【インタビュー】セキュリティスタッフ株式会社「先を見据えたオフィスデザインとDXの推進」

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所在地愛知県名古屋市
クライアントセキュリティスタッフ株式会社
業種警備
完成年月2021年10月

愛知県において、交通誘導や施設警備などの警備事業行っているセキュリティスタッフ株式会社様が、2021年10月にオフィスを移転されました。そこで今回オフィス移転に関するお話を、代表取締役 梅本和希様にお伺いしました。

※感染対策を行った上で取材を行っています。

先を見据えたオフィス移転

早速ですが、移転されたきっかけを教えていただけますか?結論から言うと、単純に手狭だったからです。
売上が7~8年前から毎年約130%ずつ伸びていて、それに伴い内勤社員も徐々に増えてきました。
内勤者を採用していくうちに、旧オフィスはこのご時世では考えられないくらい人口密度が高い状態となり、
2019年頃に「そろそろ移転計画を進めないと増員計画に間に合わない。」となったのがきっかけです。

手狭になったことがきっかけとのことですが、それを踏まえてオフィスを移転するにあたって重視したことはありますか?
これは最も重視したことであり、難しかったことでもあるのですが、旧社屋からできるだけ離れない位置にすることです。
現場スタッフ約500名の内、約半数が自社で借り上げた社宅に住んでいます。
その為、旧社屋からあまり大きく移動することができず、そのハードルは高かったと感じています。

そして、向こう10年は耐えられるような広さが欲しいと考えていました。
10年後に想定される内勤社員が収容できる広さを確保できるようにしたいと思っていました。

将来的にはどの程度の人数になると想定されていますか?
現在オフィスに在籍している社員は40名弱ぐらいですが、外回りの社員もいますので常時オフィス内にいる人数はもう少し少ないです。
この倍の80~90人ぐらいまでは対応可能だと考えています。
そのこともあって今は全体的に余白を残したレイアウトにしています。

ゆとりのあるオフィス設計

移転するにあたって働き方を変えたいという意図はありましたか?
前の事務所が狭かったこともあり、なかなかオフィスの中でリフレッシュするところがありませんでした。
旧社屋も2フロアあるオフィスでしたが、どこに行っても誰かがいるので休憩もそうですし、仕事のモードを切り替えることが難しいオフィス環境になっていました。そこのストレスのコントロールをしにくかったので、今回の移転ではスペースにも気持ちにもゆとりを持てる環境にしたいと考えました。

移転のきっかけである手狭であったことも悪い面だけではなく、密にコミュニケーションを取れるという良い面もありました。
しかし、狭いところだからこそ成り立つチームワークはある意味リスクでもあると考えています。
他拠点を作ったときにそんなことは通用しません。将来的にもっと組織が大きくなったことを考えると変えておく必要があると考えました。

そういった部分では、新社屋でのコミュニケーションについては課題のひとつでもあります。

オフィスが作る人の動き

話が変わりますが、このオフィスのテーマは何でしょうか?

「サードプレイスオフィス」をコンセプトにしています。

スターバックスがよくサードプレイスという感じで浸透しているかと思います。
「仕事に集中したいからスタバに行く。」なんてことをしなくても、社内にそういったスペースがあればより良いだろうというコンセプトの下、3階はそういった要素を取り入れました。

3階にウォーターサーバーを設置しているのですが、はじめはすごく批判を受けました。
「なぜ2階(デスクフロア)に置いてくれないのですか。」と。

そうは言われたのですが、健康経営との兼ね合いで階段も特徴的な造りにしています。
わざと2階と3階を往復させたかったのも、意識せずとも自然と用事があると階段の上り下りをしますし、なおかつ3階の利用頻度も上がるかなという考えからです。

※解釈の幅を広げるためにあえて「言葉」ではなく、見る人によって解釈が生まれるように「絵」に拘った壁面アート
1Fはセキュリティスタッフのミッション
2Fはセキュリティスタッフの理念「心を燃やす。心を照らす。」
3Fは不動明王がモチーフ

業界最速?DXの導入

2階フロアにモニターがたくさんありましたが業界では一般的なのでしょうか?
業界では珍しいようですが、全員デュアルモニターにしています。
私は単純に作業効率の面で必要だと思って導入していますが、見学に来られた他の警備会社の皆さんに珍しがられます。
業界としてはいわゆるオールドエコノミーですが、警備業に関する管理システムを自社で開発して作るなど、先行していろんなシステムを導入しています。※警備員予約システム「隊リク!

