出社したくなるオフィスとは?特徴や実現するポイントを解説

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出社したくなるオフィスとは?特徴や実現するポイントを解説

近年、テレワークとオフィス出社のどちらも選べる柔軟な働き方を提案する企業が増えています。テレワークにおけるコミュニケーション不足の課題を解決するためや、コミュニケーションの活性化によって自然にチームワークが生まれることを狙って、従業員が自発的に出社したくなるオフィス作りに取り組む企業も増えています。

本記事では、従業員が出社したくなるオフィスの特徴や条件、実際の取り組み事例をご紹介します。出社したくなるオフィス作りのポイントや出社を促す際の注意点も解説するので、オフィス出社を推進する際の参考にしてください。

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【2022年】オフィスに出社する人の割合

2022年度は、首都圏における「完全出社」の割合が前年より増えており、多くの企業がテレワークと出社を使い分けています。

この背景には感染症対策でテレワークを推進してきた企業が、現在は出社を促すようになってきたという傾向があります。テレワークはメリットもある反面、従業員の不満や課題も見えてきたからです。

たとえば、テレワークは「通勤時間の削減」「感染症リスク低減」といったメリットがありますが、「運動不足になる」「仕事のオン・オフが切り替えづらい」「コミュニケーションが取りづらい」「集中できない」という側面もあります。

このようなテレワークの問題を解消するために、最近では出社を基本とする企業や、ハイブリッドワークのようにテレワークと出社勤務の良いところを取って運営を進める企業が増えてきました。

生産性や働きやすさの観点から「選択肢を提案する」スタンスで、従業員が自発的に出社する選択肢も選べるようにして、出社を促している企業もあります。

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オフィスに出社してもらうメリット

オフィスに出社するようになれば、従業員同士が顔を合わせるようになり、自然とコミュニケーションが生まれます。コミュニケーションの機会が増えることは、企業にもさまざまなメリットがあります。それぞれ詳しく見ていきましょう。

 

■チームとしての意識が生まれやすい

出社して従業員同士が直接会ってコミュニケーションを取れるようになると、業務内容の報告・連絡・相談がしやすくなるだけでなく、雑談によって相互理解が深まります。従業員同士の信頼関係が構築されれば、チームとしての信頼感や一体感も生まれやすくなります。

基本的に、リモートワークでは一人で作業をするため、コミュニケーションが不足しがちです。チャットによる必要事項のみの連絡や短い雑談だけでは、従業員同士の相互理解を深めるには及ばず、チームとしての連帯感が構築されるまでに時間がかかるという課題に嘆く企業も少なくありません。

出社していれば、直接対面してさまざまなことを話し合えるため、従業員同士のコミュニケーションが活性化し、チームとしての帰属意識や貢献意識、助け合う雰囲気が生まれやすくなります。

 

■エンゲージメントが上がる

企業理念や「企業らしさ」が表現されているオフィス内装や、社風を感じることができるおしゃれで快適なオフィス空間に身を置くことは、その企業で働くことに対するポジティブな印象を抱くことができ、そこで働くことそのものの価値を再認識することに繋がります。企業理念を深く理解することや、快適なオフィス環境で働くことに誇りを感じられれば従業員の帰属意識は高まり、生産性の向上や離職率の低下も期待できるでしょう。

実際、一般社団法人 日本オフィス家具協会の2017年のアンケートによると、労働者の71.4%が「オフィス環境の良し悪しは、仕事に対するモチベーションに影響する」と回答しています。一方、リモートワークが浸透しつつある労働状況において、リモートワークによって出社の負担は軽減されるものの、自宅を中心に業務を行うことは労働環境としては最適とは言えないと感じる人もいるのではないでしょうか。

このようなことから、従業員が出社したくなるようなオフィス環境作りというのは、帰属意識やモチベーションを高め、エンゲージメントの向上にも繋がると考えられます。

今の時代を反映したリアルなオフィスの価値については、こちらのインタビュー記事もぜひ参考にしてください。

【インタビュー】株式会社ファイアープレイス「つながりをデザインする会社が考えるこれからの働き方とは?」

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■新しいアイデアが生まれやすくなる

コミュニケーションが増え、意見交換が活発にできるようになると、新しいアイデアも生まれやすくなります。

出社すると、一人で作業するリモートワークより雑談をしやすくなるため、自然に会話の量が増えます。何気ない雑談が刺激となって新しいアイデアが生まれることもあるでしょう。

また、チャットやメールのような文面だけでは伝わらないニュアンスも表現し合えるため、会話の中でアイデアやイノベーションが創出される可能性が高まります。

   

■技術や知識を伝達しやすくなる

出社して直接顔を合わせて一緒に仕事をすると、新人や後輩、部下などが困っている状況に気づきやすくなります。チャットやメールといった文面での業務連絡では気付けなかった認識の違いや、新人や後輩、部下が抱えている課題などにも気付けるようになります。

