ファイルメーターとは?活用例やオフィスにおける書類の削減方法を解説

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ファイルメーターとは?活用例やオフィスにおける書類の削減方法を解説

近年はDXの推進などを受け、ペーパーレス化や書類の電子化に取り組む企業も増えています。しかし、紙のままの方が利便性が高い書類があったり、そもそも電子化できない書類があったりと、紙の書類をゼロにすることはできません。

書類が多いとオフィススペースを圧迫する要因になるため、オフィスレイアウトの変更やオフィス移転をおこなうときに悩みの種になることもあります。

レイアウトの自由度を高めるため、また業務効率を高めるためにもオフィスの書類は適宜整理しておく必要があります。

この記事では、オフィスの書類を整理する際に有用なファイルメーターについて、理解しておくべき基礎知識や活用例を解説します。オフィス内の書類を抜本的に減らす方法もあわせて解説するので、紙の書類でお悩みの際はぜひご覧ください。

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ファイルメーターとは

まずはファイルメーターとは何かという意味や関連する情報など、基礎知識を中心に紹介・解説します。

 

◾️書類の量を表す単位

ファイルメーター(fm)とは、書類の数量を図る単位のこと。概ねA4サイズのコピー用紙を1メートル積み重ねた高さが1ファイルメーター(1fm)となります。

1fmは一般的なコピー用紙1万枚以上に相当しますが、実際に1メートルに達するまでに必要な枚数は、紙質や紙の種類などの要因によって異なります。1fm=1万枚はおおむねの目安として捉えることが大切です。

ファイルメーターの考え方はキャビネットの収納容量を考える際にも活用できます。仮に横幅90cmのキャビネットであれば0.9fmの書類が収納可能、といったように考えられます。

 

紙の種類と厚さ

1ファイルメーターはA4コピー用紙1万枚分が目安です。しかし同じA4の用紙でも紙の厚さは異なるため、1fm当たりの枚数に差が出る可能性がある点に留意しておきましょう。

オフィスで使うことが多いA4サイズの用紙の厚さ目安は次のとおりです。

A4サイズの用紙 用紙の厚さ 1ファイルメーターの必要枚数
一般的なコピー用紙 0.09~0.1mm 10,000枚以上
薄手のパンフレット・取扱説明書 0.08mm 12,500枚
官製ハガキ 0.22mm 4,545枚

この目安から考えると、官製ハガキを1ファイルメーターまで積み重ねると4,540枚ほどになり、同じサイズのキャビネットには一般的なコピー用紙の半分ほどの数量しか入らないことがわかります。一方、薄手のパンフレットは12,500枚と、より多く収納可能です。

単純な枚数ではなく、ファイルメーターを基準に考えることで、より正確な書類管理・整理整頓を実現しやすくなるでしょう。

 

◾️従業員一人当たりの目安は2fm

オフィスでの書類整理の際には、従業員一人当たりのファイルメーター数を意識することが大切です。従来、一般的には従業員一人につき2fmから3fmの書類が平均値とされていましたが、近年はDX化が推進されていることもあり、一人当たり約2fmが目安にされることが増えました。

IT分野の進歩やデジタルツールの普及によるDXは書類のスリム化のうえでも重要なポイントです。2fmを基準に、無駄な書類が発生していないか、スリム化ができているかをチェックしましょう。

なお、製造業や卸売業のファイルメーター数は2fmの目安より多く、小売業やサービス業では少なくなる傾向があります。事業内容によっては紙の書類そのものを減らすことができない、という点にも注意しておきましょう。

オフィスにおけるファイルメーターの活用例

実際にファイルメーター数を活用し、オフィスでの整理整頓をおこなうためにはどうすれば良いのでしょうか。活用例を把握して、自社での実施イメージをつかみましょう。

 

◾️オフィス移転時のスペース確保の試算

オフィス移転やリニューアルを計画する際、ファイルメーターは収納スペース確保の試算に役立ちます。自社にどれだけの書類があるのかを、ファイルメーターを単位に用いて調査することで、どれだけの保管用家具やスペースが必要になるのかを計算できます。

必要な幅と段数を兼ね備えたキャビネットを何個用意するべきかを計算し、次にキャビネットの必要個数分のスペースはどれだけ必要かが計算できます。

 

