ABW型オフィスの導入で働き方改革!導入する流れから企業事例まで

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ABW型オフィスの導入で働き方改革!導入する流れから企業事例まで

ABW型オフィスを採用して、働き方改革やコスト削減を達成する企業が増えています。一方で、ABWにあまり聞き馴染みがなく、導入の検討材料として「そもそもABWとは何か」という基本情報から収集している企業も多いようです。

この記事では、これからABW型オフィスを検討したい企業向けに、ABW型オフィスの概要やメリットを詳しく解説します。さらに導入する際に確認しておきたい事項や導入する流れ、導入事例や成功させるためのポイントも解説します。

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ABW型オフィスとは

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ABWは働き方の一種で、「Activity Based Working」の略です。社員自身がその日の業務内容や都合にあわせて、働く時間や場所を自由に選択できる働き方を指します。そのため、従来の業務スタイルのように毎日オフィスに出勤する必要はありません。

似ている意味で使われる言葉として、フリーアドレスオフィスがありますが、働く場所に明確な違いがあります。

フリーアドレスオフィスは、オフィス内で自由に席を選べる働き方です。つまり、選択肢はオフィス内に限定されています。一方、ABWはオフィスの他、カフェやレストラン、サテライトオフィス、コワーキングスペースなど選択肢が幅広く自由に選べます。

働く場所を自由に選択できるのがABW型、その中でも働く場所をオフィス内に限定した働き方はフリーアドレスになります。

ABWに関する詳細はこちらの記事でも解説しています。
フリーアドレスオフィスに関する詳細はこちらの記事でも解説しています。

ABWが多くの企業から注目されている背景

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近年、ABW型オフィスが多くの企業に注目されています。その背景には、働き方改革や新型コロナウイルス感染症の拡大が大きく関係しています。日本では政府主導で働き方改革が推進されており、働き方関連法が改正されました。

たとえば2019年からは、時間外労働の上限規制や年次有給休暇の確実な取得などが順次施行されています。働き方改革を推進するために、企業には社員が働きやすい環境整備も求められています。

そこに新型コロナウイルス感染症の拡大が起き、労働環境の変化への対応を迫られました。これを受け、テレワークをはじめとした多様な働き方を導入する企業が増えてきています。

ABWの基本となる10の活動

ABWと呼ばれるワークスタイルは、オランダで発祥したといわれています。オランダのコンサルティング会社「ウェルデホーエン社」は、働く場所は活動から選ぶという考え方に基づき、その活動を10種類に分類しています。

  • 高集中
  • コワーク
  • 電話/Web会議
  • 二人作業
  • 対話
  • 情報整理
  • 知識共有
  • アイデア出し
  • リチャージ
  • 専門作業

高集中とは、高い集中力が求められる個人ワークのことです。オープンスペースのワークスペースでは、周囲の視線や雑音が気になり、個人ワークに集中できないことがあります。仕事に集中できなければ、生産性の低下が懸念されます。このような環境下で高いパフォーマンスを発揮するためには、個人ワークに集中できるスペースが必要です。

コワークとは短い会話や質問を交わしつつ、メンバーと場を共有しながら進める個人ワークのことです。メールのチェックや返信など、高い集中力が求められない作業がコワークに該当します。

電話/WEB会議は、物理的に一人で取り組むバーチャル上のコラボレーションのことです。物理的には相手が存在しないため、それほど広いスペースを必要としません。二人作業は近距離で横並びになり、ともに進める作業のことです。

周囲に気兼ねすることなく、共同作業に没頭できる環境を用意する必要があります。対話は、二人または三人で議論や会話を交わしながら進める作業のことです。1on1ミーティングや定期面談は、対話に該当します。

情報整理は、計画の進捗を整理・議論するために計画された会議のことです。ABWは社員がさまざまな場所で働くため、情報を整理し、メンバーにきちんと共有する必要があります。

知識共有は、三人以上のメンバーで知識を共有することです。具体的なシーンには、勉強会や報告会、研修会などがあげられます。情報整理との大きな違いは、プレゼンターがメインとなって知識を提供する点です。

アイデア出しは、新たなアイデアやプロセスを構築する際の協働作業です。ホワイトボードに考えを書き出す活動は、アイデア出しに該当します。リチャージは、仕事の合間に取る休憩のことです。

生産性を高めるためには、適宜リフレッシュし、オンとオフの切り替えも必要です。社員のリフレッシュを目的に、リフレッシュルームを設置する企業もあります。専門作業は、特殊な設備や環境を必要とする専門的な作業を指します。

企業がABWを導入する際の課題

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ABWは、新たな働き方として注目を集めています。企業がABWを導入すると、生産性の向上や優秀な人材の確保などのさまざまな効果が期待できます。しかし、ABWはメリットばかりではありません。いくつかの課題があるため、事前に把握し、対策を検討しておく必要があります。

 

部下の管理が難しくなる

企業は、部下を適切に管理する必要があります。しかし、ABWを導入すると、部下の管理が難しくなる側面があります。ABWは働く場所が固定されていないため、部下が働く様子を監視しづらくなるためです。