社長自身のブログでも「脱はんこでDXを推す」というタイトルで記事を書かれていますが、そういったところも含めてオフィスDXを意識されているのでしょうか?
梅本社長のブログはこちら

そうなんです!
このコロナ禍になる前から脱ハンコ、電子契約を取り入れていました。

未だにほとんどの警備会社は、カーボン紙の複写型の伝票を使っています。
複写の伝票を持ってきて、監督さんにサインをもらって、それを隊員さんが会社に提出して手計算で請求と給与計算するという流れが一般的です。

しかし、僕からすると「いつの時代の仕事なんだろう?」と10年近く前から感じていました。
当時の僕たちは数十人規模でしたが、会社を大きくしたときにオペレーションとして、このままだと絶対に回していけないと思い、紙の伝票を廃止することにしました。

当時は難色を示されるお客様が一部いらっしゃったのも事実ですが、新型コロナウィルスの流行がある意味では追い風となり、「そういう時代だよね。」と徐々に理解してもらえるようになりました。
ただ、それまでがすごく大変でした。

お話を伺っていると長いスパンで先々を見据えられているように感じます。手狭という理由から移転されていますが、現在想定しているよりもさらに大きくなったときに働き方やオフィスについての展望はありますか?
基本的には新社屋は本部機能としての拠点にして、採用の拠点や採用の管理をする拠点としては将来的には増やす必要があるかなと思っています。
愛知県で濃く、深くやっていきたいと考えているので恐らく頭脳としての拠点はここでやっていくと考えています。

よくある警備会社のセオリーとしては、警備員100人規模で拠点展開していくのが警備会社のパッケージだとコンサルティング会社からは言われます。
確かに警備会社のエリア分け展開や売り上げの伸ばし方を見ていると、100名ぐらいになると大体次の営業所を作ったり、グループ分けをしたりしています。
それを考えると、この500名規模でありながら実質1拠点でやっている当社は相当珍しいやり方だと思います。

人海戦術ではなくシステム化によって課題を解決しているので、500名規模で1拠点ということができると考えています。
1課2課というようにグループ分けしていると、機会損失が起きてしまうので管理が効く単位で分けてやるのです。

拠点が分かれることによる損失というお話がありましたが、具体的にはどういったことが考えられるでしょうか?
例えば、名古屋の北部と南部で拠点があったとします。
それぞれ100人ずつ隊員がいるとなったときに一方では人が足りないけれど、一方では人が余っているなんてことが、想像するだけでも当たり前にあります。

じゃあそこでどうするのか?
拠点できっちりと人の貸し借りのコミュニケーションを取ることができて、最大限の稼働率にできればいいですが…。
殆どの警備会社はこれを人間同士のアナログでやりとりしていてうまく機能していないのが実状です。
1拠点で隊員の総数が多く、全体管理ができていればこういった機会損失も減りますし、それでも受けきれない部分は協力会社に依頼します。
自社の隊員で賄えない部分は、受給バランスのコントロールを行って協力会社をフル稼働させて、自社もフル稼働させます。

このシステム化は業界では珍しいようで、同業界の方々が見学に来られることもあります。

雇用(採用)に強いオフィスへ

先ほど、隊員の社宅まで自社で借り上げているというお話を伺いましたが、そうするとその分経費が掛かると思います。
そこについては、常に稼働率が高い状態で回されているのでしょうか?

そうですね。そこが難しいところですね…。
警備業はどちらかというと供給不足の業界です。人が余るということが、このコロナ禍でもほとんどありません。
警備員の有効求人倍率はピーク時の約9倍から下がっても7倍ぐらい。それぐらい人が足りない業界なのです。

だからこそ、ある程度このビジネスモデルが成り立っている。
この業界の特性としては需要が「法的に必要だから」と「安全面への配慮で必要」の両方の需要があります。
法律上、警備員を配置しないといけない場合があるので景気が悪くなったから需要がなくなるということは、あまり考えられません。

なので、採用も強化する必要がありますし、一方で放っておいても仕事が取れるわけでもなく、単価という意味では、こちらが欲しい仕事かどうかというところもあります。
ここを両輪で同じ強さでまわし続けることはとても難しく、どちらかが先行してしまいます。

そういう意味ではこのオフィスは採用に役に立っているのでしょうか?
そうですね。内勤者の採用についてはこのオフィスから結びついている部分はあると思います。

旧社屋では、内勤者の採用の際にどれだけミッションに共感してきてくれても、オフィスぎゅうぎゅうに人が密集していたので、そこは少しプレゼンに苦労していたところがありました。

この新社屋だと、多くを語らずとも見ていただくだけで社員にもこれだけ還元してくれるんだなと
説明しなくても感じ取っていただけるのでありがたいです。

業界ならではの課題をDX化で解決

移転するにあたって、警備会社だからこそ配慮した点はありますか?
配慮というよりは移転をきっかけに大きく変えた部分があります。

殆どの警備会社は大きなホワイトボードに名札サイズのマグネットを貼って警備員の配置を管理しています。
私たちもAIを導入しているものの、全員に共有する為の方法としては他の警備会社と同様にアナログ管理でした。

ただ、当社の場合は警備員の人数が多いのでホワイトボードだけだと面積が足りません。
なので、旧社屋では壁一面にマグネットタイプのホワイトボードを張り付けて管理していました。

