フレキシブルなオフィス設計

Interview

所在地 兵庫県神戸市
クライアント 株式会社サンテレビジョン
業種 放送事業
完成年月 2021年6月

移転をきっかけに働き方改革へ

兵庫県を放送対象地域とする、株式会社サンテレビジョン様が2021年6月に移転されました。そこで今回は、社屋移転プロジェクトに携わった放送運営センター長の西村俊明様にお話を伺いました。

※感染対策を行った上で取材を行っています。

早速ですが、オフィスを移転された理由を教えていただけますか?
私たちサンテレビは、1968年に設立し翌年1969年に神戸市長田区を本社として開局しました。
その後、「神戸ポートアイランド博覧会」(愛称・ポートピア’81)を機に、ポートアイランドに本社を移転しました。それから40年。カメラは、アナログからデジタル、そしてハイビジョンへ。時代の変化や機器の老朽化に対応するため幾度となく設備の更新を行っており、2021年に放送機器入れ替えの年を迎えることになったことが一つ。

また設備についても懸念材料がありました。
例えば、災害等で長時間の停電が発生した場合、自力で72時間以上の放送継続が必要ですが、旧社屋では、約8時間分しか担保できず、放送継続するには燃料補給しつつ対応するしかありません。
また、該当の発電機は、地下に設置されており津波の影響も危惧されていました。

このような様々な要件から2017年に移転決定となり、翌2018年に社屋移転プロジェクト室を立ち上げ移転実施計画がスタートしました。

放送設備更新の検討はもとより、昨今の情勢から働き方改革や新型コロナウィルス対策も考慮しつつオフィスの検討を行いました。

2018年から社屋移転プロジェクトを立ち上られたとのことですが、この場所(神戸駅前)に決められた理由はありますか?
放送局という職業柄、様々な情報の収集や発信が必要であるからです。
また、サンテレビは摩耶山から放送波を発射していますので、このアンテナが見通せる場所であることなど様々な条件から決定することとなりました。

放送局というと特殊な業界かと思いますが、どういった組織体制なのでしょうか?
ざっくりとですが、一般職が約7割、技術職が約3割です。
平日の本社勤務者は、アルバイトや業務委託先の方などを含めて120名程度です。

一般職は、一般企業にもある総務、財務や営業もありますが、他に編成や報道、制作、阪神戦など中継担当のスポーツ、メディアなどがあります。
技術職もスタジオや中継番組に携わる技術や放送を監視するマスター、送信所や中継局を管理する送信管理など多岐にわたります。よって勤務体系(働き方)もバラバラで別会社のようなところがあります。

移転に伴って社内の意見はどのような方法で集約されましたか?
レイアウトは、総務と私の3名とコンサルティング会社の意見を伺いながら行いました。
特に什器選考は、予算と各部集約をスムーズに行うため事務局側で各部変更可能範囲を決め、その中から各部で選考してもらうというアンケート形式で行いました。また、問題点や不明な点は、都度、各担当を呼び出し確認し決定としました。

シームレスな移転計画

移転計画を実行するにあたって大変だったことはありますか?
当初、移転費用を抑えるために元々使用していた什器をそのまま持ち込もうと考えていました。
しかし、什器を移設するとなると引越の費用もかさみ、引越作業もかなりの時間が必要であることが判明しました。放送を休止することなく、スムーズな切替を実現するため、什器費と引越費を合算で検討し、新規什器購入をすることができました。

2020年12月25日に社屋引き渡し、翌1月の放送設備工事から6月中旬の切り替えまでずっと現場に張り付き、20を超えるメーカーさんの全体工事スケジュールの調整を行いました。現場では時事様々な問題がありましたが、皆様のご協力により予定通り進めることが出来ました。引越は、スタジオ系と放送系の2回に分け、搬入時間や経路、機器の切替作業など、詳細タイムスケジュールや手順書などの資料を元に実施。お陰様でコロナ禍中の厳しいスケジュールを無事に完了することができました。ご尽力いただきました各メーカー様はじめアイリスチトセ担当の古山様には、この場をお借りし改めて御礼申し上げます。

コミュニケーションとモチベーション

移転するにあたってこだわった部分はありますか?
いくつかありますが、レイアウトでいうと導線に非常にこだわりました。
旧社屋では、度重なる組織改編や人事異動毎にデスクを入れ替えたあげく、デスク間(通路)も狭くなりました。
移転を機に、これらを解消すべくフリーアドレスデスクを導入しました。
動線確保のため、一人当たりデスクサイズを奥行600mm(以前より100mm短く)にすることにしました。
単に小さくでは、クレームの嵐?!になることも想定していたのですが、今回、事務パソコンのサイズダウンが決まっていたので、大きな問題にならずに決定できました。