また、部下の管理が難しくなるということは、適正な評価を実施できない可能性があります。

ABWを導入する際には、勤務管理や評価体制の見直しが必要です。ABWの導入後も適切に部下を管理するためには、勤怠管理システムを導入する方法があります。評価制度には360度評価を導入すると、多角的に評価できるため、公正かつ適正な評価につながります。

 

コミュニケーション不足になりやすい

ABWを導入する際の課題の一つは、コミュニケーション不足になりやすいことです。ABWは、社員が仕事をする場所を自由に選べる働き方です。社員は別々の場所で働く時間が増えるため、コミュニケーションを取りづらくなる側面があります。

コミュニケーション不足が起きると、適切に情報が提供されず、チーム間の連携に悪影響を及ぼすおそれもあります。必要なタイミングで相談できない状況となり、心身の健康を悪化させる社員が出てくるかもしれません。

コミュニケーション不足による悪影響を避けるためには、離れた場所にいる社員同士がコミュニケーションを取れる環境を整備する必要があります。たとえば、チャットツールのようなコミュニケーションツールを導入する方法があります。

 

セキュリティリスクが高まる

企業がABWを導入する際には、セキュリティ対策の強化が必要です。社員がさまざまな場所で働くようになれば、セキュリティリスクが高まります。たとえば、デバイスの紛失や第三者の盗み見による情報漏洩です。

万が一情報漏洩が起きれば、企業にとって大きなダメージになるでしょう。社員の情報リテラシーを高めるために、外部から専門家を招いて研修を実施する方法もあります。ただし、社員の研修だけではセキュリティ対策が十分とはいえません。

ABWを導入する際には、デバイスの持ち出しルールを策定しておくことも大切です。デバイスの盗難や紛失を想定し、遠隔操作でロックやデータ消去ができるようにしておく方法もあります。

ABWが向いている企業や職種とは

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ABWは、職種や企業によって向き不向きがあります。企業にABWが不向きの職種が多い場合、導入しても高い効果を期待できないのが現状です。そのため、ABWを導入する際には、自社に向いている職種が多いかを確認しておくことも大切です。

 

ABWが向いている職種

まずは、ABWが向いている職種を紹介します。ABWは、次のような職種に向いています。

  • 企画
  • 営業
  • マーケティング
  • IT関連 など

営業職の場合、1日に複数の顧客を訪問することもあります。訪問の合間にオフィスに戻って仕事をすると、移動時間が無駄になり非効率です。外出先でサテライトオフィスを活用し、事務作業を済ませれば、効率的に仕事を進められます。

ABWはその日のスケジュールや業務内容によって働く場所を選べるため、営業職をはじめとする非定型業務をおこなう職種に向いています。一方でABWは、研究職や開発職などの企業の機密情報を扱う機会が多い職種に不向きです。

これらの職種はオフィス以外の場所で働く機会が増えると、情報漏洩のリスクが高まります。また、研究職や開発職は、仕事をする際に専用の機器が必要です。そのため、機器がある場所でしか働くことは難しいでしょう。

 

ABWの導入が向いている企業

ABWの向き不向きは、企業の社風によって異なります。制度変更や意識改革に対して柔軟な社風の企業は、ABWが向いています。このような企業では社員の柔軟性も高いため、ABWを導入しても浸透しやすい傾向にあるためです。

また、ITツールやシステムを積極的に導入している企業は、オフィス以外でも働ける環境を整備しやすいため、ABWの導入に向いています。一方で、ITツールやシステムの導入が発展途上の段階の企業では、ABWを導入しても上手くいかないケースが多いでしょう。

ABWの導入を検討している場合は、座席の利用率を把握しておくことも大切です。座席の利用率が高い場合はオフィス出社を望む社員が多く、座席を減らした運用が難しいため、ABWには向いていません。

ABWをオフィスに導入する流れ

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ABWのスムーズな導入には、流れを把握することも大切です。ここからは、4つのステップに分けて、導入の流れを詳しく解説します。

 

■1. オフィス環境に関する現状把握

オフィスを改革する方法はABW以外にもあるため、まずはABWの導入が最適な選択かを判断することが大切です。ABWを導入すれば社員が働きやすくなるか、業務を効率化して生産性を向上できるかなどを確認しましょう。

自社の業務内容がABWに向いているかの判断も重要です。たとえば、固定メンバーで同席していないと進められない業務や、常に同じ場所に在籍していることが望ましい部署の場合は、ABWを導入しても大きな効果は得られない可能性があります。

社員に対して、アンケートを取るのもおすすめです。現状のオフィスに対する不満点や、ABWの導入を望んでいるかなどを確認しましょう。その結果を踏まえて、最終的にABWの導入が必要か判断するのがおすすめです。

 

■2. ABWの導入目的を定める

忘れてはいけないのが、ABWは業務の効率化や生産性の向上、コスト削減などの目的を達成するための手段だということです。導入が目的にならないように注意しましょう。導入して完了ではなく、導入して効果を発揮して目的を達成することが大切です。

企業としての目的を達成するため、また社員にABWを実践してもらうために、導入目的を明確にすることが非常に重要です。

 

