フリーアドレスオフィスにおける私物の管理方法を提案!導入メリットと成功の秘訣とは

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フリーアドレスオフィスにおける私物の管理方法を提案!導入メリットと成功の秘訣とは

近年、フリーアドレスオフィスを導入する企業が増加傾向です。企業の規模を問わず多くの導入事例がありますが、そのなかで課題としてあがることが多いのが、私物をどう管理するかです。社員一人ひとりの固定座席がないことが理由であり、そのためフリーアドレスをうまく導入するには私物の新しい管理方法やルールを設けることがポイントとも言えます。

この記事では私物管理の方法や、注意すべきポイントを解説します。さらに私物管理におすすめのアイテムなどもご紹介します。

フリーアドレスオフィスとは?導入するメリット

まず、導入するメリットについて詳しく解説します。ぜひこの機会に、どのようなメリットがあるのか知っておきましょう。

■業務に関する情報共有がスムーズになる

フリーアドレスオフィスでは、毎日自分の座る席を自由に変更できます。その日の業務内容に関連するメンバーと近くに座ることで、情報共有をスムーズに行える可能性が高くなります。たとえば、別途ミーティングを設定したりメールを送ったりすることなく、口頭での情報共有が可能です。

情報共有がすぐにできるため、業務のスピードアップも期待できます。相手と連絡が取れるまで業務がストップするような事態も避けられ、精神的にもストレスなく業務に集中しやすくなるでしょう。フリーアドレスを導入したら、その仕組みを上手に活用して、スムーズな情報共有を実現させたいところです。

しかし、社員がその仕組みを活用できなければ意味がありません。社員がメリットを理解したうえで効果的に活用することで、従来のオフィスではできなかったフレキシブルな働き方が可能になります。積極的にフリーアドレスの仕組みを活用して、働きやすい環境を作っていきましょう。

■新しい企画やアイデアが生まれる

今まで関わりが少なかった人と接する機会が増えるのも、フリーアドレスのメリットです。従来のオフィスは部署ごとにパーテーションで区切ったり、フロアを別にしたりするのが一般的でした。そのため、普段の業務で他部署と接触する機会は限られていました。

フリーアドレスではさまざまな人と接するため、社員同士によるコミュニケーションの活発化が期待できます。同じ企業内でも、まったく違う部署の人と話す機会が出てくる可能性もあります。何気ない会話から、新しいイノベーションが生まれることもあるかもしれません。

最初のうちは戸惑うかもしれませんが、今まで会話したり、接したりすることがなかった他部署の人とも接することで、部署や立場を超えたコラボレーションや企画、新しいアイデアが生まれる可能性が広がります。

■社内の環境美化の意識が高まる

従来のオフィスは自分専用の固定席があったため、資料や私物をデスク上に放置してしまうケースも多く見られました。デスクに書類や私物を放置するのは、セキュリティの観点でも好ましくありませんが、自分専用の席だから大丈夫という安心感もあったのかもしれません。

しかし、フリーアドレスでは座席は固定されず、明日は別の人がそのデスクを使用する可能性があります。「使用しているデスクや空間は共有のもの」という認識が生まれることで整理整頓への意識が高まりやすく、書類や私物の放置が減ることも期待できます。

資料や私物を置きっ放しにしておけないため、オフィス内では必要最低限のものだけを持ち運ぶようになるでしょう。荷物が減れば、掃除や整理もしやすくなるため、社内の環境美化にも効果があると考えられます。

 

フリーアドレス導入でコミュニケーションが活発化に関する事例はこちらの記事でも解説しています。

フリーアドレスオフィスにおける私物管理の問題

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ご紹介したようにメリットの多いフリーアドレスですが、運用する中で問題になりやすいのが社員の私物管理です。ここからは、なぜ私物の管理が問題になるのか具体的に解説していきます。

■毎日の私物の持ち運びが手間

フリーアドレスの導入によって、従来のオフィスよりも毎日の私物の持ち運びに手間がかかるようになります。なぜなら、デスクに収納場所がないためです。使用する私物は、毎日出社のたびにロッカーから取り出す必要があります。

持ち運ぶことを習慣化できれば、それほど手間には感じないかもしれませんが、慣れるまではストレスを感じる社員が出てくるかもしれません。そのせいで、業務の進捗が滞ったり、生産性が低下しないように注意が必要です。

