【2023年最新版】オフィスリノベーションの成功事例5選を紹介
オフィスレイアウト・デザイン・設計
建物や内装が劣化したオフィスでも、リノベーションで新たな空間を生み出すことが可能です。リノベーションとは既存の建物に手を加えて、これまでよりも機能や価値を向上させることです。
オフィスをリノベーションする際には、空間がどのように生まれ変わるのか他社の事例が参考になります。
そこでこの記事では、アイリスチトセが手がけたオフィスのリノベーション事例をご紹介します。リノベーションに向けた具体的な施策や成果・効果も紹介しているので、ぜひご参考ください。
目次
TSBスパークル
■【動機】
TBSスパークルは二度にわたりリノベーションを行いました。一度目の改装は、グループの製作会社11社が統合して生まれた同社の設立年である2019年。当時は従業員同士のコミュニケーター活性化を期待し、部署ごとにブロック分けしました。
その結果、従業員の部署内での交流は増えたものの、会社全体としての横のつながりや関わりは思うように増えませんでした。そこで部署ごとにブロックにわけるのではなく、働き方によってブロックをわけることで、社内の一体化を目指したということが、今回の目的の一つです。
また、経営方針にはTBSグループとして放送以外の事業を飛躍的に成長させるという方針があり、スパークルとしてもこれまでの放送事業中心から、さらにクリエイティブを拡張するために、部署の壁を超えてもっと自由に交流して、これまでの価値観を超えたイノベーションを起こしていく必要がありました。
グループ会社の統合によって従業員が増えたことで、社会的責任を果たすためにSDGsへの取り組みを強化したいといった狙いもあります。
■【具体的な施策】
TBSスパークルでは従業員同士の部署を超えた交流を目指すために、「LOUNGE18」と呼ばれる交流スペースを設置しました。「LOUNGE18」の設置にあたってはアイリスチトセと利用実態調査を実施し、将来的にも利用価値が十分にあると判断しています。
また、多様な働き方が求められる中、快適な環境で働くことが仕事の効率化にもつながると考え、働く場所を自由に選べるようにすることを重視しました。
SDGsへの取り組みの一環としては、「SHARE DOCK」と呼ばれる場所を設置しています。「SHARE DOCK」とは、余った備品や不要になった文具を捨てずに寄付し、必要な人に自由に使用してもらう取り組みです。
■【成果・効果】
働く場所を選べるようになったことで、一人ひとりが働き方について改めて考えるようになりました。持ち回り制や時間によって仕事を分担するなど、働き方を工夫する様子が見えるようになっています。
まるでカフェのような交流スペース「LOUNGE18」は、社内イベントでも使用されています。設置後に実施したアンケートでは従業員から好意的な意見が多く、満足度の高い結果になりました。
「SHARE DOCK」は強制せず、余ったものを使いまわそうという感覚で取り入れたため、従業員にも抵抗なく受け入れられています。TBSスパークルのオフィス改装に関するインタビューは、こちらの記事に掲載しているのでぜひチェックしてみてください。
経済産業省
■【動機】労働環境の改善
経済産業省の建物には本館と別館があり、それぞれ什器や設備が老朽化していました。本館の改装にあたっては1年目に現状把握、2年目にオフィス改装と働き方改革の方向性を検討、3年目に改装という経緯で進めることになりました。
改装する前には、従業員の要望やコメントを受け付ける投稿サイトを設置しています。投稿サイトには多様な意見が寄せられましたが、中でも多かったのは労働環境の改善を求める内容でした。
その結果、今回の改装は単なるオフィス改装で終わらせず、従業員の労働環境を改善し、働き方改革につなげなければならないと意識したことが動機の一つです。
■【具体的な施策】
経済産業省は、オフィス改装にあたって次のような施策を講じました。
- フリーアドレスの導入
- ペーパーレス化
- METIグリッドの導入
従業員の労働環境を改善することを目的として、フリーアドレスとペーパーレス化を推進しています。現状ではフリーアドレスは一部でしか運用されていませんが、ABWやテレワークといった多様な働き方を提供することで、働き方改革の実現につなげていく方針です。
