A工事・B工事・C工事の違いとは?工事区分をわかりやすく解説
オフィスレイアウト・デザイン・設計

オフィス移転や店舗を構える際に発生する工事は、内容や場所によってA工事・B工事・C工事の3種類に区分されます。工事区分によって誰が工事業者を選定するのか、誰が費用を負担するのかが異なるため、しっかりと違いを理解して工事を進めていくことが大切です。この記事では、A工事・B工事・C工事の違いや工事区分、工事をおこなう際のポイントなどをわかりやすく解説します。
この記事の要約
- A工事はオーナー、C工事はテナントが業者選定から費用まで担う
- B工事は業者選定がオーナー、発注と費用負担はテナントに分かれる
- 工事区分の詳細は物件ごとに異なり、契約前の工事区分表の確認が必要
- B工事は坪単価40万円程度、C工事の内装は坪単価10〜40万円程度が目安
- 費用削減には見積明細の精査と、B工事を発生させないレイアウトが有効
目次
A工事・B工事・C工事の特徴

A工事・B工事・C工事の工事内容について詳しく解説します。
A工事とは
A工事とは、建物のオーナーが業者の選定・発注・費用負担を担当する工事のこと。対象範囲は建物の共用部分であり、躯体に関する部分がメインです。
具体的には建物の外装・外壁、廊下、共用トイレ、エレベーター、消防設備、給排水設備(共用部)などが挙げられます。建物の維持・管理への影響が大きい部分であるため、オーナーが権限を持ちます。
B工事とは
B工事とは、建物のオーナーが業者の選定をおこない、建物の一角を賃借しているテナントが業者への発注、費用負担を担う工事のこと。対象範囲は建物のルールによって異なりますが、おもにテナントの専有部分の中で建物全体に影響を及ぼす部分です。具体的には、空調設備や電気・照明、防災設備、防水設備などが該当します。
A工事と同様に建物の躯体や全体に影響を及ぼすため、業者の選定はオーナーが権限を持っていますが、発注自体はテナントでおこなう必要があります。また、ビル全体にかかわるとはいえテナント区画内の工事なので、費用もテナントが負担します。
A工事と同様に建物の躯体や全体に影響を及ぼすため、業者の選定はオーナーが権限を持っていますが、発注自体はテナントでおこなう必要があります。また、ビル全体にかかわるとはいえテナントの意向により区画内でおこなう工事なので、費用もテナントが負担します。
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C工事とは
C工事とは、業者の選定・発注・費用負担をすべてテナントが担当する工事のこと。対象範囲はテナント専有部分のうち、建物全体に影響を及ぼさない部分です。
例として、専有部分の内装工事、電話・インターネットの配線工事などが挙げられます。テナント内の工事になるため、ある程度テナント側で調整しやすい工事といえます。
A工事・B工事・C工事の違いを工事区分で比較

A工事・B工事・C工事とは、オフィスや店舗の入居・移転にかかわる工事区分のことです。各工事を区別するポイントとして、おもに次のような4つの要素があります。
- 工事業者の選定
- 工事業者への発注
- 費用負担
- 対象範囲
<工事区分表>
| 要素 | A工事 | B工事 | C工事 |
| 工事業者の選定 | オーナー | オーナー | テナント |
| 工事業者への発注 | オーナー | テナント | テナント |
| 費用負担 | オーナー | テナント | テナント |
| 対象範囲 | 【共有部分(建物の躯体がメイン)】 建物の外装・外壁 共用トイレ エレベーター 消防設備 給排水設備(共用部) など |
【専有部分(建物全体に影響を及ぼすもの)】 空調設備 防災設備 防水設備 など |
【専有部分(建物全体に影響を及ぼさないもの)】 コンセントやブレーカー、照明の増設 躯体に影響しない専有部分での建具の設置 会社名や各部屋の案内表記の設置 壁や天井のクロス、床のタイルやカーペット、家具の取り付け など |
まずは、工事区分を決める4つの要素から解説します。
【関連記事】工事区分とは?オフィス移転時に注意したいA工事・B工事・C工事の違いを解説 – IRISTORIES – アイリストーリーズ
1. 工事業者の選定
工事業者を誰が選定するのかは、工事区分によって異なります。ただし、建物全体にかかわる基本的な設備・構造を含む工事は、建物のオーナーが工事業者を選定するケースがほとんどです。
2. 工事業者への発注
工事業者への具体的な発注を、オーナーとテナントのどちらがおこなうのかも、工事区分によって異なります。業者の指定はオーナー、実際の発注はテナントがおこなうB工事のように、同じ工事の中でステップによって権限を持つ人が異なるケースもあるので注意が必要です。
3. 工事の費用負担
工事の費用負担が誰に発生するのかも、工事区分によって異なります。また工事によっては、費用が大きくなりやすいケースもあります。B工事は工事業者をオーナーが選びますが、工事費用はテナント側が負担します。工事のコストカットを意識した業者選びができず、費用がかさむ可能性が高いでしょう。
また、B工事はビルの管理体制によってオーナーや管理会社を介した調整が必要になるケースが多く、手続きに労力がかかりやすいのも難点です。つまり、B工事はテナントにとってより難易度の高い工事であるため、注意が必要です。
一方、C工事は工事業者の選定もテナント側に権限があります。複数業者に見積もりをとって価格を比較する、自分たちの希望する内容・予算をバランスよく叶えてくれる業者を探すといった工夫が可能なので、コストをおさえやすいでしょう。
4. 工事の対象範囲
「どの設備・構造まで工事できるのか」という対象範囲も、工事区分によって異なる要素です。B工事とC工事の細かい対象範囲は、建物やオーナーの考えで変わることがあるため、しっかりと確認しておきましょう。
A工事・B工事・C工事の注意点