特に運用開始してしばらくの間は、社員のフォローを忘れずに行いましょう。新しい働き方に馴染めず、私物の持ち運びに手間や時間をかけてしまう社員が出てくる可能性があるからです。

持ち運びの手間を減らすためには、私物を減らすのが効果的です。社員に対しては、不要な私物の持ち込みは行わないなどの指導を行いましょう。また、社内研修やセミナーを実施して、フリーアドレスの意義や私物を持ち運ぶ必要性を社員に理解してもらうことも大切です。

■仕事中はデスク周りが乱雑しやすい

社員には、従来のオフィスで働いていたとき以上に整理整頓の意識を持つことが望まれます。なぜなら、デスク周辺に収納がないため、仕事中はデスク上が乱雑になりやすいためです。

デスク上だけではなく、足元にも荷物を放置しないように注意しましょう。ものが散らかっている状態は、使いたいものをすぐに探し出せないなど、余計な手間や時間がかかることに繋がります。業務に悪影響を及ぼしてしまう可能性があるため、常に整理整頓された状態を保つのが理想です。

どんなにおしゃれな内装工事をしても、社内が乱雑だと「理想のオフィス環境」とはかけ離れたものになってしまいます。会社のイメージを悪くしてしまう可能性もあり、そのような状態では、コストをかけて導入した意味がありません。
一人でも整理整頓できない社員がいると、それが発端となり徐々に全体的に乱雑になっていく可能性があるため、社員一人ひとりの意識が大切です。

■セキュリティ面への懸念がある

収納できる引き出しなどがないため、仕事中はデスク上に資料や私物を置いておくことになります。そのため、セキュリティ面でのリスクに注意が必要です。

情報漏えいなどセキュリティの観点から、短時間でも離席するときは片付けたり、パソコンの画面をロックしたりすることが望まれます。

また、物品の紛失や盗難にも注意しましょう。フリーアドレスでは、周囲の人がそのデスクの使用者を把握しきれず、業務に関係ない人物や、所有者以外がデスク上の資料やパソコンなどを触っていても気づけない可能性があります。特に多くの社員が同じフロアで働く大規模オフィスや、日常的に人の出入りが多いオフィスでは注意が必要です。

オフィスのなかで働いていると、外出時よりは安心感があるかもしれません。また業務に集中するあまりセキュリティを守る意識が薄れてしまったり、周囲の人に意図せずパソコンの画面や重要書類を見られてしまうことも考えられます。しかし、常にセキュリティ面に配慮した行動を心がけることはとても大切です。

言うまでもなく、情報が漏洩してしまった際の影響は多大なものがあります。場合によっては賠償請求で多大な金額を払ったり、企業の存続にかかわるような問題に発展したりすることもあるため、細心の注意を払いましょう。

 

オフィスのセキュリティ対策に関する詳細はこちらの記事でも解説しています。

フリーアドレスオフィスで私物を管理する4つの方法

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私物を管理する方法として、おすすめできる4つの方法を解説します。

■1. フリーアドレスに対応したロッカーを用意する

社員一人ひとりの収納庫として、ロッカーを設置するのがおすすめです。フリーアドレスで使用することを考慮した場合、セキュリティ性能が求められるため、施錠できることは必須です。書類やパソコンなど仕事で必要なものや、私物はこのロッカーに収納して、必要なときのみ取り出して使用します。

ロッカーを設置しても正しく利用されないと意味がないため、社員に対して使い方を周知することも大切です。必要に応じて、ルールを決めたり、社内研修会を開くのもおすすめです。

また、正しく利用されているかも確認しておきましょう。退勤時や長時間の離席時は資料や私物をデスク上に放置せず、すべてロッカーに収納することを徹底する必要があります。書類やパソコンなどの収納に最適化されたロッカーを設置することで、オフィスでの私物管理も容易になります。

フリーアドレス向けとして製造されたロッカーには、パソコンやスマホの充電ができるタイプや、投函口が付いていて、メールボックスとして使用できるものもあります。必要に応じて、これらの機能が備わっているものを選びましょう。

また、ロッカーは定期的に割り当てを変更するのが効果的です。個人用のため、長期間にわたって使用していくうちに物を溜め込んでしまったり、整理整頓ができなくなっていたりする場合があります。定期的に割り当てるロッカーを変更すると、不用品の廃棄や整理整頓を促すことが可能です。

