策としても一躍買っており、そこでも安心感をいただくことができました。

あとは、働き方の一つとしてフリーアドレスを導入しました。
これはアイリスグループのオフィスを見てこういう働き方もあるのだとわかりました。

アイリスチトセさんはメーカーとして作っている側なので、馴染みがあるかも知れないですが、今まではフリーアドレスを導入するイメージはありませんでした。

パーソナルロッカーをオフィス内に入れて、そのロッカーからパソコンを取って、好きな席に座って良いよと。そうやってフリーアドレスを導入したことにより、部署の垣根を越えたコミュニケーションを取ることができるようになったので、そういった意味ではいい判断だったと思います。

あとはこのオフィスはリクルーティングにも使えるので、その狙いもあります。
「働きやすい環境」がビジュアル的にパッと見えて、ここで働いてみたいと思っていただけるようにすごく考えましたね。

実際にフリーアドレスを導入して見て、社員の方々の反応はいかがでしたか?

やっぱりみんないいって言いますね。モチベーションが上がりますと。

初めはもちろん慣れない部分もありますし、大変なところもありました。
今ではもうかなり慣れてきているので、そうした反応を見ても非常に良かったなと思います。

技術職の方も多くいらっしゃると思うのですが、どういった方々がこのオフィスでお仕事されているのでしょうか?

このオフィスで勤務しているのは営業、企画、総務経理です。研究職は研究所で、生産関係の部署は生産工場と別の場所で勤務しています。

「水槽理論」という理論があるのですが、水をある程度入れ替えて行かないと中にいる魚の元気がなくなっていくのと一緒で、やはりオフィスもずっと同じ環境のままにするのではなく、今回の移転のように入れ替えていくと、例えば部屋が汚くなっていることがわかったり、案外他を見て自分を見ることができるようになったりとか、そういう効果が結構ありました。

一見すると固定費が上がって大変だなと思うかもしれないですが、実はそれ以上の効果が出ているのではないかと思います。

環境を変えることで気付きを誘発するということですね。

リクルートもそうなんですが、例えば採用して、1年間ぐらい育ててもすぐにやめてしまって…となると会社にとってすごく損失じゃないですか。
働きやすい環境があって、人が集まって、社員同士で様々な会話をしていって勝手に育っていく。
育っていくためにはやはり「働きやすい環境」は作っていかなければいけないですし、それが経営者の役割じゃないかなと思います。

移転の経緯や実現したいことについて伺いましたが、計画の中で大変だったと感じたことはありますか?

そうですね…色々大変なことはありましたが、思ったより設計等は時間がかかったと思います。

無駄な時間って、どうしても出てきてしまうんですよね。
例えば仮に3月から契約したとして、契約した3月から家賃は発生していて、家賃は発生しているけれど工事は5月から始まるということもありました。

もちろんそれを計算して準備しなくちゃいけないのですが、それが思ったようにいかなくて…
できるだけ無駄な時間や費用が無いようにするには、初めに想定しているよりももっと前もった計画を立てていった方が良いと思いますね。

そういった意味ではここの契約が開始するどれくらい前から本格的に動き出されていましたか?

私ね、半年もあれば十分だと思っていたんですよ。
ところが半年の余裕を持って計画していても、思ったよりも時間がかかりました…。

初めのうちは打ち合わせも1ヶ月に1回のペースですし、値決めするにも2~3週間かかりますし、そこからまた打ち合わせの時間を作ってあって…となると、日々の仕事とか色々ある中で8ヶ月ぐらい前から、期間には余裕を見た方がいいと思いますね。

C工事の打合せでレイアウトが変わるとB工事に関連してきて、今度はB工事の見積りをとって、といった形で時間がかかっていく…そういったことでしょうか?

そうなんです。そうした工程を挟むと金額が出てくるのもまた時間がかかり…金額が決められないと工事を動かすこともできない…ということもあって想定しているよりも時間がかかってしまいました。
ただ、こればっかりはやってみないとわからない。
そんな時にもアイリスチトセの担当の方も若いながらに色々とアドバイスしてくれたので多少縮まりましたね。

コロナ禍だからこその紆余曲折はありましたか?

