オフィスを個室化する方法とは?メリットやおすすめのオフィス家具を紹介
オフィスレイアウト・デザイン・設計
近年Web会議を導入する企業が増えたことで、オフィスの個室化に注目が集まっています。
この記事では個室化の方法やメリット、事例などをご紹介します。
またオフィス個室化の一つの方法である、個室ブースのおすすめも紹介するので、オフィスの個室化を検討している企業の担当者はぜひ最後までお読みください。
目次
オフィスの個室化へのニーズが高まっている
ここ数年、新型コロナウイルス感染症対策や働き方改革の影響を受けて、顧客や取引先との打ち合わせは対面ではなく、Web会議でおこなうケースが増えました。
しかし、オープンスペースでのWeb会議では、周囲の音や人の映り込みが気になるといった課題が浮き彫りになっています。
そこで注目を集めているのがオフィスの個室化です。オフィスを個室化すると周囲の音や視線、人の映り込みを防げるため、Web会議に適した環境を整備できます。
オフィスを個室化するメリット
Web会議に適した環境を整備できるほかに、業務効率の向上や情報漏洩リスクの低減などを期待できます。
■Web会議に適した環境を整備できる
オフィスを個室化すると音漏れや背景の映り込みを防げるため、Web会議に適した環境を整備できます。
さらに防音機能が高い個室ブースを設置すれば周囲の音を遮断できるため、相手に声が伝わりやすくなります。
■業務効率の向上が期待できる
集中しやすい環境で仕事ができるため、業務効率の向上を期待できます。
たとえば、オープンスペースのように周囲の音や視線を気にする必要がありません。
また、ほかの従業員から話しかけられ、業務を中断するケースもなくなります。
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■情報漏洩のリスクを低減できる
オフィスを個室化すると音漏れや周囲の視線を遮断できるため、秘匿性の高いWeb会議でも情報漏洩を防げます。
一方オープンスペースでは、社内の機密情報や個人情報が外部に漏洩するリスクがあります。ステークホルダーによって不意に会話の内容が耳に入る、書類やPCの画面が目に入るなどの可能性があるためです。
オフィスを個室化する方法
オフィスを個室化するには、ハイパーテーション・ローパーテーション・造作壁・個室ブースの設置といった方法があります。それぞれの特徴は次のとおりです。
特徴 | |
ハイパーテーション |
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ローパーテーション |
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造作壁 |
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個室ブース |
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詳しく解説します。
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■ハイパーテーションを設置する
パーテーションにはハイパーテーションとローパーテーションの2種類があり、このうち天井に達する高さで工事が必要なものをハイパーテーションと呼びます。
ハイパーテーションは仕様やデザイン性が豊富で、用途や目的に応じたものを選びやすいのが魅力です。たとえばドアや電気錠を取り付け、入退室を管理できるものもあります。
価格は素材によって差があり、ローパーテーションに比べて高い傾向にあります。
天井まで閉じるタイプは消防法に抵触するため、天井設備の移設や増設が必要です。遵守しなければ法律違反になるだけでなく、万が一火災が発生したときに従業員の安全を守るためにも重要になります。
個室化する際に確認しておきたい法律については後述する「オフィスに個室を設置する前に確認すべきこと」で詳しく解説します。
■ローパーテーションを設置する
工事が必要なハイパーテーションに対し、置くだけで設置が完了するタイプのパーテーションはローパーテーションと呼ばれています。ハイパーテーションに比べて低価格な上に床に置くだけで設置できるなど、導入しやすい方法です。
複数のパネルを組み合わせるタイプや扉を付けて半個室にするタイプなどがあり、どれも設置や連結が容易におこなえます。
また、木目調などのデザイン性にこだわったものや、防音対策にもなる吸音効果が高いものなど、幅広い素材が用意されているのも魅力です。
床に設置して空間を仕切るだけなので、レイアウトの変更にも柔軟に対応できます。