また、経済産業省のオフィスには、「METIグリッド」と呼ばれるレイアウトを導入しています。「METIグリッド」とは、レイアウトの基本となるエリア単位と1グリッド内の配席を設定することで、オフィスに適した形で効率的な空間利用を実現する考え方です。
■【成果・効果】
オフィスの改装後、従業員からは「綺麗になった」「スペースが広くなった」「オフィスに来るのが楽しくなった」といったポジティブな声が多く寄せられました。フリーアドレスは、従業員の席が毎日変わります。
就業後は毎日デスクを片付けて帰宅するため、オフィス全体が綺麗な状態に保たれています。さらに、従来型のレイアウトのように役職席が決まっていないことから、立場を超えたコミュニケーションの活性化が目立つようになりました。
また、ペーパーレス化により書庫が減り、使用できるスペースが広がったため、何らかの目的での有効活用が期待されています。1グリッド最大4人の配席を原則としたMETIグリッドを導入したことで、スペース内を整理できました。
クローズドの会議室が足りないときは、幹部の少ない部局の会議はオープンスペースの利用を推奨するなど、柔軟性を高める運用での対応を検討しています。経済産業省のオフィス改装に関するインタビュー内容は、こちらの記事で詳しく紹介しています。
第一カッター興業株式会社
■【動機】
第一カッター興業株式会社がオフィス改装に至ったきっかけは、従業員の増加によって社屋が手狭になったことです。これまでは利用していなかったフロアを改装し、本部機能のフロアを移転することになりました。
また、取締役管理本部長からは、今回の改装にあたって、若いメンバーや女性従業員を中心にプロジェクトを遂行して欲しいとの要望がありました。プロジェクトメンバーには若手の中でも次世代のリーダーになるような従業員を選出し、働きやすい環境を目指すことに決めているという背景があります。
■【具体的な施策】
従業員が働きやすい環境を目指すために、第一カッター興業株式会社が実施した具体的な施策は次のとおりです。
- 「見える化」
- 上下昇降デスクの導入
- ABWを意識したレイアウトの導入
- フリースペースの設置
改装前に実施した従業員へのヒアリングでは、「役員室に入りづらい」「閉ざされた会議室で誰が何をしているのかわからない」といった声がありました。これを受け、役員室や研修室には「見える化」という方法でアプローチしています。
ほど良い緊張感がありつつ、集中力が上がることを期待し、役員室と研修室はガラスパーティションで仕切っています。見える化は従業員と役員がコミュニケーションを取る機会にもなるため、エンゲージメントの強化にもつながると期待しています。
また、働きやすい環境を実現するために、上下昇降デスクやABWを意識したレイアウトを導入しました。上下昇降デスクを活用してスタンディングワークを促し、従業員の健康にも配慮しています。
■【成果・効果】
本社機能を持つ部署が集まるスペースは、開放感ある空間に仕上がったため、自然と社内コミュニケーションが活性化しました。新たに設置したフリースペースでは、簡易的な打ち合わせや資料を広げた作業、気分転換などの多目的に利用されるようになりました。
従業員の声を反映して働きやすい環境になったため、オフィスの改装後はエンゲージメントの向上につながっています。以前は、採用面接を殺風景な場所で実施していましたが、開放的で雰囲気が良くなった場所に応募者を招けるようになったため、胸を張って採用活動ができるようになりました。
なお、第一カッター興業株式会社のオフィス改装に関するインタビューは、こちらの記事で紹介しています。
村田機械株式会社
■【動機】
村田機械株式会社がオフィスを改装した目的は、ワークスペースの拡大と社内コミュニケーションの活性化です。従業員が増えたことで、オフィスが手狭になっていました。さらにスペースが区分けされていることにより、部署間のコミュニケーション不足を課題に抱えていました。
このような状況を受け、当初は移転を検討していたという実情があります。しかし、移転ではなく改装に方針を変更した理由には、本社や大阪支社ですでに導入されていたフリーアドレスが大きく関係しています。
新型コロナウイルス感染症拡大により、在宅勤務の従業員が増えたため、フリーアドレスを導入すれば課題を解決できるのではないかと考えたためです。
■【具体的な施策】
村田機械株式会社はフリーアドレスの導入を軸に、オフィス改装で次のような施策を講じています。
- フリーアドレスの導入
- コミュニケーションスペースの設置
