居抜きオフィスとは|ほかのオフィス形態との違いやメリットを解説

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居抜きオフィスとは|ほかのオフィス形態との違いやメリットを解説

オフィスには一般的な賃貸オフィスのほかに、サービスオフィスやレンタルオフィスなどのさまざまな形態があります。居抜きオフィスもオフィス形態の一つで、内装が完成しており、オフィス家具が設置された状態で借りることが可能です。

居抜きオフィスは短期間での移転が実現しやすく、デザイン性が高い物件が多いため、注目が集まっています。そこでこの記事では、居抜きオフィスの概要や移転するメリットを解説します。ほかのオフィス形態との違いも併せて解説するので、居抜きオフィスと比較して自社に合うオフィス形態を見つけましょう。

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居抜きオフィスとは

居抜きオフィスとは、内装やオフィス家具がそのままの状態で貸し出されるオフィスです。一般的な賃貸オフィスは、入居者に原状回復義務があります。入居時に施した内装は元の状態に戻し、持ち込んだオフィス家具や備品は撤去しなければなりません。

一方の居抜きオフィスは入居者に原状回復義務がなく、内装やオフィス家具をそのままの状態で退去することが可能です。居抜きオフィスは入居時の内装工事やオフィス家具の購入が必要ないため、初期費用をおさえられる点が魅力の一つです。

近年はワークスタイルの多様化にともない、シェアオフィスやサービスオフィスなどの多岐にわたるオフィス形態が登場しています。その中でも居抜きオフィスへ注目する企業が増えています。

居抜きオフィスが注目されている背景

多くの企業から居抜きオフィスが注目されている背景には、ワークスタイルの多様化や世界的なインフレなどが関係しています。

 

■オフィスの縮小を検討する企業の増加

居抜きオフィスへのニーズの高まりは、オフィスを縮小する企業が増えたことが影響しています。近年、コロナ禍による影響やライフスタイル・価値観の変化により、多様なワークスタイルへのニーズが高まりを見せています。

従業員のためにテレワークやハイブリッドワークなど、新しい働き方を採用する企業も増えました。より働きやすい環境を整備するために、オフィス自体を見直すことも重要視されるようになっています。。たとえば、テレワークの浸透により出社率が下がった企業では、余剰スペースの無駄を省くためフリーアドレス制のレイアウトを導入しています。この場合、従来の「全員出社」のワークスタイルよりも、オフィスを小さくすることが可能です。

オフィススペースの有効活用やコスト削減の観点から、オフィスを縮小する方向に動く企業も増えています。オフィス移転が選択肢に入ってくるなか、コストをおさえた移転を実現できる居抜きオフィスへのニーズが高まっているのが現状です。

 

■内装工事費の高騰

ここ数年は特に、建設業界での内装工事費が高騰している状況です。その背景には、資材価格の高騰と世界的なインフレが大きく影響しています。オフィスの移転と関係性が深い工事にはA工事・B工事・C工事があり、それぞれ業者の選定や費用負担の権限が異なります。

工事の種類 業者の選定 発注 費用負担
A工事 オーナー側 オーナー側 オーナー側
B工事 オーナー側 テナント側 テナント側
C工事 テナント側 テナント側 テナント側

上記のうち、内装工事に該当するのはB工事とC工事です。B工事とC工事は、オフィスを借りる企業側が費用を負担しなければなりません。B工事は業者を選定する権限がオーナー側にあるため、費用をコントロールするのが難しいのが現状です。

機器メーカーや材料メーカーによる値上げ、人件費の高騰などの事情が重なった結果、企業側の負担が大きくなっています。内装工事が必要な場合はコストが高額になりやすいため、居抜きオフィスへの移転を検討する企業が増えています。

なお、内装工事の種類や費用相場などは、こちらの記事で詳しく紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

A工事・B工事・C工事の違いとは?区分別の特徴から確認事項までわかりやすく解説

オフィスの内装工事の種類と費用相場とは?おしゃれな内装デザインの事例もご紹介

居抜きオフィスとほかのオフィス形態の違い

コストをおさえつつ移転を実現したい場合は、居抜きオフィスに選択肢が限定されているわけではありません。サービスオフィスやレンタルオフィスなどのオフィス形態でも、コストをおさえることが可能です。

