オフィス移転にかかる費用はいくら?相場やコスト削減方法も紹介
オフィス移転
老朽化や人事の関係からオフィスの移転を検討しているが、「どれほどの費用がかかるかわからない」「計画をどう組めば良いのだろうか」と悩む企業担当者もいるでしょう。
オフィス移転では引越し費用や新オフィスの確保費用以外にも費用がかかるため、全体像の把握は難しいかもしれません。
全体的な費用感を掴むために、まずはオフィス移転にかかる費用の相場を知ることが大切です。相場を理解したうえで、費用の種類や節約方法を把握できれば、コストや手間をおさえた移転を実現できます。
この記事では、オフィス移転の相場とその周辺情報についてご紹介します。相場やコストの削減方法と、オフィス移転の基本的な情報を踏まえて、計画を練っていきましょう。
オフィス移転にかかる費用の相場
一般的に、オフィス移転にかかる費用は数十万円からそれ以上とも言われています。
しかし、オフィスの規模や従業員数、レイアウト、性質によって大きく増減するため、実際の移転が相場どおりに収まる保証はありません。たとえば、エレベーターの有無や階層によっても異なります。
また、持ち出すオフィス機器や家具が多いほど、費用がかかることも忘れてはいけません。精密機器の輸送にはさらに費用がかかる場合もあります。
さまざまな要因が重なり、総額数千万円以上もの費用がかかってしまうことも珍しくありません。
オフィスの移転費用をおさえるために、内訳を把握し、それぞれをどのように削減できるのかを考えましょう。
オフィス移転にかかる費用の内訳
オフィス移転にかかる費用の内訳は、大きく分けて次の5つです。
- 移転前のオフィスの原状回復費用
- 移転先のオフィスの契約費用
- 移転先のオフィスの工事・設備費用
- 移転先のオフィスへの引越し費用
- オフィス移転の諸手続きの経費
新オフィスだけでなく、現オフィスにも費用がかかることを忘れてはいけません。それぞれの費用について解説します。
■移転前のオフィスの原状回復費用
移転前のオフィスは、賃貸借契約を結ぶ前の状態に戻す原状回復工事をおこなわなければなりません。この原状回復費用は、1坪当たり3~10万円程度が相場とされています。
しかし、オフィスの規模や床材・壁材など造作の複雑さの度合いによって変動します。改装で間取りを変えている場合は、元に戻す必要があるため注意しましょう。
■移転先のオフィスの契約費用
移転先のオフィスと賃貸借契約を結ぶ際は、次の費用が求められます。
- 敷金:家賃3~12ヶ月分
- 礼金:家賃1~3ヶ月分
- 仲介手数料:家賃1ヶ月分
- 保険会社加入料:家賃1ヶ月分
- 火災保険料:2年契約で3~7万円程度
仲介手数料を無料としている不動産仲介会社も存在します。しかし、サービス内容や紹介してもらえる物件の質を考慮して、安くなった金額に見合うかどうかも考える必要があります。
■移転先のオフィスの工事・設備費用
移転先のオフィスでは、工事や設備費用がかかります。
- 内装工事:1坪当たり25~40万円
- 設備工事:1坪当たり5~15万円
- 備品やオフィス家具の購入:従業員一人当たり5~30万円
床や壁の仕上げや、オフィスのレイアウトを構成する仕切りなどの内装、電装系や空調といった設備、従業員が使用するオフィス家具や備品は欠かせません。すべてを新品で用意する場合は、それなりの費用がかかります。
■移転先のオフィスへの引越し費用
移転先のオフィスへの引越し費用は次のとおりです。
- 引越し :従業員一人当たり2~5万円
- 不用品の廃棄:2トン車1台で7~8万円、4トン車1台で12~15万円
これからも使うものの輸送費だけでなく、不要なものにも廃棄費用がかかることも忘れてはいけません。
■オフィス移転の諸手続きの経費
オフィスを移転すると、法的な理由で各公的機関に所在地の変更を通知しなければなりません。これを司法書士へ依頼すると、10~20万円程度の費用がかかります。
通知の必要な公的機関は次のとおりです。
- 消防署
- 郵便局
- 税務署
- 警察署
- 年金事務所
- 労働基準監督署・ハローワーク
- 法務局
司法書士のような外部の専門家へ依頼しない場合は、書類作成の手間も踏まえておきましょう。
オフィス移転にかかる費用を削減する6つの方法
これまで見てきたとおり、オフィス移転にかかる費用は決して安くはありません。オフィス移転にかかる費用を削減する方法として、次の6つをご紹介します。
- 使える備品は継続して利用
- オフィスの縮小化を踏まえた移転先の検討
- 移転先オフィスの選択肢を拡大
- オフィス移転の専門業者を利用
- 移転先のオフィスのオーナーと交渉
- 助金・優遇措置を活用
■使える備品は継続して利用
