【インタビュー】合同会社DMM.com 「エリアをまたいだメンバーで行うオフィス改装プロジェクト」

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【インタビュー】合同会社DMM.com 「エリアをまたいだメンバーで行うオフィス改装プロジェクト」

昨今新型コロナウィルス感染拡大の影響を受け、テレワークやWEBでの商談が普及するなど、働き方が変化・多様化してきてました。
この変化、多様化する働き方に対応するため、合同会社DMM.comはオフィス改装プロジェクトを立ち上げ、その一環で「TELECUBE by IRISCHITOSE」を一度に多くの台数を導入されました。
この改装プロジェクトについて、プロジェクトメンバーの組織管理本部 総務部 部長 高橋 応和様、石川総務グループ マネージャー 馬澤 麻弥様、六本木本社 推進グループ所属 篠﨑 友香様、六本木本社 総務グループ所属 秋山 隼様の4名に今回お話をお伺いました。

今回のインタビューはプロジェクトメンバーがエリアをまたいだ編成の為、インタビュー当日も馬澤様、篠﨑様はWEBミーティングツールを使ってのインタビューとなります。

【プロジェクトメンバー紹介】

組織管理本部 総務部 部長 高橋 応和 様
コロナ禍の働く環境を整える施策からリアルエステートマネジメントという「庶務から戦略まで」を一気通貫で担当。
今回のオフィス改装プロジェクトの統括PMを務める。

組織管理本部 総務部 石川総務グループ マネージャー 馬澤 麻弥 様(WEB参加)
石川県にある「金沢事業所」の庶務からビル管理までを担当することにより事業を支援。
今回のプロジェクトでは、東京から離れた石川という地から実務PMにチャレンジ。

組織管理本部 総務部 六本木本社 推進グループ所属 篠﨑 友香 様(WEB参加)
総務サービスの新規立ち上げや大規模をメインに担当。
今回のプロジェクトでは、馬澤とともにプロジェクトをリード。
多くの関係者とコミュニケーションするHubポイントにチャレンジ。

組織管理本部 総務部 六本木本社総務グループ所属 秋山 隼 様
東京の六本木本社で庶務全般を担当。
今回のプロジェクトでは、入社半年ながらも積極的に参加。
持ち前のフットワークの軽さを生かして、事業部とバックオフィスの間を取り持つ動きに尽力。

出社率の変化に対応したオフィス改装プロジェクト

まず貴社(合同会社DMM.com)の事業について教えてください。
高橋:当社は、「なんでもやっているDMM」というコピーのように、多くの事業を規模・領域を問わず展開しており、現在では約60事業あります。

貴社には「TELECUBE by IRISCHITOSE」を一度に多くの台数を導入いただきました。このフルクローズ型ブースの導入によって働き方に変化はあったのでしょうか。
高橋:今回、多様な事業を展開するオフィスのレイアウト改装を、総務部門が中心となって進めました。このレイアウト改装は大々的に「働き方改革をしよう!」という取組みというわけではなく、徐々に始まっていた働き方変化への対応として推進しました。

2020年に新型コロナウィルス感染拡大がはじまった際、出社を抑制し当時は出社率を2%まで下げました。
緊急事態宣言が明けた後は特に抑制せずに、事業にあわせて出社方針を判断してもらっていますが、出社率は20%を上回らない水準で推移しています。そのため、この六本木本社オフィスを5フロアから3フロアに縮小する検討を開始することになりました。

まず、はじめに、2021年度に本社内で大掛かりな座席移動を行い、「出社した人が集まる席」と「普段は人がいないフリーアドレス席」に集約しました。この意図は、出社した人が会話しやすいようにすること、「フリーアドレス席」をまとめることで座席表がなくても、どこを自由に使っていいかわかりやすいようにすることでした。また、「フリーアドレス席」がまとまっていると、視覚的に「席が空いているな」という印象が出社する人に伝わるので、フロア縮小にむけたメッセージングをしたいという目論見もありました。

とはいえ、2021年度は出社している人員が5フロアに分散していたため、フリーアドレス席も潤沢にあり、社内でWebミーティングを行ってもストレスがない状態でした。
しかし、オフィスの縮小によりフリーアドレス席が減ると、コミュニケーションストレスが増加することを予見し、「TELECUBE by IRISCHITOSE」を導入する意思決定をしました。