直接対面で話せれば、困りごとや認識の違いに気付いたとき、すぐに伝えられます。メールやチャットの文章で伝えるより、技術や知識を細かく丁寧に伝えられるため、問題解決までの時間も短縮できるでしょう。

お互いの表情や反応を直接確認しながら教えられれば、相手はどこがわからなくて何が問題なのか、自分の話が理解してもらえたのかも把握しやすく、教えるほうにとっても教えられるほうにとってもスムーズに技術や知識の伝達ができます。

出社したくなるオフィスの特徴

働きやすさや生産性などの観点から、出社とテレワーク、どちらのワークスタイルも「選べる」というスタンスの企業も増えています。

どちらを選んでも良い中で、「出社したい」と従業員が思うオフィスはどのようなオフィスなのでしょうか。出社したくなるオフィスの特徴を詳しく解説します。

 

■仕事に集中できる環境がある

出社したくなるオフィスの条件にはまず、「集中ブースや個室など、仕事に集中できる環境がある」ことが挙げられます。

在宅でのリモートワークのおもな課題の一つは、同居人や周囲の環境などで仕事に集中できないことです。自宅にいるとオン・オフの切り替えも難しいため、人によっては集中力が散漫になり、作業効率が低下します。

作業効率の低下は長時間労働にもつながるため、仕事に集中できる環境作りの重要性を多くのワーカーが感じています。そのため、作業効率や生産性を上げられる集中ブースがあれば、出社したいと感じるオフィスになるかもしれません。

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■感染症対策を徹底している

2022年11月時点で、新型コロナの感染者は毎日1万人を超えているため、安心できない状況が続いています。

そのため、オフィスで飛沫や接触、空気感染への対策がされていること、密閉・密集・密接の「3密」を回避できるような環境が用意されていることは、従業員の健康・安全面への配慮を示すとともに安心感につながります。

感染症対策を徹底して、従業員の安心・安全に配慮していることも出社したくなるオフィスの条件と言えるでしょう。

 

■雑談やコミュニケーションがしやすい場所がある

出社したくなる理由の一つに、従業員同士が直接顔を合わせられることが挙げられます。オフィスにリラックスできる休憩スペースやリフレッシュスペース、ミーティングにも利用できる飲食・カフェスペースがあれば、雑談やコミュニケーションの機会が取りやすくなります。

従業員同士の会話や情報共有、意見交換が活性化すれば、チームや部署を超えたコミュニケーションも生まれ、協力し合える体制ができる可能性もあります。

また、作業の合間にリフレッシュスペースで休憩できると、集中力のアップにもつながり生産性が上がるという好循環も生まれます。

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■利便性が良い

オフィスでこそ得られる利便性の高い環境を作ることも重要です。たとえば、健康に配慮したメニューがある社員食堂や、カフェのような飲食設備、資料になる本などを自由に借りられる制度、託児スペースなどが挙げられます。これらは自宅にはない利便性なので、オフィスに出社したくなる動機につながるでしょう。

近年、働き方や従業員の仕事に対する価値観が多様化する中で、オフィスの在り方も変化してきました。従来の「従業員全員が始業時刻に出社し、同じ場所に集まって決められた時間まで働く」といった画一的なオフィスから、現在はさまざまな働き方をする従業員の「生産性や効率が向上するための機能を満たしている」オフィスへと変化しています。

生産性や業務効率を向上させるためには、従業員一人ひとりの仕事へのモチベーションを高めることも必要です。

モチベーションを高めるには、従業員が企業への信頼感や愛着を持つ、仕事へのやりがいや貢献意欲を持つといった心理的なつながりが欠かせません。従業員にとって、仕事のしやすい環境や利便性の高い設備が用意されていれば、企業への信頼感や愛着、働きやすさによる満足にもつながり、モチベーションも向上するでしょう。

コミュニケーションが取りやすく、協働意識やチームワークが生まれやすい環境作りをすることや、ストレス緩和・リフレッシュができる空間や設備があることなども大切です。

出社したくなるオフィスの仕掛け例

出社したくなるオフィスの事例として、2018年に生産性向上の第一人者が厳選した5社の特徴をご紹介します。出社したくなるオフィス作りの参考にしてください。

 

■毎月イベントを開催

月に1回程度、学びをテーマにコミュニケーションを活性化する取り組みをおこなっている企業では、「書評大会」や「日頃の気づきのプレゼン」をおこなっています。

一人数分程度の発表をし合い、従業員同士の知の交流とコミュニケーションのきっかけになっています。

また、月1回オフィスで飲み会をおこなっていた企業は、さまざまな時間帯の出社や働き方をする従業員たちが参加しやすいようにランチ会へ変更し、気軽に参加できるような配慮をしてコミュニケーションの場を提供しています。

 

■多様な業務スペースを設置

ボックス席や個人の作業ブース、和風の作業スペースなど、従業員が各自で生産性を高められるやり方を選べて、多様な業務スペースを設置している企業もあります。

また、オフィスが入居するビルには、入居している企業やテナントが自由に使える充実した社員食堂を用意しているところもあります。企業にとっては自社で社員食堂を用意する負担を軽減でき、従業員にとっては少ない移動で社内の人とリラックスしてコミュニケーションが取れる場にもなるでしょう。

