オフィスの縮小によるメリットや成功のポイント|課題や対応策も解説

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オフィスの縮小によるメリットや成功のポイント|課題や対応策も解説

テレワークの推進によりオフィスの活用状況が変わったことで、オフィスの縮小を検討する企業が増えてきています。

オフィスの縮小には、コスト削減や業務効率化などのメリットがある一方で、複数のデメリットがあるのも事実です。そのためオフィス縮小の意思決定をするうえで、メリットとデメリットのバランスを十分考慮したうえでの決断が必要となります。

この記事では、オフィスを縮小するメリットやデメリットについて詳しく解説します。後半ではオフィス移転に伴う費用をおさえる方法についても紹介しているので、オフィスの縮小を検討している方はぜひ最後まで読み進めてください。

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オフィスの縮小を検討する企業が増えている

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近年コスト削減やテレワークの普及などの背景を受け、オフィスの縮小や移転を検討する企業が増えています。

国土交通省の「新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う現時点での社会・国土の変化について(1月更新)」によると、2020年秋時点でオフィス面積を縮小した企業が4.7%だったことがわかっています。

理由 割合
コスト削減 59.5%
オフィススペース効率化 45.2%
テレワークにより必要面積が減る 40.5%
人数減 20.8%
前のビルの建て替え・取り壊し 7.1%
事業縮小・M&A 4.8%
一時利用修了 2.4%

出典元:国土交通省「新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う現時点での社会・国土の変化について(1月更新)」

2020年6月時点では、今後2~3年の見通しにおいて「縮小したい」と回答した企業が14.3%、前回の調査の3倍程度に増加しています。特に多かった理由は、コスト削減やスペースの効率化、テレワークです。

テレワークやフリーアドレス制を導入すれば不要な座席も増えるため、オフィススペースの削減が可能です。また、不安定な経済情勢の中で思うように業績が伸びず、企業利益を優先するためにコスト削減の必要性が高まっています。

 

フリーアドレスオフィスに関する詳細はこちらの記事でも解説しています。

オフィスを縮小するメリット

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ここからは、オフィスを縮小するメリットを解説します。

オフィス維持費の削減

オフィスを縮小するとフロア面積が小さくなるため、賃料や水道光熱費の削減につながります。また、縮小に伴うワークスタイルの変革で出社する人数が減れば、その分家具や交通費なども削減できます。

出社する社員数に見合う物件に移転すると、さまざまなオフィスの維持費をおさえつつ事業を運営できます。

働き方改革の促進

オフィスの縮小はワークスタイル変革のきっかけになります。働き方改革の推進により、近年はテレワークやフレックスタイム制など、柔軟な働き方を導入する企業が増えています。

ABWやフリーアドレス制の導入はオフィスの縮小と相性が良いです。ABWは業務内容に応じて働く場所を選べるため、オフィスへの出社が必須ではありません。

フリーアドレス制の場合、働く場所はオフィス内に限定されますが、人数の増減に合わせて柔軟に座席運用できます。多様なワークスタイルの導入は、社員の働きやすさやワークライフバランスの向上にもつながります。

 

ABWに関する詳細はこちらの記事でも解説しています。

業務の効率化

オフィスの縮小と同時に新しいワークスタイルを導入すると、社員全員が毎日出社する必要がなくなります。しかし同時に、離れた場所でもオフィスと同じレベルで業務を遂行するためには、業務の見直しが求められます。

たとえば、書類のペーパーレス化です。ペーパーレス化がニューノーマルになると、書類を保管するスペースが不要になります。必要な書類がパソコン上でいつでも確認できるようになると、探す手間も省けます。

このように、オフィスの縮小は業務を見直すきっかけになり、結果的にペーパーレス化などによる業務の効率化につながる可能性が高いです。

 

ペーパーレス化に関する詳細はこちらの記事でも解説しています。

感染リスクの軽減

コロナ禍では人の密集を極力避けることが求められています。ここ数年でテレワークを導入する企業が急激に増えたのは、新型コロナウイルス感染拡大の影響が大きいでしょう。

テレワークは出社人数を抑制できるワークスタイルなので、オフィス内の感染リスクを物理的に減少できます。また、規模が小さくなるとオフィスの細部まで目が行き届きやすくなるため、感染対策の課題にも気づきやすくなります。

オフィスを縮小するデメリット

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オフィスの縮小は、新しいオフィスの在り方として注目を集めています。経費削減やワークスタイル変革の促進につながりますが、すべての企業において最適な手段になるわけではありません。ここからは、オフィスを縮小するデメリットを解説します。

縮小・移転コストの発生

オフィスの縮小・移転は、賃料や水道光熱費の削減につながります。しかし、入退去に伴い、次のコストがかかります。

退去にかかる費用 入居にかかる費用
  • 原状回復費用
  • 不要品処理費用
  • 賃料
  • 搬出費用
  • 回線撤去費用 など
  • 敷金
  • 礼金
  • 仲介手数料
  • 保証会社加入料
  • 火災保険料
  • 前払い家賃
  • 内装工事費用
  • 移転手続きの費用
  • 搬出費用 など

