【インタビュー】株式会社ミュゼプラチナム「コミュニケーションの醸成に重点をおいた、社員の活躍を推進するオフィス空間作り」
インタビュー
会員数440万人以上、全国184店舗を展開する美容脱毛サロン「ミュゼプラチナム」の美容サロン運営を中心に、女性のキレイに寄り添った化粧品・美容商材の企画・開発や、Eコマース運営、BtoB向けのマーケティングサービスを提供している「株式会社ミュゼプラチナム」。
2023年11月にかけて行った本社移転について、会社のブランディングを担う執行役員 総務部兼法務コンプライアンス室部長の岡野拓也さん、総務部総務課主任の原田実保さん、社長室広報PR課の内藤絵理さんにインタビューを行いました。
目次
オフィス移転を機に働き方のアップデートとEIS(従業員感動満足度)向上を目指して
早速ですが、貴社の事業内容を教えてください。
岡野:「すべての女性の幸せのために」という想いからはじまり今年20周年を迎えたミュゼプラチナムですが、美容脱毛サロンの運営をはじめ、化粧品・美容商材企画・開発、Eコマース運営、メディア企画・開発、メディカルサービス事業を行っています。
会社全体だと社員3,419名のうち女性社員比率は9割超を占め、女性社員が長く安心して働ける環境づくりと、活躍し続けられるような充実した制度を導入することでEIS(従業員感動満足度)を向上させ、お客様へのサービス向上とCIS(顧客感動満足度)に還元と循環を図っております。
今回移転された本社は何名ほど在籍しているのでしょうか。
岡野:本社に在籍している社員は約200名で、本社での男女比は男性3:女性7と男性社員も多く在籍しています。
では、オフィス移転にいたった経緯・きっかけを教えていただけますか。
岡野:働く中で対面でのコミュニケーションの重要性とコスト感について課題を感じていました。コロナ禍はテレワークを推奨しており、出社率を4~5割と抑制していたことからオフィスそのものの見直しを検討していたこと、他方でコロナによってテレワークが増えましたが、モニター越しでは伝わらない部分があるといったコミュニケーション問題が顕在化してきたことがきっかけです。
特に前のオフィスでは本社が2フロアに分かれていましたが、1フロアに集約し、全部署が垣根を越えてコミュニケーションを活性化できるオフィスがいいのではないかという話に落ち着き、今回の移転に至ります。
ありがとうございます。新オフィスのコンセプトを教えていただけますでしょうか。
岡野:“歓喜共感”を経営理念に掲げるミュゼでは、すべての関係者と共に喜びを分かち合う企業として垣根を越えて輪を広げる働き方のできるオフィス「MUSEE PORT 誰もが輝くオフィス」をテーマに、働き方のアップデートとEIS(従業員感動満足度)向上に着目しました。
3つのコンセプト、“女性が輝く”、“こんなオフィスで働きたいと思われる「魅せるオフィス」”、“グリーンを多く取り入れたウェルネスと生産性が上がる「心地良いオフィス」”、の実現を目指し、デザイン会社「nendo」とアイリスチトセがコラボレーションしたオフィス家具コレクション「enKAK」を取り入れ偶発的なコミュニケーションが生まれる「つながるオフィス」が軸となっています。
コロナ禍での出社率が4~5割くらいだったということですが、移転後の新しいオフィスではどのくらいの出社率を想定されていますでしょうか。
岡野:移転後2日目である今日は(インタビューを実施した11/22)6~7割くらいの社員が出社しており、常時8割くらいの社員が出社する想定でレイアウトいただきました。なので、今後おのずと出社率は上がっていくのかなと予想しています。
ありがとうございます。
コミュニケーションの活性化以外に移転をきっかけに実現させたかった事は何かありますでしょうか。
岡野: はい。最初にお伝えしたように、2フロアだったオフィスを1フロアに集約することで社内のコミュ二ケーション活性化を促進することはもちろんですが、生産性向上も実現させたかったことの1つです。というのが、今まではフロントに立つ部署とバックオフィスである管理側の部署でフロアがはっきりと分かれていたこともあり、重複する業務があったりました。移転をきっかけに人員の最適化と業務整理を行うことで社員の業務負担を軽減させ生産性を最大化することで、結果的にEIS(従業員感動満足度)とモチベーション向上にも繋がればいいなと考えていました。
まだ移転されて日が浅いかと思いますが、新しいオフィスはいかがですか。
原田:今まではどちらかというと限定的な空間、部署で業務を進めていたのですが、早速他部署の方と近い席でコミュニケーションをとることができ、業務内容によって自分で働く場所を選択して業務効率が高められている快適さをひしひし感じています。
