【インタビュー】第一カッター興業株式会社「オフィス改装が生むエンゲージメントと採用への効果」

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【インタビュー】第一カッター興業株式会社「オフィス改装が生むエンゲージメントと採用への効果」

建築物の解体を行うことで社会に安全と安心、社会インフラの維持修繕を支える専門工事会社、第一カッター興業。

2022年12月に神奈川県茅ヶ崎市にある本社オフィスを改装したプロジェクトについて、本案件で結成されたプロジェクトメンバーにお話を伺いました。

若手に任されたオフィス改装プロジェクト

メンバー紹介(画像左から)

管理部総務課 杉浦 千登世様、管理部給与課 下枝 章子様、管理部総務課 金澤 峻介様、管理部システム課 林 久司様、人事部人事課 蝦名 史典様

(この他、財務経理部経理課 中江 健吾様、人事部人事課 岡本 美緒様を合わせた合計7名がプロジェクトメンバー)

 

本日はよろしくお願いいたします。

まず、金澤様にお伺いしたいでのすが、第一カッター興業の主な事業内容を教えていただけますでしょうか。

金澤:建設会社の多くは作ることを仕事としていますが、弊社は「切る」「はつる」「洗う」「剥がす」「削る」の5つの技術を駆使して老朽化した社会インフラの維持メンテナンスを行っています。例えば空港、鉄道、ドーム、橋、発電所、ダムといったものを様々な特殊技術を用い、コンクリートやアスファルトを破壊することで社会に貢献しています。

ありがとうございます。

今回こちらの本社オフィス改装することになった経緯を教えていただけますか。

金澤:社員が増えるにつれて社屋の中が手狭になったことがきっかけで、以前は利用していなかったこの5階のフロアを改装して、2階にあった本部機能のフロア移転を行おうということになりました。改装の経緯自体はすごくシンプルなのですが、上長である取締役管理本部長からは若いメンバーや女性社員を中心に作り上げていってほしいという指示をいただき、私が指揮をとることになりました。いきなりすごいものを任されたなという思いも少しあったのですが、それ以上にこうやって任せてもらえることで、大胆に働く環境を変化させられるのでは、とワクワクしました。 

今回金澤さんが中心となられたこのプロジェクトメンバー7名は、どのような形で構成されたのでしょうか?

金澤:お互いに意見が言いやすいメンバーということと、各部署から若手の中でも、次世代のリーダーになるような人たちを選出しました。

このメンバーで働きやすい環境を目指そうという目的の下プロジェクトがスタートしました。

ブランディングを取り入れたオフィス改装

改装にあたって、何か課題を解決したかった点であるとか、改装をきっかけに目指した方向性はありますでしょうか?

金澤:今まではコストを最低限に抑え、困らない程度で普通に使えればいいなという感じのオフィスでした。なので十分な広さの休憩スペース等もなくて。

今回移設先の5階は、施工前は仕切りもほぼ無くレイアウトの自由度も高かったので、ただ使いやすくてきれいなオフィスをつくるだけでなく、2021年に策定した中期経営計画に沿ったリブランディング・プロジェクトや、エンゲージメントを強化する要素を取り入れようと考えました。あとはプロジェクトメンバーを中心として、単純に働きやすいという環境をつくるために、そういったレイアウトを作ろうということになりました。

御社のHPも拝見させていただいたのですが、非常にブランディングに凝ってらっしゃるなと感じました。あちらも中期経営計画のうちのひとつなのでしょうか。

金澤:そうですねまさに。

ここ12年くらいで始まったリブランディング・プロジェクトということで、社内公募で集まったメンバーで構成されたリブランディングチームが中心となって制作しています。

改装とは関係ありませんが、エントランスの月でしょうか、宇宙のイラストも何かテーマがあるのでしょうか。

:「街の道路から宇宙まで」、どこからも声がかかる、将来としては月からも依頼が来るような会社になりたい。そのような意味が込められています。 

エントランスに展示されているイラスト

素晴らしいですね。中期経営計画で策定されたリブランディング・プロジェクトだったのですね。

ちなみに、どのようなテーマを掲げているのでしょうか。少し抽象的かもしれませんがこういう会社でいようというようなものはありますでしょうか。

金澤:就業者が減っている建設業界の中で、「人を大切にしながら持続可能な成長」を実現していきたい。そういった想いもコーポレートサイトに表現されています。

 林:採用面でも力を入れているので、デザインもそういったことを意識しているのだと思います。

承知しました。

そのような想いがある中で、今回のプロジェクトはそれをどう形にしていったのでしょうか?

