コワーキングスペースとシェアオフィスの違いとは

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コワーキングスペースとシェアオフィスの違いとは

テレワークやハイブリットワークなど新しい働き方が急速に浸透しています。それに伴い、コワーキングスペースとシェアオフィスを利用する企業や個人も増加傾向です。

 

しかし、コワーキングスペースとシェアオフィスの違いがよくわからない方も少なくないのではないでしょうか。

 

そこで本記事では、コワーキングスペースとシェアオフィスの違いや自社に合ったオフィスの選び方をご紹介します。

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コワーキングスペースとシェアオフィスの違い

コワーキングスペースとシェアオフィスの定義は混同されがちです。サービス提供会社により定義は異なりますが、それぞれおもな特徴は次のとおりです。

コワーキングスペース シェアオフィス
スペース フリーアドレスのデスクを共有 フリーアドレスのデスクを共有、もしくは固定席
利用人数 1名ずつの契約が多い 1名ずつの契約だけではなく複数人での契約もできる場合が多い
利用料金 時間制や回数制のドロップイン、もしくは数万円の月額制 数万円からの月額制が多い
共益費 基本利用料金に含まれていることが多い 基本料金に加えて共益費が発生する場合がある

コワーキングスペースとシェアオフィスには、次のような共通点があります。

 

  • 仕事で必要とされる基本的な設備が整っている
  • 低コストでオフィスを維持できる
  • 法人登記が可能(一部例外あり)

 

共通点がある一方、次のように異なる点もあります。

 

  • 利用目的
  • 利用人数
  • 毎月のコスト(共益費含む)

 

以下、コワーキングスペースとシェアオフィスについて、詳しく解説します。

コワーキングスペースの特徴

コワーキングスペースは、シェアオフィスよりも低額で利用できるオフィス形態です。最近では全国で展開しており、さまざまなコワーキングスペースが登場しています。

・コミュニケーションが取りやすいオープンスペース

コワーキングスペースのコワーキングを英語で表記すると「Co-Working」となります。「Co」は「共同で」を意味し、「Working」の意味は「仕事をする」です。つまり、コワーキングスペースは「共同で仕事をする場所」を意味します。

 

その名のとおり、コワーキングスペースは、オープンスペースを共同で利用する形態のオフィスです。固定席はなく、フリーアドレスのデスクを共有するのが基本スタイルです。利用者は使いたいときに空いているデスクを利用します。施設によっては、作業用のスペースとは別に会議室を設けているところもあります。

 

インターネット環境やコピー機など、業務をするうえで必要最低限の設備は用意されているのが一般的です。基本的に個室はありませんが、低コストで仕事場を維持できるのは、コワーキングスペースの大きなメリットと言えるでしょう。

 

また、多くのコワーキングスペースは、コミュニティの形成をサポートしたつくりとなっていて、利用者同士でコミュニケーションを取りやすくなっています。そのため、ワークスペース内でも、交流が活発になる傾向があります。

 

交流を望む方には理想的な環境ですが、静かに一人で集中して作業をしたいときには、騒々しく感じてしまうこともあるかもしれません。そのような場合は、会話禁止のスペースも用意されているコワーキングスペースを選ぶのがおすすめです。

・新しい人脈づくりができる

コワーキングスペースは利用者同士のコミュニケーションが取りやすいことから、仕事の仲間や新しい取引先を探している方にも向いています。

 

多種多様な業種、幅広い年代の利用者がいるため、今まで接点のなかった業界や世代の方々と触れ合う機会も生まれます。その結果、新しい知識を身につけて、今まで思いつかなかったようなビジネスアイデアが出てくるかもしれません。

・スタートアップや個人事業主向き

コワーキングスペースは、ビジネスチャンスを広げたいスタートアップの企業やコミュニティを形成したい個人事業主に向いています。

 

自宅以外に集中できるオフィス環境が必要な個人事業主、事務所を持てないスタートアップ期の企業にもおすすめです。

 