オフィス家具やOA機器といった備品の新調をひとまずは見送り、使えるものは継続して利用することで、廃棄費用と新品の購入費用を削減できます。オフィス移転の際に、廃棄対象の備品を一度リストアップしたあとは、それが本当に不要なのかどうかを検討しましょう。
また廃棄して新たに買いなおす場合も、レンタルや中古の購入で新品の購入費用をおさえられます。
ただし、什器によっては移転先に移設するよりも廃棄や新品を購入したほうが安い場合もあります。廃棄費用や移設にかかる費用、購入費用などトータルのコストを比較して見ると良いでしょう。
■オフィスの縮小化を踏まえた移転先の検討
オフィス移転と同時に、オフィスの規模そのものを縮小することも検討してみましょう。規模の小さいオフィスであれば、契約費用や工事費用を削減できます。加えて家賃も安くなる傾向にあるため、長い目でみた場合のコスト削減にもなるでしょう。
オフィスの縮小化にあたっては、デスクや収納などのスペースを消費する備品の削減が必要です。書類棚を減らすためにペーパーレス化を進める、フリーアドレスオフィスのレイアウトをおこなって常設の個人用デスクを廃止するなどを検討しましょう。
■移転先オフィスの選択肢を拡大
近年はさまざまな形態のオフィスが存在しています。移転先オフィスの選択肢を拡大してみるのも良いでしょう。
たとえば、居抜き物件に移転する場合ならば、内装が完成した状態で入居できるため、内装工事にかかる費用を節約できます。物件内に設備が残っていれば、設備購入費用もおさえられるでしょう。
また、シェアオフィスやレンタルオフィス、セットアップオフィスなどであれば、あらかじめ必要な設備が整えられていることも多く、契約後すぐに利用できることが魅力です。
■オフィス移転の専門業者を利用
オフィス移転の専門業者を利用すれば、自社だけでオフィス移転を手探りで進めるよりもスムーズにプロセスを進められ、最終的にコストを削減できる可能性もあります。
オフィス移転には多くの作業、手続きが求められ、必要な知識も多岐にわたります。納得できるまで情報を調べる、移転作業に従業員を動員するような場合では本業に支障が出る可能性も否めません。しかし、専門業者からアドバイスを受けることで悩みの解決につながるでしょう。
アイリスチトセでは、オフィスに関する総合的なサポートやサービスを提供しております。オフィス移転についてもトータルのサポートをおこなわせていただきます。お悩みのことがありましたら、アイリスチトセへお気軽にご相談ください。
オフィス移転の依頼は複数業者で見積り
業者を利用する場合でも、相場を確認しておくことは重要です。相場を知るために、複数のオフィス移転専門業者に見積りを出してもらいます。
複数社に見積もりを依頼したら、費用だけでなく、サービス内容も比較しましょう。ひとくちにオフィス移転と言っても、計画から実施まで範囲は広く、業者によってはすべてをカバーしているとは限りません。
たとえば、オフィスのレイアウトに関するコーディネートの相談のみを承っている業者に依頼したとします。この場合、工事や引越しの作業は別の業者に依頼しなければならず、かえって高い費用が必要になってしまうかもしれません。
オフィス移転をトータルでサポートできる業者へ依頼することで、引越しや工事を個別に依頼するよりもコストをおさえやすくなる傾向があります。見積りから業者の性質を総合的に判断し、依頼をおこないましょう。
■移転先のオフィスのオーナーと交渉
新オフィスとなる移転先物件のオーナーに、フリーレントが可能かどうかを交渉するのも一つの方法です。フリーレントとは、一定期間の家賃が無料となる契約形態のことで、数ヶ月の家賃を削減できる可能性があります。
フリーレントは、空室を抱えるオーナーにとっては、入居者を獲得するという意味でWin-Winの関係を築ける契約形態です。しかし、空室率の低い物件のオーナーにとってはあまり得がなく、断られる可能性もあります。
そのため、オフィス賃貸の閑散期と言われる6月から8月にフリーレント契約を狙うのも良いでしょう。新規入居者も少なく、空室対策をおこないたいオーナー側と利害を一致できる可能性が比較的高くなります。
■補助金・優遇措置を活用
行政が提供する補助金や優遇措置を活用することで、移転にかかったコストを補填ができます。代表的なものは、次の2つです。
- ものづくり補助金
- 地方拠点強化税制
ものづくり補助金は、中小企業の開発や設備投資を対象とした費用の補助制度です。オフィスの移転で企業の生産性向上を見込める場合には、適用できる可能性があります。
地方拠点強化税制は、本社機能の一部または全部を地方に移転することで、法人税などの優遇措置を受けられる制度です。東京23区に本社機能のある企業や、23区以外の東京都の企業が対象となっています。
移転先の都道府県・市町村によって実施の有無やより詳細な条件、優遇内容などは異なる場合も多いため、対象の企業はあらかじめ移転先の行政に確認をおこなうようにしましょう。