エリアをまたいだメンバー編成

コロナ禍で大規模なレイアウト変更を行われましたが、今回のプロジェクトメンバーについてはどのように選定されましたか?
高橋:各メンバーの強みを生かせるチーム編成を意識しました。
短期間で確実に多くの人数を動かしきる必要がある重要なプロジェクトでしたので、経験や実績とクイックレスポンスが得意なメンバーをアサインしました。

オフィスの移転や改装については、その拠点で勤務している人でプロジェクトメンバーが構成されることが多いと思います。しかし、例えば今回のプロジェクトメンバーである馬澤様は金沢という遠隔地で勤務されていますが、どういった意図なのでしょうか?

高橋:当社はコロナ禍に、Webミーティングを行うことが一般的になりました。コロナ前はエリアごとに総務の組織を分けていましたが、コロナ後は徐々に機能別の業務手順へ作り変えていっていました。
当社は社員からの問合せを受ける社内ツール「ヘルプデスク」を運用していますが、現在は全国の問合せをすべて金沢事業所で受けてもらっています。東京本社が地方の業務を集中管理するのでなく、地方事業所である金沢で全国の問合わせを受けてもらうという地方分権的な取組みも始めています。そのため、今回プロジェクトリーダーには金沢事業所にいる馬澤をアサインしました。
もちろん実際に改装を行うエリアにいた方がやりやすさなどメリットは多いと考えていますが、プロジェクトリードすること自体は必ずそのエリアにいないといけないわけではないと考えました。

全体のプロジェクトメンバーは何名ほどいらっしゃいますか?
高橋:だいたい10名ぐらいですね。

今回のようにエリアをまたいだ大規模なプロジェクトを進めるにあたって、注意したポイントや意識したポイントを教えていただけますか?

秋山:まず先ほど高橋からもあったように「クイックレスポンスが得意」ということで私はアサインされたので、そこは一番意識して取り組みました。従業員からの問合せだったり、プロジェクトメンバーとのやり取りだったり、そういったものに対して、「後でいいや」ではなく「すぐにその場で返信する」ということを心がけていました。

馬澤:私は意識して情報を取りに行くことで、現場の人しかできないこと以外は自分でなるべくやろうと意識していました。現場の実際の作業はとても大変だと思うので…。

実際の現場をすぐに見に行けない環境でプロジェクトが進行したと思いますが、大変だったことやその対処法を教えていただけますか?

馬澤:私自身は過去に六本木本社に行ったことがありますが、出産・育児を経験して復職時に総務にジョインしてから、総務としての目線でオフィスを見たことがありませんでした。

なので、今回のプロジェクトについては本当に想像力だけで仕事していた感覚です。それこそ本当にもう頭の中が六本木本社の改装プロジェクトでいっぱいな日々が数か月間続きました。それでも皆さんがクイックに私の欲しい情報をすぐに下さったので、すごくイメージもつかめましたし、助かったと感じています。

高橋さんの立場からはプロジェクトを進行する中で、真横にいてすぐに声をかけて指示を出せる状況ではなかったと思います。このプロジェクトだからこそ意識したことはありますか?

高橋:先ほど馬澤が申し上げたとおり、画像や映像というテキスト以上の情報提供が重要だと考えていました。
Webミーティングが浸透し、Slackなどのテキストコミュニケーションも増加するなかで、どのようにコミュニケーションを取るとお互いに齟齬なくきちんと伝わるのか。これは全員が共通して考えてきた課題でした。
そのため、2022年度に入った頃にはクイックレスポンスもそうですが、画像をできるだけ送るなど、行動の共通意識ができていたことは、とても有難かったと思います。

コミュニケーションで意思の伝達がしっかり出来ることが、今回のプロジェクトでは重要だと理解していたので、それこそ週3回は定例を行っていました。長い時間でなくていい。ショートタイムミーティングと称して10分~15分ぐらいのミーティングを週3回行いました。それによってお互いの齟齬を、丁寧に埋めていくということを実直におこないました。
これがやりきれたのも今回のプロジェクトメンバーのみなさんがしっかり理解してくれたおかげかなと思っています。

