オフィス移転では空調の種類をチェック!入居後の換気ノウハウまで解説

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オフィス移転では空調の種類をチェック!入居後の換気ノウハウまで解説

オフィス移転において入居先のオフィスに関して確認すべき事項は多くありますが、見落としがちなのが空調設備です。インフラの一つである、空調は、オフィスの快適さに関係する重要な要素です。

この記事では、自社に合った空調探しができるようになる基礎知識や選び方の基準をご紹介します。オフィス移転を前にしている人や、総務分野の職種を担っている方はぜひご覧ください。

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オフィス移転では空調設備の確認が必須

オフィス移転の際には、空調設備をはじめとしたインフラの確認が欠かせません。インフラが機能していないと、業務をはじめられない、快適な業務ができないといった事態に見舞われる可能性も出てきます。

具体的には、次のインフラに気をつけるようにしましょう。

  • 電気
  • 水道
  • ガス
  • インターネット回線
  • 電話
  • レイアウト
  • 空調

基本的なライフラインはもちろん、通信に関わるインターネット回線・電話や、空間設計に関わるレイアウトに注意する必要があります。そして、空調は従業員の健康、サーバーなどの設備の保全に関わる重要な要素です。

空調はおもに移転先の建物に備え付けのものを使用します。しかし、空調の範囲や性能が、快適な環境を実現できるレベルで機能していない、あるいは異臭が漂うなどの故障が発生している可能性も否定できません。

入居前から管理会社と連携を取り、必要であれば修理や交換をおこないましょう。

オフィスにおける空調の種類と特徴

備え付けの空調を使う場合、空調の種類と特徴を把握することが重要です。種類ごとに空調の性能や効果、費用だけでなく、最適な扱い方も異なります。

オフィスの空調の種類と特徴は、おもに次の2種類に分類できます。

  • エリアごとにコントロールできる個別空調
  • 一元管理のセントラル空調

それぞれの特徴を見ていきましょう。

 

■エリアごとにコントロールできる個別空調

個別空調は、設置されているエリアごとに温度や運転をコントロールできるタイプの空調システムです。入居者が部屋ごとのON・OFF、温度調整を自由にできる点が最大のメリットと言えるでしょう。

個別空調は、部屋や設置物に応じて温度設定を変えたい場合に最適なタイプです。建物側からの使用制限もなく、基本的に24時間の利用が可能で、使う部屋の分だけ空調をオンにすれば、電気代も節約できます。

たとえば、冬場の寒さから従業員を守りたい一方、熱に弱い精密機器があるというケースでも、個室空調は問題なく対応可能です。執務スペースのみに暖房をかけ、精密機器のスペースは冷房をかけるといった使い分けが可能です。

しかし、個別空調は一般家庭と同様に、使用した量だけ費用が加算されていくことに注意しましょう。また、オフィスによっては電力会社ではなく建物の管理会社に支払う電気基本料金が定められており、通常の電気代のうえに使用分が上乗せされます。

 

■一元管理のセントラル空調

セントラル空調は、ビル全体の空調を一元管理するタイプの空調システムです。ビルの管理会社が空調の運転管理を一括でおこなうため、電気代は共益費に含まれます。追加で電気代を支払う必要がない点がメリットと言えるでしょう。

一方で、入居者側にON・OFFや温度調整の権限がないことには注意が必要です。セントラル空調では、基本的にビルが想定する利用時間(コアタイム)以外では空調を使用できません。

事前に管理会社に申請をしておけば空調は使用できますが、手続きの手間がかかるだけでなく、費用も割高です。季節の変わり目での冷暖房も一律切り替えとなるため、安価な代わりに柔軟性に欠けるタイプと言えます。

空調設備を選ぶ際の3つの基準

どの空調タイプが最適かは、企業の業務や働き方、設備によって異なるので、入居先を選ぶ際には次の基準を参考にしましょう。

  • オフィスを利用する従業員の働き方
  • 温湿度管理が必要な設備の有無
  • 空調にかかる電気代

それぞれの詳細を解説します。基準をもとに、セントラル空調か個別空調かを選択するようにしましょう。

 

■1.オフィスを利用する従業員の働き方

まずは、従業員の働き方に応じて空調を選ぶことを考えましょう。ビルのコアタイム終了までに全従業員がオフィスから退社するならば、セントラル空調でも問題ありません。費用をおさえて、空調を利用できるでしょう。

しかし、勤務日や稼働時間にバラつきがある場合には、コアタイム外でも快適に過ごせる個別空調の利用が欠かせません。

セントラル空調を採用するビルでは、多くの場合は月曜日から金曜日の平日、午前9時から午後6時前後をコアタイムとしています。入居したいビルがセントラル空調を採用している場合は、まず最初にコアタイムと自社の稼働時間を照らし合わせてみましょう。

