【インタビュー】株式会社きらぼし銀行「銀行におけるフルクローズ型ブースを活用した業務効率化プロジェクト」

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【インタビュー】株式会社きらぼし銀行「銀行におけるフルクローズ型ブースを活用した業務効率化プロジェクト」

東京・神奈川を中心に営業拠点を持つ株式会社きらぼし銀行。今回は、60拠点にフルクローズ型ブース(テレキューブby アイリスチトセ)を導入したその経緯と活用方法について、事務統括部の担当者3名にお話を伺いました。

 

~インタビューメンバー紹介~

事務統括部 木村光広様 / 事務統括部業務改革担当 木村和幸様 / 事務統括部業務改革担当 山崎志保様

営業店の業務を効率化

本日はよろしくお願いいたします。

早速ですが、弊社のテレキューブの導入に至るまでの経緯を教えてください。

木村さん:まず、銀行全体の方針として現在業務の効率化を進めていまして、その中で「営業店の業務を効率化して、人員を営業戦力に振り向ける」ことに取り組んでいます。負担となっている業務を可視化するために営業店にヒアリングを行ったところ、特に相続関係の業務について、専門性が高く、書類が多かったり、事務が煩雑だったりと負担が大きいという意見があがりました。

この負担を軽減すべく、遠隔相談システムを取りいれて営業店と本部をテレビ画面でつなぎ、お客さまの相続に関するご相談を本部の職員がオンラインで受けるという取り組みを新しく始めたのですが、その中で、テレビ電話越しだと声が響いて他のお客さまに聞こえてしまい、安心して相談がしにくいといった課題が見えてきました。

その課題を解決するためにフルクローズ型のブースに光が当たったということですね。

木村さん:一旦は天井のふさがっていないブースをつくり運用してみました。中に遮音パネルを貼っていたので、ある程度音漏れが軽減できるだろうと思ったのですが、実際運用してみると音がだいぶ漏れてしまい‥これならば完全に塞がっているフルクローズ型のブースにしたほうが良いだろうということになりました。

それはいつごろからスタートしたものなのでしょうか。

木村さん:取り組みが始まったのは20222月からです。

「営業店の業務の効率化」についてもう少し詳しくお話いただけませんでしょうか。

木村副部長:私共は事務統括部の業務改革チームに所属しております。業務改革チームがまず着手したのが「次世代営業店事務」という、新しい営業店事務の導入です。営業店の人員を極力営業に振り向けることが出来るように、店頭にタブレットを導入するとともに、営業店の後方事務を本部に集約することからはじめました。

その一環として、本部にコンタクト業務センターという部署を新たに作り、後方事務を集約することで営業店の業務負荷を軽減しています。更にフェーズ2として、タブレットの機能を更に拡大し、端末オペレーションも不要になる仕組みを作ろうとしています。

そうした事務の効率化を進める一方で、当該施策でカバーしきれない残存業務の一つとして相続業務にフォーカスして取り組んできました。相続の相談は1回につき1時間ほどかかるため、事務を本部やバックオフィスに集約することで、営業店は営業に集中できると考えました。

当初、営業店と本部側にある端末を連携させた運用を計画し、コストもあまりかけられない中で、様々な試行錯誤を繰り返しました。

その過程で、他のお客さまに声が漏れるといった「音」の問題があったことから、フルクローズ型のブースを入れることでそうした課題を解決できるのではないかと考えました。

アイリスチトセさんのテレキューブは、私共のニーズを充分に満たしてくれていること、スケジュール通りに導入できる実現性が高いこと、そして最も重要な相続業務におけるお客さま満足度の充足についても十分寄与できるという判断から、今回の導入に至りました。
スピード感をもって短期間でやりぬくには様々な課題がありましたが、アイリスチトセさんの協力を仰ぎながら効率的な計画策定を行い、営業店への設置をスムーズに進めることができました。20235月までに全拠点に遠隔相談システムを導入し、内60拠点にアイリスチトセさんのテレキューブを設置しています。

業務改革という方針が前提にあり、その中でどこから着手していくかという流れで弊社のテレキューブの導入に至ったのですね。

木村副部長:そうです。相続業務の運用には防音性の高いブースが必要でしたので、アイリスチトセさんのテレキューブを導入し、設置可能な拠点に順次展開しました。

また、このブースは相続業務以外にも利用できるのではないかと考え、グループ会社のデジタルバンク「UI銀行」の案内や信託業務の説明等についてもブースを活用した運用を開始し、徐々に対応業務を増やしております。