■造作壁を設置する
造作壁とは、支柱となる軽鉄に石膏ボードや木材を貼り付けた壁のことです。すべてオーダーメイドで作るため、デザイン性と機能面の両方のメリットを持ち合わせています。
また防音材にプラスターボードと呼ばれる建材を二重貼りすれば、高い防音性能を期待できます。
ただし、既製品ではなくオーダーメイドになるので、他の方法に比べて価格は高めです。下地張りや内装仕上げなどの複数の工程が必要になるため、工期に1週間程度かかります。
天井まで閉じる場合は消防法に抵触するため、天井設備の移設や増設が必要です。
■個室ブースを設置する
個室ブースには、パネルで仕切られただけの半個室タイプや天井が開いたタイプなどさまざまなタイプがあります。完全個室タイプは四方が壁で囲まれているため、周囲の音や視線を遮断できます。
1人用のほかに、2人や4人といった複数人用もあるため、利用人数や用途に応じて使い分けることが可能です。
オフィススペースの一角に個室ブースを設置するだけなので、工事は不要です。
ただし、個室ブースを設置するためには、1台当たり数十万円から数百万円程度の費用がかかります。また、消防法で「独立した個室」とみなされる場合は、消防設備の増設や移設が必要になるため、事前に確認するようにしましょう。
オフィスに個室を設置する前に確認すべきこと
オフィスの個室化は、消防法や建築基準法が関係します。見落とすと法律違反になるだけでなく、従業員の安全確保の観点でも問題があるため、法律に抵触しないかを事前に確認するようにしましょう。
■関連法規
建築基準法や消防法において、天井や4面すべてが覆われているブース(クローズ型)は「居室」として扱われます。
個人ブースの設置で居室が増えると、建築基準法に接触する可能性があります。また消防法の観点から消防署への届出が必要となり、スプリンクラーや感知器、放送設備といった消防設備が必要です。
可動式ブースの場合、要件を満たせば消防設備の設置が免除される特例があります。免除条件は次のとおりです。
- 可動式ブースの床面積が3平方メートル以下
- 可動式ブースの天井及び壁が不燃材料で仕上げられている
- 可動式ブース外部から当該ブース内で発生した火災を目視等で確認できる
- 可動式ブース内に住宅用下方放出型自動消火装置を設置し、ブース内に易燃性の可燃物がない
- 可動式ブース内の住宅用下方放出型自動消火装置が、パッケージ型自動消火設備Ⅱ型に準じた点検が定期的に実施され、適切に維持管理されている
- 可動式ブース内において放送設備による音圧が65デシベル以上で聞こえる
ただし、「ボックス型のレンタルオフィスの建築基準法上の取扱いについては、建築基準法の指導権限を有する特定行政庁が、個別の事例に即して適切に判断する」とされている(国土交通省の見解)ものの、実際、フルクローズ型の個室ブースはほぼ100%の自治体で消防法に抵触すると判断されているので注意してください。
なにより、法令順守のためだけでなく、従業員の安全を確保するために重要な事項です。オフィスを個室化する際は、関連法規をしっかりと把握しておきましょう。
■オフィスの天井の仕様(ハイパーテーション・造作壁の場合)
パーテーションや壁で天井まで閉じるタイプは消防法に抵触するため、施工前に業者とよく確認するようにしましょう。
導入する際には、天井設備の移設や増設が必要です。天井のタイプは大きく分けると次の3種類があり、それぞれ工事の難易度が異なります。
- グリッド型システム天井
- ライン型システム天井
- 在来工法天井
このうちグリッド型システム天井とライン型システム天井は、下地の骨組みに照明や空調設備をはめ込んでいるため、工期やコストをおさえつつ設備を移設しやすいタイプです。
それに対し在来工法天井は、天井の骨組みに仕上げ材を貼り付けているため、工事の難易度が高めです。
設備を移設する場合は設備工事と内装工事の両方が必要になるため、それなりにコストもかかります。
オフィスの個室化におすすめの個室ブース3選
個室ブースは、さまざまなメーカーから販売されています。オフィス家具メーカーのアイリスチトセでも複数タイプの個室ブースを取り扱っているため、導入を検討している方はぜひ参考にしてください。
■TELECUBE AIR by IRISCHITOSE
TELECUBE AIR by IRISCHITOSEは、四方と天井のすべての壁が囲まれた完全個室タイプの個室ブースです。完全個室タイプなので静粛性に優れており、周囲の雑音や話し声を遮断できます。
正面の両サイドには、Web会議の際に表情を鮮明に映し出せるライン状の照明が設置されています。1人用のほかに2人用と4人用も展開されているため、1on1ミーティングや複数人での打ち合わせなど、多目的での利用が可能です。