大きな声では言えませんが、デスクを小さくなれば、机上に物が置けなくなりペーパーレスが促進されるのではという狙い?願いもあります。

椅子には拘りましたね。座り心地は、生産性向上に繋がるはず?!と考え、大阪の心斎橋にあるショールームで、各種シリーズの椅子に座らせていただき確認させていただきました。

また、明るい雰囲気を作ってみんなのモチベーションを上げたいと考えていましたので、色見も悩みましたが、カタログを参考にカラフルな椅子を選考しました。

変化に対応できるオフィスへ

様々なセクションや業務内容がある中、今回の移転で働き方を変えようとされているとのことですが具体的にはどういった取り組みをされたのでしょうか?
フリーアドレスの導入と電子化(ペーパーレス)です。

まず移転に伴って、あらゆる設備をそれぞれが通常業務と兼務して更新をしていかなければいけません。
しかし、流石に手が回らないということで今回コンサルティング会社と一緒に移転準備を進めました。

最初に行ったのが「社内調査」です。
収納は、当然ながら物量が大切ですね。レイアウトの検討と並行して旧社屋の物量調査をしました。
調査後、新旧の収納量をファイルメーターに置き換えたのですが、収納が足りません。
これはまずい!ということで、捨てるものと電子化できるものを社内全体で精査することとしました。
やり方としては、各セクションで何割カットするという目標値を出しました。

次に、削減のため紙資料の「電子化保存」です。
作業は、社内で行いました。
複合機1台を電子化専用で準備。各セクションの電子化作業スケジュールを決め、順次作業を実施。約1年かかりましたが、かなり削減できたかと思います。

また、私たちは放送局なので映像のアーカイブも必要です。
フィルムもあれば、多種多様なテープがありました。それらをすべてLTOにデータ変換しました。
旧社屋では、あらゆる場所にテープが散乱していましたが、今では畳2畳分ほどのスペースで収まっています。

そして、フリーアドレスデスクの導入。
旧社屋では、機構改革や人が増減するたびに個人デスクの入替が発生していました。
経験された方はご存知かとお思いますが、OAタップにLANケーブルなどの調整も必要でしたので大変な作業でした。

先行して全てにフリーアドレスデスクを導入しましたが、実際のフリーアドレス化は一部のセクションだけです。今後、徐々の拡大できればと思います。

これらの取り組みを行ったことによって、働き方に変化はでましたか?
移転して間もないこともあり、まだ大きくは変わっていないと思います。
一部のセクションではペーパーレス化やフリーアドレスが動き出しましたが、全社対応には至っていません。個々の意識改革も必要かと感じています。
また、設備面ではWi-fi化を活かすためには、事務パソコンのモバイル化も必要と考えますが、入替にはあと2年を要します。
条件が整った段階で徐々に変わっていくものと期待しています。

※感染対策を行った上で取材を行っています。

社員の皆さまの移転後の反応はいかがですか?
以前は、業務の関連セクションが離れておりコミュニケーションを取るのが不便でした。
今回、導線を見直したことにより、コミュニケーションが取り易くなったと声が上がっています。
今後は、更に活気あるオフィスになることを期待します。

余談ですが、多くの社員は通勤時間が短縮されたと喜びの声も聞いています。

移転後の課題や、今後の展開をお聞かせいただけますか?
今回の移転では、災害に強いもテーマの一つであり什器の耐震固定や設備面の対応が前進しました。
次は、視聴者の皆様に如何に正確に早く伝えることができるかが大きな課題となってきます。
そのためには、働き方も変えていかなければなりません。
今回導入したフリーアドレスデスクは、一翼を担ってくれるのでは?そんな風に考えています。

最後になりますが、いつまでも地域の皆様に愛され続ける「いつもあなたのお隣サン」でありたいと思います。

放送局という業界の特性から、部署によって勤務体系が別会社のように違うという株式会社サンテレビジョン様。電子化やフリーアドレスの導入に至る経緯については、一般企業でもよく見受けられるお悩みですが、様々な働き方があるからこそ、今回の移転で「今」だけにフォーカスせずに時代の変化にあわせて柔軟な対応ができるオフィス作りについてお話いただきました。実際にオフィス内を見せていただいた際には、放送局ならではの機材の大きさや多さにも驚きました。

本日はありがとうございました!

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