オフィス移転を成功させるためのポイント
オフィスを移転する際には、引越しや手続きなどのさまざまな工程を踏まなければなりません。一つの工程でつまづくと軌道修正に時間がかかる可能性もあるため、細かく計画を立て、慎重に進めていく必要があります。ここからはオフィス移転を成功させるポイントを紹介するので、ぜひ役立ててください。
オフィス移転を成功させるためのポイントは、次のとおりです。
- 移転の理由、目的を明確にする
- スケジュールに合わせて、タスクを整理する
- 業者選びのポイントを理解する
それでは、各ポイントを詳しく見ていきましょう。
■移転の理由、目的を明確にする
まずは、オフィスを移転する理由や目的を明確にしましょう。自社に適した立地や物件などは、移転目的によって異なります。たとえば企業イメージを向上させたい場合は、「都心の一等地の立地」などが、従業員の通勤や取引先の利便性などを高めたい場合は「主要駅に近い立地」が選択肢に入ってくるでしょう。また、既存のオフィスが手狭な場合は、立地よりもスペースの広さを重視する必要があります。
オフィス移転の目的が不明確だと、社内に浸透しにくく、従業員から不満が出る可能性もあります。移転理由や目的を明確にした後は、組織全体で共通認識を持つためにも、従業員に周知して理解を得るようにしましょう。
■スケジュールに合わせて、タスクを整理する
オフィス移転の規模は、従業員の人数やオフィススペース、内装工事の範囲、荷物量などによって異なります。規模が大きいほど、大がかりなプロジェクトになる傾向があります。
やるべきことは多岐にわたるため、移転をスムーズに進めるためには、スケジュールに合わせてタスクを整理していくことが大切です。まずは移転計画の立案から移転までに、いつ何をすべきかのタスクを時間軸に合わせて配分しましょう。
その上で各タスクを整理し、担当する部署や従業員などの役割を決めます。移転に向けて動き出した際には、その都度タスクをチェックし、きちんと実行できていることを確認すれば、スケジュール通りに進められます。
■業者選びのポイントを理解する
近年は、オフィス移転に特化したサービスを取り扱う業者も増えています。オフィスの移転には多くの労力がかかるため、専門の業者に依頼するケースが多いです。
しかし、サービス内容や料金、得意とすることなどは業者によってさまざまです。たとえば大規模なオフィスの移転を得意とする業者もあれば、小規模なオフィスの移転を得意とする業者もあります。自社に適したパートナーを探すためには、業者選びのポイントを理解しておくことも大切です。
業者選びのおもなポイントは、サービス内容・実績・アフターフォローです。料金の安さだけで選ぶと、スタッフの質が低い、アフターフォローが充実していない可能性もあります。業者を選ぶ際には複数社に見積りを依頼し、ポイントを比較するようにしましょう。
■補助金や助成金でコスト削減につなげる
オフィスを移転する際には、一定の費用がかかります。規模が大きいほど費用が高額になりやすいため、慎重に予算計画を立てる必要があります。予算に懸念がある場合は、補助金や助成金を活用するのも手段の一つです。
オフィス移転で活用できる補助金・助成金には、ものづくり補助金や地方拠点強化税制などがあります。ものづくり補助金の上限は取り組み内容によって異なりますが、750万円~8,000万円です。
地方拠点強化税制のオフィス減税は、建物等の取得価額に対して15%の特別償却、4%の税額控除が受けられます。それぞれ条件や手続きなどが異なるため、詳細は公式サイトでご確認ください。
※出典元:中小企業庁・独立行政法人中小企業基盤整備機構「ものづくり補助金総合サイト」
※出典元:内閣官房「地方拠点強化税制」
まとめ:オフィス移転の費用は業者を利用して削減しよう
オフィスの移転は、総額で数千万円以上もの費用が必要になることもある大イベントです。移転先だけでなく、移転前のオフィスにも費用のかかる要素が多々あるため、移転計画で考慮すべき事項は多岐にわたります。
こうした費用を削減するためには、備品の継続利用やオフィスのスリム化などの支出の抑制、オフィスのオーナーとの交渉、補助制度の利用などを考えましょう。費用削減の手段も多岐に渡るため、計画担当者一人では困難を伴うかもしれません。
オフィス移転の専門業者を利用することで、適切なアドバイスを受けながら移転作業を進めることができます。アイリスチトセでは、オフィス移転の総合的なサポートをおこなっています。お悩みのことがありましたら、お気軽にご相談ください。
今回紹介した費用の情報や、移転に関する知識を踏まえ、スムーズにオフィス移転を実現できる計画を立てていきましょう。次の記事で紹介するチェックリストや手続きの解説も、ぜひ活用してください。
【PDF付き】オフィス移転で活用したいチェックリスト|必要な手続きを徹底解説