フレキシブルオフィスの6つの種類を徹底比較!メリットを理解して新しいオフィス選びを実現
オフィス移転
従来のオフィスより低コストで利用でき、多種多様な働き方に対応可能なフレキシブルオフィスをご存じでしょうか。テレワークにも適していると言われており、新しい働き方ができるオフィスとして注目されています。実際に、フレキシブルオフィスを利用する人や企業も増加傾向です。
この記事ではフレキシブルオフィスとはどのようなオフィスなのか、種類別に比較したうえで解説します。さらに利用するメリットやデメリット、実際の導入事例もご紹介します。ぜひオフィスの移転を検討する際の参考にしてください。
フレキシブルオフィスとは
フレキシブルオフィスとは、多種多様な形態で利用できるオフィスです。一般的にコワーキングスペースやシェアオフィス、レンタルオフィスなどの総称として用いられています。
従来のオフィスよりさまざまな働き方に対応できるため、多様な働き方が求められる現代にもマッチしていると言えるでしょう。
フレキシブルとは「柔軟な」という意味で、文字通り柔軟な契約が可能です。従来の賃貸契約とは異なり、1日だけや1ヶ月だけの契約ができることも多いです。
政府が推進している働き方改革の影響やテレワークの浸透もあって、フレキシブルオフィスの注目度は高まっています。以前は首都圏や主要都市にしかありませんでしたが、最近では地方でも増加しています。
フレキシブルオフィスの種類と特徴
厳密な定義はありませんが、ここでは一般的にフレキシブルオフィスと呼ばれている6タイプのオフィスと特徴を解説します。
オフィスの種類 | 特徴 | 相性の良い企業職種・規模 |
コワーキングスペース | 1つの空間を他社と共有
利用者同士の交流が活発 |
個人や小規模な企業 |
シェアオフィス | 1つの空間を他社と共有 | 中小企業
スタートアップ企業 |
レンタルオフィス | 専有の個室 | 高いセキュリティが求められる職種
中小企業 |
サービスオフィス | 専有の個室
受付や秘書などのサービスがある |
高いセキュリティが求められる職種
中小企業 オフィスに充実したサービスを求める企業 |
バーチャルオフィス | 住所のみ貸し出し | 個人事業主やフリーランス |
セットアップオフィス | 内装工事済みですぐ入居可能 | なるべく早くオフィスの利用を開始したい企業 |
■社内外での交流が活発な「コワーキングスペース」
コワーキングスペースは、オープンなスペースをさまざまな企業や個人で共有するタイプのフレキシブルオフィスです。基本的に、専用の個室や占有スペースはありません。
異なるバックボーンを持つ人たちが同じ空間で業務を行い、刺激しあったりコミュニケーションをとったりできることが大きな特徴です。
コワーキングスペースは、フレキシブルオフィスのなかでも比較的リーズナブルな料金で利用できます。そのため、なるべく低コストで仕事ができる場所を確保したい個人などにおすすめです。交流が活発なことから、他業種の人と接点を持ちたい方にも向いていると言えます。
コワーキングスペースとシェアオフィスの違いに関する詳細はこちらの記事でも解説しています。
■個人でも利用しやすい「シェアオフィス」
シェアオフィスは、1つの部屋を複数の企業や個人でシェアして利用するオフィスで、会員登録や契約をした企業、個人のみが利用できる場合がほとんどです。
個室タイプのレンタルオフィスよりリーズナブルな料金で利用できるため、低コストで個人利用が可能なオフィスを探している方におすすめです。また、なるべく費用を抑えて拠点を増やしたい企業やスタートアップの拠点、テレワークの拠点にも適しています。
利用者限定の交流会を開催しているシェアオフィスもあるため、仕事仲間を探している個人や企業の方にもおすすめです。
■個室スペースを確保できる「レンタルオフィス」
レンタルオフィスは、個室タイプのフレキシブルオフィスです。個室ごとに鍵をかけられる施設も多く、プライバシー面やセキュリティ面に優れていると言えます。
シェアオフィスやコワーキングスペースは他社との共有スペースで業務するため、会話や電話の内容を聞かれてしまう恐れがあります。しかし、レンタルオフィスは個室の占有スペースがあるため、情報漏洩のリスクを抑えることも可能です。
