スマートオフィスとはなにか?メリットから実現するポイントまでわかりやすく解説

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スマートオフィスとはなにか?メリットから実現するポイントまでわかりやすく解説

「ヒト、モノ、カネ」の三大経営資源の一つである、モノ。業務に使用されるさまざまなモノは、現代社会の技術の高まりの影響下でIoT(Internet of Things=インターネットのモノ)化されています。

IoTデバイスを積極的に導入したオフィスをスマートオフィスと言います。通信とコンピュータによってオフィスを改善できるとされていますが、具体的にはどのようなメリットがあるのでしょうか。

スマートオフィスのメリットや、実現方法のポイントをご紹介します。導入方法もあわせて解説していくため、スマートオフィスについて知りたい方はご覧ください。

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スマートオフィスとは

IoTやAIを導入したオフィスのことです。高速ネットワークを活用して快適な働き方を推進し、生産性アップを期待できる施策として注目されています。

たとえば、オフィス内に人感センサーを導入することでオフィス内の温度や湿度、照明の明るさなどを自動調節したり、テレワークやフリーアドレスといったデジタルワークプレイスの推進で場所を選ばずに働くことができたりします。

注目されている背景には、新型コロナウイルス感染症拡大の影響があります。テレワークを代表に注目されはじめたオフィスの施策ではありますが、働き方の多様化と効率化のメリットは非常に大きいと言えます。

スマートオフィスはコロナ禍における苦肉の策に留まらず、今後の企業の成長や働き方改革につながる施策であると言えるでしょう。

スマートオフィス化の5つのメリット

オフィスのスマート化で得られるメリットのうち、代表的なものは次の5つです。

  • 生産性の向上
  • 業務効率の改善
  • 多様な働き方に対応可能
  • 長期的なコスト削減
  • 優秀な人材確保

それぞれの詳細を順番に見ていきましょう。

 

■生産性の向上

オフィスに存在する一人ひとりの働きやすさが改善されることで、生産性の向上を見込むことができます。

スマートオフィス化によってエアコンや照明などにIoTデバイスやセンサー類が導入されれば、室内環境のオフィスの温度や明度が自動的に調整されるようになるため、より働きやすい環境を作ることができます。

 

■業務効率の改善

スマートオフィスではアナログな業務プロセスを自動化し、工数を減らすことができます。

たとえば、紙の伝票のデジタル化や管理にITツールを導入するペーパーレス化です。

従来、在庫管理では人が逐次的に在庫を管理し、不足分を発注するプロセスを踏んでいました。しかしITツールを導入すると、各システムがネットワークに接続され、コンピュータが在庫の不足を確認し、自動的に発注されるようになります。他にも、メールの自動仕訳など自動化できる作業は多くあります。

また、自動化にともなって業務プロセスそのものを見直すことにもなるため、慣例的におこなっていた意味の薄い業務を見直し、無駄のカットにもつながるでしょう。

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■多様な働き方に対応可能

不用意な感染リスクの増大をおさえる、育児や介護をしなければならない従業員が働けるようにするためにもスマートオフィスは有効です。

スマートオフィス化によって働く時間や場所の自由度が高くなり、多様な働き方に対応できるようになります。ネットワーク環境が整っていればテレワークへの移行も容易になるだけでなく、出張先でもオフィスと同様の作業が可能になるなど働き方の選択肢が広がります。

また、オフィス内での働き方も多様化できます。ネットワークに接続されたデバイスがあればどこでも仕事ができる、という状態にしておくことで、自分のデスクに縛られず働くことができます。

スマートオフィス化にあわせてオフィスをフリーアドレス化すれば、それぞれの従業員が集中しやすい環境を提供できます。

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■長期的なコスト削減

スマートオフィスの導入にはもちろん初期費用がかかりますが、オフィスの効率化によって光熱費や賃料の節約につなげることができます。

たとえば空調や照明のコントロールがIoTで最適化されると、従業員の働きやすさにつながるだけでなく、省エネ効果も高くなります。無駄な冷暖房や人のいないスペースのライトアップなどを省くことができれば、自然と光熱費も下がります。

また、在宅勤務やテレワークの推進でオフィスに存在する従業員の数を減らせば、オフィスの縮小も可能です。より小さく、賃料の低い建物に移転する、オフィスの数そのものを減らすことで賃料を大きく節約できます。

 

■優秀な人材の確保

スマートオフィス化によって働きやすい環境を整えておくことは、求人募集においても他社との差別化につながるでしょう。

少子高齢化などに関連して、日本の労働人口は減少傾向にあります。企業間での採用競争も激化し、採用状況は売り手市場に傾いています。労働者の側はなるべく良い環境で働きたいと思っているため、優秀な人材を自社で採用するためにスマートオフィスによる生産性の高さをアピールポイントにしましょう。