オフィスが11階ということで景色もすごく良く、簡単な打ち合わせに海の見える窓側のスペースを活用するなど、今までなかったことなのですごく新鮮です。ミュゼカフェというラウンジスペースでは、夕方に綺麗な夕日とレインボーブリッジが見えるのでリフレッシュにもなります。
ロケーションがよいと業務の合間に景色を眺めるだけでリフレッシュになりますよね。
内藤:私は前のオフィスでは2人(岡野さん・原田さん)とフロアが違ったので、出社状況さえわかりませんでした。新しいオフィスになって全体を見渡せて人の動きが見えるのは働きやすいですし、例えばこの作業をしようと席を立ったけれど、その途中で誰かとコミュニケーションをとったり、立ったついでに別の作業もしてみたり、違う部署の人とランチに行ったり…自然と人と人との接点が増えた印象です。それこそ今日(インタビュー当日)も他部署の人たちと一緒にミュゼカフェでランチしました。
あとは色々なタイプのデスクやスペースがあるので、今日はこの席だけど明日はあそこの席に座りたいから少し早く出社しようというように、出社へのモチベーションが高まりました。
以前のオフィスはフリーアドレスを採用されていたのでしょうか。
岡崎:グループアドレスを採用し、各部署ゾーニングの中で自由に座るというルールにしていました。ただ、そうなるとだいたい座る場所が固定化されてきます。今回のように1フロアの中にフリースペースを多く確保することで、内藤が言ったように色々なタイプの席に座りたくなる、そのために少し早く出社しようという意識が働き、出社したくなる1つの要因を作ることができてよかったなと思います。
オフィスの魅力が引力になってオフィスへの出社を促すということですね。
岡野:あとはオフィスに入室する際の導線を工夫し、入口を1カ所に集約しました。意図としては、朝社員が出社をしてオフィスに入る入口が1つなので、他の社員と挨拶ができるというのがポイントです。「おはようございます」や「お疲れ様です」と自然と顔を合わせて挨拶し合える環境は新鮮ですごくいいなと感じています。
居心地のよさとコミュニケーション活性化を実現させるオフィスデザイン
コミュニケーションを活性化させるための仕掛けですね。その他に内装のこだわりポイントを教えていただけますでしょうか。
岡野:重要視したのは出社したくなるようなオフィスづくりをすることを目的に、デザイン会社「nendo」とアイリスチトセがコラボレーションしたオフィス家具コレクション「enKAK」の世界感でオフィス空間を統一したことでしょうか。
アフターコロナを背景に、テレワーク中心の体制を出社型に戻していくとなると、出社する楽しみを会社側で用意する必要があると感じていました。それを実現するために前時代的なオフィス、執務室から脱却して、居心地の良さや解放感、多様性を意識しました。そのためにenKAKの丸みのある柔らかな印象の什器を入れてもらったり、各所にグリーンをちりばめてもらったり、ラウンジを設けたり。そういった非オフィス感が感じられて気軽にコミュニケーションが取れるようにしました。
また、ミュゼならではのスペースでいうと「ミュゼカフェ」と「シエスタルーム」でしょうか。
ミュゼカフェカウンターは照明が温かく空間を包み、さまざまなイベント実施も叶うスペースとなっています。天井に設置したプロジェクターでお客様を招いて映像を楽しむこともできます。
仮眠スペース「ちょっと寝ルーム」であるシエスタルーム。仮眠は疲労回復や生産性向上に効果があるとされています。照明を調光調色することで自分好みの最適な空間に変更でき、オンオフが切換えられる空間となっています。
弊社目黒オフィスでも採用されているenKAKをデザインしたnendoさんからは、日本のオフィスは昔から男性が働いて当たり前とされていたので、無意識のうちにデザインも寄ってしまっているのでは、とありました。オフィス家具メーカーではないnendoさんがデザインしたenKAKが生まれたときに、今までのオフィスがいかに男性寄りだったのかが分かったと仰っていたのですが、まさしくこのシリーズは御社の企業カラーとマッチしたのかもしれませんね。
岡野:本当にそう思います!アイリスグループの目黒オフィスを見学させていただいた帰り道に同行した社員が“ここで仕事をしたい”と言っていたのが印象的でした。その社員はそもそもテレワーク中心だったのですが、このオフィスなら毎日出社したいくらいだと話をしていました。
私も同じようにそう思いましたし、すごく色濃く影響を受けた記憶があります。それこそ、デザインはもちろんですが、SDGsの取り組みもenKAKシリーズには組み込まれていて、我々はオフィスの環境面に対するSDGsへの取り組みはこれからといった段階だったので、きっかけを作っていただきましたね。
