サービスオフィスのメリット・デメリット|ほかのフレキシブルオフィスとの違いとは?
オフィス移転
働き方改革の一環として、自社でサービスオフィスの導入を検討中の企業も多いのではないでしょうか。近年、ビジネスの場ではサービスオフィスの活用に注目が集まっています。サービスオフィスは個室スペースを借りられ、レンタルの規模や期間の変更もしやすいため、契約の自由度が高い点が魅力の一つです。
働き方改革を推進する企業も多く、今後もサービスオフィスのニーズが高まることが予想されます。そこでこの記事では、サービスオフィスのメリットやデメリットなどを解説します。ほかのフレキシブルオフィスとの違いも解説するので、自社の働き方改革に役立ててください。
目次
サービスオフィスとは
サービスオフィスとはオフィス家具や通信環境など仕事に必要な設備に加え、さまざまなサービスが用意されているフレキシブルオフィスです。サービスオフィスには、ラウンジや会議室などのビジネスを円滑に進めるための施設が併設されているのが一般的です。
料金は月額制または従量制で、利用者は個室スペースごとに契約する形態が多い傾向があります。また、契約期間に関わらず敷金や仲介手数料は発生せず、長期間のほかに短期間でも契約できるケースもあります。
サービスオフィスを利用するメリット
ここからは、サービスオフィスを利用するメリットを解説します。
■初期費用をおさえられる
サービスオフィスは、初期費用をおさえつつオフィス環境を整備できます。従業員が仕事をするために必要なオフィス家具や通信環境が完備されているため、自社で揃える費用を削減できるためです。
契約時には入会金がかかりますが、従来型オフィスのような敷金や仲介手数料が発生しないケースも多くあります。サービスオフィスは初期費用をおさえられるだけでなく、新しい労働環境を従業員にすぐ提供できる点が魅力の一つです。
■サービスが充実している
サービスオフィスでは、ほかのフレキシブルオフィスにはないさまざまなサービスを提供しています。用意されているおもなサービスは、次のとおりです。
- 受付対応
- 電話対応
- 秘書代行
- 郵便受取対応
- 不在時の宅配受取
- 会議運営サポート
- ITサポート
- クリーニング
- イベントスペース利用
- ビジネスマッチング など
フロントに受付スタッフが常駐しているオフィスでは、来訪者の受付や電話対応などの有人サービスを利用できます。秘書代行を利用すればコピーや資料作成などの事務作業を依頼できるため、自分の業務に集中しやすい環境を整備できます。
なお、利用できるサービスはサービスオフィスの運営会社ごとに異なります。従業員のニーズを把握したうえで適したサービスオフィスを選びましょう。
■従業員の満足度向上が期待できる
多くのサービスオフィスでは内装や設備にこだわった空間を提供しています。ロビーやラウンジなどが併設されたり、高級感や開放感のある家具を設置したりと上質なオフィス空間が演出されています。
ラグジュアリー感の高いオフィスを使用するメリットの一つは、そこで働く従業員の満足度やモチベーションの向上です。「働きやすさ」が重視されるようになってきた近年、企業にとって従業員の満足度向上は重要な課題となりつつあります。高級感のあるオフィスは従業員の充足感を高め、快適な業務環境はさらなる能率や生産性の向上にもつながるでしょう。
また他社と打ち合わせなどをおこなう際、サービスオフィスの上質な空間と行き届いたサービスは、ステークホルダーに良い印象を与えられる可能性もあります。
ほかのフレキシブルオフィスとの違い
ここからは、サービスオフィスとほかのフレキシブルオフィスとの違いを解説します。
オフィスの種類 | 特徴 | メリット・デメリット |
サービスオフィス |
|
【メリット】
【デメリット】
|
レンタルオフィス |
|
【メリット】
【デメリット】
|
コワーキングスペース |
|
【メリット】
【デメリット】
|
シェアオフィス |
|
【メリット】
【デメリット】
|
サテライトオフィス |
|
【メリット】
【デメリット】
|
登記に関してはサービス運営会社ごとに扱いが異なる場合があります。登記を考えている場合は、事前に登記の可否を個別に確認した方が良いでしょう。
■レンタルオフィス
レンタルオフィスとは、仕事をするために最低限必要となる設備が揃った貸事務所の総称です。自社専用の個室を仕事に利用できるため、プライバシー面やセキュリティ面においても安心して利用できます。
一人用のほかに複数人で利用できる個室もあり、業務内容や利用人数、目的に応じて使い分けられますが、部分的に仕切られている半個室の場合、プライバシーの確保が難しい可能性もあります。
サービスオフィスと同様に入会金がかかりますが、敷金や仲介手数料は不要なケースが多い傾向にあります。利用時間は朝から晩までが一般的なので、深夜や早朝も利用したい場合は事前に確認が必要です。
■コワーキングスペース
コワーキングスペースはシェアオフィスと同様に、一つのオフィス空間を複数の人や企業で共有するワークスペースです。
フリーアドレスのデスクを共有し、一人ずつで契約するケースが多い傾向にあります。時間制や回数制のほかに、月額制での契約も可能です。
しかし、オープンスペースであるが故に、周囲の視線や雑音が気になって作業に集中できない可能性もあります。また、基本的にフリーアドレス制なので、都合が良い時間に自分の座席を確保できるとは限りません。
■シェアオフィス
シェアオフィスは、一つのオフィス空間を複数の人や企業が共有するワークスペースです。サービスオフィスやレンタルオフィスと同様に、仕事に必要な設備が揃っています。基本的にフリーアドレス制のオープンスペースなので、プライバシーや機密情報が漏洩しないよう注意が必要です。
