法人の住所変更に伴う手続き|必要書類から申請期限まで詳しく解説【司法書士監修】
オフィス移転

法人がオフィス移転をする際には、個人がおこなう引越し手続きとは異なり、法務局や税務署での各種手続きが求められます。各種手続きの中には、申請期限が決められているものがあるため、しっかりとした移転計画を立てる必要があります。
たとえば法務局での手続き期日は、移転日から2週間以内です。税務署は法務局の手続き後でも可能ですが、移転日からできるだけ速やかにおこなう必要があります。
本記事では、上記の詳細をはじめ、法人の住所変更に伴う手続きや必要書類、申請期限について詳しく解説します。後半では注意事項やよくある質問も紹介しているので、オフィス移転を予定している法人の経営者や移転プロジェクトの担当者にとって特に参考になるはずです。ぜひ、最後までお読みください。
なお、本店と本社の住所が異なる場合がありますが、本記事の法人の住所とは会社登記簿上の本店として解説します。
法人がオフィス移転をする際には、個人がおこなう引越し手続きとは異なり、法務局や税務署での事前手続きが求められます。各種手続きの中には、申請期限が決められているものがあるため、しっかりとした移転計画を立てる必要があります。
たとえば法務局での手続き期日は、移転日から2週間以内です。税務署は法務局の手続き後でも可能ですが、移転日からできるだけ速やかにおこなう必要があります。
本記事では、上記の詳細をはじめ、法人の住所変更に伴う手続きや必要書類、申請期限について詳しく解説します。後半では注意事項やよくある質問も紹介しているので、オフィス移転を予定している法人の経営者や移転プロジェクトの担当者にとって特に参考になるはずです。ぜひ、最後までお読みください。
なお、本店と本社の住所が異なる場合がありますが、本記事の法人の住所とは会社登記簿上の本店として解説します。
目次
オフィス移転後におこなう法人の住所変更とは

オフィスの移転後は、当初に届け出ていたさまざまな場所に住所変更を知らせる手続きが必要です。法人の住所変更には、個人が自宅を転居する場合と異なる手続きがあります。
ここでは、まず法人の住所変更とは何かを解説します。
■会社登記簿の内容を変更する手続き
法人の住所変更は、会社登記簿の内容を変更する手続きが必要となります。起業時に法務局にて作成された会社登記簿の該当部分である本店に書き換えが必要となるためです。
| 項目 | 内容 |
| 商号区 |
|
| 目的区 | 目的 |
| 株式・資本区 |
|
| 役員区 |
|
| 会社状態区 |
|
| 登記記録区 | 登記記録を起こした事由および年月日 |
会社登記簿に記載されている上記の基本情報のうち、法人の住所変更した時は、商号区の本店部分の内容を書き換えることになります。
■住所変更にかかる費用は30,000円程度
法務局で会社登記簿の商号区の本店部分を変更する際には、30,000円の登録免許税がかかります。金額は、法務局の管轄内での移転か、管轄外への移転かによって異なります。
| 移転先 | 登録免許税 |
| 管轄内の移転 | 30,000円 |
| 管轄外への移転 | 60,000円 |
管轄内の移転は30,000円、管轄外への移転は60,000円です。管轄外の登録免許税が管轄内の2倍になる理由は、移転元と移転先の両方で登録免許税が必要なためです。法人の住所変更の手続きは、経営者自身や社員でもおこなえますが、司法書士に依頼する場合は、さらに40,000~50,000円程度の報酬が必要です。報酬は司法書士事務所によって異なるため、依頼する際に確認しましょう。
参考:法務局「株式会社本店移転登記申請書(管轄登記所外に移転する場合)」
【関連記事】オフィス移転の手続き&各機関への届出を徹底解説【チェックリストあり】-IRISTORIES-アイリストーリーズ
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会社の住所変更が必要になるケース