 

■食や健康に関するサービスを提供

社員食堂で無料のモーニングサービスを提供している企業では、健康食材を使って従業員の健康面やウェルビーイングにも配慮しています。

従業員の健康やウェルビーイングに配慮したオフィス環境についてはこちらの記事も参考にしてください。

【インタビュー】アイリスチトセ株式会社「WELL認証取得がもたらす社内への好影響とは」

テレワークで問題となる運動不足が解決できるジムを設置している企業もあります。卓球台を設置している企業もあり、作業の合間の気分転換や運動によるリフレッシュで生産性の向上を目指すとともに、従業員の健康面へ配慮しています。

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■リフレッシュスペースを設置

ライブラリーやカフェスペースを設置して、気軽に本を読むことやリラックスができる環境を整えている企業もあります。

会社の文化として関わり合いを大事にしている企業では、雑談や偶発的なコミュニケーションが生まれやすいリフレッシュスペースを用意して「場」としてのオフィスの在り方を提案しているケースもあります。

出社したくなるオフィスにするポイント

従業員が自発的に出社したくなるオフィスにするには、何が必要なのでしょうか。出社したくなるオフィス作りのポイントを解説します。

 

■従業員のニーズを把握

従業員にアンケートやヒアリングをおこない、ニーズを把握することが必要です。アンケート結果をもとに、どのようなオフィスなら出社したくなるか分析すると良いでしょう。

出社したくなるオフィスの事例にはさまざまな取り組みがありますが、他社で成功しているやり方がそのまま自社で通用するとは限りません。自社に合ったオフィス作りに取り組むことが重要なので、まずは自社の従業員のニーズをしっかり把握し、分析しましょう。

    

■ソーシャルディスタンスを確保

感染症対策や従業員の安全にも配慮する必要があります。そのため、3密を避けてソーシャルディスタンスを確保するのもポイントです。

デスクは対面にならないように配置しましょう。十分な広さがなく、対面になってしまう場合やソーシャルディスタンスが確保できない場合は、パーテーションを設置する、レイアウトを工夫するなどの配慮が必要です。

 

■柔軟な働き方に対応

近年、従業員がその日の気分や作業内容、スケジュールに合わせて、働く場所や時間を自由に選択できる「ABW」という働き方が増えてきました。「Activity Based Working」の略称で、それぞれの従業員にあった環境を提供しやすくなり、生産性の向上が期待できます。

こうした柔軟な働き方に対応できるオフィスであることも大切です。集中して作業したい日はオフィスの個別ブースやデスクで、話し合いや意見交換をしたいときはカフェスペースやボックス席などで、気分転換や雑談をしながら新しいアイデアを考えたいときはジムやライブラリー、リフレッシュスペースなどが利用できるといった柔軟な働き方に対応していると理想的です。

ABWとは?フリーアドレスとの違いやメリット・デメリットを解説

オフィス出社を推進する際の注意点

コミュニケーションが増える、仕事に集中できるなどさまざまな好循環が生まれるオフィス出社ですが、推進する際には注意点があります。詳しく説明するので、ポイントを押さえて進めていきましょう。

 

■従業員への交通費の支給額が増える

感染症対策でのテレワーク推進にともない、交通費は実費支給に切り替えている企業もあるでしょう。この場合、出社日数が増える分だけ交通費の支給額が増える点に注意が必要です。

出社日数が増える場合は、定期券代への支給に切り替えることも検討しましょう。

 

■出社の強制はトラブルの可能性

出社するメリットが多くても、従業員への出社の強制は避けたほうが良いでしょう。出社する必要性より従業員の不利益のほうが大きい場合、強制は違法になる可能性もあります。

従業員が自主的に出社するような環境を整えたほうがトラブルが起こりにくいため、出社を強制するのではなく出社したくなるオフィス作りを目指しましょう。

まとめ:行きたくなるオフィスで出社を推進しよう

感染症対策でテレワークが推進されたものの、テレワークだけでは従業員同士のコミュニケーション不足や集中して仕事ができないといった新たな課題を抱える企業も出てきました。

感染症対策を徹底し、コミュニケーションが取れるスペースや仕事に集中できるスペースのあるオフィスがあれば、これらの問題を解決できます。そのため、工夫を凝らしたオフィス作りで出社を促す企業が増えています。

作業内容や気分に合わせて気分転換やリフレッシュができる、健康食材を使った社員食堂がある、リラックスしてコミュニケーションが取れる場所があるといったオフィスであれば、自宅では用意できない環境が整備されています。そのため、従業員にとって出社したくなるオフィスとなるでしょう。

従業員が自発的に出社したくなるオフィスを作り、コミュニケーションの活性化や生産性向上、働きやすさを目指しましょう。

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