やりきった結果、頻度を増やしてコミュニケーションを丁寧に行うことによって、場所に関わらずコミュニケーションはきちんと成立するということを証明できたという自負はあります。

今回のようにエリアをまたいだチーム編成だからこそ得られたメリットはありますか?
秋山:一番大きなメリットとしては、今まで関われなかった人たちと関われたことです。
座席移動となるとやはり全部署の方々と必然的に関わることになりました。これまでは知っている人とだけしか会話や仕事をする機会がありませんでしたが、六本木本社全体の人と関わることができたことがこのプロジェクトの一番メリットだったと思います。

馬澤:私が思う得られたものは、東京メンバーとの「絆」ですね。(笑)

総務内でも拠点を横断した「ユニット」という名称のチームがあり、篠﨑さんとは半年前くらいからその「ユニット」で一緒に仕事をするようになりました。なので、はじめましてというわけでもなかったのですが、最初はお互い探り探りの部分がありました。

ですが、こうした大きいプロジェクトで色んなことを一緒にやっていくうちに、もう以前からの友人のような感覚で、とても絆が深まったなと私は個人的に思っています。(笑)
他のメンバーも、普段あまり業務では関わらない方とも接する機会がとても増えたので、これから業務を行っていく際にとても役に立つ関係構築ができたと思っています。

篠﨑:私は、チャレンジしたことが大きなメリットだったなと思っています。
私は過去のオフィス移転の経験から、今回も現場中心で進行していくイメージを最初はもっていました。

ですが、リモートワークも浸透している時期だったので、「現場でやること」と「リモートでできること」を意識的に分けてプロジェクトを進行することにチャレンジしました。
結果的に拠点を越えてもメンバー同士の協力によってプロジェクトが動くと実証できましたし、ナレッジも高まり自信に繋がりました。

高橋:今回のプロジェクトは、本当に我々としても大きなチャレンジでした。
今までは、エリアにどうしても引っ張られがちでしたが、「目的」と「手段・担当」を明確に整理して進行する。そうしたことをきちんとしていくと、チームが成長し、結果に結び付けることができるということ、プロジェクトリーダーがそのエリアにおらずとも推進力がある人が引っ張っていくと結果が出せるということが証明できたことがメリットでした。

この働き方は今後、様々なプロジェクトにも活かすことができると感じましたが、いかがでしょうか?
高橋:そうですね。プロジェクトごとに適材適所でアサインしていくわけですが、今後の人口減少を考えるとそのエリアに適した人材がいないということは十分起こり得ると思っています。
ただ、我々は遠隔で会話がしやすくなるテクノロジーを手に入れていたので、そういったものを活用しながら、マネージに適した人を踏み込んでアサインし、現場対応に適した人材と組み合わせることによって、より様々なプロジェクトの実行体制が実現していくと思っています。

行きたいと思うオフィス

他に例を見ないプロジェクトチームの作り方と進め方だったかと思います。これから更に働き方を良くする取り組みなどありますか?
馬澤:個人的に感じたことは今のようにWebミーティングも普及しておらず、リモートワークも特になかったとしたら、石川県というひとつの地域にとどまってしまって、自分の中でもっと色々やってみたいという気持ちを消化できなかったかも知れません。
今回のプロジェクトで東京エリアの仕事にチャレンジし、たくさんの経験ができたので、働くことに対しての可能性がすごく高まったと思っています。
私自身、家庭があって育児と家事がありますが、今後もこういった機会に積極参加したいと考えています。

篠﨑:次のステップは、「行きたい。」と思ってくれるようなオフィスがつくれたらいいのかなと思っています。

当社だけでなく、他社もコロナ禍で色々なことを考えて実行されていると思いますが、リモートでも働けることが明確になったので、家でも仕事はできるけれど「行きたいから行く」。そういったオフィスにしていきたいと考えています。社内の様々な価値観、事務什器の商品情報や他社事例をインプットしながら、関係するみんなの満足度を上げていくことができるオフィスをつくることが総務としての次のチャレンジかなと思っています。

