ABW型オフィスの導入で働き方改革!導入する流れから企業事例まで

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ABW型オフィスの導入で働き方改革!導入する流れから企業事例まで

ABW型オフィスを採用して、働き方改革やコスト削減を達成する企業が増えています。一方で、ABWにあまり聞き馴染みがなく、導入の検討材料として「そもそもABWとは何か」という基本情報から収集している企業も多いようです。

この記事では、これからABW型オフィスを検討したい企業向けに、ABW型オフィスの概要やメリットを詳しく解説します。さらに導入する際に確認しておきたい事項や導入する流れ、導入事例や成功させるためのポイントも解説します。

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ABW型オフィスとは

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ABWは働き方の一種で、「Activity Based Working」の略です。社員自身がその日の業務内容や都合にあわせて、働く時間や場所を自由に選択できる働き方を指します。そのため、従来の業務スタイルのように毎日オフィスに出勤する必要はなく、また定時という概念もありません。

似ている意味で使われる言葉として、フリーアドレスオフィスがありますが、働く場所に明確な違いがあります。

フリーアドレスオフィスは、オフィス内で自由に席を選べる働き方です。つまり、選択肢はオフィス内に限定されています。一方、ABWはオフィスの他、カフェやレストラン、サテライトオフィス、コワーキングスペースなど選択肢が幅広く自由に選べます。

働く場所を自由に選択できるのがABW型、その中でも働く場所をオフィス内に限定した働き方はフリーアドレスになります。

ABWに関する詳細はこちらの記事でも解説しています。
フリーアドレスオフィスに関する詳細はこちらの記事でも解説しています。

ABWをオフィスに導入する3つのメリット

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ABWを導入するメリットとして、代表的なものを3つご紹介します。メリットを知ったうえで、導入するかを検討しましょう。

■従業員の生産性・モチベーションアップ

社員自身で働く環境を選べるため、モチベーションアップが期待できます。業務内容に応じて、それに適した設備や環境が揃っている場所で働くことも可能です。そのため、従来のオフィスと比べて、ストレスなく集中できる環境で仕事ができる可能性が高いと考えられます。

上司からの指示を待つのではなく、自分で働く場所から考える必要があるため、社員一人ひとりの仕事に対しての意識向上も望めます。業務がやりやすい環境で働けるうえ、社員一人ひとりのモチベーションや仕事に対しての意識が向上すれば、生産性のアップも期待できるでしょう。

働く場所を選べるうえ、自分の都合で働く時間も選べるABWは、近年重要視されているワークライフバランスの面で考えても向いていると考えられます。育児や介護をしながら働きたい人にも、適しているオフィススタイルです。

ワークライフバランスに関する詳細はこちらの記事でも解説しています。

■フリーアドレスを導入するとコスト削減につながる

フリーアドレスの仕組みを導入した場合、席やデスクは出社している人数分だけあればよいため、オフィス空間のコストを削減できます。オフィスの空間を有効活用できるだけではなく、現状より規模の小さいオフィスへ移転することも視野に入れられます。

現状よりも規模の小さいオフィスへの移転は、コスト削減の面で効果が期待できます。なぜなら、家賃や電気代などの運用コストを削減できる可能性があるためです。

オフィスの維持費を削減したいと考えている場合は、フリーアドレスの導入を検討する価値があるかもしれません。

■優良な人材が集まりやすくなる

ABWが導入された企業で働く人の満足度は、従来のオフィス形態で働く人と比べて高くなる傾向があります。やがて働きやすい企業としての評判が広まるため、採用活動における自社の口コミとしてアピールでき、優良な人材が集まりやすくなるでしょう。

具体的な理由として、同じオフィス内であっても、働く場所をその日の気分や仕事内容に合わせて自由に選択できるという点が挙げられます。たとえば、「チーム内と即座に連携を図りたいときは共有スペース」「一人で作業に集中したいときは個室スペース」「気分転換しながら働きたいときはカフェスペース」のように、自主的に仕事の進め方を工夫できます。

このように自主的に働きやすいオフィス環境は、社員の働く満足度向上のみならず、採用活動におけるアピールポイントにもつながっていくでしょう。

ABWをオフィスに導入する前の確認事項

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ここからは、導入前に確認しておきたい事項を解説します。

■新しい働き方をどのように社員に浸透させるか

新しい働き方ができるようになっても、その働き方を社員が正しく理解していないと意味がないでしょう。ABWの考え方やメリットが社員に浸透していないと、全員が出社して同じ場所でしか仕事をしないなど、導入前と何ら変わらない状況になりかねません。