オフィス形態 特徴 向いている企業の特徴
サービスオフィス
  • 業務に必要な設備がそろっている状態で利用できる
  • 敷金や仲介手数料が不要
  • 自宅でテレワーク環境を整備できない従業員がいる企業
  • 好立地にオフィスを構えたい企業
レンタルオフィス
  • 業務に必要な最低限の設備が揃っている状態で利用できる貸事務所
  • 敷金や仲介手数料は不要
  • 入会金が必要
  • スタートアップ企業やベンチャー企業
  • 従業員数が少ない企業
コワーキングスペース
  • オープンタイプのワークスペースを複数の利用者で共有するサービス
  • 敷金や仲介手数料は不要
  • 異業界や異業種の人との交流が増える
  • 他社との交流を活性化させたい企業
  • 従業員数が少ない企業
シェアオフィス
  • 複数の利用者でオフィスを共有するオフィスサービス
  • オープンスペースにブース席や個室が設置されているケースもある
  • 敷金や仲介手数料は不要
  • 好立地にあるケースが多い
  • 従業員数が少ない企業
  • PCで完結する職種が多い企業
バーチャルオフィス
  • 物理的なオフィスが存在しない仮想事務所
  • 仕事場を別に用意する必要がある
  • 電話番号と住所が与えられる
  • 企業ブランドを向上させたい企業
  • 従業員のオフィス出社が不要な企業

 

■サービスオフィス

サービスオフィスは、業務に必要な設備が揃っている状態で利用できるオフィスサービスです。一般的な賃貸オフィスに移転する際のような設備の準備が不要なので、比較的短期間で利用を開始できます。

サービスオフィスには、電話対応や秘書代行、事業サポートなどのさまざまなオプションサービスが用意されています。敷金や仲介手数料は不要なので、初期費用をおさえることが可能です。

 

■レンタルオフィス

レンタルオフィスは、業務に必要な最低限の設備が揃っている状態で利用できる貸事務所の総称です。利用人数に応じてさまざまなタイプが用意されていて、自社専用スペースとしても利用可能です。

それだけではなく、オフィスには会議室やラウンジなどの共有スペースも用意されています。敷金や仲介手数料は不要ですが、入会金が必要です。デザイン性が高いオフィスも多く、ラグジュアリーな雰囲気の中で業務を進められます。

 

■コワーキングスペース

コワーキングスペースは、オープンタイプのワークスペースを複数の利用者で共有するサービスです。ワークスペースはフリーアドレス制が採用されているケースが多いため、さまざまな業種や業界の人と接することができます機会が増えるでしょう。

基本的にはオープンスペースを利用するため、Web会議や個人ワークに集中できる環境があるかを確認しておく必要があります。また、コワーキングスペースにはドロップインと呼ばれる利用方法があり、短時間での利用も可能です。

 

■シェアオフィス

シェアオフィスは、複数の利用者でオフィスを共有するオフィスサービスです。ワークスペースはコワーキングスペースと同様に、フリーアドレス制のオープンスペースです。オフィスによっては、ブース席や個室が設置されているところもあります。

自社専用で利用できるスペースはありませんが、業務に必要な設備が揃っている状態です。人の出入りが多いため、利用する際にはセキュリティ面を確認しておく必要があります。

 

■バーチャルオフィス

バーチャルオフィスは、物理的なオフィスが存在しない仮想事務所です。従業員が業務をする環境がないため、別の場所を用意する必要があります。利用者には電話番号と住所が与えられるため、郵便物の受け取りや銀行口座の開設もできます。

バーチャルオフィスの大きなメリットは、ほかのオフィス形態に比べて利用料金を大幅におさえられることです。月額料金は5,000円~10,000円程度なので、初期費用だけでなく、ランニングコストもおさえられます。また、都心の一等地に住所があるケースも多いため、企業ブランディングが期待できます。

居抜きオフィスのメリット

前述したようなさまざまなオフィス形態があるなかで居抜きオフィスへのニーズが高まっている理由には、企業にとってさまざまなメリットがあるためです。移転にともなうコストや期間などに課題を抱えている企業は、居抜きオフィスを選ぶことで解決する可能性があります。

 

■入居時のコストをおさえられる

居抜きオフィスは、内装やオフィス家具がそのままの状態で借りられます。内装工事やオフィス家具の購入にコストがかからないため、初期費用をおさえられます。オフィスを移転する際には、引越し代や通信環境の整備などのさまざまなコストが必要です。

初期費用がおさえられた分は、ほかのことに充てられます。基本的に退去時の撤去は不要ですが、原状回復義務があるため、元の状態に戻さなければならない点は覚えておきましょう。

 

■短期間での移転が可能

居抜きオフィスは引き渡し時にオフィス家具がそろっているため、新しく搬入する必要がありません。内装工事も完了しているため、業者の選定や打ち合わせの時間も削減できます。基本的にはすぐに入居できる状態の物件のため、一から内装や家具の設置等をする場合に比べ短期間での移転が実現します。