- 従業員が「動く」仕組みを導入
- 什器の刷新
- コミュニケーションツールの導入
事前に従業員の意見を聞くと、自分のデスク席を確保したいという声が多く寄せられたため、フリーアドレスへの理解が難しい状況でした。しかし、共有スペースもデスク席として使用でき、全員分のデスク席を確保できることを強調し、従業員の理解を得ることに成功しました。
また、従業員同士のコミュニケーション活性化を期待し、空間の中心には開放的なコミュニケーションスペースを設置。オフィスの端には個人ロッカーやコート掛け、自動販売機を設置するなど、従業員の声をできるだけ反映するよう工夫しています。
■【成果・効果】
コミュニケーションスペースを確保することで、従業員同士が声をかけやすくなりました。個人ロッカーや自動販売機をオフィスの端に設置することで、従業員がオフィス内を動き、コミュニケーションが生まれやすい環境を構築できたと実感しています。
また、什器を刷新したことにより、従業員からポジティブな反応が多く見受けられ、満足度の向上につながりました。現在は、事業部ごとにフロアを区分けして運用しています。しかし、今後は事業部に関係なく、オフィス全体をフリーに利用できることが期待されています。
村田機械株式会社の詳しいインタビュー内容は、こちらの記事に掲載しているので、ぜひご一読ください。
合同会社DMM.com
■【動機】
近年は新型コロナウイルス感染症拡大を機に、テレワークやオンラインでの商談が増えるなど、働き方が多様化しています。このような状況下の中、在宅勤務率が上がってきたため、従来のようなオフィススペースが不要になったことで、フロアの縮小を行いました。
その後、アフターコロナを見据えた中で出社率が増加したことで、Web会議の音やコミュニケーション問題などの新たな課題が浮上してきています。合同会社DMM.comでは多様な働き方への対応や労働環境の改善に向けて、オフィス改装プロジェクトが立ち上がりました。
■【具体的な施策】
合同会社DMM.comでは、オフィス改装にともなって次のような施策を講じています。
- フリーアドレス席の集約
- 個室ブースの導入
出社した従業員がコミュニケーションを取りやすいように、フリーアドレス席をまとめました。空間全体が見渡せるレイアウトにすることで、座席表がなくても自由に利用できる場所がわかるように工夫が施されています。
フロアを縮小すると、Web会議やオンライン商談をする際のストレスが懸念されます。課題を解決するために、スペースの一角に複数台の個室ブースを導入しました。
また、合同会社DMM.comはプロジェクトチームを立ち上げるにあたって、チャレンジとして東京と金沢にそれぞれ勤務する、エリアをまたいだメンバーをアサインしました。
■【成果・効果】
フリーアドレス席をまとめたことで、全部署の従業員と必然的に関われるようになりました。エリアをまたいだチーム編成により、離れた場所にいるメンバー同士との絆を強めることにもつながっています。
さらに、普段の業務では関わらない従業員と接する機会が増えたことで、今後の業務にも役立つ関係性を構築できました。今回のプロジェクトを通して、実際に改装するオフィスに勤務しない遠方の社員でも、コミュニケーションツールなどをうまく駆使することで、オフィス改装といった大規模プロジェクトを遂行できるということを実証させました。
今後は、オフィスを「行きたくなる場所」にしていく必要性があると感じています。オフィスが「行きたくなる場所」になれば企業のアピールポイントにもなるため、優秀な人材の獲得も期待できるでしょう。
なお、合同会社DMM.comのインタビュー内容は、こちらの記事で紹介しているので、ぜひチェックしてみてください。
まとめ:リノベーションによって自社が抱える課題を解決しよう
オフィスをリノベーションする際には、単に建物を作り替えるのではなく、機能性を重視することも大切です。アフターコロナが見据えられ、オフィスに出社する従業員が増えている中で、労働環境の改善を図る必要もあります。
まずは自社が抱える課題を整理し、何をどのような形で解決したいのかを検討してみましょう。適したプランは企業によって異なるため、オフィスデザインの専門家に相談するのも手段の一つです。
アイリスチトセでは、プランニングから引越までをトータルでサポートさせていただきます。企業が抱える課題の解決に向けて、全力でサポートさせていただきますので、ぜひ一度ご相談ください。