移転先の内装工事費用は、工事内容で費用が大きく変動します。既存のオフィスの契約状況によっては、違約金や残存期間分までの家賃・共益費の支払いも必要です。

オフィスを縮小することでランニングコストを削減することはできますが、初期費用に一定の金額がかかることをおさえておきましょう。

社内コミュニケーション(リアル対面)の希薄化

オフィスを縮小する際、テレワークを導入することで社員の働く場所が分散するため、これまでよりも顔合わせをする機会が圧倒的に減ってしまうでしょう。

総務省の「令和3年版情報通信白書」によると、テレワークの課題として「社員同士のコミュニケーション」をあげた企業は17.8%でした。

出典:総務省「令和3年版情報通信白書」

この点、特にわかりやすいのが、業務以外における社員同士の雑談の機会が減ってしまうことです。何気ない雑談から、仕事のヒントを得たり個々のモチベーション向上に繋がるケースは少なくありません。

そのためテレワーク環境下においては、コミュニケーションを取りやすい体制を整えることは非常に重要だと言えます。チャットやビデオ通話ツールを活用しながら、オンラインでも交流しやすい体制を整えるようにしておきましょう。

 

テレワーク導入後の課題と解決策に関する詳細はこちらの記事でも解説しています。

柔軟性のあるオフィスづくりがしにくくなる

オフィスを縮小する際には、スペースをどれだけ確保すべきか適切な計画が重要となります。

仮に、将来的に社員が増えて出社が必要となった場合、スペースに余裕がないと、広いオフィスに移転するのを余儀なくされます。このようにオフィスの拡張性が低下すると人員の増減だけでなく、ワークスタイルやプロジェクトの変化に応じたオフィスの環境づくりが難しくなるのは言うまでもありません。

そのためオフィスを縮小する際には、中長期のビジネスプランを見据えながら、適切なスペースの余剰を残しておくようにしましょう。

働き方の幅が狭くなる

単に面積を減少するだけでは、従来のワークスタイルの延長につながりかねません。ライフスタイルの変化に伴って新しいワークスタイルへのニーズが高まっているため、オフィスを縮小する際には企業側も柔軟に対応できるよう整備しておくことが大切です。

たとえばテレワークの場合、在宅勤務・モバイルワーク・サテライトオフィス勤務の3種類があります。現行は在宅勤務やモバイルワークがメインでも、移転先がサテライトオフィスになる可能性もあります。サテライトオフィス勤務は、本社とは別の事業所で業務をおこなう働き方です。

今後サテライトオフィス勤務が導入された場合、別の事業所から出社する社員が増えると、縮小したオフィスでは対応しきれないこともあります。これからのワークスタイルを考慮したうえで、従来の一人当たりの面積が適当かを再検討する必要があります。

 

サテライトオフィスに関する詳細はこちらの記事でも解説しています。

オフィスの縮小(移転)のための確認すべきポイント

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オフィスの縮小を成功に導くためには、時間に余裕を持たせつつ計画的に進めていく必要があります。ここからは、オフィスの縮小のために確認すべきポイントを解説します。

目的を整理する

まずはオフィス縮小をおこなう目的を整理しましょう。企業の抱える課題を明確化し、オフィスの縮小により解決できるのかを考えます。

現状を把握するには、時間帯や曜日別の社員の在籍率を調査するほか、社員に対してアンケート調査を実施するなどの方法があります。部署ごとの働き方や社員のニーズを把握したうえで、オフィス縮小を実行した場合のメリットとデメリットのどちらが大きいかを検討します。

直近で組織再編や新事業の開始予定がある場合は、社員増員の可能性もあるため縮小しない方が良いかもしれません。オフィスの縮小は経営にも影響をおよぼすため、将来的に拡張や再移転の必要性がないかも確認しましょう。

オフィス移転のフローを確認する

スケジュールを立てる前に、オフィス移転の流れと期間の目安を把握しておきましょう。まずは退去の予定日を決定し、逆算するとスケジュールを決定しやすくなります。

オフィス移転の流れ

オフィス移転の基本的な流れは、次のとおりです。

  1. 計画の立案
  2. 移転先の選定
  3. 現オフィスの解約
  4. 新オフィスのレイアウト決定
  5. 業者の手配
  6. 引越し
  7. 原状回復工事
  8. 移転の届け出

新オフィスのレイアウトは、面積や社員数、予算などに応じて検討しましょう。縮小に伴い不要品や廃棄物が出る場合は、専門業者への依頼も必要です。移転後は、速やかに法務局や労働基準監督署などの各所に届出をおこないます。

小規模オフィスのレイアウトのコツに関する詳細はこちらの記事でも解説しています。

移転までにかかる期間の目安

オフィスの移転には、移転先の選定や業者の手配などのさまざまなプロセスを踏む必要があります。企業の規模によって異なりますが、移転までにかかる期間の目安は6ヵ月程度です。