相続案件に対応できる本部のメンバーは現在10名おりますが、仮に10名が同時にセッションしても、60拠点に導入したブースの内50拠点は空きが出ることになります。その用途を相続以外にも拡げれば更に効果的に活用できると考えています。

具体的には、お客さまが来店し、ブース内に設置してある端末から相続相談なら相続ボタンを、年金相談なら年金ボタンを選んで押していただくと夫々の専門担当者につながる、そうした仕組みを作ろうとしています。

現在の運用方法については、時間のご予約なしで来られてその場で対応するというようなかたちでしょうか。

木村副部長:相続についてはご予約の有無に関係なく対応できますが、それ以外の業務は原則予約制しています。今後システムをバージョンアップし、より効率的かつフレキシブルに対応する仕組みを構築していく予定です。

画期的ですね。

木村さん:近隣の銀行でそこまでやっているところはないと思います。

やはりどうしても営業店があれば相談窓口は必要になってきますし、そこに人と時間が割かれてしまうということですよね…。

木村さん:負荷のかかる業務をセンターで対応できるようになったので、営業店としてはかなり負担が軽減され助かっていると聞いています。

お客さまの反応や意見を見たり聞いたりする機会はありますか。

木村さん:お客さまからは「囲まれた空間なので安心して話ができる」、また「センターの人も親切で専門知識のある方が対応してくださる」と喜んでいただいています。

他の人に話が聞こえないことの他に何かメリットはありますか。

山崎さん:従来は、相談窓口を他店と集約させてしまうと、集約後の営業店が遠くてもお客さまが出向かなくてはなりませんでした。また、営業店によって相続業務に対応出来る人員にバラツキがあり、お客さまにとってもどのような職員が担当になるのか少なからず不安があったと思いますが、今回の運用によって、いつでも専任担当者が対応するようになったので安心して相談できるというメリットもあると思います。

ソフト面とハード面を並行して推進

導入するにあたり大変だったことはなんでしょうか。

山崎さん:工事業者とのセッションが大変でした。

テレキューブの複数拠点への同時設置もそうですが、電気やLANケーブルの配線問題があったり、設置場所によってはビルの管理会社等へ許可を取らなくてはならなかったりと、色んな登場人物や拠点があり、様々なことが同時進行していたので。

木村副部長:また、運用開始に際しては営業店にしっかり説明しなくてはならないですし、本部側についても、相談に応じることができる相続業務に長けた人員を確保する必要がありました。

ブースと人員を予め用意してスタートしたわけではなく、営業店展開に合わせて設備を拡充しながら、少しずつ人員をアサインしていきました。相続の相談業務も面談して終わりというわけではなく、その後の事務処理や2回目の遠隔面談が入ることもあるので、お客さまに迷惑をかけないような人繰り、体制の構築に労力を要しました。

ソフトとハードを同時進行で進める難しさですね。

木村さん:そうなのです。アイリスチトセさん側でハード部分のブースを用意いただいて、それに合わせて銀行側の体制を整えていきました。

山崎さん:相談だけではなく周辺の事務処理も含めて全て対応する方針にしたので、体制の整備が追い付かないくらいの案件が営業店から上がってきました。

木村副部長:多分ここまでやっている銀行はないのではと思います。

(弊社営業担当)崎村)ブースの中で全て完結しますよね。免許証などの本人確認や置いてある封筒で書類を送ってという感じで…。

木村副部長:システム構築に際しては、小型カメラで必要書類の撮影をするなど、かなりきめ細かい仕組みをつくりました。

ここ数年での働き方の変化

ありがとうございます。

話は変わりますが、ここ数年、コロナ以降で起こった働き方の変化について教えていただけますか。先ほど業務改革のお話がありましたが、数年前と今とでは、オンラインワークや商談が当たり前となるなど、企業の働き方はずいぶんと変わってきました。銀行、またはきらぼし銀行ならではの働き方の改革・推進しているようなものがあればぜひお伺いしたいです。

木村副部長:それで言いますと、コロナで本当に画期的に変わりました。

当行だけではないと思いますが、先ずは職員がどこでも業務ができるようにしました。TeamsZoom等を使って会議をするなんて以前は考えられませんでしたが今では定着しています。また一時期は、本部出勤率を70%以下にするという指示もあり、テレワークやフリーアドレス制を推進しました。

ただ、本部の業務はテレワークである程度カバーできますが、営業店はそうはいきませんでしたので、昼休みを設けて一時的に営業を止めるなど、業務改革の動きはここ数年でかなり進みました。

