インフォーマルコミュニケーションを社内に生みだそう!必要性から活用事例まで

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インフォーマルコミュニケーションを社内に生みだそう!必要性から活用事例まで

インフォーマルコミュニケーションは社員同士がやり取りするコミュニケーションであり、いわゆる雑談や日常的な会話などが含まれます。業務報告や会議のようなフォーマルコミュニケーションとは別の意味合いがあります。

この記事ではインフォーマルコミュニケーションの基礎知識や必要性、テレワークで活用するコツなどをご紹介します。

実際の活用事例も併せてご紹介するので、自社に取り入れたいと考えている企業はぜひ参考にしてみてください。

インフォーマルコミュニケーションとは

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インフォーマルコミュニケーションとは、偶然遭遇した人同士がやり取りするカジュアルな雑談を意味します。

社内におけるコミュニケーションの一つであり、業務報告や会議などの仕事関係の内容のみをやり取りするフォーマルコミュニケーションとは対比関係にあります。

インフォーマルコミュニケーション
  • 雑談
  • 日常的な会話
  • 何気ないやり取り
  • カジュアルな雰囲気
  • 仕事に関係する内容である必要はない
フォーマルコミュニケーション
  • 業務報告
  • 会議
  • フォーマルな雰囲気
  • 仕事に関係する内容のみ

企業の中には、社内での雑談を良しとしない社風のところもあるのが実情です。しかし、社員同士の何気ないコミュニケーションこそが、企業や社員自身に好影響をもたらすこともあります。詳しくは次の章で解説します。

社内コミュニケーションの活性化に関する詳細はこちらの記事でも解説しています。

インフォーマルコミュニケーションの必要性

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インフォーマルコミュニケーションは仕事とは無関係の話題でも良いため、言わば非公式のコミュニケーションです。業務中の雑談を良しとしない風潮もありましたが、最近では企業や社員に何らかの好影響をもたらすとして注目されています。

■社内の人間関係が良好になりやすい

社員同士の人間関係は、仕事のしやすさだけでなく離職率にも影響します。

厚生労働省が公表した「令和2年雇用動向調査結果の概要」の転職入職者が前職を離職した理由をご紹介します。

男性(%) 女性(%)
職場の人間関係が好ましくなかった 8.8 13.3
定年・契約期間の満了 16.0 12.7
労働時間、休日等の労働条件が悪かった 8.3 11.3
給料等収入が少なかった 9.4 8.8
会社都合 6.9 8.1
仕事の内容に興味を持てなかった 4.7 5.2
能力・個性・資格を生かせなかった 4.9 5.0
会社の将来が不安だった 7.1 3.4
結婚 0.4 2.3
出産・育児 0.5 1.4
介護・看護 1.1 0.8
その他の理由(出向等を含む) 31.3 26.9

出典:厚生労働省「令和2年雇用動向調査結果の概要」表6 転職入職者が前職を辞めた理由別割合

職場の人間関係を理由に離職した方の割合は男性が8.8%、女性が13.3%だったことがわかっています。

女性の場合、「その他」を除くと人間関係を理由に離職した方が最も多い結果です。優秀な人材を確保するためには、良好な人間関係の構築できる環境を整えることが課題の一つだと言えます。

そこで役立つのがインフォーマルコミュニケーションです。インフォーマルコミュニケーションを通じて社員同士の精神的な距離が縮まれば、気兼ねなく情報共有できたり、相談を持ちかけたりといった良好な職場環境の構築につながります。

■建設的な意見やアイデアが生まれやすい

インフォーマルコミュニケーションを取り入れると、今までに出てこなかった意見やアイデアが生まれやすくなると言われています。

フォーマルコミュニケーションでは仕事に関係する内容しかやり取りできず、社内での会話に一定の緊張感が漂います。一方のインフォーマルコミュニケーションはどのような内容でもやり取りできるため、緊張感しにくくリラックスした状態での発言が期待できるためです。