不測の事態に備えたい場合は、移転の1年程度前からスケジュールを立てておくと安心です。現オフィスの解約予告期間や原状回復工事にかかる期間も考慮し、スケジュールには余裕を持たせておきましょう。

オフィススペースは余裕を持たせる

縮小後のオフィスでも社員に快適に業務をおこなってもらうためには、スペースにある程度の余裕を持たせる必要があります。余裕がないと必要な家具を設置できず、動線の確保も難しくなります。

適切なスペースは、社員一人当たり3坪程度が目安です。集中ブースや広めの休憩スペースの設置を検討している場合は、一人当たり4~5坪程度を目安にすると良いでしょう。

テレワークやフレックスタイム制を導入している企業では、一人当たり1~2坪程度でも十分な場合もあります。また、一般的な目安よりも広いスペースを必要とする職種もあります。技術職はデスクに資料やツールを広げる機会が多いため、広めのワークスペースを確保できるようにしましょう。

オフィスを縮小するとは言っても、ワークスタイルや出社する社員の業務に合わせて十分なスペースを確保する必要があります。

社内制度を見直す

オフィスを縮小する際には、必要に応じて社内制度を見直しましょう。テレワークを推進する場合はコミュニケーションが希薄になりやすいため、業務に支障が出ないようITツールを活用し、情報共有できる仕組みを構築します。

またテレワークの場合、社員が働く様子が見えにくいため、人事評価が難しいといった課題があります。テレワークの人事評価は、評価項目を明確化し、成果以外に日頃のレスポンスや業務スピードなどを判断材料にする方法もあります。このほかには、上司や同僚などのさまざまな立場の関係者によって評価をおこなう360度評価も検討してみましょう。

オフィスの縮小で必要な費用をおさえる方法

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オフィスを縮小する際には、原状回復工事費用や引越し費用などのさまざまな費用がかかります。最後に、オフィスの縮小で必要な費用をおさえる方法を解説します。

フレキシブルオフィスを活用する

費用をおさえる方法の一つは、フレキシブルオフィスの活用です。フレキシブルオフィスとは、さまざまな職種や業務に対応したオフィスサービスの総称です。

おもなサービスには、次のようなものがあります。

  • コワーキングスペース
  • シェアオフィス
  • サービスオフィス
  • レンタルオフィス

テナントに入居する場合、入退去の際には次の費用がかかります。

費用項目 相場
内装工事費用 1坪当たり数十万円
敷金 賃料数ヵ月分
礼金 賃料1ヵ月分
仲介手数料 賃料1~2ヵ月分
原状回復工事費用 1坪当たり数万円

フレキシブルオフィスは上記の費用がかからないため、通常の賃貸借契約に比べてコスト削減につながります。また日単位や月単位で契約できるため、柔軟性や自由度も高いです。

なお、フレキシブルオフィスの詳細は、こちらの記事で詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。

フレキシブルオフィスの6つの種類を徹底比較!メリットを理解して新しいオフィス選びを実現

ワンストップで依頼できる業者を選定する

オフィス移転する際には引越しや内装工事など、専門業者への依頼が必要な作業もあります。費用は作業に応じて別の業者に依頼するよりも、すべてを同じ業者に統一したほうがコスト削減につながります。

また、同じ業者に依頼すると窓口を一本化できるため、見積もりや日程調整のやり取りもしやすいです。

仲介手数料の値引きを交渉する

賃貸借契約でオフィスを借りる場合、不動産会社に対する仲介手数料が発生しますが、この仲介手数料は値引き交渉が可能です。

手数料は宅地建物取引業法第46条で上限が定められており、次の式で算出できます。

【仲介手数料の上限=賃料の1ヵ月分+消費税】

ただし、定められているのは上限のみです。上限を超えない範囲であれば不動産会社が自由に設定できるため、コスト削減のために値下げ交渉を試みるのも一つの手段です。

まとめ:オフィス縮小の必要性と効果は慎重に検討しよう

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オフィスの縮小はコスト削減や感染リスク軽減など一定のメリットを期待できる一方で、コミュニケーションの希薄化やオフィスレイアウトの柔軟性が減るといったデメリットがあります。

注意したい点として、オフィス形態の課題を解決する手段が必ずしもオフィスの縮小に当てはまるわけではないという点です。また、将来的に企業の方向性が変化して広めのオフィスが必要となった場合、一度オフィスを縮小してしまうと余計なコストや手間がかかってしまうというリスクも発生しかねません。

オフィス形態の課題解決において、働き方の変革が第一の目的であるなら、シェアオフィスの併用やハイブリッドワークの導入といった選択肢も残されています。このように、オフィス規模の縮小に限らずオフィスそのものの在り方について見直すことが重要だと言えます。

ますます時代の変化がめまぐるしい現代において、社員一人ひとりが働きやすいオフィス環境にアップデートできるよう本記事が少しでも参考になることを願っています。

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