反対に、勤務日や稼働時間にバラつきのある企業の場合には、セントラル空調のビルは最初から避け、個別空調を選んだほうが無難です。ビル選びの際は、従業員の働き方と空調の種類を確認するようにしましょう。

 

■2.温湿度管理が必要な設備の有無

温度・湿度を一定状態に保つ必要のある設備を使用する場合は、個別空調が欠かせないケースも考えられます。暑すぎる、寒すぎる、湿度が高すぎるなどが原因で設備が破損・故障し、業務に支障を来す事態はなるべく回避したいものです。

温度・湿度管理が必要な設備の代表例は、電子データの保存や企業の基幹システム構築に欠かせないサーバールームです。サーバールームに置かれる機材は精密機器であり、温度と湿度を24時間常に一定に保つ必要があります。

サーバールームの温度管理にミスが生じると、最悪の場合サーバーのダウンやハードウェアの故障を起こし、企業に大きなダメージを与えることになり兼ねません。サーバールームのようにデリケートな設備を持つ企業は、個別空調を選びましょう。

 

■3.空調にかかる電気代

電気代を基準に空調を選ぶことも重要です。セントラル空調の場合はコアタイム外での使用は追加料金が発生しないため、従業員が決まった時間に退社する環境の企業に適しています。

空調の費用を節約したいニーズがあり、業務スタイルもビルのコアタイムに合わせて差し障りがないならば、セントラル空調を選ぶと電気代を節約できるでしょう。

また、電気代の分野においては空調機器そのものの新しさに注目することも大切です。一般的に、新しい空調機器は古いものよりも省エネ効果が高く、電気代の節約になります。

電気代を軸に空調を選ぶ際には、セントラル空調か個別空調を問わずに、なるべく新しい空調機器が導入されたビルを選ぶようにしましょう。

オフィスで空調設備を使う際のポイント

人が快適に過ごすためには、ただ空調設備を稼働させておけば良いというわけではありません。温度や湿度などは、人が快適に感じる空間の要件を満たす必要があります。

次のポイントを踏まえて、適切にオフィスの空調を利用できるようにしましょう。

  • オフィス内の温度設定の目安
  • 状況に応じてサーキュレーターや加湿器を併用する

それぞれの詳細を解説します。

 

■オフィス内の温度設定の目安

オフィス内の温度は暑すぎても寒すぎても最適とは言えません。適切な温度を保つことによってこそ、従業員は快適に働けるようになります。一定の目安に基づいて温度設定をおこないましょう。

厚生労働省の事務所衛生基準規則によると、空調を用いた空間の適切な温度は17~28度が目安です。一方、環境省は室温を夏季は28度、冬季は20度を推奨していますが、これはあくまで目安であることに注意が必要です。

体感温度は筋肉量による男女の違いや個人の体質によって差があるため、オフィスに合わせた温度管理は欠かせません。推奨温度に固執せず、従業員の意見を聞きながら、なるべく多くの人の合意が取れる温度設定をおこなうようにしましょう。

参考:厚生労働省「事務所衛生基準規則

   環境省「エアコンの使い方について

 

■状況に応じてサーキュレーターや加湿器を併用する

備え付けの空調だけでは最適な温度・湿度を維持できない場合があるため、必要であればサーキュレーター(強力な送風をおこなう装置)や扇風機、加湿器を併用しましょう。

たとえば、空調の風が直接当たらない場所や日射しの強い窓際などは温度差が発生しやすく、注意が必要なポイントです。

温度のムラは、サーキュレーターを使用して空気を循環させることで解消可能です。また、冬場は乾燥が進むため、加湿器を使用して湿度を適切に保つようにしましょう。湿度が上昇すると体感温度も上がるため、快適な空間を維持できます。

湿気や衛生的な問題(感染症など)の対処法としては換気も有効です。定期的に新鮮な空気を取り入れるようにしましょう。窓やドアを開けられず換気が難しい場合には、空気清浄機なども有効な選択肢です。

空調に関してオフィス移転時におさえておくべきこと

オフィス移転で空調設備をチェックする場合には、次の要点をおさえましょう。

  • 入居前に空調の動作を確認しておく
  • 換気設備・換気方法も確認しておく
  • ハイパーテーションを設置の際は空調設備を事前にチェック
  • 備え付けの空調の原状回復は不要

それぞれの詳細を解説します。

 

■入居前に空調の動作を確認しておく

まずは入居前に空調のチェックを欠かさないことが大切です。個別空調かセントラル空調かの種類の確認はもちろん、内見などの機会に動作中の音やニオイをチェックするようにしましょう。

特に、居抜きのオフィスの場合はこうしたポイントに慎重になる必要があります。前のテナントが使用していた際の使用感が残り、不快に思う原因になるかもしれません。

入居前に気になる点があれば、管理会社に修理や交換が可能かどうかの確認を取ります。オフィス選びでは空調だけでなく、立地や面積など変更の効かない要因も関係しますが、空調の問題は工事による改善の余地があることを意識しておきましょう。

