職場環境改善の効果的な方法とは?必要性から具体的なアイデアまで紹介

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職場環境改善の効果的な方法とは?必要性から具体的なアイデアまで紹介

従業員のエンゲージメント向上を図るため、職場環境改善を検討する企業も多いのではないでしょうか。

本記事では、職場環境改善の効果的な方法や具体的な取り組み手順について解説します。職場環境の改善に取り組む企業の方は、ぜひ参考にしてください。

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「改善」の対象となる職場環境の要素とは

職場環境改善の対象となる要素は、次の3種類に大きく分けられます。

要素 概要
物理的な環境
  • 屋外・屋内
  • 暑さ寒さ、明るさ
  • 広さ
  • 騒音
  • レイアウト
  • 設備・施設 など
企業の制度・システム
  • 企業理念
  • 人事評価制度
  • 雇用契約
  • 従業員へのフィードバック
  • 業務の裁量権 など
労働環境
  • 適材適所への人員配置
  • 安全対策
  • 従業員のコミュニケーション促進 など

これらの要素を改善していくことで、職場の生産性向上や従業員のストレス軽減が期待できます。

職場環境改善に取り組むべき4つの理由

職場環境改善に取り組む理由として、次の4点があげられます。

  • 法律による義務があるため
  • 従業員の心身の健康を促進するため
  • 生産性向上のため
  • 人材の定着率を高めるため

それぞれ詳しく説明します。

 

■法律による義務があるため

労働基準法、労働安全衛生法、労働契約法といった法律によって、企業は職場環境への配慮を求められています。一例として、次の内容があげられます。

  • 労働基準法:賃金の支払い方法、休業手当、労働時間、休憩・休日などが定められている
  • 労働安全衛生法:作業環境・作業方法・労働者の心身疲労回復支援などが定められている
  • 労働契約法:労働契約の原則・内容変更・継続および終了などが定められている

これらの法律は企業として守るべきものであり、違反すると刑事責任や罰金を科されるケースがあります。違反により従業員の心身を傷つけるだけではなく、社会的信用を失ってしまう可能性も否めません。

企業としては、コンプライアンス的な面で考えても職場環境改善に取り組む必要があります。

 

■従業員の心身の健康を促進するため

従業員の心身の健康維持・促進には、職場環境が大きく影響します。

緊張感や努力といった適度なストレスは行動力や判断力を高め、心身に好影響をもたらします。しかし、不快感や疲労感がたまるくらいストレスをためてしまうと、心身の健康にはよくありません。過度のストレスはパフォーマンスの低下だけではなく、心身の不調にもつながります。

企業においては、仕事量の多さや人間関係などが従業員のストレス増大につながる要因となります。健康状態が悪化するほどストレスをためてしまう前に、職場環境改善によってストレスを軽減させるような施策が求められるでしょう。

 

■生産性向上のため

生産性の向上にも、職場環境改善は効果的です。

厚生労働省が公表した「これからはじめる職場環境改善〜スタートのための手引き〜」によれば、従業員が働きやすい職場環境を提供できれば、従業員のパフォーマンス改善に効果が見られると記載されています。具体的に職場環境改善のメリットを検討した研究を見ると、改善費用が1人あたり7,660円かかるのに対して生産性が向上して得られる利益が15,220円と、費用対効果が高くなっています。

従業員一人ひとりの生産性が高まることで、会社全体の業績アップも望めるでしょう。

※参考:「これからはじめる職場環境改善~スタートのための手引き~」

 

■人材の定着率を高めるため

従業員が安心して働ける職場環境の提供で、従業員の定着率を高められるでしょう。

職場環境が従業員にとって適したものでない場合、仕事に対するモチベーションや企業に対するエンゲージメントが低下し、退職を選ぶ方が増える可能性も否めません。

将来的に少子高齢化が進み、人材不足が予想されている状況から、企業における人材確保は重要課題です。新しい人材の確保も大切ですが、離職率を下げて人材の定着を図ることも検討しなければなりません。人材流出を防ぐ意味から考えても、職場環境改善は必須の課題となるでしょう。

職場環境改善の効果的な方法6選

職場環境改善には、前述した「物理的な職場環境」「企業の制度・システム」「労働環境」といった3つの要素の中で考える必要があります。それぞれの要素における具体的な改善方法について、詳しく説明します。

 

■物理的な職場環境の改善方法

物理的な職場環境として、身体的な働きやすさや健康面を考慮した部分の改善が考えられます。

  • 健康に配慮した職場環境の整備
  • オフィスレイアウトの変更

それぞれ詳しく説明します。

 

健康に配慮した職場環境の整備

従業員が快適に過ごせるよう、健康に配慮した職場環境となるように改善します。具体的には、事務所の環境管理では厚生労働省が定める「事務所衛生基準規則」を遵守するようにしましょう。

  • 事務所内の温度は18度~28度、湿度は40%~70%となるようにする
  • 一般的な事務作業では300ルクス以上、文字を読まない事務作業では150ルクス以上の照度を確保する
  • 騒音や振動を防止するため、隔壁の設置や遮音・吸音の措置を講じる など

工場や屋外にある作業場に関しても、健康に配慮した職場環境の整備が必要です。

  • 密閉された環境にならないよう、排気や換気装置を設置する
  • 多量の発汗を伴う作業場には、従業員用の塩および飲料水を備える
  • 有害物質の吸入や接触を防ぐため、マスクや手袋の着用を義務づける など

 

オフィスレイアウトの変更

オフィスにおいては、従業員がムダな動きをせずに働けるレイアウトとなるように配慮します。オフィス空間・レイアウト・オフィス家具といった要素に対して、それぞれ次のような対策を講じると効果的です。