金澤:先ほど申し上げたブランディング強化の施策のなかに、「コンプライアンスを真ん中におく企業文化をつくる」というものがあって、オフィスのレイアウトに関してコンプライアンスというと「誰が、どこで、なにをしているのかがわかる。」そういった状態だと定義して、役員室、会議室などの壁をガラスパーテーションにしました。

メンバーへのヒアリングでも役員室に入りづらいであるとか、閉ざされた会議室や応接室で誰が何をしているのかがわからないといった意見があったので、そのような課題に対して「見える化」という方法でアプローチしました。

例えば役員室の前に大きな会議室があって、そこでは新人研修を含めた教育的な研修が行われるのですが、それを想定してこのような配置にしました。

このレイアウトでは役員が研修等の様子を見ることができますし、研修を受ける側にも見られているという、ほどよい緊張感が生まれて集中力があがるのではないかと思っています。この「見える化」は、単に見えるだけでなくエンゲージメントの強化につながると期待しています。従業員側も役員と話す機会もそう多くはないので貴重なコミュニケーションになるのではないかと。

オフィス改装で増えたコミュニケーション

今回のオフィス改装により、レイアウトなどに変化はありますか?

金澤:ここは本社の管理本部でして、総務課、人事課、経理課、システム課等の本社機能をもっている部署がおります。

部署ごとに島を作っている点は5階でも変わりません。ですけど、理由はわかりませんが不思議と会話が増えたように感じます。

:こちらの方が解放感がありますしね。

金澤:話しやすい雰囲気がでているのかもしれませんね。

それは金澤さんが意図した効果でしょうか。

金澤:いいえ全く意図しておりませんでした(笑)

高野さん(チトセ営業担当)、逆に当社からはどういった提案をしたのですか。

 高野:楽しい職場にしたいというお話があったので、以前の職場を拝見した際、島ごとでみなさん固まっていたので、上下昇降デスクを導入してスタンディングワークを促し、健康と会話が生まれやすいように、ABW(Activity Based Working:仕事内容や気分に合わせて、働く場所や時間を自由に選ぶ働き方)を意識したレイアウトをご提案しました。

 

弊社からはそういったコミュニケーションが生まれるような提案をしていたのですね。

上下昇降のお話がありましたが実際にそれは今使われているのでしょうか?

金澤:はい。使っていますし、他部署の人からもいいなと言われています。

正直なところ、最初はあまり健康に配慮したオフィスは考えていなかったのですが、(営業担当)高野さんより健康の提案を受けて、そのまま取り入れてみようかなという感じで取り入れました。

蝦名:現場の要望については、ブレインストーミング的に要望を出していき、そこからみんなで言いたい放題に言って金澤さんを困らせていました(笑)。

その沢山の意見や要望を叶えてもらったことが、働きやすさにつながっているのではないかなと考えています。

社員の内に秘めていた想いが実際にカタチとなったことで、社員のエンゲージメントも高くなっているのではないでしょうか?

金澤:そうですね本当に言いたい放題でしたからね(笑)。

どのように意見を集めていったのでしょうか。

金澤:グーグルのスプレッドシートで意見を集め、可能な限り実現できそうなものから取り入れていきました。

新しいオフィスについて、社員さんの反応はどうでしたか?

 金澤:社内外問わず「きれいですね。」とか「大企業らしくなったね。」とか、いろいろお褒めの言葉はいただいています。機能的には、今までになかったものを取り入れたので受け入れてもらえるのかが不安でしたが、フリースペースですとか、フリーアドレスデスク、電動昇降デスク、といったものを多くの人が使っているのをみて、「ああ、正解だったんだな」と感じています。

フリースペースというのはどういったシチュエーションでつかうのでしょうか?