会社の住所変更が必要になるのは、オフィスを移転したときだけではありません。本店所在地の移転に加えて、代表者の住所変更や行政による住所表記の変更など、登記や各種届出の見直しが必要になるケースがあります。特に中小企業では、総務担当者や経営者が移転準備と並行して手続きを進めることが多く、「どの変更が登記の対象になるのか」を早い段階で整理しておくことが重要です。
会社の住所変更に関係する主なケースは、以下のとおりです。
| 本店所在地の移転 | 登記上の会社住所が変わる | 本店移転登記が必要になるかを確認する |
| 代表者の住所変更 | 代表取締役などの住所が変わる | 代表者住所の変更登記が必要になる場合がある |
| 住居表示・区画整理 | 行政の変更で住所表記が変わる | 証明書の取得や届出先を確認する |
| 支店の廃止 | 支店所在地の登記扱いが変わる | 2022年改正後の扱いを確認する |
| バーチャルオフィスへの移転・バーチャルオフィスからの移転 | 登記住所や実際の執務場所が変わる | 契約内容と登記利用の可否を確認する |
ここでは、会社の住所変更が必要になる代表的なケースを順番に解説します。
本社所在地の移転
会社の住所変更で代表的なのが、本店所在地を移転するケースです。本店所在地とは、登記簿に記載されている会社の正式な住所を指します。
一般的に「本社移転」や「オフィス移転」と呼ばれる場合でも、登記上の本店所在地が変わるなら、本店移転登記の対象になります。たとえば、同じ市区町村内で別のビルへ移る場合や、別の都道府県へ移転する場合が該当します。本店所在地は、取引先や金融機関、行政機関が会社情報を確認する際に使う重要な情報です。そのため、移転後も古い住所のままにしておくと、郵送物の不着や信用低下につながるおそれがあります。
また、本店移転登記には期限があります。会社の移転日が決まったら、賃貸借契約や社内決議の内容を確認し、早めに手続きの準備を始めることが大切です。
代表者の住所変更
会社そのものの所在地が変わらなくても、代表者の住所が変わると、会社の住所変更に関連する手続きが必要になる場合があります。株式会社では、代表取締役の住所が登記事項に含まれます。そのため、代表取締役が自宅を引っ越した場合は、登記簿上の代表者住所を変更する手続きが必要です。
このケースで注意したいのは、会社のオフィス移転とは別の手続きとして扱われる点です。本店所在地に変更がなくても、代表者本人の住所が変われば、登記内容に差異が生じる可能性があります。特に小規模法人では、経営者が総務手続きも兼ねていることが多く、代表者個人の引っ越しに伴う登記を見落としやすい傾向があります。後回しにすると、他の登記手続きや金融機関での確認時に支障が出ることがあります。
代表者が転居した場合は、住民票上の住所変更日を確認し、会社の登記情報と一致しているかを早めに確認しておくと安心です。
参考:参考:法務省「代表取締役等住所非表示措置について」
行政による住居表示・区画整理での変更
会社が移転していなくても、行政による住居表示の実施や区画整理によって、会社の住所表記が変わることがあります。たとえば、町名や番地の表示が変更されるケースです。行政区画の変更(町名変更など)の場合は、商業登記法第26条により登記簿上も変更があったものとみなされますが、住居表示の実施の場合は変更登記の申請が必要となり、手続きを行うまで登記簿の記載と新しい住所表記が一致しない状態になります。
いずれも、会社側の意思で移転したわけではありません。取引先への案内や各種契約書、請求書、Webサイトの会社概要などでは、新しい住所表記へ更新する必要があります。また、住居表示の実施の場合は、会社法第915条第1項に基づき2週間以内に法務局への変更登記申請が必要です。税務署への異動届出書の提出も必要になります。自治体から交付される住居表示実施証明書(または住居番号決定通知書)や区画整理に関する証明書を確認し、どの届出に使うのかを整理しておくと手続きが進めやすくなります。