また、テレワークに対応可能なオフィスであれば、オフィスの所在地より遠方に住んでいる人材を確保する選択肢も増えます。居住地に条件をつけずに人材を募集できれば、人材不足の状況下でも採用候補者の絶対数を増やすことが可能です。

スマートオフィス化は優秀な人材に対するアピールと採用地域の拡大にもつながるため、将来の企業の成長にも重要な役割を果たすことも期待できるでしょう。

スマートオフィスを実現するポイント

スマートオフィスには大きなメリットがありますが、ただ闇雲にIoTデバイスを導入する、いきなりオフィスを縮小・廃止するなどの計画性のない実施では効果が薄くなってしまいます。

スマートオフィスを実現をするための課題点を把握し、適切な計画で移行していくことが大切です。次に紹介する5ポイントを意識して、スマートオフィス化を検討しましょう。

  • オフィスの現状を把握
  • セキュリティの強化
  • スマートオフィス化の費用を確保
  • 段階的にオフィスの改善

それぞれのポイントを順番に解説します。

 

■オフィスの現状を把握

スマートオフィス化の前に、通信環境と現在使用しているデバイスについての現状を把握しましょう。インターネットと対応デバイスはスマートオフィスには必要不可欠です。

通信環境の把握

まずはインターネットの通信環境の現状を把握しましょう。

インターネット設備がない、あっても通信環境が不安定である場合には、まずは安定したインターネット環境を用意しなければなりません。オフィス内のWi-Fi環境の状態や、電波が入りづらい場所がどこかを調べておきましょう。

 

対応デバイスの把握

現在使用している企業用のパソコンやスマートフォンなどのデバイスが、最新のIoTシステムに対応できるかどうかも把握しましょう。

旧式であるためシステムに対応できない、ソフトウェアを作動させるためのスペックが不足しているといった場合には、買い替えなどが必要です。社内のサーバーや、各種OA機器が受信・接続できるかどうかを確認しましょう。

 

■セキュリティの強化

スマートオフィスを導入する際には、ウイルス対策ソフトウェアの導入や従業員のセキュリティ教育も欠かせません。従業員や顧客の情報、社外秘となる情報を管理しているIoTデバイスがインターネットで連携されているためです。

ネットワークと接続している状態でセキュリティ対策がおこなわれていないと、不正アクセスで社外秘情報が流出する、サイバー攻撃で業務に支障が出るなどのリスクを抱えることになります。

特に、情報流出は会社の信用にも関わります。セキュリティを強化し、リスクを最小化しましょう。

 

■スマートオフィス化の費用を確保

オフィスを縮小して賃料の節約を狙う場合でも、移転のための費用はかかるため、まずはまとまった初期費用を用意することになります。また、新しいIoTデバイスやシステムの導入など、スマートオフィス化にはそれなりの費用がかかります。

長期的なコスト削減にはなるものの、当面の出費は避けられません。どれほどの初期費用がかかるかは、導入するスマートオフィス化の施策によって変わります。IoTデバイスの導入費用、オフィスの改修費用、移転の場合には入退去の費用などを事前に試算し、予算内に収まるかどうかを検討しましょう。

 

■段階的にオフィスの改善

スマートオフィス化の施策には優先順位を設定し、ペーパレス化などの比較的実現しやすく、効果を期待できるものから始めていきましょう。

仮にオフィスのすべてを一度にスマートオフィス化しようとすると、費用はきわめて高額になってしまいます。

また、最初に社内で検討した方向性が最適であるとも限りません。段階的にスマートオフィス化を進めることで自社に最適なビジョンが可視化される場合もあります。

PCDAサイクルで計画、実行、評価、改善を繰り返すなどのアプローチをおこない、最適化を進めましょう。

スマートオフィスのため導入するツールの選び方

単にスマートオフィス化といっても、IoTデバイスや業務効率化ツールなどのコンピュータソフトウェアにはさまざまな種類が存在します。それぞれ得意分野や性質も異なっているため、最適なものを選ぶことが大切です。

次の3ポイントを意識して、スマートオフィスのために導入するツールを選びましょう。

  • 社内システムと連携可能か
  • 従業員が使いこなせるか
  • サポートは充実しているか

それぞれのポイントを順番に解説します。

 

■社内システムと連携可能か

新しいツールを導入する際には、既存の社内システムと連携可能かどうかを確認してから導入するようにしましょう。

スマートオフィス化のために必要なシステムをゼロから開発すると多大なコストがかかるため、現在使っているものに対応が可能ならば導入コストを削減できます。

また、現在自社でつかっているデバイス(パソコンやスマートフォン、タブレット)で対応可能なツールかどうかも調べておきましょう。

既存のシステムやデバイスと連携が可能であれば、スマートオフィスの導入コストは大きく削減できるため、導入前の確認を欠かさないようにしましょう。

 