そのため、社員一人ひとりにABWの働き方やメリットを理解してもらうことが大切です。特に導入当初は、どうしても今までの働き方から変えられない社員が出てくることが予想されます。社員の働き方が変わらなかったら、コストに見合ったメリットは得られません。

特に年配の社員や、従来の働き方で長く勤めてきた社員などは、理解してもらえるまで時間がかかってしまうかもしれませんが、必要に応じて説明やフォローなどを丁寧に行っていきましょう。

■勤怠管理や人事評価をどう運用するか

既存の勤怠管理や人事評価のシステムをそのまま利用するのは難しくなります。なぜなら、社員が働く場所が企業のオフィスだけとは限らないからです。直接目の届かない所で仕事をするケースもあるため、タイムカードなどによる勤務時間の管理は困難になります。

評価する側は直接関わる頻度が減るため、作業の進捗状況や社員の体調なども従来のようには把握できません。そのため、導入前に新しい評価基準を用意しておきたいところです。

また、ABWは自由度が高いため、社員の自律性が求められます。その分、自身で考えたり、動いたりするのが苦手な社員にはフォローが必要となる場合があります。管理の目が届きにくいことから、社員のモチベーションが低いと、仕事の進捗が著しく遅れてしまうケースも考えられるため注意が必要です。

■セキュリティリスクへの対策はどうするか

特に注意しなければならないのがセキュリティリスクです。なぜなら、ABWはさまざまな場所で働くことになるため、資料やパソコンなどの持ち運びが生じるためです。持ち運びすることで、移動中の紛失や置き忘れなど、どうしてもセキュリティリスクが高くなってしまいます。

USBメモリやSDカードなどの外部媒体利用が原因のウイルス感染にも注意が必要です。使用するパソコンやタブレット、スマホには必ずセキュリティソフトをインストールすることを徹底することが望まれます。

ABWを導入する場合は、情報が記録された機器などを持ち運ぶ際のルールを策定しましょう。ルールを決めるだけではなく、社員一人ひとりに高いセキュリティ意識を持ってもらうことも大切です。研修やセミナーなどを実施して、情報が漏洩したときのリスクや、セキュリティ対策の大切さを浸透させましょう。

オフィスのセキュリティ対策に関する詳細はこちらの記事でも解説しています。

ABWをオフィスに導入する流れ

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ABWのスムーズな導入には、流れを把握することも大切です。ここからは、4つのステップに分けて、導入の流れを詳しく解説します。

■1. オフィス環境に関する現状把握

オフィスを改革する方法はABW以外にもあるため、まずはABWの導入が最適な選択かを判断することが大切です。ABWを導入すれば社員が働きやすくなるか、業務を効率化して生産性を向上できるかなどを確認しましょう。

自社の業務内容がABWに向いているかの判断も重要です。たとえば、固定メンバーで同席していないと進められない業務や、常に同じ場所に在籍していることが望ましい部署の場合は、ABWを導入しても大きな効果は得られない可能性があります。

社員に対して、アンケートを取るのもおすすめです。現状のオフィスに対する不満点や、ABWの導入を望んでいるかなどを確認しましょう。その結果を踏まえて、最終的にABWの導入が必要か判断するのがおすすめです。

■2. ABWの導入目的を定める

忘れてはいけないのが、ABWは業務の効率化や生産性の向上、コスト削減などの目的を達成するための手段だということです。導入が目的にならないように注意しましょう。導入して完了ではなく、導入して効果を発揮して目的を達成することが大切です。

企業としての目的を達成するため、また社員にABWを実践してもらうために、導入目的を明確にすることが非常に重要です。

■3. オフィスレイアウトや必要な自社設備の確認

導入目的が定まったら、その目的を達成できるレイアウトを考えましょう。どのようなエリアが必要かも検討します。一般的には、デスクワークができるエリアだけではなく、ミーティング用のエリアや、休憩するためのエリアなども必要です。

電話やWEBミーティングをするためのブースを設けることも考えられます。新設ではなく、既存のオフィスに導入する場合は、現存するパーテーションの撤去作業も必要になる可能性があります。Wi-Fiの設置や電話工事が必要な場合は、その手配もしなければなりません。