A工事・B工事・C工事をおこなう上での注意点を見ていきましょう。事前に確認すべきポイントもあるので、工事を始める前から意識しておくことが大切です。
一度のオフィス移転でB工事・C工事は2回発生する
オフィス移転の際は、新オフィスと旧オフィスのそれぞれでB工事・C工事をおこなうケースが一般的です。
<例>
- 1回目:スケルトン状態の新オフィスを改装する工事
- 2回目:旧オフィスを退去する際の原状回復の工事
合計2回の工事が発生するケースが多いものの、なかには原状回復が不要で「そのまま退去可」としている物件もあります。
あらかじめ工事区分表をチェックする
実際の工事をおこなう前に、その物件の工事区分表をチェックしておくことが大切です。「物件内のどの部分が、どの工事区分に該当するのか」を確認すると、工事内容や費用などを具体的に計画できます。工事区分表が手元にない場合は、物件のオーナーに手配を依頼しましょう。
工事区分の詳細は物件により異なる
ここで紹介した工事区分はあくまで一般的な目安です。実際の工事区分は物件によって詳細が異なり、同じ部分の工事でもといったように違いが生じることもあります。一般的な工事区分について理解した上で、物件ごとの詳細も必ず確認しましょう。
B工事・C工事の費用目安

テナントが負担するのはB工事とC工事の2つで、工事内容と仕様によって金額の幅が変わります。予算を組むときは、坪単価の目安から総額を逆算すると全体像がつかめます。ここでは、それぞれの工事の費用目安を解説します。
| 区分 | 坪単価の目安 |
| B工事(電気・空調・防災など) | 坪単価40万円程度 |
| C工事(内装・造作など) | 坪単価10〜40万円程度 |
B工事の費用目安
電気工事・空調設備・防災設備などのB工事は、一般的に坪単価40万円程度が目安ですが、業者はオーナーが指定するため、テナント側で相見積もりを取り、価格を比較することが出来ず、指定業者から提示された見積金額をもとに検討することになります。
また、オーナーや管理会社の承認に時間を要し、工期が延びる可能性もあります。移転スケジュールに遅れが生じないよう、B工事の概算見積もりは、ほかの工事に先行して取得しておくとよいでしょう。
費用を抑えたい場合は、工事内容や見積もりの内訳を精査したうえで、B工事の一部をC工事へ変更できないか、オーナーや管理会社に相談する方法もあります。費用をおさえるためには、オーナーにB工事をC工事に変更できないか相談してみるとよいでしょう。
C工事の費用目安
テナントの内装工事などのC工事は、坪単価10〜40万円程度が目安です。エントランスや会議室に予算を寄せ、執務スペースは既製の家具で構成するといった配分を先に決めておくと、見積もりの比較もしやすくなります。予算とコンセプトを固めてから業者に依頼する流れが、金額をコントロールする前提になります。
A工事・B工事・C工事の費用を削減するアイデア

費用を抑える打ち手は、区分ごとに違います。特に費用負担がテナント側に発生するB工事・C工事は、できる限りコストをおさえたいと考える企業が多いでしょう。工事費用を削減するためのアイデアを各区分ごとに紹介します。
A工事:A工事の範囲がB工事に含まれていないか確認する
B工事の見積書に、本来はA工事に当たる項目が混ざっていないかを確認します。共用部の設備更新や、建物側の都合で発生する工事がテナント負担として計上されているケースがあるためです。確認の手順としては、見積書の明細を工事区分表と1項目ずつ突き合わせ、対象範囲が共用部に及ぶ項目を洗い出す形が有効です。指摘が通れば、その分の負担はオーナー側に戻ります。
B工事:内容を精査した上で価格交渉する
工事内容を丁寧に精査してから指定業者との価格交渉に臨むことが、B工事の費用を削減するポイントです。B工事では業者の指定をオーナーがおこなうので、業者選定からコスト削減を意識することは難しいものの、指定業者と価格交渉をおこなうことはできます。交渉の際は、仕様や数量のうち見直せる部分を洗い出し、根拠を示して単価の調整を求めると話を進めやすくなります。
また、会議室や個室を設置する代わりにパーテーションで区切る、個室ブースを置くなど、B工事が発生しないように工夫することも、費用をおさえる方法の一つです。
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C工事:複数業者から見積もりをとる
C工事はテナント側で工事業者を選べるので、できる限り複数の業者から見積もりをとって比較し、コスト削減につなげましょう。じっくり見積もり内容を比較した上で検討できるよう、スケジュールに余裕を持って進めることも重要です。
オフィスのレイアウト設計を工夫する
できる限り工事費用をおさえられるよう、オフィスのレイアウト設計を工夫するのも一案です。たとえば、なお、設備によっては、本体以外に周辺の整備も必要になり、他に費用が発生する可能性があります。
また、工事を進めていく中で不都合が生じてやり直しになると、工事費用がかさんでしまいます。そうならないためにも、綿密な計画を立てておくことが重要です。
工事との兼ね合いを考えながらオフィスのレイアウト設計をおこなうなら、オフィス設計のプロである専門業者に相談してみましょう。
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C工事の業者選びのポイント