■2. オフィス内で私物管理に関するルールを設ける

私物管理に関する社内ルールを設けましょう。なぜなら、働き方や環境が大きく変わるため、明確なルールがあった方が社員も大きな混乱なく受け入れやすくなります。
デスクを共有するため、自分だけではなく他の人も気持ちよく利用できるように、たとえば次のようなルールを設けましょう。

・オフィスに不要なものは持ち込まない
・私物は必要最低限のものしか持ち込まない
・業務中に使用しないものはロッカーに収納する
・離席するときはデスク上を片付ける
・デスク使用後はウェットティッシュでデスク上を拭く

企業に合ったルールを検討し、状況に応じて変更していくと良いでしょう。

■3. 社内書類のペーパーレス化を進める

デスクに収納するスペースがないフリーアドレスをうまく運用するためには、荷物を極力減らすことが望まれます。特に導入にあたって、以前よりも小規模なオフィスに移転した場合は荷物の削減が大きな課題となります。そのため、今まで紙に印刷していた資料や書類はペーパーレス化を進めましょう。

紙で保管していたものを電子データ化し、不要になった紙を廃棄すれば、オフィス内の空きスペースを確保できます。今まで紙で管理していた量が多ければ多いほど、ペーパーレス化の効果は大きくなります。

紙の書類を廃棄する際は、シュレッダーで裁断するなどして情報が漏れないように注意しましょう。また、書類を廃棄してから、実はまだ電子データ化されていない資料があったということがないように、ルールを決めて計画的に進めることも必要です。

電子データ化した資料は、社員がアクセスできる共有フォルダに保存するのがおすすめです。内容によって、アクセス権を設定することも検討すると良いでしょう。アクセスできる社員を限定することで、セキュリティ性を高められます。
また、印刷物を個人で所有すべきものと、共有できるものに仕分けする方法もおすすめです。個人で管理する印刷物が減ることで、ペーパー削減につながります。

ペーパーレス化によってオフィススペースが空けば、別の用途で有効活用できるようになります。

■4. オフィス内で共有できる文房具を用意する

効果的な方法としておすすめなのが、私物管理のコストを下げるために、オフィスで使用するハサミやカッター、テープ類、ホッチキスなどの文房具を共有化することです。

共有化できる文房具を用意することによって、その分、社員が持ち込む私物を減らすことが期待できます。共有の文房具は所定の場所に保管して、社員なら誰でも使えるようにしておくと便利です。

保管する場所としては、共有のロッカーや棚、引き出しなどが考えられます。紛失や個人が専有化することを防ぐため、使用した後は必ず元の場所に戻すようにルールを設定しておきましょう。

もし、共有した文房具の紛失が相次ぐ場合は、持ち出し時と返却時に氏名とその時間を記録するなどの方法が効果的です。

 

フリーアドレスオフィスにおける私物の管理方法に関する詳細はこちらの記事でも解説しています

ペーパーレス化に関する詳細はこちらの記事でも解説しています。

私物管理だけじゃない!フリーアドレスオフィス導入を成功させるポイント

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ここからは、導入を成功させるためのポイントを詳しく解説します。私物の管理だけではなく、ここで解説するポイントにも注意しましょう。

■導入に向かない業種・部署を把握する

すべての業種が、フリーアドレスに向いているとは限りません。自社の業種や部署が向いているか把握しましょう。一般的に、IT系などデータをデジタル化しやすい業種は向いていると考えられます。
また、出張や外回り、営業活動などでオフィス内の在籍率が低い業種も、フリーアドレスオフィスの特性を活かせる可能性が高いと考えられます。逆に在籍率が高い業種は、席が人数分必要になってしまうため、導入しても大きな効果は得られないかもしれません。

そのほか、経理や管理など社内の各部署から問い合わせが多いと考えられる部署は、自由席にすると探すのに時間がかかってしまう可能性があるため、向いていないと考えられます。経理や管理の部署はいつも決まった場所にいて、やり取りしたいときにすぐ会いに行けるのが理想です。

機密資料を多く扱う業種も、固定席が適していると考えられます。なぜなら、フリーアドレスは人の出入りが多くなるため、セキュリティの取り扱いが難しくなってしまうからです。