社員の中には、良いアイデアを持っていても、会議で発言しにくかったり上司に相談しにくかったりする人がいるかもしれません。雑談を交えたコミュニケーションの中であれば相談もしやすくなり、関係が作られていくことでより業務報告がしやすい環境にもなっていきます。

■従業員のメンタル改善につながりやすい

職場でストレスを感じている方は多いと言われています。厚生労働省が公表した「令和2年労働安全衛生調査(実態調査)」の調査では、仕事や職場でストレスを感じている方の割合は、男女合わせて54.2%と半数以上でした。

前年の58.0%から数ポイント下がっているものの、依然として仕事にストレスを抱えている方が多いとわかります。ストレスの内容は仕事の量や質が56.7%、人間関係が27.0%でした。

出典:厚生労働省「令和2年雇用動向調査結果の概要

インフォーマルコミュニケーションでは仕事以外の話題もできるため、社員の緊張が解かれやすいです。そのため、何気ないやり取りができる環境作りは、社員のストレス発散につながる可能性があります。メンタル改善にも役立つと期待できます。

オフィス環境のストレスに関する詳細はこちらの記事でも解説しています。

インフォーマルコミュニケーションを促すオフィスの作り方

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何よりもカジュアルなコミュニケーションを取りやすい環境作りが大切です。社員一人の力では着手が難しい場合もあるため、企業が一丸になって取り組みを進めていきましょう。

社員同士のカジュアルなやり取りを促すオフィス作りの方法として、次の4つの例をご紹介します。

・マグネットスペースを設置する
・カフェや専用のスペースを設置する
・声をかけやすいデスク配置にする
・オフィスをフリーアドレス化する

マグネットスペースを設置する

マグネットスペースとは、朝礼や会議が行われない場合でも自然と社員が集まるような場所のことです。英語の「マグネット」は和訳すると磁石です。その名のとおり、誰もが自然と磁石のS極とN極のように引き寄せられる場所という意味合いがあります。

たとえば次の場所が挙げられます。

・コピー機周辺
・自販機周辺
・エントランス
・社内掲示板周辺 など

会議室やデスク周辺では、仕事以外の会話がしにくいと考えている社員も多いかもしれません。

一方、上記のような場所はカジュアルなやり取りができるスペースとして最適です。他部署のメンバーに遭遇する機会も多く、自然と会話が生まれやすい場所でもあります。

マグネットスペースに関する詳細はこちらの記事でも解説しています。

■カフェや専用のスペースを設置する

カフェやフリードリンクコーナーは、インフォーマルコミュニケーションを促す環境作りに適しています。

先述したマグネットスペースの場合、レイアウトの関係から、仕事に集中している人の近くに位置していると雑談しにくいケースもあります。一方カフェなど会話をしやすい空間が用意されていれば、気兼ねなく雑談を楽しめ、カジュアルなやりとりの活発化が期待できます。

カフェやフリードリンクコーナーの導入以外に、雑談専用のスペースを設置するのも選択肢の一つです。

しかし、単に雑談専用スペースの設置だけでは不十分かもしれません。たとえ社員同士がコミュニケーションを取っても、短い立ち話だけで終わる可能性があるためです。そこで、滞在時間が伸びるような工夫をいくつか施してみましょう。たとえば、ソファを設置したり雑誌を置いたりなどの工夫です。

■声をかけやすいデスク配置にする

インフォーマルコミュニケーションを促す環境作りには、デスクのレイアウトを工夫すると効果的です。デスクが離れているなど社員同士がコミュニケーションを取りにくいレイアウトの場合は、物理的な距離を縮める工夫をしてみましょう。

デスクを横並びにしたり、社員同士の椅子が近くなるようにキャビネットの配置を変えたり、話しやすい距離感を意識することがポイントです。

■オフィスをフリーアドレス化する

フリーアドレスとは、その日の業務やプロジェクトに合わせて、社員がオフィス内から自由に場所を選んで仕事をするワークスタイルのことです。従来のスタイルと異なり、個人の決まった座席はありません。

