オフィス移転マニュアル完全版|手順とやること、成功させるポイントを解説
オフィス移転

オフィス移転には時間と労力がかかるため、事前にスケジュールや手順をまとめたマニュアルを作成することが重要です。マニュアルに従うことで、移転作業をスムーズに進めることができます。本記事では、オフィス移転の手順や成功のポイントを紹介します。ぜひ、オフィス移転マニュアル作成の参考にしてください。
目次
オフィス移転の成功のためにまず知っておきたいこと

オフィス移転は大規模なプロジェクトです。的確な計画を立てるためには、検討する段階で、次のポイントを押さえておきましょう。
- オフィス移転マニュアルの策定
事前準備として、移転に関するマニュアルを策定します。マニュアルを準備しておけば、やり方がわからず調査に時間がかかって業務に支障が出る事態を防げます。また、移転に関わる従業員へのタスクの割り振りも、計画的に進めやすくなります。
- オフィス移転スケジュール
オフィス移転を計画してから実際に引越すまでには、6ヵ月ほどの時間がかかります。各工程が期間内に終わるよう、スケジュールを組みましょう。スケジュールの一例は、次のとおりです。
6ヵ月以上前:移転の立案と旧オフィス解約手続き
6~4ヵ月前:移転先選定
4~3ヵ月前:レイアウトなどの設計
3~1ヵ月前:業者の手配や備品の発注
移転実施日:引越し
移転後 :各種届出・手続き
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- オフィス移転費用の目安
オフィス移転には、退去費や引越しなどすべて含めて1坪当たり40万円ほどの費用がかかるとされています。あくまで目安であり、従業員数や備品によって増減しますが、ある程度まとまった予算が必要であることを考慮しておきましょう。さらに、人件費や資材の高騰により、費用は上昇傾向にあります。
【オフィス移転マニュアルSTEP1】計画立案

マニュアル策定に向けて押さえておきたい、オフィス移転のための実施手順を解説します。まずは、移転プロジェクトチームの選定や計画の立案からスタートしましょう。
オフィス移転プロジェクトチームの結成
オフィス移転の業務は多岐にわたり、一人でこなせるものではありません。プロジェクトチームを結成して業務にあたりましょう。プロジェクトチームには移転計画の策定から実際の移転まで、すべてのプロセスを統括する役割があります。
この段階から本格的に移転計画の詳細を詰めていく作業が始まります。社内の調整がスムーズにできるよう、各部署から責任者を選出してチームメンバーに加えましょう。
同時に、オフィス移転の社内周知も進めていきます。移転先が決定していない段階では、全社への周知は避け、関係者にのみ知らせる方法を取るのも一つの手です。
オフィス移転の目的の明確化と計画立案
オフィス移転の目的を明確にしておくことで、移転先の選定や内装、レイアウトなどの基準が明確になります。また、従業員から現オフィスに対する課題を聞き出してリストアップすることで、移転先のレイアウトも改善しやすくなります。
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移転目的が明確になったら、正式に計画を提案し、社内での決裁を受けます。立案前に移転にかかるおおよその費用を試算し、予算を提示しておくとスムーズに進みます。
【オフィス移転マニュアルSTEP2】移転先選定/現オフィス解約予告

次のステップでは、移転先の選定を行います。オフィス移転先が決定したら、現オフィスの解約予告と原状回復工事の依頼をしましょう。
オフィス移転先の選定
計画の決裁を受け、無事に移転計画が承認されたら、移転先の選定を始めましょう。不動産会社への依頼や不動産ポータルサイトを活用し、計画で決定した広さ、立地、家賃などの条件に合う物件を探します。ただし、すべての条件を満たす物件を見つけるのは難しいため、条件に優先順位をつけておきましょう。
移転先にふさわしい物件を見つけたら、賃貸借契約を結びます。賃貸借期間の開始日は、事前の工事作業日程なども踏まえて設定し、賃料や共益費の無駄がないよう気をつけます。
現オフィスの解約予告と原状回復工事依頼
オフィス移転の見込みが立ったら、できるだけ早めに現在利用しているオフィスのオーナーに解約予告を行いましょう。解約予告は、退去の6ヵ月前までにおこなうのが一般的です。オフィス賃貸は一般的な住居用賃貸物件の解約とは異なり、新たな入居者が決まるまでに時間がかかる可能性が高いため、早めの予告が求められます。
また賃貸契約書、敷金や保証金の扱い、原状回復の必要性なども確認しておきましょう。オフィスの借主には、退去後の原状回復の義務があります。
原状回復とは、オフィスを賃貸契約前の状態に戻すことを指し、物件を使用した結果生じた損傷や変化を修復する作業が含まれます。原状回復工事の範囲をオーナーに確認し、工事業者に依頼しましょう。
利用する工事業者はオーナー側が指定する場合もあるため、工事範囲と合わせて依頼前に確認が必要です。さらに、いつまでに工事を完了させるべきかの確認も必要になるので、なるべく早くオーナーに問い合わせます。
【オフィス移転マニュアルSTEP3】レイアウト検討/家具・備品発注