なお、これらの証明書を添付すれば、登録免許税は非課税となります。このケースでは、実際の引っ越し作業がないため、社内での対応が後回しになりやすい点に注意が必要です。通知を受け取った時点で、登記情報や社外向け表示の確認を進めましょう。
支店の廃止(2022年改正)
支店を設けている会社では、支店を廃止したときにも住所変更に関連する確認が必要です。特に2019年に成立した会社法改正(令和元年法律第70号)のうち、支店所在地における登記の廃止に関する規定が2022年9月1日に施行され、支店所在地における登記の扱いが見直されています。以前は、本店所在地だけでなく、支店所在地でも一定の登記が必要でした。
しかし、施行後は支店所在地での登記制度が廃止され、支店に関する手続きの負担が軽減されています。ただし、支店を廃止した場合でも、必要な手続きが残ることがあります。本店所在地の登記簿に支店情報が記載されている場合は、支店廃止の登記が必要になることがあります。
また、税務署や都道府県税事務所、市区町村、年金事務所などに、支店廃止や事業所廃止の届出が必要になる場合もあります。支店が営業拠点として使われていた場合は、取引先や顧客への連絡も行うことが推奨されます。支店廃止は、単なる住所変更ではなく、拠点の整理に関わる手続きです。登記、税務、社会保険、取引先対応を分けて確認すると、漏れを防ぎやすくなります。
参考:法務省:商業登記規則等が改正され、令和4年9月1日から施行されます
バーチャルオフィスと実オフィス間の移転
バーチャルオフィスから実オフィスへ移転する場合や、実オフィスからバーチャルオフィスへ移す場合も、会社の住所変更が必要になることがあります。バーチャルオフィスを本店所在地として登記している会社では、登記上の住所を変更するかどうかが重要な確認点です。実際の作業場所を変えただけで、登記住所を変えない場合は、本店移転登記が不要なケースもあります。
一方で、登記している住所そのものを変更するなら、通常の本店移転と同じように手続きが必要です。郵便物の受け取り先、契約書の住所、請求書やWebサイトの表記もあわせて見直します。実オフィスからバーチャルオフィスへ移る場合は、その住所で法人登記が可能かを事前に確認することが大切です。サービスによっては、登記利用の可否や郵便転送の条件が異なります。
また、業種によっては許認可や口座開設、取引先審査で、実態のある事務所を求められることがあります。そのため、費用や利便性だけで判断せず、事業運営に支障が出ないかを確認したうえで移転を進めることが重要です。
【移転先別に解説】法人の住所変更をおこなう手順

法人の住所変更で必要な手続きは、法務局だけではありません。税務署や労働基準監督署などさまざまな場所での手続きも必要になるため、漏れがないように注意しましょう。
手続きの手順は、移転先が現住所と同じ法務局管轄の市区町村の場合と移転先が現住所のある法務局管轄外の市区町村の場合で異なります。
■移転先が現住所のある法務局管轄外の市区町村の場合
移転先が現住所のある法務局管轄外の市区町村の場合、まずは、株主総会による決議からスタートします。
1.株主総会による決議
本店所在地は、定款の記載事項であり、住所変更で最小行政区画を変更する場合には、定款を変更する必要があります。定款を変更する場合は、会社の最高意思決定機関の株主総会での決議が必要です。定款を変更するには特別決議が必要です。原則として、議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した株主の議決権の3分の2以上の賛成を得る必要があります。
移転先や移転日を決めるために取締役会を開催します。取締役会を設置していない場合は、取締役の過半数の一致で決定します。
法務局で手続きする際には株主総会議事録や取締役会議事録(または取締役決定書)が必要になるため、事前に作成しておくことが重要です。
2.引越し
株主総会や取締役会での決議が終了した後は、オフィスの引越しをおこないます。引越し後にすぐ事業が運営できるよう、オフィスレイアウトの変更やインターネット環境の整備など、準備すべきことが多岐にわたります。