料金は月額制で、ほかのフレキシブルオフィスに比べてリーズナブルに設定されています。シェアオフィスではさまざまな人と交流できるため、情報交換の場としての利用価値があります。その一方で備え付けのフリーWi-Fiを利用すると情報漏洩のリスクがあるため、独自のセキュリティ対策が必要です。
■サテライトオフィス
サテライトオフィスは、本拠地のオフィスから離れた場所に設置されたオフィスです。
多様なワークスタイルへの対応やBCPなどのリスクヘッジなどを目的に設置されます。BCPとは災害や事故などの緊急事態が発生したときに、企業への損失を最小限におさえつつ、事業運営を継続していくための計画です。
サテライトオフィスの形態は、自社だけで利用する「専用タイプ」と複数の人や企業で共有する「共有タイプ」の2種類です。専用タイプは、さらに都市タイプ・郊外タイプ・地方タイプに分類されます。共有タイプは、シェアオフィスやコワーキングスペースをサテライトオフィスとして利用する方法もあります。
サテライトオフィスは従業員が本拠地から離れた場所で仕事をするため、業務指示や勤怠管理をスムーズにするための対策が必要です。また、仕事に関する情報はクラウド上で共有するため、情報管理体制の整備が求められます。
フレキシブルオフィスについてはこちらの記事でも詳しくご紹介しています。併せて参考にしてみてください。
フレキシブルオフィスの6つの種類を徹底比較!メリットを理解して新しいオフィス選びを実現
・コワーキングスペースとシェアオフィスの違いに関する詳細はこちらの記事でも解説しています。
サービスオフィスのデメリット
ここからは、サービスオフィスのデメリットを解説します。
■フレキシブルオフィスの中では月額料金が割高
サービスオフィスの多くは好立地でサービスが充実している分、ほかのフレキシブルオフィスに比べて月額料金が高めに設定されています。
オフィスの種類 | 月額料金の相場 |
サービスオフィス | 70,000円~250万円程度 |
レンタルオフィス | 5,000円~30,000円程度 |
シェアオフィス | 20,000円~ |
コワーキングスペース | 5,000円~30,000円程度 |
サテライトオフィス | 50,000円~10万円程度 |
月額料金は利用人数や立地によって大きく変動しますが、数百万円かかることもあります。相場よりも極端に安い場合は、設備使用料やインターネット使用料などが別途請求される可能性もあるので注意が必要です。
サービスオフィスを利用する際は、月額料金に含まれるサービスや自社の予算を踏まえたうえで慎重に検討しましょう。
■改装や家具の入れ替えができない
サービスオフィスは、基本的に内装の変更やオフィス家具の入れ替えができないため、内装や家具にこだわりを持つ企業にはおすすめできません。
また、オフィス内に充分な収納スペースを確保できない場合は、ほかのスペースのレンタルを検討する必要があります。
■通信環境が万全とは言えない
サービスオフィスの通信環境は共有Wi-Fiが一般的なので、時間帯によっては混線状態が起き、通信速度が低下する可能性があります。通信状況によっては、自社で回線を準備したほうが通信環境へのストレスが少ないケースもあります。
また、共有Wi-Fiのセキュリティは万全とは言えないため、情報漏洩を防ぐためにもセキュリティレベルをチェックしておくようにしましょう。サービスオフィスの共有Wi-Fiは、自社の従業員のみに対応した形をとっていると安心です。
サービスオフィスの利用に適した企業
ここからは、サービスオフィスの利用に適した企業をご紹介します。
■テレワークの課題を解決したい企業
テレワークを導入後、勤怠管理や人事評価の難しさなどのさまざまな課題に直面する企業も少なくありません。
サービスオフィスには仕事に必要な設備が揃っているため、自宅でのテレワーク環境が十分でない従業員への対応も可能です。また、上質なビジネス環境で仕事ができるため、自宅でのテレワークに比べてオンとオフの切り替えがしやすくなります。
・テレワークの企業の動向や継続するためのポイントに関する詳細はこちらの記事でも解説しています。
■好立地にオフィスを構えたい企業
サービスオフィスは、好立地な場所にオフィスを構えたい企業におすすめです。サービスオフィスはほかのフレキシブルオフィスに比べると、都心部や駅前などの好立地にあるケースが多いためです。
立地条件が良い場所に従来型オフィスを借りると賃料が割高なうえに、敷金や仲介手数料などの初期費用もかかります。しかし、サービスオフィスなら敷金や仲介手数料がかからないため、初期費用をおさえつつ、好立地な場所にオフィスを構えられます。
■従業員数の増減が想定される企業
将来的に従業員数の増減が想定される場合は、サービスオフィスの利用を検討してみてください。従来型オフィスの場合、従業員数の増減に合わせてレイアウトの変更や内装変更が必要になると工事費用もかかります。
サービスオフィスは利用規模や利用期間の変更ができるため、従業員数に合わせたオフィス環境を整備できます。仕事に必要な設備が揃っているため、従業員数の増減によってかかる手間や費用も削減できるでしょう。
まとめ:サービスオフィスを導入して働き方改革を実現しよう
従業員に新たなワークスタイルを提供する際には、サービスオフィスの導入も選択肢の一つです。サービスオフィスには仕事に必要な設備が揃っているため、自宅でのテレワーク環境が十分でない従業員。
ほかのフレキシブルオフィスに比べて月額料金が割高に設定されている一方で、受付対応や秘書代行などの幅広いサービスを受けられる点が魅力の一つです。また、都心や駅前などの好立地にあり、デザイン性に優れたオフィスも多くあります。
労働環境を整えることは従業員のワーク・ライフ・バランスの実現にもつながる可能性もあるため、自社でサービスオフィスの導入を具体的に検討してみてはいかがでしょうか。