インキュベーションオフィスで起業!活用のメリットデメリットを解説

オフィス移転

Home コラム オフィス移転 インキュベーションオフィスで起業!活用のメリットデメリットを解説
インキュベーションオフィスで起業!活用のメリットデメリットを解説

起業や事業拡大をおこなう際に、オフィス選びは重要な要素となります。適切なオフィス選びはスムーズな事業展開やコスト抑制に欠かせませんが、「どのようなオフィスを選べばいのか?」というポイントは多くの人にとって悩みの種となるでしょう。

インキュベーションオフィスという形態のオフィスは、起業や事業拡大を検討している事業者にとって有効な選択肢の一つです。オフィス空間だけでなく、事業の初期段階におけるサポートも提供されるため、ビジネスの成長に大きく寄与します。

この記事では、インキュベーションオフィスの概要とともに、メリットやデメリットを解説します。実際の利用方法や、活用するうえで意識したいポイントもあわせて解説するため、インキュベーションオフィスに興味のある方はぜひご参考にしてください。

オフィス移転を検討中の企業様へ
オフィス移転に必要なチェックリストを配布中

アイリスチトセでは、年間1000件以上にも及ぶオフィス移転・改修をサポートしています。移転先の選定から移転完了までに必要なことをまとめたチェックリストを無料でダウンロードしていただけます。

インキュベーションオフィスとは

インキュベーションオフィスは、起業家や事業拡大を目指す事業者をサポートするオフィスです。自治体や公的機関が運営に関わっているケースが多く、利用には審査が必要ですが、特に新ビジネスの初期段階では大きな助けになります。

インキュベーションとは日本語で卵の孵化を意味する言葉で、起業や事業拡大向けのサポートを意味します。

オフィス空間の提供に加え、事業や経営、資金調達に関する相談もおこなえ、初期段階における不安や悩み、課題の解消に向いた形態のオフィスと言えるでしょう。サポートを受けながら新ビジネスを成功させたい事業者にとって、有効な選択肢となります。

インキュベーションオフィスの特徴

インキュベーションオフィスは他のレンタルオフィスにはない独特の特徴が存在しています。おもな特徴は次の2点です。

  • 起業や経営に関わる各種相談・支援を受けられる
  • オフィスとして必要な機能が完備されている

サポートとオフィス空間の提供の2軸が、インキュベーションオフィスに欠かせない重要な要素です。

 

■起業や経営に関わる各種相談・支援を受けられる

インキュベーションオフィスの最大の特徴は、起業や経営のための各種相談・支援サポートを備えている点にあります。一般的なレンタルオフィスであればオフィス空間の提供に留まるところ、インキュベーションオフィスでは悩みや課題の解決も可能です。

インキュベーションオフィスでは、おもに次のような相談・支援のサポートを受けられます。

  • 新規事業開発の相談
  • 経営の相談
  • 事業ノウハウの提供
  • 事業計画策定の支援
  • 人脈づくり
  • 資金調達の支援
  • 経理・税務代行サービスの紹介
  • 人事労務分野のコンサルティング

サポートはインキュベーションオフィスのサービス内で受けられます。悩みのカテゴリごとに個別に相談先を探す必要もないため、よりスムーズに悩みを解消できるでしょう。

 

■オフィスとして必要な機能が完備されている

インキュベーションオフィスにはオフィスに必要な機能や機器が揃っているため、空きオフィスに入居するよりもスムーズかつスピーディーにビジネスを始めることができます。

利用できるオフィスはおもに個室形態で、セキュリティやプライバシーが確保されています。郵便物の受取や転送も可能で、住所は法人登録に利用できます。これらは他のオフィス形態では不可能なケースもあるため、インキュベーションオフィスの大きな利点と言えるでしょう。

また、オフィス空間内の機能面では、インターネット環境の完備やOA機器の貸出などがおこなわれています。自社で導入するよりコストをおさえられるでしょう。他の入居者との共用にはなるものの、ミーティングルームも提供されています。

インキュベーションオフィスで起業するメリット

インキュベーションオフィスの利用は、起業や事業拡大をおこなう事業者にとって大きなメリットがあります。次の3つのメリットを中心に、インキュベーションオフィスの解説をします。