新オフィスのコンセプトを決定し、レイアウトを検討しましょう。また、新オフィスに配置するオフィス家具や備品の準備も進めます。
コンセプト・レイアウトの検討
設定した移転目的に沿って、新オフィスのコンセプトを決定します。レイアウトもこのコンセプトを軸にして、全体のイメージを統一しましょう。
レイアウトを検討する際はまず、部署ごとの業務スペースや、エントランス、応接室などの共有スペースを確保します。オフィスレイアウトは業務効率化や従業員の満足度向上に大きく影響するため、適切なゾーニング(スペースの機能や用途ごとの区分け)が重要です。
効果的なゾーニングの例として、みなが利用できる共用エリア、社員が利用する執務エリア、高いセキュリティが求められるサーバー室など、セキュリティレベルごとにそれぞれ分けて配置することが挙げられます。また、従業員がスムーズに移動できるように、動線を考慮した通路の幅や、備品とデスクの距離、配置なども意識しましょう。
オフィス家具や備品の選定・発注
引越し当日までにオフィス家具や什器が納品され、レイアウトが完了するように、発注を進めます。作成したレイアウトプランをもとに、必要な家具や備品をリストアップし、調達したいものを選定します。価格やデザイン、使いやすさを重視して製品を選びましょう。
同時に、現オフィスの備品や家具のうち、移転先で継続して使用するものと処分するものに選別します。
【オフィス移転マニュアルSTEP4】業者選定/工事現場の管理

オフィスのレイアウト決定後は、工事を依頼する業者を選定します。新オフィスの工事がスタートしたら、工事現場の確認や管理も行いましょう。
業者選定
内装業者、電気業者、引越し業者など、複数の業者を選定します。業者を決定する際は、見積金額と工事内容、サポート内容のバランスが取れているかをしっかりと確認することが重要です。また、引越しまでに工事が完了していることが望ましいため、スケジュールに無理がないかどうかをチェックしてから依頼します。
さらに、移転先の物件の管理会社によっては、内装などの工事業者を指定している場合があります。業者を選ぶ前に管理会社に確認しておきましょう。
オフィス移転には時間と労力がかかるため、各種工事をワンストップで任せられる業者への依頼も検討するとよいでしょう。
工事現場の管理
新オフィスの工事がスタートしたら、各工事が予定通りに進んでいるかを確認します。工事作業が完了した際には、依頼内容通りに工事が行われているか、漏れがないかを都度チェックしましょう。不具合がある場合は、速やかに修正を依頼する必要があります。
【オフィス移転マニュアルSTEP5】各種届出/移転連絡

移転に関する各種届出や移転連絡も、引越し当日までに余裕をもって行いましょう。
移転前の届出提出
移転に伴って、ライフラインや消防署、郵便局への届出が必要です。
機関 | 提出書類 | 提出期限 | 提出方法 |
ライフライン |
|
各ライフラインによる | 各ライフラインによる |
消防署 |
|
移転日の7日前まで |
※地域によって変わる |
郵便局 |
|
任意 |
|
届出によっては提出期限が設けられているため、忘れずに手続きを進めるようにしましょう。また、法人の住所変更に伴う手続きについては、こちらの記事でも詳しく解説しています。
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法人の住所変更に伴う手続き|必要書類から申請期限まで詳しく解説【司法書士監修】
ステークホルダーへの移転連絡
オフィス移転に伴い住所や電話番号が変わるため、金融機関や取引先、リースやサポート会社、加入団体などのステークホルダーに変更の連絡を行います。関係性を重視する相手には、詳細な移転案内状を送り、配慮を示すとよいでしょう。
オフィス移転のお知らせに関しては、以下の記事でも詳細な解説をしています。
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【オフィス移転マニュアルSTEP6】搬出・搬入作業

新オフィスへの引越しが近づいてきたら、搬出物の梱包を進めましょう。引越し当日は、搬出担当と搬入担当を決めておくとスムーズです。
荷物の梱包・事前準備
新オフィスに移動させる備品の梱包など、引越し準備を進めます。業者に依頼するものと社内で梱包・準備するものを分けておくと効率的です。ダンボールには、何が入っているのか、移転先のビル階数や部署名、どこに置く荷物なのかを記載しておきましょう。また、事前に搬出しやすい場所にダンボールをまとめておくと、さらに効率的です。
荷物の搬出・搬入
引越し当日は、現オフィスから荷物を搬出する担当と、新オフィスに荷物を搬入する担当を決めておきましょう。移動や鍵の開閉にかかる時間ロスを減らし、作業がスムーズに進みます。
【オフィス移転マニュアルSTEP7】旧オフィス引き渡し/移転後届出