最後に、テナントに権限があるC工事の業者を選ぶ際のポイントを紹介します。実績や対応範囲に注目して選びましょう。
1. 実績のある業者を選ぶ
豊富な実績のある業者なら、安心して工事を任せられます。特にオフィス移転の場合は、オフィス移転を専門におこなっている業者に依頼するとスムーズです。
業者の多くは自社のホームページで実績や事例を紹介しているので、参考にしてみるとよいでしょう。その際、サービス範囲やアフターフォロー、価格などが希望に沿っているか、よく確認しておきます。
2. デザインから施工までワンストップでおこなえる業者を選ぶ
デザインにこだわりたい場合、デザイン業者と工事業者を分ける方法もあります。しかし時間が限られるオフィス移転では、デザインも工事もまとめて依頼できる業者を選ぶと効率的です。
レイアウト作成から内装工事までワンストップでおこなえる業者なら、それぞれにかかる打ち合わせの時間や手間を省けます。また一括管理できるので工期が読みやすく、予算をおさえやすい点もメリットです。
アイリスチトセでは、プランニングから引越しまでをワンストップで任せられるオフィス移転トータルサービスを各企業様向けに提供しています。年間1,000件以上の移転・改修実績があり、グループの総合力でさまざまな要望に応えます。手間を省いてプロにすべてをお任せしたいときは、ぜひ当社までお気軽にご相談ください。
A工事・B工事・C工事に関するよくある質問

工事区分については、決定権と手続きに関する質問が集まりやすい傾向があります。実務でつまずきやすい4点をまとめました。
工事区分は誰がどのように決めるのですか?
工事区分は、ビルオーナーが定めた貸方基準書と工事区分表によって決まります。貸方基準書は、ビル側が貸し出す状態とテナントが手を入れてよい範囲をまとめた仕様書で、賃貸借契約の一部として扱われます。法律や業界共通のひな形があるわけではないため、立地や規模が似たビル同士でも中身は一律ではありません。
参考:原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)|国土交通省
工事区分表が手元にない場合はどうすればよいですか?
工事区分表が渡されていない場合は、仲介会社か管理会社を通じてオーナーに手配を依頼します。内見の段階で依頼しておけば、レイアウト案と突き合わせた費用の試算が契約前に間に合います。物件によっては貸方基準書と一体になっているケースもあるため、両方の資料をそろえて確認しておくと、判断を誤るリスクをおさえられます。
B工事の費用負担や工事区分は交渉で変更できますか?
契約を結ぶ前であれば、区分の振り替えや負担の調整に応じてもらえる余地があります。「この範囲はC工事として扱う」という合意を覚書や特約に落とし込み、口頭で終わらせないことが後の防波堤になります。契約後は工事区分が確定した条件として扱われるため、打てる手は価格交渉に絞られていきます。
退去時の原状回復はどの工事区分になりますか?
原状回復は、入居時の工事区分をそのまま引き継ぐ形が基本です。B工事で設置した空調や防災設備の撤去はテナント負担となり、施工もビル指定業者が担当するケースが多くなります。ただし民法では、通常の使用による損耗や経年変化は原状回復の対象から除かれており、どこまでを借主が負担するかは賃貸借契約書や特約の定めが基準となります。契約書に「スケルトン戻し」と定められている場合は、間仕切りや床材、造作物をすべて撤去して引き渡す義務が生じるため、入居前の段階で撤去費まで含めた総額を概算しておくと安心です。
オフィス移転・改装の際はA工事・B工事・C工事の確認が重要

A工事・B工事・C工事とは、「オーナーとテナントがどこまで担当するか」を明確にした工事区分のことです。オフィス移転・改装にかかわる工事はB工事・C工事に該当することが多いため、きちんと工事区分を確認し、工事内容や費用の計画を綿密に立てる必要があります。それぞれの工事区分の注意点や業者選びのポイントを押さえて、スムーズにオフィス移転・改装を進めましょう。