利用人数に応じて、さまざまな広さの個室が揃っている場所も多く、一人用から数十人で利用できる個室、共有できる会議室など目的に応じて選択できます。
個室の内部は専有スペースとなるため、パソコンなどの機器は設置したままにでき、資料や書類などを保管することも可能です。そのため、デスクトップパソコンやプリンターなどの機器を据え置きで使いたい個人や企業に向いています。
■初期費用が安い「サービスオフィス」
個室タイプのフレキシブルオフィスです。受付業務や秘書的な業務をしてくれるスタッフが常駐していることが特徴で、利用者は業務に集中しやすくなります。
集中できる環境が整っていますが、従来のオフィスと比べれば初期費用やランニングコストを抑えることができます。コワーキングスペースやシェアオフィスに比べると割高ですが、多少コストはかかっても環境の整ったオフィスで仕事をしたい人にもおすすめです。
また、出社人数を減らしたい中小企業が、社員のテレワークの拠点として契約するケースもあります。
サービスオフィスに関する詳細はこちらの記事でも解説しています。
■手軽に法人登記ができる「バーチャルオフィス」
バーチャルオフィスは、仮想的なオフィスです。オフィスの住所のみを貸し出す契約形態で、共有スペースや占有スペースはありません。そのため、業務を行う場所はほかに用意する必要があります。名刺に記載する住所や、通信販売サイトの特定商取引法表示に記載する住所としてよく利用されています。
このような特徴からバーチャルオフィスは、自宅で仕事をしている個人事業主やフリーランスの人で取引先には自宅の住所を伝えたくない場合におすすめです。なかには、自分宛ての郵便物の受け取りをしてくれるところや、自宅への転送サービスを提供しているオフィスもあります。
電話やFAXの番号を提供している施設や、契約者が利用できる共有の会議室を利用可能な施設、法人登記も可能な施設など、サービス内容は提供している会社によってさまざまです。
これらのサービスは、基本料金に加えてオプション料金がかかる場合があります。利用したいサービスがある場合は、事前に料金を確認しておきましょう。
■急なオフィス移転にも対応しやすい「セットアップオフィス」
セットアップオフィスの大きな特徴は、内装工事が済んでいることです。また内装だけでなく、業務に必要となる家具や什器などおもな設備が整っている場合もあります。
内装工事にかかる時間や手間、コストが不要なため、申し込みから短期間でオフィスとして使用することが可能です。また、プロのデザイナーが手掛けたおしゃれな内装デザインになっているため、働く人のモチベーション向上や会社のブランディング効果も期待できます。
最小限の機器や道具を持ち込めばすぐに業務を開始することができるので、なるべく早く新しいオフィスが必要になった企業や、初期費用を抑えたい企業におすすめです。
・セットアップオフィスの導入事例
セットアップオフィスを導入した株式会社アトリウム様の事例をご紹介します。
株式会社アトリウム様は、購入した中古ビルの価値を上げて売却する事業を展開されています。今回、価値を上げるための手法として、セットアップオフィスを選択されました。
さらに詳しい内容は、こちらの記事をご覧ください。
セットアップオフィスという選択肢|Interview|IRISTORIES
セットアップオフィスに関する詳細はこちらの記事でも解説しています。
フレキシブルオフィスを導入するメリット
フレキシブルオフィスが注目されている理由を、メリットの側面から解説します。どのようなメリットがあるのか把握したうえで導入を検討しましょう。
■コストを削減できる
フレキシブルオフィスは、基本的に入居時の内装工事や退去時の原状回復が不要です。そのため、従来の賃貸契約と比較して少ない費用で利用できます。多くの場合、ネット環境やプリンタ、コピー機などが揃っているため、設備面のコストも削減可能です。
多くのフレキシブルオフィスは月単位での契約が可能で、なかには1日だけの利用が可能なサービスもあります。使いたい期間だけ契約することができるため、無駄なコストがかかりません。
