企業のBCP対策、どこまで進んでいますか?

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企業のBCP対策、どこまで進んでいますか?

日本は美しい自然に恵まれている一方で、地震や水害などあらゆる自然の脅威にもさらされています。またそれだけではなく、近年は新型コロナウィルスの流行もあり企業は様々なリスクに備える必要があります。そうしたリスクに備えるために、近年よく耳にするBCP対策についてご紹介いたします。

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そもそもBCP対策とは?

BCP対策という言葉はご存じでしょうか?
日本国内30歳以上約2,000人のビジネスパーソンを対象としたアンケート調査では、知っていると回答した人が約27%、聞いたことがある、または知らないと回答した人が約73%でした。
この回答を受け、本記事ではBCP対策とは何なのか、そして何故必要なのか、どう策定すべきなのかをご紹介していきたいと思います。
BCPとは、「Business Continuity Plan」の略称で、日本語訳では「事業継続計画」と言います。
企業が災害などの緊急事態に遭遇した場合に、事業を継続するために災害時の対策や事業を継続するための方法を策定し、あらかじめまとめた計画のことを指します。
簡単に言うと、緊急時に事業への影響を最小限に抑えるためのマニュアルのようなものです。
海外では、1970年代から関心が高まってきたことが始まりですが、2011年の東日本大震災から日本でも注目され始めました。
度重なる自然災害や地震、新型コロナウィルスの流行などもあり、これからはより加速的に日本での導入が進むことが想定されます。
BCP対策に関する詳細はこちらの記事でも解説しています。

BCPとBCMとの違い

検索エンジンでBCPと入れると関連情報としてBCMという単語が出てくることもしばしばあります。
BCMとは、「Business Continuity Management」の略称で、日本語訳では「事業継続マネジメント」といいます。BCPは「Plan(計画)」であり、BCMは「Management(マネジメント)」を指し、あらかじめ決めておいたBCPをしっかりと運用、活用する為にBCMがあります。
具体的には策定したBCP対策を元に年一回の避難訓練を実施したり、新入社員へのBCP研修をしたりすることで従業員への訓練と周知を行う等です。
BCPがあってこそのBCMと考えていただくと区別がつきやすいかも知れません。
会社としてBCP対策を行っていてもBCMを実施していないと「災害時に〇〇支店の従業員は○○に避難する」と決めているにも関わらず、現場の社員が知らなかったり、忘れてしまったりすることによって有事の際に現場が混乱してしまいます。
そういったことが起こらないようにBCP対策をした後はBCMを実施することが重要です。
先ほどと同様に日本国内30歳以上約2,000人のビジネスパーソンを対象として「勤務先はBCP対策をしていますか?」というアンケート調査を実施したところ、約45%の人はわからないという回答でした。
この結果が正にBCMの大切さを物語っています。
わからないと答えた約45%の方の勤務先すべてがBCP対策を行っていないのかというと必ずしもそうとは言えません。わからないだけで、会社自体は対策をしているかも知れないのです。
この結果から考えられることは、会社はBCP対策をしているが従業員に周知されていないもしくは訓練を行っていないということです。
これでは、せっかく策定したBCPが緊急時に上手く運用できないかもしれません。
もちろん、緊急事態に直面した際に誰もが冷静に動けるわけではなく、混乱は避けられませんがBCPを策定した上でしっかりとBCMも実施していることにより、事業への影響を最小限にできる可能性が上がるのです。

BCP対策を行うメリット

ここまでの内容でBCP対策とは何か、そしてBCMについてもご理解いただけたかと思います。
では、何故必要なのか。
企業がBCP対策を行うことで得られるメリットとしては大きく3つあります。

①緊急時の対応力が高まる
BCP対策を行う目的である緊急事態が発生しても事業を継続できる体制を作ることによって、早期復旧が見込めます。そして、早期復旧により事業の縮小や倒産などのリスクを軽減させることができます。