旧オフィスの引き渡しや移転後の各種届出についても確認しておきましょう。
旧オフィスの引き渡し
旧オフィスのオーナーに予告した解約日までに、原状回復工事を完了させておきましょう。指定された条件どおりに工事が完了しているかを確認し、引き渡しを行います。
原状回復が指定された条件を満たしていない場合、追加の工事が必要になる可能性もあります。オーナーや管理会社と意見の相違があるとトラブルに発展する可能性もあるため、事前の確認をしっかりとしておきましょう。
移転後の届出提出
引越し後にも、次の公的機関への届出が必要です。提出する書類もあわせて紹介します。
公的機関 | 提出書類 | 提出期限 | 提出方法 |
税務署 | 法人税の取り扱いに関係する異動届出書 | 移転後速やかに行う |
|
警察署 |
※ナンバープレートの変更が必要な場合 |
なし | 警察署窓口 |
年金事務所 | 適用事業所所在地・名称変更届 | 移転後5日以内 |
|
労働基準監督署・ハローワーク |
|
所在地変更の翌日から10日以内 |
|
法務局 | 本店・支店移転登記申請書 | 移転後2週間以内 |
|
期限のある届出も多いため、忘れずに確認しましょう。移転後に行う申請ではありますが、期限に遅れないよう、書類は事前に準備しておきましょう。
オフィス移転を成功させるポイント

オフィス移転を成功させるために、チェックリストの作成や移転費用を抑える工夫を確認しましょう。リソースを十分に割けない場合は、移転支援サービスも検討してみてください。
オフィス移転のチェックリストを作成する
マニュアルで紹介した項目からもわかるように、オフィス移転には多くのタスクが発生するため、同時並行して作業をする必要があります。チェックリストを作成して、タスクの進行を管理できるようにしましょう。
視覚的に管理できるチェックリストを使用すれば、完了したタスク、進行中のタスク、次に取り組むべきタスクを整理しやすくなります。未チェックのタスクがあれば一目で確認できるため、漏れや期限遅れを防止できるでしょう。
こちらの記事では、オフィス移転に便利なチェックリストと使い方を紹介しています。
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オフィス移転費用を抑える
オフィス移転にかかる費用を抑えるために、次の点を確認しておくとよいでしょう。
・国や自治体の補助金
・ペーパーレス化
・居抜き物件を移転先に選ぶ
補助金にはIT導入補助金やものづくり補助金といった国が提供する制度や、地方自治体が独自に展開しているものがあります。多くの補助金には適用条件が定められているため、自社が利用できるものを探してみましょう。
ペーパーレス化は紙の書類を電子化することで、オフィススペースの縮小が図れ、移転先の家賃を抑える効果があります。また、ペーパーレス化に必要なソフトウェアやクラウドサービスの費用が補助金の対象になる場合もあります。
居抜き物件を移転先にすれば、内装工事費用やオフィス家具、備品の購入費用を削減できます。旧オフィスの家具・備品を再利用すれば、さらに購入費用を抑えられるかもしれません。
オフィス移転支援サービスを活用する
無理なオフィス移転計画は失敗のもとになるため、オフィス移転支援サービスの利用も検討しましょう。オフィス移転には多くの作業や手続きが発生するため、自社だけでは対応可能なリソースを十分に確保できない場合もあります。
サービスによっては、物件探しからオフィスデザイン、工事の依頼、引越しまでトータルでサポートしてくれるものもあります。コストパフォーマンスに優れたサービスを利用することで、自社の負担を大幅に軽減できるでしょう。
アイリスチトセでは、計画から引き渡しまでワンストップでフルサポート可能なオフィス移転トータルサポートを提供しています。オフィス移転でお悩みの場合は、ぜひアイリスチトセにご相談ください。
マニュアル作成でスムーズなオフィス移転を実現

オフィス移転は、膨大なタスクを通常業務と並行して行うため、担当者の負担になる場合があります。負担を軽減し、スムーズに移転作業を進めるためにも、マニュアルを作成して手順どおりに進めることが大切です。自社だけでは対応リソースが足りないと感じた際は、オフィス移転の専門業者の手を借りることも検討してみましょう。
アイリスチトセでは、オフィス移転に関するトータルサービスを提供しています。オフィス移転でお悩みがありましたら、まずは気軽にご相談ください。