オフィス移転で必要な各工程の詳細については、次の記事で具体的に紹介しているので、ぜひご覧ください。
【関連記事】【PDF付き】オフィス移転で活用したいチェックリスト|必要な手続きを徹底解説
3.法務局での登記申請
オフィスの引越しが終了した後は、法務局で住所変更の手続きをおこないます。申請期限が移転日から2週間以内とされているため、引越し後はできるだけ速やかに手続きするよう心がけましょう。
移転先が現住所のある法務局管轄外の市区町村の場合、移転元の法務局で移転先の手続きを同時におこなうことが必要です。法務局には、本店移転登記申請書や株主総会議事録、取締役会議事録(または取締役決定書)などの書類を提出します。
4.各種機関への届出
法務局で手続きが終了した後は、年金事務所や労働基準監督署などの各種機関への届出をおこないます。法務局と同様に申請期限が決められている機関もあるため、移転後は速やかに手続きしましょう。
なお、各種機関に提出する必要書類や申請期限などは、次章の「法人の住所変更における必要書類・届出先および申請期限」で詳しく解説します。
■移転先が現住所と同じ法務局管轄の市区町村の場合
現住所と同じ法務局管轄の市区町村に移転する場合は、株主総会による定款変更の決議は不要です。ただし、定款で本店所在地を具体的に地番まで定めている場合は、定款の変更が必要になりますので、株主総会での特別決議が必要です。
そのため、まずは定款の本店所在地がどこまで記載されているかを確認しましょう。法務局管轄内の移転では基本的に取締役会のみを開催し、移転先や移転日の決議(取締役会を設置していない場合は取締役の決定)をおこないます。
株主総会や取締役会での決議以降の流れは、「移転先が現住所のある法務局管轄外の市区町村の場合」と同様です。必要書類や届出先、申請期限の詳細は、次章で解説します。
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法人の住所変更における必要書類・届出先および申請期限

| 手続き場所 | 必要書類 | 申請期限 | |
| 年金事務所 |
|
移転日から5日以内 | |
| 労働基準監督署 |
|
移転日の翌日から10日以内 | |
| 公共職業安定所 |
|
移転日から10日以内 | |
| 法務局 |
|
移転日から2週間以内
※ただし、年金事務所での手続きの関係で5日以内に済ませる必要がある |
|
| 税務署 |
|
法務局での手続き後できるだけ速やかに
※給与支払い事務所等の開設・移転・廃止届出書は移転の事実があった日から1か月以内 |
|
| その他 | 消防署 |
|
移転日の7日前まで |
| 郵便局 | 転居届 | 変更後の住所や移転日が決まり次第 | |
| 警察署 | 自動車保管場所証明申請書 | 変更後の住所や移転日が決まり次第 | |
| 金融機関 |
|
変更後の住所や移転日が決まり次第 | |
| 自治体 |
|
自治体によって異なる | |
ここからは、申請期限が早い順に法人の住所変更における必要書類や届出先を解説します。
■年金事務所
移転日からの申請期限が特に早いのは、年金事務所での手続きです。移転日から5日以内に、次の必要書類を揃えて住所変更の報告をおこないます。
- 健康保険・厚生年金保険適用事業所所在地・名称変更(訂正)届
- 登記事項証明書
ただし、登記事項証明書は移転後の内容が記載されている必要があります。そのため、年金事務所よりも先に法務局で手続きが完了していないと入手できません。
健康保険・厚生年金保険適用事業所所在地・名称変更(訂正)届は、次の日本年金機構の公式ウェブサイトからダウンロードできます。
日本年金機構「事業主の変更や事業所に関する事項の変更(訂正)があったとき」
■労働基準監督署
管轄の労働基準監督署には、移転日の翌日から10日以内に次の書類を揃えて手続きする必要があります。
- 労働保険名称・所在地等変更届
- 労働保険関係成立届
労働保険名称・所在地等変更届は、移転後の所在地を管轄する労働基準監督署で入手できます。複写式用紙のため、手続きに行く前に書類を受け取っておきましょう。