  • 不安や疑問を相談しながらの起業・経営が可能
  • 初期費用・維持費をおさえられる
  • 他の起業家ともつながれる可能性がある

それぞれのメリットの詳細を見ていきましょう。

 

■不安や疑問を相談しながらの起業・経営が可能

インキュベーションオフィスで起業するメリットの一つは、起業や事業の成長に関する不安や疑問を、専門家に相談しながら起業・経営ができる点にあります。ビジネスの初期段階における課題をスムーズに解決するために有効な手段となります。

分野別の困りごとに対する専門家に加え、施設によっては起業家のサポートに特化したインキュベーションマネージャーが居る場合もあります。インキュベーションマネージャーは、起業から事業が安定軌道に乗るまでをワンストップでサポートしてくれます。

起業や事業拡大にあたっては、自らの事業に対して適した市場分析や事業計画の策定が必要です。多くの課題に直面しがちな創業期において、専門家のサポートは大きな助けとなるでしょう。

 

■初期費用・維持費をおさえられる

インキュベーションオフィスで起業するメリットの一つに、初期費用や維持費をおさえられる点があげられます。自前でインターネット環境やOA機器を整える必要がなく、日常業務にかかるコスト削減にもなります。

また、インキュベーションオフィスでは、施設によって無料でミーティングルームを利用できます。自社のスペースとしてミーティングルームを確保しなくてもいため、広い面積のあるオフィスを借りる必要がありません。インキュベーションオフィス自体が一般的な賃貸オフィスよりも面積が小さいため、賃料の節約にもなるでしょう。

また、インキュベーションオフィス自体が一般的な賃貸オフィスよりも賃料が安いことが多く、これもまた事業者にとってはメリットの一つです。

 

■他の起業家ともつながれる可能性がある

多くのインキュベーションオフィスでは、利用者の共有スペースが提供されていて、他の起業家・事業者との交流が発生する可能性があります。ビジネスの成長という同じ志を持った人々と意見を交わし、アイデアや悩みを共有できる絶好のチャンスです。

交流をきっかけに課題の解決や悩みの解消ができることはもちろん、新しいビジネスの創出につながる可能性もあります。他の起業家・事業者の言葉から新たなビジネスチャンスを見出したり、共同プロジェクトを始められる可能性もあるでしょう。

共有スペースを通じて、他の起業家・事業者から刺激を得たい、思わぬ機会やい影響を期待したいという方は、インキュベーションオフィスの利用を検討してみるといでしょう。

インキュベーションオフィスで起業する際の課題・デメリット

インキュベーションオフィスでの起業・事業拡大には大きなメリットがありますが、次のような点が課題・デメリットになる場合もあります。

  • 必ずしも利用できるとは限らない
  • 手続きが煩雑
  • オフィススペースの自由度が低い
  • 今後の事業展開に支障がでる可能性がある

自らの事業にどのような影響があるかどうかを具体的に検討することが大切です。メリットと比較しながら、各デメリットについて見ていきましょう。

 

■必ずしも利用できるとは限らない

インキュベーションオフィスを利用するためには、事前の面接や審査を通過する必要があります。起業家が提供されるサポートや設備を活用して成長できるか、事業に発展性があるか、資金が健全かどうかなどをチェックされます。

申請先は利用したいインキュベーションオフィスの各運営会社となるため、申請や審査に必要な情報や条件について事前に確認しておきましょう。

 

■手続きが煩雑

手続きの煩雑さもインキュベーションオフィスのデメリットの一つです。申込から審査、契約までに事業計画の提出などの書類を交わす必要があるため、通常のオフィス入居よりも手間に感じられることもあるでしょう。

インキュベーションオフィスによっては融資や家賃の補助申請などの資金的サポートが提供されていますが、これらのサポートに対してもその都度別途手続きが必要です。

サポートが充実しているメリットと表裏一体のデメリットと言えます。

 

■オフィススペースの自由度が低い

オフィススペースの自由度が低いことも、インキュベーションオフィスのデメリットとして想定できます。多くのインキュベーションオフィスでは、家具の配置を変える程度のレイアウト変更は可能ですが、間取りの大きな変更まではできません。