■従業員が使いこなせるか

ITツールは便利なものですが、いかに便利であっても使用者が使いこなせなければ意味がありません。そのため、従業員が使いこなせるツールを選ぶことが大切です。

たとえば、ソフトウェア開発会社などのIT企業の従業員がプログラミングの知識を活かして利用するようなツールは、専門知識がないと使いこなせません。

従業員に専門的なIT知識を必要としない企業では、誰でも使いこなせる簡単なツール・デバイスを選ぶようにしましょう。

スマートオフィス用のツールには、体験版などで購入前に操作性を確認できるものもあります。無料体験で各種ツールの操作性などを比較し、自社に相応しいものを選定しましょう。

 

■サポートは充実しているか

ツールの導入にあたっては、サポート体制が充実しているかどうかも基準に加えましょう。スマートオフィスを導入しても、運用方法がわからないと恩恵を受けることができません。

ツールやデバイスの使用方法への疑問から業務が止まってしまえば、メーカーのサポートが必要になることもあります。

たとえばサポートがメールのみであればやり取りに時間がかかり、業務が滞ってしまいます。しかし24時間365日対応の電話サポートなどがあれば、あまり時間をかけずに疑問を解消し、業務を再開できるでしょう。

【Q&A】スマートオフィスの疑問

スマートオフィスの実施を検討するにあたっては、疑問点が生じることもあります。費用や効果に関する疑問はもちろん、最適なスマートオフィス化の方法も会社ごとに異なるため、悩みは尽きません。

そうしたスマートオフィス化に関する疑問を、Q&A方式でご紹介します。頻出する疑問を答えとともに把握し、落ち着いてスマートオフィス化を進めていくための知識を身につけましょう。

 

■スマートオフィス化で使える補助金はあるのか

中小企業や小規模事業者は、IT導入補助金を利用できます。IT導入補助金は経済産業省の外局である中小企業庁が実施する補助金制度です。

補助金額や適用条件などは次のとおりです。

補助金額 30万~450万円以下
補助率 全体費用の1/2以内
適用条件 類型ごとのプロセス要件を満たすものであり、労働生産性の向上に資するITツールであること。
補助対象 ソフトウェア費、クラウド利用料(1年分)、導入関連費

※参考:IT導入補助金

 

また、高額な購入費・開発費、補助金を前提とした導入の他に、SaaSの利用も選択肢に入ります。SaaSとはSoftware as a Serviceの略称で、ベンダーが提供するクラウドサーバー上からソフトウェアを利用できるサービスです。

SaaSはインターネット環境があればどこからでもアクセスでき、複数人で同一ファイルを編集できます。加えて、ユーザー側での開発やシステム管理を必要としないため導入コストをおさえられるメリットがあります。

一方でソフトウェアの自由度は自社向けに開発されたシステムの方が高いため、複雑な業務システムに対応させたい場合には補助金を利用してスマートオフィス用のシステムを開発・購入することになります。

自社の業務内容に合わせ、補助金を利用した開発・購入と、SaaSのどちらかを選択しましょう。

 

■業務の効率が落ちる可能性はあるのか

現状にあわない仕組みを導入しようとした場合、業務の効率が落ちる可能性があることは否めません。慣れたツールを手放したくない、ITツールを使いこなせない場合にはモチベーションの低下につながります。

こうしたモチベーションの低下は、従業員へのサポートで緩和できます。ツールを使いやすくする周辺機器の導入や購入補助、勉強会の実施や社内サポート体制の強化をおこないましょう。

 

■スマートオフィス化の相談はどこ?

自治体によってはスマートオフィスを検討する事業者向けに相談支援をおこなっていることがあります。最寄りの役所が対応しているかどうかを調べましょう。

また、ツールの導入などに関してはDX(デジタルトランスフォーメーション、企業のIT化)を取り扱うコンサルティング会社に相談し、プロセスを進めていく選択肢もあります。

スマートオフィス化に伴ってオフィスの移転をおこないたい場合には移転の専門業者に相談し、フリーアドレス化などを踏まえたレイアウトなども検討しましょう。

アイリスチトセでは、クライアントのニーズや実運用時を踏まえたオフィスデザインをご提案いたします。オフィス移転やコンセプトの導入の検討の際には、ぜひお気軽にご相談ください。

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まとめ:適切なツールを導入したスマートオフィスで生産性を向上させよう

IoT技術の発展によって実現可能となったスマートオフィスは、テレワークやフリーアドレスなどの多様な働き方を可能にしました。業務の自動化や効率化による工数やコストの削減も期待でき、より働きやすく生産性の高いオフィスを実現するためのカギとなります。

スマートオフィスのメリットを最大化するためには、オフィスや事業の性質に合ったツールを計画的に導入することが大切です。優先順位やセキュリティ上の注意点、扱いやすさやサポート体制を意識し、ヒトとモノの両方をスマートオフィスに適応させていきましょう。

アイリスチトセでは、オフィスの変更や移転の相談を承っています。スマートオフィス化によるレイアウトの変更やフリーアドレス化など、オフィスに関する疑問や気になる点があれば、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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