 

■換気設備・換気方法も確認しておく

空調は室内の空気を吸い込み、温度を調整して戻す仕組みの機械です。空気を循環をさせているわけではないため、換気設備の有無や、換気方法を事前にチェックしておくようにしましょう。

空調側に全熱交換機のような換気機能が付いているならば、稼働中は温度調整と同時に換気もおこなってもらえます。一方で、全熱交換機がない空調の場合は、窓やドアを開けて自然換気をおこなうことが必要です。

窓がない部屋では、扇風機やサーキュレーターを使用して、室内の空気を外に送り出すようにしましょう。

 

換気に関する法律

建築基準法やビル管理法など、必要な換気量が明確に定められています。ビルの換気能力が法律によって定められた条件を満たしているかどうかも、あらかじめチェックしておきましょう。

建築基準法では「一人当たり1時間につき20㎥」、ビル管理法では「一人当たり1時間につき30㎥」の換気能力が必要とされています。この条件を満たせるビルを選ぶようにしましょう。

また、法令によって定められたものではありませんが、新型コロナウィルスの拡大以降、感染症対策として「一人当たり1時間につき30㎥」の換気能力を満たしていることが推奨されています。従業員の健康を保つためにも、推奨の要件を意識しておきましょう。

参考:厚生労働省「中小ビルの所有者・ビルを利用される皆さまへ

 

ハイパーテーションを設置の際は空調設備を事前にチェック

移転先のオフィスレイアウトを変更するためにハイパーテーションを設置する場合には、空調設備との関係をチェックすることが大切です。

ハイパーテーションの設置に伴い空調設備を整える法的な義務は存在しませんが、空調の気流を遮り、オフィスの快適さを損ってしまう可能性があります。

ハイパーテーションによって空調が十全に機能しなくなると、部屋全体の快適さに影響が出る場合も想定できます。必要であれば空調工事をおこない、ハイパーテーションで仕切られた空間でも快適に過ごせるようにする必要があります。

ハイパーテーションを設置する場合には、施工前に空調設備との位置関係やコントロール範囲、設置する量と場所をチェックしておきましょう。

また、天井まで塞ぐような「欄間クローズ」タイプのハイパーテーションを使用する場合は、消防法に抵触するため、天井設備の移設や増設、空調設置の検討が必要になります。快適性の面はもちろん、法令遵守や従業員の安全を守る観点から重要な事項なので、必ず確認しておきましょう。

関連記事▼
【オフィス向け】パーテーションの種類と特徴、設置するメリットを徹底解説

 

■備え付けの空調の原状回復は不要

通常、ビルの入居者は退去時に、キズや汚れ、追加物を元の状態に戻す原状回復をおこなう必要があります。しかし、空調はビル設備に含まれており、その劣化も入居者に責任のない経年劣化の対象であるため、原状回復の必要がありません。

もしも退去時に、管理会社から「御社の使っていた部屋の空調が古くなった。新品に変えたいので費用を負担してほしい」といわれても、負担する義務はありません。現オフィスの退去で要求されても拒否するようにしましょう。

また、空調設備や修理やメンテナンスもビルの管理会社が負担します。万が一、負担を要求された場合でも義務のない要請であるため、断れることを覚えておきましょう。

しかし、自社の要望で空調設備を追加した場合には、退去時に原状回復の義務を負います。管理会社がその設備を残したいか、排除したいかによって自社側の対応も異なるため、あらかじめ相談しておきましょう。

まとめ:空調に注意して快適なオフィスへの移転を実現しよう

空調はオフィスにとって重要なインフラです。従業員が快適に働くために必要なだけでなく、企業の取り扱う設備の維持に欠かせないケースも想定されます。自社の従業員や使用する機材、働き方に応じて、入居先の空調が適切かどうかを判断しましょう。

オフィス向けの空調はおもにエリアごとにコントロールする個別空調と、ビルの管理者側が一元管理するセントラル空調の2種類に分けられます。自社の事情によってどちらが最適な選択肢か異なる点に注意することが大切です。

適切に空調を扱えれば、従業員の快適さや健康状態を維持し、良好な業務環境を整えられます。移転先のオフィスを選ぶ際には、立地や面積に加えて、空調の重要性も意識しておきましょう。

また、ハイパーテーションを使用したオフィスレイアウトなど、環境によっては新たな空調設備の設置の検討も必要になります。

アイリスチトセでは、空調設備との兼ね合いや消防法などの法律の観点、また快適な業務環境の観点でのオフィスづくりをご提案いたします。オフィスづくりから移転まで、オフィスの課題をトータルでサポートさせていただきますので、オフィスに関するお悩みがございましたらぜひ弊社までご相談ください。

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