オフィスの模様替えをしたくても、実際には家具の配置変更程度に留めるしかないのが現実です。壁の色を変えるなどの大掛かりな改装はできないため、自社のイメージカラーをオフィスに反映するような取り組みはできないと考えていた方が良いでしょう。

また、インターネット回線などの設備は既存のものを使用する必要があります。コストをおさえてインターネット環境を用意できる一方で、回線速度などに不満があっても変更できないことは念頭においてください。

自社のブランドや社風をオフィス空間に反映したい、より高速なインターネット環境を用意したいという場合には、賃貸オフィスの方が適していると言えます。

 

■今後の事業展開に支障がでる可能性がある

インキュベーションオフィスは低コストでオフィス空間や設備を利用できますが、運営企業から利用料金以外のリターンを求められる場合があります。

求められるリターンは、一般的にはストックオプション(株式を購入できる権利)の付与や、事業発展後の投資確約が多い傾向にあります。初期段階では受け入れやすいものの、事業が成長するにつれて、企業の自由度や将来の選択肢を制限する可能性があります。

起業時には身近なリスクや課題に気が取られ、将来的な問題に対して優先度を下げてしまうこともあります。しかし、長期的なビジネスの成功を目指すためには、持続性を意識した視点を持つことが重要です。

インキュベーションオフィスを利用する際は、契約内容を慎重に検討し、将来の事業展開に支障が出ないように注意しましょう。

インキュベーションオフィスを利用する流れ

実際にインキュベーションオフィスを利用する際には、次の流れに沿って手続きをおこなう必要があります。

  1. 希望エリアでインキュベーションオフィスがあるか調査
  2. 運営の窓口へ相談・申請
  3. 書類・面接審査に通過後に入居

インキュベーションオフィスの利用には複雑な手続きや審査があります。流れをあらかじめ把握しておき、手続きを滞りなく進められるようにしておきましょう。

 

■1.希望エリアでインキュベーションオフィスがあるか調査

まずはオフィスの立地を検討しましょう。インキュベーションオフィスの選定において、立地は非常に重要な要素です。周辺施設や利便性、取引先など来訪者にとってのアクセスのしやすさを考慮して立地を選びましょう。

インキュベーションオフィスは行政が運営していることも多いため、行政の公式サイトで探すことも有効です。例えば、東京都内でインキュベーションオフィスを探す場合、東京都創業NETのサイトが役立ちます。大阪であれば、近畿経済産業局が有効でしょう。

※参考:東京都創業NET「東京都によるインキュベーション施設運営計画認定事業について

   :近畿経済産業局「関西地域のインキュベーション施設

 

■2.運営の窓口へ相談・申請

立地を決めたあとは、インキュベーションオフィスを運営する窓口への相談と申請をおこないましょう。まずは各インキュベーションオフィスの運営にメールや電話で相談し、サポートの内容や自身が利用対象に含まれるかどうかを確認しておくことが大切です。

例えば、東京大学のインキュベーション施設を利用したい場合は、申請書の提出と審査委員会による可否決定を経る必要があります。施設は複数存在しており、施設によって応募要件や利用条件などが少しずつ異なるため、運営者に適宜確認が必要です。

また、インキュベーションオフィスの多くには募集期間が定められています。気になるインキュベーションオフィスを見つけたら募集期間をチェックし、間に合うように提出しましょう。

※参考:東京大学産学協創推進本部「インキュベーション施設/入居の流れ」 

 

■3.書類・面接審査に通過後に入居

申請が認可されたあとに、書類・面接審査が実施されます。審査では自らの事業やビジョン、理念に関するプレゼンテーションが求められる場合があるため、事前に伝えるべき情報をまとめておきましょう。審査基準は不明な場合もあるので注意が必要です。

審査にかかる期間はインキュベーションオフィスの運営者によって異なりますが、1~2日程度で審査が終わるケースもあります。

審査に通過後、運営者から通知が来たら入居の準備をおこないましょう。申込から入居までは、おおむね2ヶ月程度がかかるとされています。運営者のサポートを受けながら、インキュベーションオフィスへの入居準備を進めていきましょう。

インキュベーションオフィスを検討する際に見直したいポイント

最適なオフィスの形態は、企業の働き方や事業によって異なります。インキュベーションオフィスを検討する際に見直したいポイントをご紹介します。

  • 本当にオフィスは必要か?
  • 他のオフィス形態と比較して有用か?