◾️自社の書類量の削減目安

ファイルメーター数を算出することで、自社のオフィスに存在する物理的書類の削減目安を定められます。「自社の紙書類のファイルメーター数が、一般的な目安である2fmより多い」といった際に、まず2fmまでの削減を目指すなどの取り組みが可能です。

2fmからさらに書類の削減を目指すことも、オフィスの改善につながります。アイリスグループでは、紙の削減を意識し、従業員一人当たり0.75fm程度の書類数を実現しています。

積極的にファイルメーター数を減らしたい場合には、不要な書類の分別・破棄とともに、紙の書類のデジタル移行といったDX化を検討してみましょう。書類を保存するキャビネット等を減らすことができれば、より自由にオフィス空間を利用できるようになります。

オフィスのファイルメーターの調査方法

実際にファイルメーターを調査する際には、書類を補完しているすべての棚の段数と横幅、個数を調べましょう。キャビネットだけでなく、片袖デスクやワゴンといった、個人スペース内の書類もカウントする必要があります。

1枚1枚書類を数えていてはキリがないため、書類のサイズや棚の大きさを次の式に当てはめ、おおよその現在のファイルメーター数を調べるようにしましょう。

ファイルメーター数=収納棚の横幅×段数

例えば、3段組みの収納棚が横900mmであった場合、一段当たり0.9ファイルメーターを収納でき、合計で2.7fmの収納が可能です(奥行は考慮不要)。段数と横幅をかけて棚一つ当たりの収納量を計算すれば、スムーズにファイルメーター数を調べられます。

オフィス内の書類の削減方法

ファイルメーター数を調査し、書類数が過多であることがわかったあとは削減に取り組みましょう。

紙の書類の数そのものを減らすことはもちろん、電子上に書類を移すことも有効な選択肢となります。

 

◾️書類を分類して不要分を破棄する

オフィス内にある書類の要・不要を分類し、不要なものを破棄しましょう。うっかり重要な書類を処分するとトラブルの原因にもなるため、企業の文書管理規定に則って判断することが大切です。

書類には破棄か保管かだけでなく、電子化するという選択肢もあります。それぞれの対象となる書類の例を確認しましょう。

書類の行先 おもな対象
破棄
  • 重複して保管していた書類
  • 再入手が簡単にできる書類
  • 法律による保管期限が過ぎた書類
  • 既に電子化している書類
保管
  • 法律で保存が求められている書類
  • 紙面が業務遂行に欠かせない書類
  • 裁判など係争対応の書類
  • ステークホルダーへの説明責任のある書類
  • 企業秘密となる書類
電子化 保管する書類のうち次の性質を満たすものが推奨される

  • 利用頻度の高い書類
  • 複数人が同時に閲覧することの多い書類
  • 電子経由の処理が求められる書類
  • 電子化に法的制約のない書類

書類の分類と整理については、ファイリングを見直すことも有効です。次の記事を合わせてご覧いただき、ファイリングの改善も検討してみてください。

オフィスのファイリングを見直そう!コツから保管向けの家具まで紹介

 

個人情報・機密情報の処分は慎重におこなう

破棄が決まった書類は、不要だからといって粗雑に扱ってはいけません。書類のなかには個人情報や社外機密情報を含むものが存在しているリスクがあるため、参照・復元不可能な処分方法を選び、情報漏洩のリスクを除去しましょう。

処分方法としては、シュレッダーによる裁断や、専門業者による薬品溶解が有効です。第三者に見られない状態で処分することが大切です。家庭ごみのようにヒモで縛って捨てるなど、秘匿するべき情報が悪意ある第三者の手に渡りかねません。

情報漏洩は顧客や取引先からの損害賠償請求や国からの是正勧告だけでなく、会社の信用失墜や業績悪化という二次・三次リスクを招きます。個人情報や社外機密情報を含む破棄書類は、確実かつ信頼できる手段で処分することが欠かせないでしょう。

 

◾️書類を共有化する

カタログ類や広報誌といった、業務として閲覧する書類に関しては部署内で共有化しましょう。部署内の個人個人が書類を保有している状況を改善すれば、書類の収納スペースを最小限化できます。