どうしても銀行は機密書類も多く、出社しなければいけないというイメージがあります。

木村副部長:基本的に紙の持ち帰りは一切してはいけない決まりとなっていますが、ペーパーレス化を進めていく中で機密書類をデータ化し、セキュリティーの高いPCで作業ややり取りをできるようにしているのでテレワークも可能になりました。

本部ではフリーアドレス制を導入していて、座席はどこに座ってもいいようになっています。

本当にこの2年くらいで大きく変わりました。個人で内部業務用モバイルPCが認められたのも丁度この時期でした。

それまではデスクトップで作業されていたのでしょうか。

木村副部長:それまではデスクトップというよりは外に持ち出しができない、通信ができない運用でした。

今回、御社のテレキューブを導入させていただきましたが、空いているときはお客さまとのセッションでも使えますし、個人面談やWEB会議にも使えます。少し大きめで34人掛けなので、狭い店舗等では応接室が不足していたり周囲に聞かれたくない話をしたいときに活用しています。声が漏れないので非常に有効です。

ペーパーレスとキャッシュレス化

ありがとうございます。

業務の効率改善や生産性の向上に向けて、今後の展望などがあればぜひ教えてください。

木村副部長:デジタル化によるペーパーレスとキャッシュレスの推進です。

これまでは伝票に基づいてオペレーションをしていたのですが、タブレットの入力でオペレーションまで済ませてしまう、そういった仕組みをこの夏くらいから順次導入しようとしているのが一番の大きな取組みです。そして次のステップとしてはやはりキャッシュレスです。

今は銀行に行かなくても決済など、ほとんどのことができて、現金を使わなくてもいい世の中になりつつありますが、その一方で銀行に来店されるお客さまは、高齢の方が非常に多い状況です。

若い方が資産運用の相談などで来られることもありますが、お客さまのほとんどは高齢の方です。ただ、今50代の方は10年後60代になってもスマホなどサクサク使えるでしょうし、今後はキャッシュそのものの流通が益々減少していくと思っています。そのあたりは銀行としても、キャッシュを扱わない営業店をどんどん増やしていこうというところです。

従来でしたら入金するにも、振り込むにも銀行の窓口に来ていたものが、スマホでもできるようになって…本質的に残っている業務はとなると相続であるとか、資産運用とかになるというわけですね。

木村副部長:そうです。ただ、そうはいっても営業店に来てATMでキャッシュカードを使わずに窓口でお金を下ろす方もいらっしゃるので、今回はその一連の作業をタブレットでできるようにしました。

中には高齢の方等タブレット入力に慣れてない方もいらっしゃいますが、職員がしっかりサポートしながらデジタル化を推進していく予定です。

これからの働き方の面では、会社としては出社が基本方針なのでしょうか。

木村副部長:いいえ、今も本部職員については3割のテレワークを奨励していますが、業務効率上、実現できていません。在籍人数に対して7割強しか席を設けていないので、更にテレワークを推進していく必要があります。

山崎さん:内部業務用モバイルPCでできることってあくまで銀行業務の一部で制限があります。タブレット開発のテストや営業店の勘定を動かすというところは全て出社しないとできないので、銀行業務の場合はどうしても出社する必要はあるのかなと。

木村副部長:他にも、コロナ禍では大事なセッションや交渉もリモートでしていましたが、やはりお客さまと顔を合わせて話すことが重要だと感じることもあります。

逆に偉い人ほど来なくていいのかな、なんて思ったりしますけどね。指示するだけならリモートで済むかなと(笑)

リアルな対面の重要性はとても共感できます。

どこ起点かにもよりますが、これらの取り組みによって従来と比較して、どれくらいの人員削減、コスト圧縮ができているのか、何か指標などありますか。

木村副部長:そうですね。なかなかそこのウェイトをお示しするのは難しいですね。

細かな削減効果や人員数についてはお話できませんが当初想定した費用対効果については実際に営業に振り向けた人員数であったり今まで使用していた機器が不要になったり、申請書類の紙が不要になったりと、徐々に効果は表れてきております。

目的である営業と事務の比率についてはだいぶ変わってきているのは確かかなと思います。

今回の相続業務をきっかけにこのような運用システムが確立できたので、これを様々な業務に展開していこうということですね。

木村副部長:そうです。この運用方法を更にブラッシュアップして横展開していくことで、「次世代営業店事務」を更に進めていきたいと考えています。

 

会社の業務改革に際してテレキューブを導入した株式会社きらぼし銀行。フルクローズ型のブースをただ遮音部屋として使用するのではなく、ブース内で営業店と本部を繋ぎ業務を効率化させることで、人員を営業戦力に振り向けるという先進的な取組みについてお伺いすることができました。

本日はありがとうございました。

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