インキュベーションオフィスを利用するかどうかを検討する際は、そもそもオフィスが必要か、他のレンタルオフィスなどの選択肢はどうかなども踏まえ、広義に検討した方が良いでしょう。

 

■本当にオフィスは必要か?

コロナ禍によって多くの企業がリモートワークを導入し、オフィスの必要性が再考されるようになりました。業務内容によってはフルリモートでの業務運営が可能であるため、「自社の事業にオフィスが必要かどうか?」をしっかりと検討しましょう。

オフィスを設けるメリットは、従業員同士の対面でのコミュニケーションや、物理的なやり取りが必要な特定の業務の効率化を図れる点にあります。しかし、オフィス入居にあたっての手続きや、家賃などの手間や費用がかかることも否めません。

物理的なオフィスがなくても業務をおこなうこと自体は可能です。ただし、事業者の法人登記には、事務所の住所が必要です。業務環境としてのオフィスの必要性だけでなく、法人登記の観点からも検討するようにしましょう。

フルリモートやフルフレックスなどの働き方に関して知見を深めたい方は、次のインタビュー記事もぜひご覧ください。

▼関連記事
【インタビュー】株式会社Helpfeel「フルリモート・フルフレックス:働き方の実態とその魅力」 

 

■他のオフィス形態と比較して有用か?

インキュベーションオフィスを他のオフィス形態と比較して有用かどうかを検討することも重要です。代表的なオフィス形態の特徴は次の表のとおりです。

オフィスの種類 特徴 向いている企業・事業者
インキュベーションオフィス
  • 個室と共有スペース
  • ビジネスのサポート
  • 起業家
  • スタートアップ企業
賃貸オフィス
  • 一般的な契約形態のオフィス
  • 企業ごとにスペースを占有
  • 比較的規模の大きい企業
    セキュリティ性が求められる企業
レンタルオフィス
  • 専有の個室がある
  • 中小企業
  • セキュリティ性が求められる企業
コワーキングスペース
  • 他の事業者との共有スペース
  • 利用者の交流が活発
  • 個人事業主・フリーランス
  • 小規模な企業
シェアオフィス
  • 他の事業者との共有スペース
  • 中小企業
  • スタートアップ企業

事業内容によっては、インキュベーションオフィスより他の形態の方が向いているかもしれません。自社の事業内容とオフィスの性質を比較して、自社にあった選択をしましょう。

多種多様な形態で利用できるフレキシブルオフィスの利用を検討することも有効です。フレキシブルオフィスの詳細についてはこちらの記事をご覧ください。


フレキシブルオフィスの6つの種類を徹底比較!メリットを理解して新しいオフィス選びを実現

まとめ:自社の性質に応じてインキュベーションオフィスを検討しよう

インキュベーションオフィスは、起業家や事業を拡大したい企業の支援に特化したオフィス形態です。ビジネスの初期段階におけるサポートを受けたい事業者や、整ったオフィス空間を低コストで利用できオフィスにかかわる初期費用や維持費をおさえたい企業、成長に必要なアドバイスやサポートを受けたい企業にとっては有効です。。一方、審査の存在や手続きの複雑さには注意が必要ですし、自由なオフィス設計を望む企業には不向きと言えるでしょう。

インキュベーションオフィスの性質と自社の性質を踏まえて、インキュベーションオフィスが有効な選択肢となるかどうかを検討することが大切です。オフィスの必要性の有無や他のオフィス形態との比較を踏まえて、自社に最適な選択肢を考えてみましょう。

オフィス移転・内装にお悩みなら…
まずは、お気軽にお問い合わせください。

年間1000件以上にも及ぶオフィス移転・改修実績があるアイリスチトセでは、レイアウトのプランニングから引っ越しまでをトータルでサポートいたします。企業ごとに抱える悩みに寄り添い、グループの総合力で課題を解決いたします。オフィス移転、レイアウトの際はお気軽にご相談ください。

Related