書類を共有する際には、部署内の共有キャビネットなど、アクセスしやすい箇所に収納することが大切です。個人と組織の収納スペースを明確に切り分け、共有可能な書類やものを一か所にまとめるルールを決めましょう。

書類を電子化しクラウドなどで共有することも有効です。省スペース化と同時に業務効率化も目指せます。例えば、営業部では商材の資料をクラウドで共有すると良いでしょう。出先でもスマートフォンやノートPCでアクセスし、顧客説明に役立てられます。

 

◾️オフィスのペーパーレス化を推進する

紙の書類をデジタル化して、データで保存するペーパーレス化も有効な手段です。A4サイズの書類は、カラーであれば1MB程度、モノクロであればさらに10分の1程度の少ない容量で保管できます。

1ファイルメーター数の紙の書類が全てカラー書類だった場合、データ上では10GB程度になると見積もれます。書類キャビネットよりも小さな電子機器内に大容量の書類を補完できるため、大幅なスペース削減につなげられるでしょう。

大量の書類を電子化するには大きなデータ容量を要するため、クラウドサービスを活用するのも一つの手段です。

ペーパーレス化には書類の削減だけでなく、印刷費や郵送代の削減などのメリットも存在しています。自社のペーパーレス化を検討したいと考えている方は、次の記事もあわせてご覧ください。

ペーパーレス化の必要性とは?企業が取り組むメリットや推進する際のポイントを解説

 

契約書の電子化は取引先の同意を得てからおこなう

書類のペーパーレス化には大きなメリットがありますが、顧客との間に交わす書類に関しては一歩立ち止まって考える必要があります。契約書の電子化は、相手先の同意を得てからでしか実施できないためです。

契約は相互に取り交わすことに意味があります。たとえこちらがペーパーレスを進めたいと考えていても、取引先が同じ程度の関心を持っているとは限りません。また、IT慣れしていない相手ならば無理にペーパーレス化を勧めても良い印象を得られないでしょう。

契約書のペーパーレス化で相手方の同意を得たいときには、しっかりとメリットを伝えるのがポイントです。契約書を電子化できれば紙の書類でのやり取りが不要になり、業務の効率化も図れるといった点をアピールしましょう。

2024年1月からは電子帳簿保存法の宥恕期間が終了し、電子取引のデータ保存が完全義務化されました。メールやクラウドサービスなど電子的にやり取りされた請求書や注文書、見積書等は、その電子取引データを保存する必要があるため注意が必要です。

 

◾️DX化を推進する

オフィス内のDX(デジタルトランスフォーメーション)化を推し進め、そもおも紙の書類が発生しにくい環境を作ることも検討してみましょう。DX化はペーパーレスに限らず、企業の業務全体にデジタル技術を適用させて生産性の改善を試みる取り組みです。

書類削減につながるDX化の施策としては、ワークフローの電子化があげられます。ワークフローソフトを導入することで、契約書や請求書を電子化し、社内稟議や申請をシステム化することで、紙の書類を作ることなくネットワーク上で業務を完結させることができます。

また、電子化ワークフローを経費精算システムや契約管理システムに直結することで、紙の書類を会計や総務に回覧する手間を省き、ダイレクトな情報伝達を実現可能です。DX化をおこなうことは、書類削減はもちろん、業務効率そのものも向上にもつながります。

オフィスのDX化については、こちらの記事もご参照ください。

オフィスをDX化するべき4つの理由|成功させる秘訣や補助金制度を解説

まとめ:オフィスのファイルメーター数を算出し、書類の削減を目指そう

ファイルメーター(fm)はオフィス内の書類の数量を示す単位です。多くの企業では従業員一人当たり2fmの書類、一人当たりA4コピー用紙で2万枚以上の紙があるとされており、キャビネットなどの設置によりオフィス内の空間が圧迫されがちなことがわかります。

「自社オフィスは書類が多過ぎないか」「キャビネットがオフィス移転時や改装時に邪魔にならないか」といった課題意識を持っている場合は、書類を保存している棚のサイズからファイルメーター数を算出しましょう。

2fm以上の場合は、不要な書類を破棄しペーパーレス化やDX化を進めることが求められます。いまある紙を減らすだけでなく、紙の生まれにくいオフィスを作ることで書類を削減し、保管に割いていたスペースを有効活用できるようになるでしょう。

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