ABWを導入すると社員が社外で働くことが増えるため、ノートパソコンやスマホなどの機器支給についても検討が必要です。あらかじめ必要な設備や機器を確認のうえリストアップしておきましょう。

オフィスレイアウトに関する詳細はこちらの記事でも解説しています。

■4. ABWに対応可能な社内制度の構築

勤怠管理や人事評価について新たなルールの構築が必要になります。社員それぞれの働く場所が日々変動するため、従来の社内制度で対応しきれない可能性があるためです。

導入後は社員の自律的な働きを評価する仕組みや、リモートでも勤怠管理できる仕組みが求められます。人事考課システムや勤怠管理アプリなどを有効活用しましょう。

また、オンラインでの勤怠管理や人事評価の明確な基準を設定することも大切です。なぜなら、勤怠管理の方法や評価の基準が明確になっていない場合、社員から不満が出てしまう可能性があるためです。

ABW型オフィスの導入を成功させるポイント

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導入を成功させるために知っておきたいポイントを詳しく解説します。

■社内のコミュニケーション設計を強化

対面で話す機会が減るため、コミュニケーションに齟齬が出ないように注意が必要です。コミュニケーションがうまくいかないと、企業やチームの弱体化につながってしまいます。導入にあたっては、コミュニケーションについても今までとは違った意識を持つことが大切です。

上司は部下からの報告を待つのではなく、ときには自分から聞きに行くことも求められます。常に目の届く範囲に社員がいるとは限らないため、社員が孤独感を感じていたり、一人で問題を溜め込んでいたりしないか目を配る必要もあります。

上司だけではなく、一般社員もオンラインで問題なくコミュニケーションできる能力が求められます。相手にどのように伝わるかを意識したコミュニケーションができるよう、社内研修やセミナーでフォローしていくことが必要です。

社内のコミュニケーションに関する詳細はこちらの記事でも解説しています。

■費用対効果のシミュレーション

導入に必要な費用と、導入によって削減できるコストをリストアップして、費用対効果のシミュレーションを行いましょう。まず、ABW導入で必要となるおもな費用は次のとおりです。

・新オフィスの賃貸費用
・新オフィスの内装工事費用
・新オフィスの設備費用
・新たに用意するオフィス家具や機器の購入費用
・不用品の廃棄費用
・現在のオフィスの原状回復費用
・引越し費用

上記は、現在のオフィスから新しいオフィスに移転してABWを導入する場合の費用です。現在のオフィスに導入する場合は、引越し費用や原状回復費用はかかりません。

ABWの導入によって削減できるコストは次のようなものが挙げられます。

・新オフィスに移転することで賃貸料を削減
・テレワークが可能となるため、通勤手当を削減
・ペーパーレス化の推進でプリンタやコピー機の維持費やコスト、印刷時間などを削減

上記はあくまでも一般的な例ですが、このような内容を参考に導入費用と導入後のコスト削減効果を想定して、期待する費用対効果が出るかシミュレーションしてみましょう。

シミュレーションの結果、期待している費用対効果が出ないようであれば、計画の見直しが必要かもしれません。

■ABW向けのオフィス家具を準備する

フリーアドレスとなるため、社員一人にひとつのデスクではなく、長方形などひとつのデスクで数人の利用ができる形状が向いています。デスクに引き出しは必要なく、並べて使用できるシンプルなデザインが使いやすくておすすめです。

集中できるスペースを用意したい場合は、デスクとパーテーションが一体型になっているコンパクトな集中ブースが便利です。パーテーション部分に吸音性や防音性があるものだと、より集中しやすくなります。電話やWEBミーティング用として、完全密閉型のブースもあると便利です。

アイリスチトセでは、ABWに向いているオフィス家具を多数扱っています。これらのオフィス家具は、公式サイトに掲載しております。ABW向けのオフィス家具をお探しでしたら、ぜひ一度ご覧ください。公式サイトからお問い合わせしていただくことも可能です。

■ABW導入のサービスを利用する

ABWの導入は専門の外部サービスを利用して進めるのがおすすめです。たとえば、ABW導入におけるコンサルティングサービスを提供している会社では、オフィス課題のヒアリングをはじめ、導入目的のプランニング、空間構築設計、引越しや工事の手配など一気通貫で支援しています。