スタートアップ企業向けオフィスに関する詳細はこちらの記事でも解説しています。

・サテライトオフィスとしての活用も可能

コワーキングスペースは、サテライトオフィスとして利用することも可能です。サテライトオフィスとは、本社や主要な拠点から離れた場所に設置するオフィスのことを指します。

 

最近では、テレワークの普及もあり地方在住者の社員も増えたことから、サテライトオフィスとしてコワーキングスペースを契約する企業は少なくありません。実際、ワークスペースの拡充やBCP(事業継続計画)を利用目的とした企業が増えているようです。

 

BCPは「Business Continuity Plan」の略称で、事業継続計画と訳されます。災害やシステム障害などの緊急事態に遭遇した際、事業の損害を最小限に抑えることを目的に企業があらかじめ策定する計画のことです。

 

BCPについては次の記事で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。

BCP対策、どこまで進んでいますか?

また、コワーキングスペース「ワークスタイリング」を運営する三井不動産株式会社のインタビュー記事が以下からご覧になれます。

コロナで変わるワークプレイスの今後

■シェアオフィスの特徴

次に、シェアオフィスの特徴を解説します。コワーキングスペースとはどのような違いがあるのか見ていきましょう。

・複数の企業で共有するオフィススペース

シェアオフィスとは、複数の企業や個人で共有するオフィスの総称です。そのため、レンタルオフィスやコワーキングスペースもシェアオフィスの一つと言えますが、運営会社によって定義は異なります。

 

コワーキングスペース同様にシェアオフィスでも、オープンスペースのフリーデスクが用意されています。ただし、シェアオフィスにはオープンスペースだけではなく、個室や会議室などさまざまなワーキングスペースも設置されているのが特徴です。別料金で、固定席を利用できるシェアオフィスもあります。

 

カフェを彷彿させるおしゃれな雰囲気のあるコワーキングスペースに対して、シェアオフィスはよりビジネスに特化していて、一般的な事務所のような内装の施設が多く見られます。

・業務内容に応じて働き方を工夫できる

シェアオフィスはオープンスペース以外のワークスペースも利用できるため、業務内容に応じて働き方を工夫できます。集中して仕事をしたいときは個室、他の利用者と交流したいときはオープンスペースなど、自由に使い分けができます。

 

最近では、オンラインミーティング用の個室を設置しているシェアオフィスも増えてきました。その日の気分や業務内容に応じてワークスペースを使い分けることで、仕事のパフォーマンスをコントロールすることができるでしょう。

・最小限のコストでオフィスを持ちたい企業向き

一般的な賃貸のオフィスよりも低額で利用できることから、最小限のコストでオフィスを維持したい企業にも向いています。

 

特に営業職のような外出が多い職種では、シェアオフィスを外出先の拠点とすることで、交通費やオフィスの固定費削減を図ることができます。

シェアオフィスと類似しているオフィス形態

次に、シェアオフィスと類似しているオフィス形態をご紹介します。政府が働き方改革で新しい働き方を推進していることもあり、さまざまな形態のオフィスが登場しています。それぞれのオフィス形態の特徴は次のとおりです。

オフィスの形態 特徴
コワーキングスペース
  • 低コストで作業場所を確保できる
  • 利用者同士でコミュニケーションをとりやすい
シェアオフィス
  • 低コストで作業場所を確保できる
レンタルオフィス
  • 一般的な賃貸のオフィスより低額で、専有個室を利用できる
サービスオフィス
  • レンタルオフィスの機能に加えて、受付や資料作成などビジネスに必要なサービスが充実
バーチャルオフィス
  • 低コストで住所や電話番号を利用できる
  • 実際のワークスペースは無い

コワーキングスペースとレンタルオフィスは「他社や他者と共有して利用するオフィス」であり、それぞれシェアオフィスの形態の一つです。シェアオフィスは、サテライトオフィスとしても利用できます。

 

サービスオフィスはレンタルオフィスの一種で、より手厚い事務サポートが提供されています。次からは、それぞれのオフィス形態について詳しく解説します。

■個室の専有スペースを利用できる「レンタルオフィス」

レンタルオフィスは業務に必要な設備が整っているうえ、個室を専有できるオフィス形態です。専有個室が利用できるため、コワーキングスペースやシェアオフィスよりもセキュリティは高いと言えます。私物を保管することも可能です。