500名近い人数をマグネットでぺたぺたと手作業張り付けていたので、冗談じゃないくらい時間がかかっていました。
1日に1回でも相当時間がかかる作業でしたが、1日に2回やるとなると、一度すべてを外して貼りなおすことになるので、そうなるとさすがに人員的に難しいですし、そのアナログ管理を新社屋に来てまでやるのは嫌だと思い、解決方法を模索していました。

そこで貴社のオフィスを見学した際、アイリスオーヤマのAIインタラクティブボードに出会い、「これなら解決できるのでは?」と思いました。

東京の浜松町にあるショールームへ行き、AIインタラクティブボードの実際に操作感などを確かめた上で、テスト導入として旧社屋時代にまず60インチを購入しました。

そしてAIインタラクティブボードを使用する前提に自社で警備員の管理ソフトを独自で開発しました。
「これならいける!」となりましたが、60インチでもサイズが足りなかったため、最終的には80インチのパターンも購入し、2台で運用しています。

※感染対策を行った上で取材を行っています。

これが本当にいい。
AIインタラクティブボードをどこよりも活用している自信がありますね。(笑)

新社屋では、ホワイトボードを絶対に置かないという強い意志がありましたが、移転がなければここまで思い切ってやろうとは思っていなかったと思います。
いいきっかけになりましたし、AIインタラクティブボードがなければ他の解決策は思いつかなかったかも知れません。

社員の健康維持と教育

3階にジムがあると思いますが、このジムはどういった位置づけになるのでしょうか?

これは前のオフィスにもありまして、もともとはただの私の趣味でした。
旧社屋では現在の半分ほどの面積だったので、正直なところこの新社屋もジムがなければもう少し広々できたと思います。

僕はもともと社員にも筋トレをさせたいと考えていたので、福利厚生として近くにあるジムに安く通えるようにすることも一時期考えていました。
ですが、もうすこし部活のようにできたらいいなと考えオフィス内にジムを導入しました。

ジムを導入した当初は私しか使っていませんでしたが、徐々に昼休憩の時に利用する女性社員も出てきました。
その頃から毎週1回のペースで、希望者のみで外部のトレーナーに来てもらってのトレーニングを始めました。

現在では毎週トレーナー3名に来てもらっていますが、時間になると固定メンバーや、ダイエット目的など様々な理由で社員が集まってきます。実は、セキュリティスタッフに入社してから15kgやせた男性社員もいます。

こうやってトレーニングをすることで身体的に健康になる他、メンタル的にも自分を律することで鍛えられます。
オフィス内にあることで、ジム通いが続かない言い訳が一切できなくなりますしね。(笑)

※感染対策を行った上で取材を行っています。

社員の健康維持だけでなく、自分を律するメンタル面のトレーニングとも考えていらっしゃるということですね。
そうですね。もちろん健康維持もありますが、社員教育に近いですね。
決められたトレーニングの時間になっても仕事で下のデスクフロアに残っていると僕に怒られます。(笑)

業務としても時間の区切りを自分自身で付けられるようになりますね。
そうなんです。そういった意図もあります。
警備会社のオフィス内にジムがあるとゴリゴリの体育会系みたいに思われるし、気合と根性で突き通すタイプに見られがちですが、どちらかというとロジカルよりの考え方をしていると思います。

社長のお話を伺っていると社員の皆さんも常に意識してついていこう!という環境になっているように感じます。
僕がやるって言ったらもうやらなきゃいけないんだろうなと、そういう文化ができてきているんだと思います。

最近はここまでではないにしても、健康経営としてだんだんと社内にジムを置く会社も増えてきているようです。
新社屋に入れているマシンのメーカーさんも近くにあるのですが、やはり法人からの相談が増えたと聞いています。
特に新型コロナウィルスの感染が拡大してから、すごく増えたと。
社員が今まで外のジムに行っていた人もいけなくなったという理由や、運送会社などの身体が資本の業種で腰痛改善などもかねて運動の機会を作るために導入する会社など理由は様々ですが、企業が社員の心身の健康を意識することが社会全体の流れではないでしょうか。

オールドエコノミーとされている業界であるものの、そこにある「非効率」や「課題」をAIの導入やオフィスの造り、物の配置で自然と人が動き、成長できるようにあらゆるところに意図と仕掛けが隠されたオフィスについてお話を伺いました。

健康経営(※1)、電子化(※2)、DX(※3)など、働き方についても業界に新たな風を吹かせている梅本社長ですが、常に先を見据えるその鋭い眼光も、社員の方々についてお話される時はとても楽しそうに目を細めている姿が印象的でした。

※1 健康経営 企業が従業員の健康に経営的視点で配慮し、戦略的に実践していくこと。
※2 電子化  紙媒体からデジタルデータへの変換。
※3 DX デジタルトランスフォーメーション(Digital transformation)の略称。ITを駆使することで生産性の向上や業務の効率化を図る取り組み。英語圏では「trans」を「X」と略すため「DX」になった。

本日はありがとうございました!

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