また、エアコンが標準装備で、熱がこもりやすい夏でも快適な空間となっています。
タイプ |
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サイズ | 【1人用】
【2人用】
【4人用】
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標準設備 |
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■シンプルブース
シンプルブースは、天井と壁一面がオープンになったセミオープンタイプの個室ブースです。パネルには連結用のポールが付けられているため、複数を組み合わせてブーススペースを作り出すこともできます。
ブース内に昇降機能付きのデスクを設置すれば、着座だけでなくスタンディングワークができるスペースにもなります。
サイズ |
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素材 |
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フレーム・連結ポール | アルミ押出材 |
フェルトカラー | ダークグレー |
■Focus booth series
Focus booth seriesは、セミクローズタイプの個室ブースです。視界をほどよく遮られるため、Web会議や個人ワークに集中したいときにおすすめです。カラフルなブースや落ち着いた雰囲気のブースなど全7タイプが展開されているため、豊富なバリエーションから選べます。
サイズ |
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天板 | メラミン化粧板 |
木口 |
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脚フレーム |
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脚端 | プラスチックアジャスター |
張地 |
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オフィスの個室化に成功した事例3選
最後に、オフィスの個室化に成功した3社の事例をご紹介します。
■DMM.com
DMM.comではテレワークやWeb会議の導入で社員の働き方が多様化する中で、オフィス改装プロジェクトを立ち上げました。
オフィスの縮小によってフリーアドレス席が減ることにより、Web会議によるコミュニケーションストレスが発生することが懸念されていましたが、完全個室タイプのTELECUBE by IRISCHITOSEを導入し、ストレスなくWeb会議がおこなえる環境作りに成功しています。
詳しくはこちらのオフィス改装プロジェクトのインタビュー記事で紹介しています。
【インタビュー】合同会社DMM.com 「エリアをまたいだメンバーで行うオフィス改装プロジェクト」
■H1T武蔵小杉
1T武蔵小杉は、野村不動産株式会社が運営するシェアオフィスです。ソファ席やテーブル席などの複数タイプのオープンスペースを確保しつつ、Web会議や個人ワークに集中できる個室ブーススペースを設置しました。
通路を挟んだ両側に個室ブースを一列に配置することで、オープンスペースからの音や視線を遮断しやすい工夫が施されています。
■アイリスグループ淀屋橋オフィス
アイリスグループ淀屋橋オフィスでは、2022年9月にオフィスの内装家具一式を刷新しました。広々としたデスクを設置した個室やWeb会議に活用しやすい個室などさまざまなタイプを用意し、従業員のニーズに応えられるオフィスを実現しています。
個室の需要に応え、ソロワークに適した半個室型のスペースも設置しました。ガラス製の扉を採用した個室スペースは外から中が見えるため、使用状況を簡単に把握することが可能です。
まとめ:社員のニーズに沿った個室ブースを設置しよう
オフィスの一角に個室ブースを設置すると、オープンスペースでのWeb会議で抱えていた課題の解決につながります。
導入する際は、従業員にヒアリングしてニーズを把握しておくと、利用してもらえないといった失敗は避けられるでしょう。検討から導入までを計画的に進め、従業員が働きやすい環境を構築しましょう。
アイリスチトセでは個室ブースの導入やパーテーションの設置など、オフィスの個室化に関するお悩みの相談を承っています。豊富な実績をもとにオフィスに適した提案をさせていただきますので、ぜひご相談ください。