同じチーム同士で近くのデスクを使用すれば、わざわざメールや電話で連絡を取り合う必要がなくなります。口頭でスムーズにコミュニケーションが取れるため、自然とやり取りの量も増えることが期待できます。また、隣席の人が毎日変わるため、今まで関わりのなかった人とも関係が生まれやすくなります。

さらに、フリーアドレスには職場の環境美化に役立つメリットもあります。共有となるデスクには収納が付いておらず、私物を置いておくことができないためです。

その一方で、勤怠管理など既存のシステムをモバイルワーク化する必要性が出てくるため、一定の導入コストがかかるという側面もあります。

フリーアドレスオフィスに関する詳細はこちらの記事でも解説しています。

テレワークでのインフォーマルコミュニケーションのコツ

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総務省が公表した「令和3年版情報通信白書」によると、テレワークを実施している企業は38.4%に上ることがわかっています。

このうち大企業の導入率は69.2%で、中小企業の33.0%を大幅に上回っています。最近の社会情勢による影響を大きく受けた時期は、全体で56.4%に達しました。

出典:総務省「令和3年版情報通信白書

一時期に比べてテレワークの導入率がダウンしているものの、引き続き実施している企業も多いです。

そんなテレワークを実施している企業では、インフォーマルコミュニケーションの普及は難しいと考える方も多いかもしれません。しかし、テレワークの中でも十分に実施可能です。ここでは、コツを3つご紹介します。

■雑談用のチャットルームを作成する

インフォーマルコミュニケーションは、ビジネスチャットでも実践可能です。

まずは、ビジネスチャット上に雑談用のチャットルームを作成してみましょう。通常のチャットルームでは業務外の会話に気後れしがちな方も、雑談を目的としたチャットルームがあればコミュニケーションを図りやすくなるためです。

絵文字や顔文字を気軽に使える場所があれば、カジュアルなやり取りが行いやすくなります。

■定期的な1on1ミーティングを実施する

テレワークにより企業が新たに直面している課題の一つに、社員の孤立化があります。オフィスで仕事をしているときと比較して、コミュニケーションの量が減ってきたことが要因の一つと考えられます。

パーソナル総合研究所が公表した「テレワークにおける不安感・孤独感に関する定量調査」では、テレワークを実施している企業のなかで、「孤立していると思う」と回答した社員は28.8%に及びました。

出典:パーソナル総合研究所「テレワークにおける不安感・孤独感に関する定量調査」

孤立化を防止するためには、適切なコミュニケーションが大切です。対策として定期的な1on1ミーティングが効果的です。1on1ミーティングとは、上司と部下が行う1対1のコミュニケーションを指します。

元々は部下の成長促進や成長による組織力の強化などを目的として対面で行われていましたが、オンラインでも可能です。また場合によっては社内で実際に顔を合わせて行うのも良いでしょう。

1on1だとフォーマルコミュニケーションになりがちですが、前後に雑談を取り入れるとインフォーマルコミュニケーションの発生につながります。会話の内容に困ったときには、会議や研修前にしばしば行われているアイスブレイクを活用してみてください。

たとえば、最近身の回りで起こったうれしいニュースを報告し合ったり、今ハマっているものをご紹介したりなどです。1on1ミーティングを行い、さらにその中で雑談やアイスブレイクをうまく活用すると、オンラインでも人間関係を構築しやすくなります。

■Web会議でバーチャル背景を活用する

バーチャル背景とは、Web会議ツールを使う際に利用できる背景画像のことです。

画像はWeb会議ツールに標準搭載されたものだけでなく、スマホで撮影したものを設定することも可能です。また、一部の人気ドラマや映画の公式Twitterアカウントでは、バーチャル背景として使える画像を提供しています。

フォーマルコミュニケーションを行う場合、TPOを考慮したものを選ぶ必要がありますが、インフォーマルコミュニケーションでは、背景を自由に設定できるようにしておくと良いでしょう。人柄やバックグラウンドが伝わる背景に設定しておくと、相手へのポジティブな印象が伝わって場の空気が和らぎやすくなるためです。