労働保険関係成立届は、次の厚生労働省の公式ウェブサイトからダウンロードできます。
■公共職業安定所
公共職業安定所には、移転日から10日以内に住所変更の報告をおこないます。ただし、先に労働基準監督署で労働保険関係成立届を提出しておく必要があります。
手続きの際に必要な書類は、次のとおりです。
- 雇用保険事業主事業所各種変更届
- 給与支払者(特別徴収義務者)の所在地・名称変更届
- 登記事項証明書
雇用保険事業主事業所各種変更届はハローワークインターネットサービス、給与支払者(特別徴収義務者)の所在地・名称変更届は市区町村の公式ウェブサイトでダウンロードできます。
ハローワークインターネットサービス「雇用保険事業主事業所各種変更届」
また、登記事項証明書の提出が必要なので、公共職業安定所に行く前に法務局で手続きを済ませておきましょう。
■法務局
申請期限は移転日から2週間以内ですが、遅くとも5日以内に済ませなければなりません。移転日から5日以内におこなわなくてはならない年金事務所の手続きでは、法務局で入手した登記事項証明書が必要なためです。
法務局での手続きでは次の書類を揃えます。
- 本店移転登記申請書
- 株主総会議事録(定款変更がある場合)
- 株主リスト
- 取締役会議事録または取締役決定書(取締役会を設置していない場合)
- 印鑑届出書(管轄外の場合)
- 印鑑カード交付申請書(管轄外の場合)
本店移転登記申請書は、次の法務局の公式ウェブサイトでダウンロードできます。
移転先が現住所のある法務局管轄外の市区町村の場合は、住所変更と同時に新しい印鑑カードの発行も済ませておきましょう。
■税務署
移転後ではなく、移転前の管轄の税務署にて手続きをおこないます。申請期限は決められていませんが、法務局での手続き完了後に速やかにおこなうのが一般的です。
必要書類は次のとおりです。
- 異動届
- 所得税・消費税の納税地の異動に関する届出書
- 給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書
- 登記事項証明書
登記事項証明書以外の書類は、すべて国税庁の公式ウェブサイトでダウンロードできます。
国税庁「[手続名]所得税・消費税の納税地の異動又は変更に関する届出手続」
国税庁「[手続名]給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出」
■その他
法人の住所変更をした後は、次の各種機関での手続きが必要です。
- 消防署
- 郵便局
- 警察署
- 金融機関
- 自治体
移転先の自治体では、法人市民税の関係で法人等異動届出書と登記事項証明書の提出をおこないます。社員が居住する自治体には、給与支払者(特別徴収義務者)の所在地・名称変更届出書と登記事項証明書を提出します。
金融機関からの転送不要の郵便物は新住所に届かないため、新住所が決まり次第郵便局で手続きしましょう。なお、消防署の手続きの申請期限は、移転日の7日前までです。
法務局への申請方法

会社の住所変更に伴う本店移転登記は、法務局へ申請します。申請方法は、オンライン申請、法務局の窓口または郵送、司法書士への依頼の3つに分けられます。
どの方法を選んでも、会社の本店所在地を変更した事実を登記簿に反映するという目的は同じです。ただし、必要な準備や担当者の負担は大きく異なります。
初めて手続きを行う場合は、社内で対応できる範囲と期限までの余裕を確認したうえで、申請方法を選ぶことが重要です。
| 申請方法 | 向いているケース | 注意点 |
| オンライン申請 | PCで手続きを進めたい場合 | 電子署名や専用ソフトなどの準備が必要です |
| 窓口/郵送 | 書面で確実に提出したい場合 | 申請書類の不備を自社で確認する必要があります |
| 司法書士に依頼 | 手続きのミスや期限超過を避けたい場合 | 登録免許税とは別に報酬が発生します |
オンライン申請
オンライン申請は、法務局へ出向かずにPCから本店移転登記を申請する方法です。書類作成と並行して手続きを進めたい総務担当者にとって、移動時間を削減しやすい点がメリットです。