またフレキシブルオフィスを利用することで社内に常駐する人数を減らせるため、社内のスペースコストも節約できます。一つの拠点に要するコストが低くなることで、必要に応じて複数の拠点を契約することも考えられます。
■オフィス移転がしやすい
オフィス移転のハードルが低く、人員が増加したり組織の変動があったりした場合にも対応しやすいメリットがあります。
オフィスタイプによっては、デスク・棚などのオフィス家具やプリンタなどの設備は備え付けのため、オフィス移転時に移送する必要がありません。電気やネット開通の工事なども不要なので、契約さえ締結すれば移転先ですぐに業務を始められます。
契約から入居までの期間が短いため、組織の変化に合わせて柔軟にオフィス環境を整えられます。
■多様な働き方を実現できる
フレキシブルオフィスは多様な働き方を実現できるため、居住地に関係なく優秀な人材を確保しやすくなります。家庭環境など状況に応じて働き方を変えられるため、社員の離職対策につながることも期待できます。多様な働き方を実現している企業として、新規採用時にもアピール可能です。
近年、政府がテレワークを推奨していますが、フレキシブルオフィスはテレワークの拠点としても適していると考えられます。新しい働き方に合致したオフィスとして、今後もフレキシブルオフィスの注目度は高まっていくと見られています。
フレキシブルオフィスを導入するデメリット
ここからは、フレキシブルオフィスを導入することで、生じる可能性があるデメリットを解説します。
■セキュリティ面のリスクが高まりやすい
コワーキングスペースやシェアオフィスは他社と同じスペースを共用利用するため、セキュリティ面のリスクはどうしても高まってしまいます。
特に秘匿性の高い内容を扱う際は注意が必要です。電話の会話内容を聞かれたり、パソコンの画面を見られたりする可能性があります。
そのため、離席する際はデスクの上に資料や書類を放置しない、パソコンの画面はロック状態にするなどの配慮が必要です。施設のプリンタやコピー機を利用した際には、原本や印刷物を置き忘れないように注意しましょう。
最近では、防音性を備えた電話ブースを設置しているところもあります。ただし、他の利用者が使用していて使えないことも出てきます。共用スペースで電話に出る機会も多く想定されるため、フレキシブルオフィス内で電話するときは、他者の目があることを常に意識しましょう。
個室タイプのレンタルオフィスであればセキュリティ面は比較的安心です。しかし、インターネット通信で施設に備え付けのWi-Fiを利用するのであれば、やはりセキュリティ面に注意する必要があります。
高いレベルのセキュリティを求めるのであれば、個別のネット回線を引き込むことが可能か、オフィスの管理会社に相談することも検討すると良いでしょう。
オフィスのセキュリティ対策に関する詳細はこちらの記事でも解説しています。
■自社設備や私物の管理が難しい
シェアオフィスやコワーキングスペースには、サーバーやデスクトップパソコンなどの機器を常に設置しておけるスペースがありません。また、持ち込める荷物や資料の量も限られます。私物を持ち込む場合は、その管理にも気を配る必要があります。
退出時は持ち込んだ資料や私物を忘れずに持ち帰りましょう。特に資料の置き忘れは、情報漏えいにつながる可能性が高いため注意が必要です。オプション料金を支払うことによって、鍵付きのロッカーを利用できる場合もありますが、収納できる量には限りがあります。
サービスオフィスやレンタルオフィスなど個室タイプであれば、ある程度のスペースを確保できて、パソコンやサーバーを常時設置したままにできる場合もあります。細かいルールは施設によって異なるため、気になる点は契約前に確認しましょう。
私物の管理方法に関する詳細はこちらの記事でも解説しています。
フレキシブルオフィス導入を成功させるポイント
フレキシブルオフィスの導入を成功させるために知っておきたいポイントを解説します。導入の際は、ここで解説する内容を意識して進めるのがおすすめです。
■業種や働くスタイルに合わせてオフィスの種類を選ぶ
フレキシブルオフィスには種類があり、それぞれ異なる特徴を持っています。そのため、業種に合わせて最適な種類のオフィスを選ぶことが大切です。
・コワーキングスペース