また、背景自体が雑談の話題になり、場を盛り上げるアイテムになる可能性もあります。

Web会議ツールは数多くありますが、ここでは代表的なZoomの背景を設定する手順をご紹介します。

1.Zoomアプリを起動
2.サインイン
3.画面右上の設定アイコンをクリック
4.画面左のメニューから「背景とフィルター」をクリック
5.一覧からバーチャル背景に設定する画像を選ぶ
6.バーチャル背景の設定完了

背景を選ぶ画面で「+」をクリックすると、自分のパソコンやスマホに保存してある画像を設定できます。

Web会議に関する詳細はこちらの記事でも解説しています。

インフォーマルコミュニケーションの活用事例

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本章では、インフォーマルコミュニケーションを積極的に取り入れているアイリスチトセ株式会社の事例をご紹介します。具体的な手段やポイントなど、これから社内での取り組みを強化したいと考えている企業はぜひ参考にしてみてください。

アイリスチトセ株式会社で実際に取り入れているおもな内容は、次のとおりです。

・オンライン会議の実施
・ビジネスチャットの活用
・ブレインストーミング時には出社
・1on1ミーティング など

オンライン会議では、ショートミーティングを数多く実施しています。PDCAサイクルの回転を促し、こまめに進捗状況を把握できるようにするためです。

1on1ミーティングは月1回以上の頻度で行い、上司と部下のコミュニケーションの活性化を図っています。そのほか、ビジネスチャットをうまく活用しています。ビジネスチャットは対面時のように相手のタイミングを気にしたり、メールのように畏る必要がありません。よりカジュアルで気軽なやり取りがしやすいツールと言えます。

このようなアイリスチトセ株式会社の事例から見える、インフォーマルコミュニケーションのポイントを2つご紹介します。

■ポイント1. ツールをうまく活用する

ポイントの一つは、さまざまなビジネスツールをうまく活用することです。

メールや電話だけでは気軽にコミュニケーションが取れなかったり、業務にあまり関係のない会話がしにくかったりします。特にテレワークでは、対面しているときよりもコミュニケーションが十分にとれないことも多いでしょう。

そのため、インフォーマルコミュニケーションを活性化するには、次のようなビジネスツールをうまく活用することがポイントです。

・オンライン会議システム
・チャット
・メール
・集合型のオンライン研修ツール など

やり取りする内容やタイミング、関係性などの状況に応じて適切なツールを選択することで、コミュニケーションも取りやすくなります。

■ポイント2. 意図的に会話を増やす工夫をする

二つ目のポイントは、意図的に会話を増やす工夫をすることです。

たとえば、先述したマグネットスペースの設置やオフィスのフリーアドレス化を進めるなどです。その他、気兼ねなく会話できたりコミュニケーションのチャンスが増えたりするデスクのレイアウトを検討するのもおすすめです。

またオフィスのかたちだけでなく、1on1ミーティングで会話の場を作るなど運用面でできる工夫も多くあります。

まず会話の量を増やす環境づくりが大切です。コミュニケーションの機会が増えれば、インフォーマルコミュニケーションの活性化にもつながりやすくなります。

 

こちらの内容は、以下のインタビューでアイリスチトセ株式会社の社員が詳細をお話ししていますので、ぜひ参考にして下さい。

会話量を増やすことが働き方改革

まずは従業員同士の会話を増やす工夫からスタートしてみよう

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インフォーマルコミュニケーションは、雑談など社内での何気ないやり取りを意味します。カジュアルなコミュニケーションが増えると、新しいアイデアが生まれたり社員が働きやすさを感じるようになったりと、企業に良い影響をもたらしてくれます。

インフォーマルコミュニケーションを取り入れる方法はさまざまあります。マグネットスペースを設置したり、フリーアドレス化を進めたりなどオフィス環境自体を整える方法を検討してみましょう。また、1on1ミーティングやビジネスチャットを取り入れるなど会話が増えるような工夫をすることも大切です。

インフォーマルコミュニケーションを活発化させて、さらなる企業の成長につなげていきましょう。

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