②企業価値を高める
BCP対策をしっかりと行うことによって、企業としての信頼度が高まります。

緊急時に事業がストップすることにより関連企業にも影響を及ぼすことが殆どでしょう。その為、取引をするにあたってBCP対策をしていないこと自体がリスクだと捉えられる可能性があります。
逆に、BCP対策をしっかりと行っていることによって企業としての信頼が得られ競争力が上がります。
③事業の優先順位を把握できるこの後の項目でご説明いたしますが、BCPを策定するにあたって緊急事態に遭遇した際に優先するべき事業を決める必要があります。
その際に細かく分析するため、自社の根幹にある事業が何かを把握することができます。

BCPの策定に必要なポイント

BCP対策と言ってもまず何をすべきなのか、「実際に災害などの緊急事態に直面したときに期待した効果が得られるのだろうか…。」と不安になりますよね。
そこで、策定するための5つの手順をご紹介します。

1.事業を継続するために優先的に復旧する事業を決める
2.ビジネスインパクト分析(事業にどのような影響があるのかリスク分析)
3.計画の策定
4.訓練・教育の実施(BCM)
5.見直し・改善

 

順を追ってご説明いたします。
■事業を継続するために優先的に復旧する事業を決める
緊急事態が発生した際に、優先して復旧すべき重要事業を選定します。

選定基準は、存在が危ぶまれる程売上・利益へ大きく影響を及ぼす事業、シェアに影響を及ぼす事業、顧客との関係で大きな損害が予想される事業等です。
更にこの優先する事業を選定後、継続に必要な人員数、設備、情報などを洗い出して把握する必要があります。

■ビジネスインパクト分析
災害やテロなどで業務やシステムなどが停止してしまった場合に、事業にどのような影響があるのかリスク分析(試算)を行います。

その結果を指針として、いち早く復旧させるために重要な業務を特定した上で優先順位をつけて計画を立てていきます。
これらの分析をせずにBCPを策定してしまうと実用性や具体性に欠けてしまい、緊急時に期待した効果が得られない可能性があります。

■BCPの策定
①②の手順を終えた後にいよいよBCPの策定です。

先ほど洗い出した内容をもとに人、設備、資金、体制、情報をベースに事業を継続する為にどう備えて、対応するかを決めていきます。この際に重要なポイントとしては、「BCPの発動基準を決めておく」「発動時の組織体制」「災害備蓄」この3つが特に重要です。
BCPの発動基準を明確にしておくことによって、従業員が発動しているかどうかわからないという事態を防ぎます。
また、発動時の組織体制を決めておくことでどういったチームで動くのか、外部との連絡が付かない状況で誰が重要な判断を下すのかなどスムーズに動くことができるように準備しておく必要があります。
そして事業への影響を最小限にするために「従業員」という人的リソースはほぼ不可欠と言えます。
災害などの緊急事態では従業員が帰宅することが難しい場合も想定されます。その為、飲料水や食品、寝具などの災害備蓄は欠かさず用意し、従業員の安全を確保しましょう。

■訓練・教育の実施(BCM)
策定した計画をもとに定期的な訓練や研修を行います。

BCMのご説明した通り、緊急時は混乱することが予想されます。
その為、繰り返し訓練を行うことによって緊急時に事に策定されたとおりに従業員が行動できるようにすることが大切です。

■点検・改善
そもそも策定した計画で期待した効果が得られるのか、また実際に訓練を行っていく中での気づきもあるでしょう。

そして、目まぐるしく変わる世の中に適用できているのかも重要です。策定して終わりではなく、従業員への周知、訓練内容の定着をするために繰り返し訓練を行い、改善することが必要です。
また災害備蓄として食料品を備蓄する必要もあります。
そうすると必然的に消費期限管理が発生するため、訓練による改善とともに災害備蓄の点検も定期的に行うようにしましょう。
そして最後に、緊急時は「いつも通り」の行動が難しくなります。分厚い冊子を持ち運んだり、そこから該当するページを見つけ出したりすることは困難でしょう。文書化する際には簡潔に、できるだけページ数を減らすことで緊急時に使えるようにすることが大切です。

まとめ

さて、いかがでしたか?
BCP対策とは?というところからご説明させていただきました。突発的な自然災害はもちろんですが、サイバーテロや社員の不祥事なども事業を揺るがす緊急事態になりかねません。あらゆる事態に備えることでリスクを最小限するBCP対策は企業にとって重要と言えます。

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