オフィスのスタイルは部署や業種によって柔軟に考えることが大切です。

■社員の居場所が把握できる仕組みをつくる

誰が社内のどこにいるのかわかるような仕組みを考える必要があります。必要なときにすぐコンタクトが取れないと、業務が滞ってしまう可能性があるためです。これでは、業務の効率化や生産性の向上は望めません。

社員の居場所を把握するツールとしては、最近導入の進む「ビーコン」などがおすすめです。オフィスに設置したビーコンと、専用アプリをインストールしたスマホとを連携させると、ビーコンが発する電波をスマホが感知して社員が現在どこにいるか特定できます。

■導入意義をしっかり浸透させる

オフィスを利用する社員一人ひとりに対して、導入意義をしっかり浸透させることが大切です。なぜなら、導入意義が理解されていないと、以前よりも働きにくくなったり、同じ席で働き続ける人が現れたりするためです。

また、導入しただけで満足しないように注意しましょう。フリーアドレスを継続し、そのメリットを引き出すには、現場でのフィードバックが不可欠です。社員に対して繰り返しフィードバックを行って、課題が浮き彫りになったらその都度、改善に取り組むことが大切です。

フリーアドレス向きのパーソナルロッカーを選ぶポイント

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ここからは、フリーアドレスオフィスに向いているパーソナルロッカーを選ぶためのチェックポイントを解説します。どのようなロッカーを設置するかによって私物管理のしやすさが変わるため、パーソナルロッカー選びは重要です。

■収納性やデザイン性

セキュリティ面以外に、収納できる容量やデザインにも注目しましょう。極力コンパクトで、かつ必要最低限のものが入るサイズを選ぶことで、限られたスペースを有効活用できます。

大きめのものを購入してしまうと、オフィスを占有してしまう可能性があり、逆に小さめなものでは私物や仕事道具を収納しきれない事態が発生します。事前にレイアウトや収納する荷物量などを確認、検討しておくことが大切です。

また、オフィスのレイアウトや色合いに調和したデザイン性を重視することも重要です。内装や雰囲気に合わせて、違和感のないデザインを選びましょう。おしゃれな内装にしても、ロッカーがそのイメージに合っていないと、オフィス全体の雰囲気を損なってしまうためです。

最近ではデザイン性の高いロッカーも多数登場しているため、オフィスの内装や雰囲気に合ったものを選びやすくなっています。多くの選択肢のなかから、オフィスに馴染むものを選びましょう。

■個人宛ての郵便物を届けやすい構造

毎回、日によって座る席が変わるため、個人宛の郵便物や書類、配布物などを本人へスムーズに手渡しできないケースもあり得ます。

対応策としては、郵便物や配布物を入れられる投函口が付いているパーソナルロッカーの使用がおすすめです。ロッカーとしてだけではなく、メールボックスとしても重宝します。

投函口の大きさやロッカー本体の色、収納容量などを確認して、自社に最適なものを選びましょう。

■鍵の紛失にも対応できるキーレスタイプ

従来のロッカーは鍵で開ける方式でしたが、最近では鍵が不要なキーレスタイプが増えてきました。キーレスタイプは、社内の人事異動などで使用する人が変わった際でも、すぐに新しい人にロッカーを割り当てしやすくて便利です。鍵を紛失する心配がないというメリットもあります。

キーレスタイプが登場した当初は、ダイヤル錠方式が主流でした。現在は、ボタンキー式やICカードタイプも登場しています。また、扉を閉めたら自動的に施錠されるオートロック方式のロッカーは、鍵の閉め忘れがないため、セキュリティ面でも安心です。

まとめ:私物を適切に管理して快適なオフィスを実現しよう

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フリーアドレスオフィスを導入することにより、今まで接点がなかった他部署の社員と接する機会を作れるため、企業内の情報共有がスムーズになったり、新しいアイデアや企画が生まれたりする効果が期待できます。

しかし、環境が大きく変わるため、オフィス内が乱雑になりがちだったり、セキュリティのリスクが高くなってしまったりという問題が生じる場合も考えられます。特に問題になりやすいのが、私物の管理をどうするかです。

今まで利用していたオフィスと同じように「デスクに収納しておく」という管理はできないため、個人用のロッカーを設置したり、ルールを決めたりする必要があります。社員一人ひとりが運用ルールを守って仕事をするように指導することも大切です。

環境の整備や適切なルールの策定を実施して、導入後も私物を適切に管理することで、快適なオフィス環境の維持に努めましょう。

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