法務局では、商業・法人登記のオンライン申請が案内されています。株式会社の本店移転登記では、代表取締役本人がマイナンバーカードを使用して申請できるケースがあります。
ただし、オンライン申請には事前準備が必要です。申請用総合ソフトの利用、電子署名、ICカードリーダライタなどが必要になる場合があります。また、添付書類をすべて電子データで完結できないケースもあります。その場合は、オンラインで申請したあとに、添付書面を登記所へ送付または持参します。
オンライン申請を選ぶ場合は、次の点を先に確認してください。
| 確認項目 | 確認する内容 |
| 申請できる人 | 代表者本人または代理人が対応できるか |
| 電子署名 | マイナンバーカードなど利用できる電子証明書があるか |
| 添付書類 | 議事録や委任状などの提出方法 |
| 登録免許税 | 電子納付または収入印紙での納付方法 |
オンライン申請は便利ですが、初期設定でつまずくことがあります。期限が迫っている場合は、設定に時間を取られないよう早めに準備を始めましょう。
法務局の窓口/郵送
法務局の窓口または郵送で申請する方法は、書面で本店移転登記を行う方法です。電子証明書やオンライン申請の環境がない会社でも対応しやすい点が特徴です。
窓口申請では、申請書と添付書類を管轄の法務局へ提出します。その場で提出できるため、書類を送ったかどうかの不安を減らしやすい方法です。
一方、郵送申請では、法務局へ行く時間を省けます。ただし、到着までの日数や書類不備があった場合のやり取りを考える必要があります。
会社の住所変更では、旧本店所在地と新本店所在地の法務局の管轄が同じかどうかも重要です。管轄内移転か管轄外移転かによって、申請書類や登録免許税が変わることがあります。
書面申請では、法務局が公開している申請書様式や記載例を確認しながら作成します。特に、商号、本店所在地、移転日、登録免許税の金額はミスが起きやすい項目です。提出前には、社内決議の内容と申請書の記載が一致しているかを確認してください。住所の表記ゆれがあると、補正が必要になる可能性があります。
司法書士に依頼する
司法書士に依頼する方法は、本店移転登記の書類作成や申請手続きを専門家に任せる方法です。会社の住所変更手続きに不慣れな場合や、期限内に手続きを進めるうえで不安がある場合に向いています。
司法書士へ依頼すると、移転内容に応じて必要書類を確認してもらえます。取締役会議事録や株主総会議事録が必要かどうかも、会社の定款や機関設計に沿って判断してもらえます。特に、管轄外への本店移転では手続きが煩雑になりやすいです。旧本店所在地と新本店所在地の法務局をまたぐため、自社だけで進めると確認項目が増えます。
一方で、司法書士へ依頼する場合は、登記免許税とは別に報酬が発生します。費用がかかりますが、担当者の作業時間や不備による佐生戻しリスクを減らせる点は大きなメリットです。
初めて会社の住所変更を担当する場合は、司法書士への依頼も現実的な選択肢です。「自社で申請するか、専門家に依頼するか」は、費用だけでなく、期限までの余裕と社内の対応経験で判断しましょう。
法人の住所変更における注意事項

ここからは、法人の住所変更における注意事項を解説します。
■移転先に同一商号が登記されていないかを確認
移転先の住所に同一商号が登記されている場合、住所変更の登記が認められない可能性があります。商業登記法第27条により、同一住所に同一商号を登記することはできないためです。
特に大規模なオフィスビルのような複数の会社が集まる場所では、同一住所に同一商号が存在する可能性があります。そのため、移転を決議する前に商号調査をおこなっておきましょう。
商号調査とは、同一住所に同一商号の会社が登記されていないか調べることです。調査は、法務局や法務省の登録情報サービスなどでおこなえます。
■期限内の手続きが原則
法人の住所変更の手続きは、期限内におこなうのが原則です。期限を超過しても受理自体はしてもらえますが、ペナルティが設けられているので注意が必要です。