金澤:ちょっとした打合せですとか、少し資料を広げたい時、あとは単純に気分転換にという目的で使われています。

杉浦:以前の2階にはそういったものは皆無でしたので、打合せがしやすく、それがコミュニケーションにつながっているのだと思います。

蝦名:前のオフィスは会議室の取り合いだったんですよ。今は自由に打合せができるので、今あの人がきているからこの話しようかな?といったようなコミュニケーションのしやすさにつながっています。

会議室だけですと、時間を決めてその時にしか話せないとなりがちですが、今はフリースペースがあるので、時間を定めなくてもちょっとしたときに打合せができています。

会議室の打合せとは異なり、資料を使わなくても完結するような話し合いがどんどん増えています。

下枝:今まで各机で少しだけ話していたのを、「じゃあちょっとあっちのフリースペースで話そうか」といってコミュニケーションが生まれますので、いいエリアができたなあと思います。

蝦名:それから、あの人今どこにいる?が減りました。オープンなスペースで見渡せば見つかるので。

まさしくABWですね!

働きたい仕事内容に応じて自分で場所や要素を選んで使う方法に自然となったということですね。

オフィス改装は大変なプロジェクトだと思うのですが、今回のプロジェクトを経て得られたものや新しく出てきた課題はありますか。

金澤:ボトムアップでいろんなことを決めてきたので職場環境の満足感は比較的高いかなと思っています。管理本部の管理職は50代くらいの方々が多いのですが、次世代の若手だけでやってできたものは今回が初めてなので結束が深まりました。

社員の健康をサポートするオフィスへ

最近は若手の母数自体が減ってきていて、企業にとっては雇用も大変ですし入ってきて辞められても困る…という中で、働く価値の向上、社員のエンゲージメントをどう上げるかという答えの1つとして、オフィスを働きやすい環境にするトレンドがあります。

各社それに対して企業ごとの考えや要素を取り入れたりしていますが、御社は働く価値の向上に向けて実行している取り組みや、課題などございますか。

金澤:今回のフロア移転の際にペーパーレス化を推進しようと思ったのですが、単純にシステム化といっても片付けられない問題も多く官公庁の押印書類だとかそれに付随する書類は50年以上捨てられないものもあって、なかなかそのあたりはあまり進められなかったので、解消できるように今後取り組んでいきたいと思っています。

蝦名:採用面で言うと、以前は殺風景なところに学生にお越しいただき面接を行っていたんですが、今は開放的で雰囲気も良くなったので、胸を張って採用活動ができるようになりました。

新人研修も社長や役員からは皆頑張っているな、であるとか疲れてそうだな、声かけようかな、となりますし、そういった面で会話が増えるのではないかと考えています。

お話を聞いていると、採用活動にも役に立っていて、入社した社員にも自分たちの会社のブランドを誇りに思ってもらえていると感じます。

他に変化はございますか。

金澤:照明にLiCONEXという無線照明制御システムを使用しているのですが、照明の色が時間とともに変化して、夕方になるにつれて照度も落ちて暖色になることで早く帰ろうという気になりますし、帰る時間だなという意識づけはかなりされているのではないかと思います。

:夕方にそろそろ帰ろうとラストスパートをかける気分になるので、生産性があがってなかなかいい試みだと思います。

金澤:また、今回健康面に関してかなりご提案をいただき、そのうちの1つ、サイクリングチェアも私の上司がよく使っているのですが、そのような光景を見て、もっと健康を意識したものを取り入れてオフィスを良くしていくべきだなと感じています。

社員の健康をバックアップするということはSDGsにもつながり、更にはブランディングにも寄与する要素でもあるので、今後はそういったところを進めていきたいですね。

 

本社機能をもつ部署のフロア移転・改修を行った第一カッター興業様にお話を伺いました。近年は人材確保が難しい時代。オフィスが綺麗になると、面接や研修にきた人の印象もガラッと変わり、入社率やエンゲージメントアップにつながる良い取り組みではないでしょうか。フロア移転後すぐのインタビューでしたので、まだまだこれから若手のプロジェクトメンバーで盛り上げていくぞ、という意気込みを感じました。

本日は貴重なお話をありがとうございました!

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