 

コワーキングスペースやシェアオフィスではノートパソコンを持ち込んで作業するのが一般的ですが、レンタルオフィスは個室内にデスクトップパソコンを据え置きすることも可能です。

 

専有個室に加えて共有の会議室を備えているレンタルオフィスも多くあり、外部との商談に利用できます。それだけではなく、キッチンやラウンジなどを備えているところもあります。

 

一般的な賃貸のオフィスよりも低額で専有個室が利用できるため、低コストで集中できる環境が欲しい方にもおすすめです。ほかのオフィス形態よりもセキュリティが高いため、秘匿性の高い資料や情報を扱う業務にも向いています。

■事務関連サポートが充実している「サービスオフィス」

サービスオフィスは、設備だけではなく業務に必要なサービスも充実しているオフィスです。多くのサービスオフィスには専有個室が用意されていることから、サービスの充実しているレンタルオフィスとも言えます。

 

サービス内容は運営元によって異なりますが、受付や電話対応、資料の作成などが、サービスオフィスのサービスとしてよく見られます。レンタルオフィスの機能に加えて、これらのサービスを利用したい企業や個人などにおすすめです。

 

サービスをうまく利用することで、自分の作業に集中できたり、業務の効率化を図れたりする可能性もあります。そのため、人に頼めることはなるべく頼んで、自分の仕事に集中したい方にも利用を検討する価値があると言えるでしょう。

 

サービスオフィスに関する詳細はこちらの記事でも解説しています。

■固定の住所や電話番号を利用できる「バーチャルオフィス」

バーチャルオフィスは。ほかの形態のオフィスとは異なり、実際の作業スペースが提供されません。物理的なスペースが無く、住所や電話番号などの情報をレンタルできるサービスです。

 

低コストで住所や固定の電話番号、FAX番号などを利用できます。自宅で仕事をしている個人事業主やフリーランスにとって、自宅の住所を名刺に記載しなくて済むのは大きなメリットと言えるでしょう。

 

六本木や銀座など、都内一等地の住所を利用可能なバーチャルオフィスも多数あるため、ブランディングにも効果的です。郵便物の届け先や、通信販売をおこなうときに表示が義務付けられている特定商取引法表示にも自宅の住所を記載しなくて済みます。

 

バーチャルオフィスのサービス内容は運営元によって大きく異なりますが、サービスが充実しているほど、利用料金は高くなる傾向があります。必要に応じて、最適なバーチャルオフィスを選ぶと良いでしょう。

 

最近では会社登記が可能だったり、送られてきた郵送物を自宅に転送できたりするバーチャルオフィスも存在します。なかには、会員用の会議室が用意されていて、オプション料金で利用できるところもあります。

自社に合ったオフィスの選び方

それぞれのオフィスの特徴を踏まえたうえで、自社に合ったタイプの選び方を解説します。自社に最適なオフィスを選ぶためにポイントをおさえておきましょう。

■ビジネスの目的に合っているか

外部のワークスペース利用を検討する際は、利用目的を明確にすることが大切です。それぞれの利用目的に応じて最適なオフィス形態は変わるため、業務スタイルや自社のニーズに合わせて適切に選択する必要があります。

 

スタートアップでオフィスの維持コストをおさえたい場合は、コワーキングスペース、業務スタイルに応じてスペースを活用したい場合は、レンタルオフィスなどが便利でしょう。

■利便性の高いエリアにあるか

社員の通勤や取引先の商談を考慮すると、利便性の高いエリアにあるのが望ましいです。公共交通機関を利用して通いやすい立地にあるか、幹線道路から近い場所にあるかなどを確認しましょう。自社の取引対象となる業種が集まっているエリアにオフィスを探すのも1つの選択肢です。

 