期限内に手続きしなかった場合、登記懈怠と見なされます。会社の代表者に対しては、ペナルティとして100万円以下の過料が課せられる可能性があります。超過日数が数日程度であればペナルティが課せられないケースもありますが、各種機関での手続きもあるため、移転後はできるだけ早めに手続きしましょう。
定款変更の要否を事前確認
会社の住所変更では、まず定款に記載された本店所在地を確認することが重要です。定款に「東京都渋谷区」のように市区町村まで記載されている場合、同じ渋谷区内の移転であれば、通常は定款変更が不要です。一方で、渋谷区から新宿区へ移転するなど、記載された所在地の範囲を外れる場合は、定款変更が必要になります。
また、定款に番地まで細かく記載している会社は、同じ市区町村内の移転でも定款変更が必要になる可能性があります。定款変更が必要な場合は、株主総会の特別決議を行い、議事録を作成したうえで本店移転登記を進めます。後から書類不足に気づくと申請が遅れるため、移転が決まった段階で定款の記載内容を確認しておきましょう。
■管轄内外で必要書類が異なる
移転先が現住所のある法務局管轄外の市区町村の場合、管轄内の移転に比べて必要書類が多くなります。増える書類は本店移転登記申請書が2部、印鑑届出書、印鑑カード交付申請書です。
| 管轄内の移転 |
|
| 管轄外への移転 |
|
本店移転登記申請書が2部必要なのは、移転元で移転先の手続きを同時におこなうためです。また、移転元から交付された印鑑カードは使用できなくなるため、印鑑届出書と印鑑カード交付申請書もあわせて移転元の法務局に提出する必要があります。
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法人の住所変更に関するよくある質問

最後に、法人の住所変更に関するよくある質問をご紹介します。
■登記完了までどのくらいの期間が必要か?
法務局に必要書類を提出して登記が完了するまでにかかる期間は、1週間~10日前後が目安です。混雑状況によっては日数がかかる可能性もあるため、移転後は速やかに手続きをおこないましょう。
法務局の中には、窓口や公式ウェブサイトで登記完了予定日を掲載しているところもあります。予定日が把握できれば、各種機関で手続きするタイミングを図れます。
書類に不備がある場合は、通常よりも日数が長くなる可能性があるため、提出前には内容をきちんと確認するようにしましょう。
■自社で手続きすべきか?それとも専門家に依頼すべきか?
自社でおこなう場合は司法書士に支払う40,000~50,000円程度の費用をコストカットできます。しかし、手続きが複雑な上に本店移転登記申請書の作成には専門知識が必要です。申請期限が決められた手続きもあるため、司法書士に依頼したほうがスムーズです。
変更登記に対応したツールの活用
できるだけ自社で手続きしたい場合は、変更登記に対応したツールを活用するのも手段の一つです。ツールを活用すると、一部の情報を入力するだけで住所変更に必要な書類を自動作成してくれます。
自社での作業は作成した書類に押印し、収入印紙を貼付して法務局に郵送するだけです。自社で書類を作成する手間が省けるため、法務業務の効率化が図れます。費用はツールによって異なりますが、10,000円程度のものが多いです。
まとめ:法人の住所変更は計画的に進めよう

オフィスを移転する際には、住所変更だけでなく、移転先のレイアウト決めや取引先に案内状を送付するタイミングなど、検討すべき事項が数多くあります。移転前後も通常通り事業を運営するためには、住所変更の手続きも含め計画的に進めていくことが大切です。法務局での本店移転登記は移転日から2週間以内、年金事務所での手続きは移転日から5日以内が目安となるため、移転後はできるだけ早めに対応を進めましょう。
また、同時に移転先のオフィス家具の検討も必要となることが多いでしょう。アイリスチトセでは、適したレイアウトやオフィス家具の提案をおこなっています。移転先のオフィス作りに迷った場合は、ぜひアイリスチトセにご相談ください。