これらを自社で行うと膨大な手間と時間がかかってしまいますが、専門の外部サービスを利用すればすべてサポートしてもらえます。結果的に、導入に要する手間と時間を大幅に縮小できるでしょう。

また、導入後の運用についても相談できるのも嬉しいポイントです。運用ルールの策定や効果測定などのサポートを依頼することも可能です。知識やノウハウ無しでABW導入を成功させるのは難しいため、積極的に専門のサービス利用を検討してみると良いでしょう。

この点、アイリスチトセではABW導入の専門サービスを提供しています。ワークスペースを10のスタイルに分類して、お客様のオフィスに最適な環境をデザインしてご提案します。ABWの導入をご検討の際にはお気軽にお問い合わせください。

ABW型オフィスの導入事例「社員が働くエリアを選べるオフィス」

ABW型オフィスの導入事例として、アイリスオーヤマ株式会社の事例をご紹介します。ABW導入によって、社員一人ひとりが業務内容や気分などに応じて、働きやすいエリアを選んで働くことが可能になりました。

こちらのオフィスでは、ABW型の働き方をするために、異なる特徴を持つ7つのエリアが用意されています。一つずつ詳しくご紹介します。

・ウィンドウフロントエリア
・ウェルエリア
・エキスパートエリア
・チームワークエリア
・タッチダウンエリア
・ソファエリア
・リラックスワークエリア

■1.ウィンドウフロントエリア

窓際に多くのデスクが配置されたエリアで、日当たりの良さが特徴です。オフィスで働きながら、太陽光を浴びられます。企画書の作成など、おもに1人で集中して働くことを想定しているエリアです。

ウィンドウエリア

■2.ウェルエリア

心身の健康をテーマにしたエリアです。立ったまま仕事ができる上下昇降デスクや、植物を視界に入れながら仕事ができる「バイオフィリア・デスク」などが設置されています。

ウェルエリア

■3.エキスパートエリア

デザインや設計など、専門性の高い業務をするための固定席が用意されているエリアです。デスクには、上下昇降デスクが採用されています。発売前の家電に関する設計図や資料など秘匿性の高いものを扱うため、このエリア内は固定席となっています。

エキスパートエリア

■4.チームワークエリア

社内ミーティングや商談ができるエリアです。フリーアドレスで、少人数用から多人数用など、さまざまな規模のミーティングに対応できるデスクが設置されています。一般的なデスクや椅子だけではなく、ファミレスにあるような座席や立ったままミーティングできるハイカウンター席などもあります。

■5.タッチダウンエリア

各地から出張中の社員が利用することを想定したエリアです。アイリスグループは全国から出張で社員が訪れるため、このようなエリアが用意されています。座って作業できるスペースだけではなく、立ったまま手早く作業できるスペースもあります。

タッチダウンエリア

■6.ソファエリア

おもにコミュニケーションを目的としたエリアです。ソファが設置されていて、リラックスした状態でコミュニケーションを取れるように配慮されています。

ソファエリア

■7.リラックスワークエリア

社員が利用できるラウンジやカフェなどがあるエリアです。テーブル席やカウンター席などが設置されています。セミナーやイベントの開催場所として使用されることもあります。

リラックスワークエリア

社員は上記7つのエリアを自由に行き来できるため、これらのエリアとは別に社員それぞれに専用のロッカーが用意されています。社員はそのロッカーに私物などを収納可能です。

また、オフィス内にはスタンディングミーティングが可能な丸テーブルが点在しています。この丸テーブルがあることによって、相談事などが生じた際にはすぐに関係者が集まってミーティングを行うことが可能となっています。

まとめ:ABW導入で働きやすい職場環境を実現しよう

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ABWは社員一人ひとりが業務に応じて、その日の勤務場所を選べる働き方で、生産性の向上やコスト削減が期待できます。柔軟に働けることでライフワークバランスを維持しやすくなるため、社員のモチベーションアップにも繋がります。また、このような働きやすいオフィス環境は、新卒採用や中途採用における人材市場でもアピールポイントにつながるでしょう。

導入にあたっては、自社で使用しているオフィス環境の課題把握、目的の明確化と社内への浸透などが必要不可欠です。もし本格的に導入を検討している場合は、ABWに関する一連の流れを支援しているコンサルティング会社に相談してみるのも一つの方法です。

ABWの導入や職場環境の整備で、より働きやすい職場を実現させましょう。

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