コワーキングスペースはリーズナブルな料金で利用できるため、小規模な会社や個人のワークスペースとしておすすめです。利用者同士の交流が活発なため、異業種との出会いや新しい取引先の開拓なども期待できます。
・シェアオフィス
もう少し高いセキュリティや設備の充実を求める企業や個人には、シェアオフィスがおすすめです。コワーキングスペース同様に共有スペースタイプですが、オフィスとしての機能がより充実しています。
・レンタルオフィス
個室のワークスペースが必要な場合は、レンタルオフィスがおすすめです。さらに受付や秘書などのサービスを求める場合は、サービスオフィスの導入を検討すると良いでしょう。レンタルオフィスやサービスオフィスは、コストを抑えたい企業やスタートアップの拠点としても適しています。
・バーチャルオフィス
自宅で仕事をしている個人事業主やフリーランスの人には、低コストで住所のみ借りられるバーチャルオフィスが便利です。バーチャルオフィスを契約することで、自宅の住所を取引先に伝えずに仕事をしていくことが可能です。
・セットアップオフィス
業種的におしゃれな雰囲気が必要な企業や、内装にこだわりたい企業にはセットアップオフィスが向いているでしょう。プロのデザイナーによる内装によって、会社のブランディングを高める効果も期待できます。
■費用とサービス内容で比較検討する
同じ種類のフレキシブルオフィスでも、費用やサービスは提供している会社によって大きく異なります。インターネット上には、レンタルオフィスやサービスオフィスなど、種類別にご紹介しているサイトがあるため、比較検討すると良いでしょう。
比較サイトには、施設ごとに料金やサービス、住所などの情報が掲載されています。写真も掲載されているため、室内の雰囲気やデザインなども比較可能です。条件を指定して、合致するオフィスを検索する機能も備わっています。フレキシブルオフィス選定の際は、積極的に活用するのがおすすめです。
費用面では、初期費用とランニングコストに注目しましょう。初期費用として考慮しなければならないのは、フレキシブルオフィスの新規契約料です。提供している会社によっては、事務手数料や保証会社の利用料金なども必要になります。ランニングコストは、月額料金とオプション料金の使用料を考慮すれば良いでしょう。
さらに、もし現在のオフィスを引き払う場合は、そちらの退去にかかる費用も計算する必要があります。退去に関わる費用は原状回復費、家具や機器の持ち運び、不要な物品の処分費用などが考えられます。
■公共交通機関の利便性を考慮する
従来のオフィスと同じように、フレキシブルオフィスでも立地は重要です。社員にとって通いやすい場所にオフィスを設けることで、生産性の向上や業務の効率化が期待できます。通勤に要する時間が減って働きやすくなれば、離職率の低下につながるかもしれません。
通いやすさを考慮するのであれば、できる限り公共交通機関の利便性が高く、幹線道路から近い施設を選びたいところです。
都内の一等地など土地が高い地域でも、フレキシブルオフィスであればリーズナブルな金額で契約できる可能性があります。今のオフィスより低コストで、より交通の便が良い場所に拠点を設けることも可能になるでしょう。
特定の業種が集まりやすい地域もあるため、自社の業務内容に合わせて場所を選ぶこともおすすめです。周囲に同業種が多ければ、そこから新しい仕事につながることもあるかもしれません。
まとめ:フレキシブルオフィスで社員の働き方改革を実現
フレキシブルオフィスを利用することで、多種多様な働き方が可能です。従来のオフィスと比べて、移転のコストやランニングコストが抑えられ、短期間の契約ができることもメリットです。政府が推進しているテレワークにも適したオフィスとして注目されています。
フレキシブルオフィスには、共有スペースで仕事をするコワーキングスペースやシェアオフィス、専有個室で仕事ができるレンタルオフィスやサービスオフィス、内装工事済みのセットアップオフィスなど、異なる特徴を持った種類があります。
業務内容や予算などを考慮して、最適な種類を選ぶことが重要です。フレキシブルオフィスは新しい働き方に対応したオフィスとして、今後も増えていくことが予想されます。上手に活用して社員の働き方まで改革しましょう。