■3. オフィスレイアウトや必要な自社設備の確認

導入目的が定まったら、その目的を達成できるレイアウトを考えましょう。どのようなエリアが必要かも検討します。一般的には、デスクワークができるエリアだけではなく、ミーティング用のエリアや、休憩するためのエリアなども必要です。

電話やWEBミーティングをするためのブースを設けることも考えられます。新設ではなく、既存のオフィスに導入する場合は、現存するパーテーションの撤去作業も必要になる可能性があります。Wi-Fiの設置や電話工事が必要な場合は、その手配もしなければなりません。

ABWを導入すると社員が社外で働くことが増えるため、ノートパソコンやスマホなどの機器支給についても検討が必要です。あらかじめ必要な設備や機器を確認のうえリストアップしておきましょう。

オフィスレイアウトに関する詳細はこちらの記事でも解説しています。

 

■4. ABWに対応可能な社内制度の構築

勤怠管理や人事評価について新たなルールの構築が必要になります。社員それぞれの働く場所が日々変動するため、従来の社内制度で対応しきれない可能性があるためです。

導入後は社員の自律的な働きを評価する仕組みや、リモートでも勤怠管理できる仕組みが求められます。人事考課システムや勤怠管理アプリなどを有効活用しましょう。

また、オンラインでの勤怠管理や人事評価の明確な基準を設定することも大切です。なぜなら、勤怠管理の方法や評価の基準が明確になっていない場合、社員から不満が出てしまう可能性があるためです。

ABW型オフィスの導入事例「社員が働くエリアを選べるオフィス」

ABW型オフィスの導入事例として、アイリスオーヤマ株式会社の事例をご紹介します。ABW導入によって、社員一人ひとりが業務内容や気分などに応じて、働きやすいエリアを選んで働くことが可能になりました。

こちらのオフィスでは、ABW型の働き方をするために、異なる特徴を持つ7つのエリアが用意されています。一つずつ詳しくご紹介します。

・ウィンドウフロントエリア
・ウェルエリア
・エキスパートエリア
・チームワークエリア
・タッチダウンエリア
・ソファエリア
・リラックスワークエリア

■1.ウィンドウフロントエリア

窓際に多くのデスクが配置されたエリアで、日当たりの良さが特徴です。オフィスで働きながら、太陽光を浴びられます。企画書の作成など、おもに1人で集中して働くことを想定しているエリアです。

ウィンドウエリア

■2.ウェルエリア

心身の健康をテーマにしたエリアです。立ったまま仕事ができる上下昇降デスクや、植物を視界に入れながら仕事ができる「バイオフィリア・デスク」などが設置されています。

ウェルエリア

■3.エキスパートエリア

デザインや設計など、専門性の高い業務をするための固定席が用意されているエリアです。デスクには、上下昇降デスクが採用されています。発売前の家電に関する設計図や資料など秘匿性の高いものを扱うため、このエリア内は固定席となっています。

エキスパートエリア

■4.チームワークエリア

社内ミーティングや商談ができるエリアです。フリーアドレスで、少人数用から多人数用など、さまざまな規模のミーティングに対応できるデスクが設置されています。一般的なデスクや椅子だけではなく、ファミレスにあるような座席や立ったままミーティングできるハイカウンター席などもあります。

■5.タッチダウンエリア

各地から出張中の社員が利用することを想定したエリアです。アイリスグループは全国から出張で社員が訪れるため、このようなエリアが用意されています。座って作業できるスペースだけではなく、立ったまま手早く作業できるスペースもあります。

タッチダウンエリア

■6.ソファエリア

おもにコミュニケーションを目的としたエリアです。ソファが設置されていて、リラックスした状態でコミュニケーションを取れるように配慮されています。

ソファエリア

■7.リラックスワークエリア

社員が利用できるラウンジやカフェなどがあるエリアです。テーブル席やカウンター席などが設置されています。セミナーやイベントの開催場所として使用されることもあります。

リラックスワークエリア

社員は上記7つのエリアを自由に行き来できるため、これらのエリアとは別に社員それぞれに専用のロッカーが用意されています。社員はそのロッカーに私物などを収納可能です。

また、オフィス内にはスタンディングミーティングが可能な丸テーブルが点在しています。この丸テーブルがあることによって、相談事などが生じた際にはすぐに関係者が集まってミーティングを行うことが可能となっています。

まとめ:ABW導入で働きやすい職場環境を実現しよう

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ABWは社員一人ひとりが業務に応じて、その日の勤務場所を選べる働き方で、生産性の向上やコスト削減が期待できます。柔軟に働けることでライフワークバランスを維持しやすくなるため、社員のモチベーションアップにも繋がります。また、このような働きやすいオフィス環境は、新卒採用や中途採用における人材市場でもアピールポイントにつながるでしょう。

導入にあたっては、自社で使用しているオフィス環境の課題把握、目的の明確化と社内への浸透などが必要不可欠です。もし本格的に導入を検討している場合は、ABWに関する一連の流れを支援しているコンサルティング会社に相談してみるのも一つの方法です。

ABWの導入や職場環境の整備で、より働きやすい職場を実現させましょう。

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