一般的な賃貸オフィスの場合、移転にともなってオフィス家具や設備の運搬が必要です。家具や設備を揃えるには、商品の選定や業者との打ち合わせに要する時間も確保しなければなりません。商品や業者がすぐに決まらない場合、移転までに間に合わない可能性もあります。移転を急いでいる企業には、居抜きオフィスがおすすめです。

 

■デザイン性が高い物件が多い

近年は、デザイナーズオフィスと呼ばれるデザイン性に優れた物件が多い傾向があります。入居者を集めるために、オフィス家具やレイアウトにこだわり、良好な環境を実現している物件も少なくありません。

おしゃれなオフィスを選ぶと、企業ブランドの向上や従業員のモチベーションアップにつながる可能性もあります。また、おしゃれなオフィスで働きたい求職者も増えているため、人材市場で有利になり、優秀な人材を集められるかもしれません。

居抜きオフィスを借りる際の課題と対策

居抜きオフィスに移転すると、入居時のコストをおさえられる、デザイン性が高い物件が多いなどのメリットがある一方で、いくつかの課題があります。ここからは、居抜きオフィスを利用する際にありがちな課題と対策を紹介するので、自社で課題を補えるかを検討してみてください。

 

■課題1.レイアウトが自社に適していない

居抜きオフィスは前テナントのレイアウトをそのまま使用しなければなりません。最適なオフィスレイアウトは企業によって異なるため、居抜きオフィスの環境が快適性や業務効率面で難がある場合もあるでしょう。

 

使いにくい場合は部分的に工事をすることも可能です。ただし、コスト削減が目的で居抜きオフィスを選んだ場合、新たな工事が必要になれば思わぬ出費につながり、居抜きオフィスへの移転目的から大きく外れることになりかねません。

 

【対策】自社の規模や働き方に適しているかを確認する

オフィスの適切な広さは、企業の規模や従業員数によって異なります。業種や職種によっても適したレイアウトが異なるため、広さだけではなく、従業員数やワークスタイルなどのさまざまな要素を考慮して物件を選ぶようにしましょう。

 

■課題2.希望条件に合う物件が見つからない

居抜きオフィスに限定して探すと、自社の希望条件に合う物件が見つからない可能性があります。一般的な賃貸オフィスに比べると、居抜きオフィスの物件数は少ないものです。

特にレイアウトやデザインなどの希望条件が多い場合、最適な物件が見つかるまでに時間を要するケースも想定されます。

 

【対策】居抜きオフィスに強い不動産会社を選ぶ

居抜きオフィスは一般的な賃貸オフィスに比べて物件数が少ないため、すべての不動産会社が取り扱っているとは限りません。自社の希望条件に近い物件を見つけるには、居抜きオフィスの取引実績が高い不動産会社を選ぶことが大切です。

また、近年は居抜きオフィスへのニーズが高まっているため、迷っているうちに他社が契約してしまうということも十分にあり得ます。希望条件に合う物件が見つかったら、早めに決断するようにしましょう。

 

■課題3.オフィス家具や什器の買換えが必要となる場合がある

居抜きオフィスへの入居時には、オフィス家具や什器が揃った状態です。しかし、オフィス家具や什器が劣化しているようであれば、買換えが必要になり、想定外のコストがかかる可能性があります。

居抜きオフィスの家具や設備は前テナントが使用しているため、中古品のケースがほとんどです。耐用年数を超えている場合は事故につながるおそれがあるため、買い換えたほうが良いでしょう。

 

【対策】オフィス家具や什器の状態を確認しておく

入居時のオフィス家具や什器の買換えを防ぐには、入居前に状態を確認しておくことが大切です。買換えると予算をオーバーする可能性があるため、内覧時に状態を確認しておきましょう。それでも買換えが必要な場合は、購入よりも出費をおさえられるリースという選択肢もあります。

まとめ:居抜きオフィスを検討する前に移転の目的を整理しよう

どの形態のオフィスに移転する場合でも、事前に移転の目的を明確にしておくことが大切です。目的を整理して自社にとって最適な方法を模索することで、移転の成功を実現につなげられるでしょう。目的を各部署と共有しておけば、軸がぶれることなく計画を進められます。

移転のタイミングで自社の希望条件に合う物件があれば、居抜きオフィスを選ぶのも選択肢の一つです。しかし、必ずしも居抜きオフィスが自社に適しているとは限りません。

いざ物件探しの際に正しい判断をするためにも、まずは自社にとって移転で何が重要なのかを確認しましょう。その結果、本当に居抜きオフィスが適しているのかが見えやすくなります。

また、移転のタイミングは物件ありきではなく、現オフィスの契約期間満了や社内都合によるところが大きい傾向にあります。自社にとっての移転の目的を果たせるタイミングが来たら、その段階で物件を選んだほうが良いでしょう。

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