女性社員が全体の約9割ということで、長く安心して働ける環境や制度の特徴を教えていただけますでしょうか。
原田:弊社は女性社員の比率が多いので他の企業様と比べて女性目線の制度が充実しています。育児休業制度はお子さまが3歳になるまで適用することができますし、時短制度もお子さまの中学卒業まで適用可能かつ勤務形態が5パターンあり、保育園のお迎えやご自身の生活リズムに合わせて選択し取得できます。
また、働く中で感じることは、例えば女性特有の生理やPMSなどといったデリケートな部分に関しても女性社員はもちろん、男性社員の理解が深いということです。年に一度、生理研修という社内研修の実施や継続的な正しい知識提供など女性のヘルスケア啓発活動によって、全社員のヘルスリテラシーを向上することができているのかもしれません。なので、体調が優れない日にはフレックスを活用するなど、自然と互いを気遣える環境が整っており、柔軟な働き方が可能です。
女性のライフイベントと働き続けることの両立って難しさがありますよね。
原田:そうですね。女性社員が結婚や出産を考えたときに、制度が整っていることで辞めずに、仕事と家庭を両立する将来像を見据えて長く活躍し続けることができるというのは働くうえで安心感に繋がっているかもしれません。
働く価値の向上で取り組まれていることとかありましたら教えてください。
岡野:前提として本社と現場(サロン)、札幌のコールセンター、郡山の事務所サポートメンバー、全国にある拠点同士がお互いに支え合える体制が大切だと考えています。いくら本社だけ綺麗に整備されても、現場のスタッフが働くサロンがきちんと整備できていなければ本末転倒ですし…そういった部分では、全社員同じ方向を向いて働くことができるよう、行動指針となる“クレド”を大切にしています。
総務の立場で、移転に伴って大変だったことを教えていただけますでしょうか。
岡野:語り始めたら朝まで話せてしまうくらいたくさんありますが、中でもタイトなスケジュールだったことが大変でした。ただ、今思うと、大変だったという感情より楽しかった、充実していたなと感じます。
EIS(従業員感動満足度)向上からCIS(顧客感動満足度)向上につなげられる場を目指して
この新しいオフィスで社員に期待すること、求められている変化を教えていただけますでしょうか。
岡野:繰り返しになりますが、1フロアに集約され部署の垣根を越えることで生まれるコミュニケーションにより、業務の生産性向上に繋がってほしいというのがまず一番にありますね。
移転して数日ではありますが、その片鱗は少なからず見てとれます。もしかしたら、初めて顔合わせましたっていう社員も中にはいるんじゃないのかなって思っています。恥ずかしながら私も社員の顔と名前がまだ一致しないということがある中で、何気ない挨拶をきっかけにコミュニケーションが生まれ、これがゆくゆくは業務に繋がればいいなと思います。また、業務内容と人員配置が適正なのかということも今後検証していき、より適切なリソースの配置というのを意識できればいいなと考えております。我々は営利企業である以上、業績を上げていく必要がありますし、そうすることで社員をはじめ取引先の皆さまへの還元にもなるかと。
新しいオフィスに慣れるまで時間がかかるかと思いますが、いずれ順応していくので、様々な意見を織り混ぜながら、従業員感動満足度→顧客感動満足度→業績向上と繋げることが出来ればと考えております。
原田:私は総務として全部署と連絡を取る機会がありますが、オフィスを移転して出社率がぐっと上がることで、岡野が言ったようにオンライン上だけのコミュニケーションだった方とも対面で話せる機会が増え、社員同士の名前と顔が一致してより関係性を深めることができるのはすごく良いなと思います。今後、出社率が上がり、オフィスに人がもっと集まり、にぎやかになるのが楽しみです。
内藤:新しいオフィスに移転したことで、気軽に話せる、相談できる、こういうのがあったらいいなというアイデアを気軽に発言でき、今まで以上にコミュニケーションが取りやすくなりました。広報として社内で円滑に業務を進めることができるよう社員全員との接点をさらに作りながら、ミュゼプラチナムが大切にしている挨拶や笑顔、思いやりといった基本的な部分をもっと浸透させ、より従業員・顧客感動満足度を高めることができるような環境にしていきたいです。
岡野:あとは、我々は周りから見られて評価をされる立場にあるんだということを心に留め、自らを正し、ミュゼプラチナムという看板を背負っているという意識していきたいですね。
ライフステージの変化が男性よりも大きい女性にとって、働きやすいオフィス、働きやすい企業を目指し、会社が発展し続けるためには制度の導入はもちろん、互助協力による助け合える環境づくりが大切であることが感じられたインタビューでした。
本日はありがとうございました。