秋山:今回のプロジェクトのように、Webミーティング等のツールを使ってコミュニケーシを上手くとりながら進めることだけでなく、他にも便利なアプリケーションがあると思うので、そういったものを積極的に活用して、よりたくさんの事業所と連携が取れるようになれたらいいなと思っています。

高橋:馬澤のように今回のプロジェクトによってエリアを越えた業務範囲の拡大が見込めてきていますし、篠﨑のいうように「人が集まれる場所」というのは当たり前に来るところではなく「行きたくなる場所」であるということ、あとは秋山が申し上げた通り、秋山はこのエリアで物理対応業務を行っているのでWebミーティングツールがなければ会話する人の広がりというのはなかったと思います。今後も、多くのメンバーにこういった機会を提供していけるようになれたらいいなと思っています。
馬澤、篠﨑、秋山はそれぞれ組織におけるポジションは違いますが、目的を達成する経験をすることで、各々が気づきとか得られるものというのが沢山あったんだろうなと、とても実感しています。今後は、より多くのメンバーにチャレンジングな機会を提供していけるようになれたらいいなと思っています。

プロジェクトで得られたもの

皆さんのお話を聞いていると同じ拠点にいないのにチーム力が強くなったというのがすごくメリットなのかなと感じました。
馬澤:そうですね。その分とても大変ではありました、本当にすごく。(笑)
プロジェクトのことばっかり考えている時期もあったのですが、トップの高橋が「大丈夫!終わるから!」という感じで明るく引っ張ってくれたり、石川オフィスのメンバーが普段以上に協力してくれたりしたのも成功の一つだと思いますし、総合的にいいプロジェクトだったなと個人的には思っています。

篠﨑:私も馬澤がいう通り、「大変だったな」と。(笑)
馬澤と毎日連絡をとって、無意識に頭の中に図面が浮かぶぐらいプロジェクトのことを考えていましたし、都度、現場メンバーから得た情報や、私自身が眼で見た情報を馬澤と共有していました。
馬澤は想像で対応するしかない部分もあったので、いかに齟齬なく伝えるかということについては工夫しましたし、秋山をはじめ現場がクイックに動いてくれたことも重要な要素だったと思います。
ただ、そのコミュニケーシのやりかたについては、まだブラッシュアップできるのではないかと思っています。プロジェクトの振り返りを行った際に、他のメンバーからも同様の意見があったので、ナレッジを蓄積していけたらいいのかなと考えています。
ただ総合的に馬澤が言った通り、チャレンジしてよかったなと。やり切ったことによる自信もつきましたし、やってよかった、できたねという率直な安心感と自信になったというところが大きいかなと思っています。

高橋:総務の仕事は分かりづらいと言われがちです。「総て務める(なんでもやる。)」その担当範囲の広さがやりがいにつながると一方で、自分たち自身も何をやっているのか見えづらくなりがちなデメリットも潜んでいます。しかし、今回のようにデジタルツールなどを使い、しっかりとやるべきことをやりきれば、必ず結果と成果が出て、何を成し遂げたか明確に理解することができます。
また、「私には無理だ。」とか「私にはそれは難易度が高すぎる。」など、諦めがちな傾向も耳にすることがあります。しかし、今回のように場所に関わらずチャレンジがしやすくなった、可能性が一気に広がったという事実がありますので、他の企業の方々も同じように取り組んでいただくと、同じように様々な広がりが見えてくるのではないでしょうか。
誰しもが、やったことのないことを一生懸命考え、教えてもらいながら、助け合いながら進んでいく。一歩ずつ踏み出して進んでいくと、成果と広がりが出ると思いますし、ひいては会社全体によい波及効果を与えると信じています。これからも日本一のバックオフィスを目指して、このメンバーと一緒にチャレンジしていきたいと思っています。

メンバー同士のコミュニケーションが「肝」でもあるオフィス改装プロジェクトを、エリアをまたいだメンバー編成で行った合同会社DMM.com様。役割分担や仕組み、プロジェクトメンバーの意識によって見事に「拠点を越えてもプロジェクトの進行はできる」ということを証明された他に例を見ないプロジェクトについてお話いただきました。ありがとうございました!

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