都内の一等地にある賃貸オフィスの利用料は高額ですが、コワーキングスペースやシェアオフィスだと、低額で利用しやすいメリットがあります。

■毎月のコストは負担にならないか

利用料金が負担にならないかも重要です。ランニングコストだけではなく、イニシャルコストも含めて過度な負担にならないか注意が必要です。金額とあわせて、月額制か時間制かなど料金体系も確認しましょう。

 

レンタルオフィスやサービスオフィスは、保証金や敷金などのイニシャルコストがかかりますが、コワーキングスペースでは、不要な場合が多いです。

■必要なサービスや設備はあるか

必要なサービスや設備があるかも確認しましょう。運営元によって、提供されるサービスの詳細は変わってきます。

 

オフィスを選ぶ際は、自社に必要なサービスや設備があるかチェックしましょう。

 

  • 来客に対応できる会議室があるか
  • 完全個室か、パーテーションで区切られた個室か
  • 24時間利用できるか
  • 法人登記ができるか
  • ポストは利用できるか
  • 私物を保管するロッカーはあるか
  • ドリンクサービスがあるか
  • リフレッシュスペースはあるか
  • オンラインミーティングはできるか
  • プリンタやコピー機が利用できるか

 

ここであげた内容は一例です。ほかにも必要とするサービスや設備がある場合は、それが備わっているかも確認してください。

コワーキングスペースやシェアオフィスを導入する際のポイント

コワーキングスペースやシェアオフィスを導入する際に注意すべきポイントを解説します。オフィス選びで失敗しないために、ここで解説する注意点はぜびおさえておきましょう。

■導入目的・運用ルールの明確化

オフィスを導入する目的と運用ルールを明確にしましょう。導入目的を明確にしたうえで、新しいオフィスに合った運用ルールの構築が必要となります。

 

運用ルールを設けても、社員がその運用ルールを遵守しなければ、導入によるメリットや目的の達成は得られません。必要に応じてセミナーや研修を実施して、まずはオフィス導入の目的や運用ルールを社員に周知しましょう。

■社員同士のコミュニケーション設計

オフィス環境が変わることで、社員同士のコミュニケーション方法も変わります。従来のように、毎日オフィスに出社し決められた座席で業務をおこなうスタイルではないため、たとえ同じ部署やチームの社員でも毎日顔を合わせるとは限りません。そのため、社員同士がコミュニケーションをとりやすい環境を意図的に整える必要があります。

 

オンラインミーティングやチャットアプリを活用して、コミュニケーション不足に陥らないようにしていきましょう。チャットはメールよりも気軽にコミュニケーションが取れるため、社内のコミュニケーションツールとしておすすめです。

 

スケジュールやプロジェクトの進捗管理などには、タスク管理ができるアプリやグループウェアなどの利用も検討すると良いでしょう。

サービスオフィスに関する詳細はこちらの記事でも解説しています。

■適切なセキュリティ対策の導入

自社のオフィスで働く場合と比べて、セキュリティ対策をより慎重におこなう必要があります。他の利用者と共有するワークスペースは、自社オフィス内に比べ物品の盗難や情報漏洩のリスクが高いためです。

 

意図せずパソコンの画面やデスク上の資料を他社の社員に見られてしまうリスクもあります。情報が漏洩して多大な被害を出さないために、利用するオフィスに応じたセキュリティ対策を導入しましょう。社員に対してのセキュリティ教育も必須です。

 

オフィスのセキュリティ対策に関する詳細はこちらの記事でも解説しています。

目的を明確化して最適なオフィスを選ぼう

新しいオフィス形態や働き方を導入する際は、まず導入の目的を明確化することが大切でした。そのうえで、個人や自社に最適なオフィスを選ぶ必要があります。

 

コワーキングスペースは低額で利用できるオフィス形態で、人脈づくりやコミュニティを形成したい個人事業主に最適です。一方、シェアオフィスは複数の企業で共有するオフィス形態で、業務によって個室やオープンスペースなど働く環境を変えたい企業に向いています。

 

本記事で取り上げた内容から、コワーキングスペースとシェアオフィスの違いを理解して、自社に最適なオフィスを選択しましょう。

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