そうですね。実はこのトリトンスクエアは、新型コロナウィルスの影響と、オリンピックが終了したことによりオリンピック組織委員会が退去したため、一気に空きがでました。

空きがあるといっても私たちも将来の拡大を考えてこの大きさを借りるべきなのか、本当に悩みました。

現在のオフィスは130坪ぐらいなのですが、本当なら200坪借りようとしていました。
テレワークも導入していたのでこれぐらいにしておこうということで現在の約130坪。計画ではもうちょっと大きいオフィスを予定していました。

テレワークは現在も並行してされているのでしょうか?
そうですね。ただテレワークはもう2割か1割ぐらいになりました。
やはりオフィスに出社して業務を行った方が生産性は上がります。

SEなどのタスク管理がしっかり出来る部署は別かも知れないですが、営業等のちょっとした情報がヒントやカギになる部署というのは、ちゃんと顔を合わせてコミュニケーションを取った上でひとつのベクトルに向けて行かないと中々結果を出すことが難しいのではないかと思います。その為にはオフィスは絶対に必要だと思います。

タイミング・イズ・マネー

様々な企業様にお伺いしている中でよく言われるのですが、一度リモートワークを取り入れるとオフィスに戻ってきてもらうことが大変と聞きます。
またオフィスに行きたいと思わせるための仕掛けなど、なにか工夫はされましたか?

それはまさにそうだと思います。
テレワークにして、中々生産性が上がらないということで、オフィスワークに切り替えるにはやはり新しい空間、「来たいな。」というオフィスを作らなくちゃいけないと考えていました。オフィス移転を実施するタイミングはそこに合わせたんですよ。

それもあって割とすんなり切り替えることができました。「会社に行きたい!」という感覚にはできたかと思います。

時期がぴったりでしたね。

アメリカの言葉での「タイム・イズ・マネー」という言葉がありますが、「タイミング・イズ・マネー」ってすごく大事。
やはりこの「タイミング」が肝でどんなにいいことをしてもこの「タイミング」を外すと、いい形にはならない。そういった意味ではこの切り替えの時にいいオフィスになったらみんな喜ぶだろうと考えて、あえてタイミングを合わせました。

皆さん本当に喜んでくれてとても嬉しかったですね。
本当に「やった甲斐があったな」と。

実はずっと黙っていました。
オフィスの移転をすることは伝えていましたが、中を見せなかったんです。
中を見せないで出来上がるまでは設計等も一部の社員しか見ないようにして、できあがったら、「よーいドン!」とばかりに全員に見せました。

だからもうみんなすっごい喜んでくれて…!私もすっごい嬉しかったです。

では本当に計画段階での情報はオープンにされていなかったのですね。

知っていたのは私と一部の社員だけで、頑張ってくれている社員のみんなにプレゼントを渡すような感覚でした。
工事に入ったあとも全く見せず、引っ越し時期もギリギリまで明かさず…
もちろんある程度、これぐらいの時期に引っ越すとは伝えていましたが、言いたくてもずっと我慢していました(笑)

どちらかというと喜んだというよりも、驚きという感じでしたね

移転されてからの感想としてはいかがでしょうか?

非常に満足しています。
やはり「こうすればよかった」とか「あんな風にすればよかった」とか、そうしたことって実際に使ってみて出てくることって結構あるんですよ。

それがね、殆どなかったので…
まぁほんとに会議室に鍵をつけるか付けないかとか、社長室に鍵は必要だよねとか、そのぐらいで、もう本当に特別これといったものはなかったですね。

これからこのオフィスでの働く環境ついての思いをお聞かせいただけますか?

人は環境によって育つと考えていて、もちろん自らの持っている力もありますが、環境がもたらす影響も大きいと考えています。そのためにオフィス環境や働き方も重要です。

今はものすごい勢いで働き方そのものが変化してきていると思います。
今年の新卒入社の社員は大学生活のうち約3年間、キャンパスへ殆どいかなかった人もいます。

そんな環境の中で社会に出てきて、それでも生産性を出していかなくちゃいけないとなるとやはり環境や仕組みが大事になってくる。

私がよく言っているのは、「結果が出なくても人を恨まずに仕組みを恨め」と。
仕組みが上手くいっていないからこそ、ミスやストレスが生まれるのであってその人を恨むのではなく「仕組みを恨んで改善しよう」と私は常日頃から言っています。

先ほどの水槽理論でもありましたが、仕組みという水槽の中に5%ぐらい新しい水が入って、5%ぐらい元の水が抜けていく。このように水を流していかないと、やはりいい環境は作れないと考えています。

新型コロナウィルスによる影響が、この先どうなるかは誰にもわかりません。
それでも上手く付き合っていくしかないですが、今回のオフィス移転によって、今後も柔軟に対応できるオフィスになったと思います。

一時は引っ越したばかりで戸惑いもあり大変でしたが、最終的には良い成長をしていると感じているので非常にやってよかったと思っています。

移転計画の途中で、思わぬパンデミックに見舞われながらも「ピンチをチャンス」にするという言葉通り、時代の変化に対応し「チャンスに変える」オフィス移転へとシフトチェンジされた同社。創業者としてゼロからイチを創り出してこられた、山本代表取締役社長にお話を伺いました。

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