  • オフィス空間:従業員1名あたり2〜4坪を目安としてオフィス空間を確保する、執務スペースとリフレッシュスペースを分ける など
  • レイアウト:メイン・サブ導線をつくり通路幅を確保する、関連性の高いスペースやオフィス機器は近くに配置する など
  • オフィス家具:疲労がたまりにくい椅子に変更する、スタンディングデスクを導入する など

オフィス環境が従業員のストレスにならないよう、必要に応じてレイアウトの変更や家具の入れ替えなども考慮するとよいでしょう。

 

■企業の制度・システムの改善方法

企業の制度やシステム上で改善可能な施策として、次があげられます。

  • 人事評価制度の見直し
  • 多様な働き方の導入

それぞれ詳しく説明します。

 

人事評価制度の見直し

人事評価制度の方法や内容を見直すことで、職場の環境改善へとつなげられます。

従業員を適性に評価して企業の業績につなげるのが、人事評価制度の目的です。人事評価の内容が不透明で、適切な評価がなされていないと判断されれば、従業員のモチベーションが低下します。対象者の能力や実績を、客観的に判断できるような内容にするのが重要となるでしょう。

人事評価は「能力」「業績」「情意」の要素から成り立ちます。結果だけにスポットを当てるのではなく、業務のスキルや取り組みの意欲なども含めた総合的な評価が必要です。従業員が納得できるような内容とするためには、評価基準の周知が求められます。

また、いったん作成した人事評価制度を継続して使用するのではなく、企業のビジョンや価値観、社会情勢の変化を取り入れて、定期的な見直しも実施しましょう。

 

多様な働き方の導入

社会や従業員の状況に合わせて多様な働き方を実現できる施策も、職場環境の改善には有効です。多様な働き方の種類としてあげられるのは、次の要素になります。

  • 雇用形態:正社員、契約社員、パート、アルバイト、業務委託 など
  • 勤務形態:固定時間制、変形労働時間制、フレックスタイム制、裁量労働制 など
  • その他:テレワーク、リモートワーク、副業 など

たとえば、従業員の生活環境が変化してフルタイム出社が難しくなった場合、フレックスタイム制や時短が認められれば退職せずに済む可能性が高まります。テレワークやリモートワークで業務可能な環境を選べることで、従業員のワークライフバランスの改善も期待できるでしょう。

さまざまな働き方を選択できれば従業員のエンゲージメントが上昇し、離職率の低い職場となります。

 

■労働環境の改善方法

労働環境の改善によって、おもに従業員のメンタル面のフォローやサポートが可能となります。

  • 業務の内容・量の見直し
  • 積極的なコミュニケーション機会の創出

それぞれ詳しく説明します。

 

業務の内容・量の見直し

従業員の資質やスキルに合わせた業務内容にするのも、業務環境改善には大切な要素です。

難易度が高すぎるまたは低すぎるといった、従業員のスキルレベルに合っていない業務では、モチベーションの低下やストレスの増大につながります。資質に合わない業務内容に就かせると、期待どおりのパフォーマンスが発揮できない可能性も高まります。定められた時間内に終わらない量の業務は従業員の負担になり、メンタル不調の原因にもなりかねません。

従業員のスキルに合わせた業務内容と適切な業務量は、結果的に業務の効率化や生産性の向上につながります。上司の意見だけではなく、現場従業員の意見も取り入れて業務を見直すとよいでしょう。

 

積極的なコミュニケーション機会の創出

業務環境改善として、従業員同士がコミュニケーションできる機会を創出するのも重要です。

他の従業員とコミュニケーションがないと情報共有が難しく、業務を遂行する上でも問題があります。また、会話がないと従業員個人の状況把握ができず、心身の不調を見過ごしてしまう可能性も否めません。コミュニケーション機会を創出する施策としては、次の例があげられます。

  • 1on1ミーティングの実施
  • リフレッシュスペースの確保
  • フリーアドレスの導入
  • チャットツールの活用
  • 社内イベントの開催 など

部署内での活発なコミュニケーションは、生産性の向上につながります。また、誰かと話せる環境があるだけでも心身の安定につながるものです。そういった機会を企業側で創出できれば、従業員のエンゲージメント強化にもつなげられるでしょう。

職場環境改善の取り組み方

職場環境改善の具体的な取り組みについては、次の手順で進めるとよいでしょう。

  • 職場環境の改善ポイントを調査する
  • 実行する施策を絞り込む
  • 施策の効果を分析して改善を継続する

それぞれ詳しく説明します。

 

■職場環境の改善ポイントを調査する

自社の職場環境において現在どの部分が問題となっているか、改善するポイントを精査します。

職場環境改善の指針を決めるためには、現状把握は必須です。その際に一部の人間だけで施策を検討すると、必要な改善ポイントを見逃す可能性が考えられます。従業員へのアンケートや部署内での面談などを実施し、実際に必要となる改善ポイントを洗い出す形で進めるとよいでしょう。

従業員から意見を集める際は、遠慮せずに意見を言いやすいように「匿名のアンケートにする」「どのような意見でも否定せず聞くようにする」といった配慮も求められます。

 

■実行する施策を絞り込む

改善が必要なポイントをピックアップしたあとは、具体的に実行できる施策へ落とし込む作業に取りかかります。

あげられた改善ポイントすべてに対して施策を打つのは、費用や期間などを考えると現実的ではありません。重要度と緊急度を考慮して優先順位を決め、できる施策から取り組むようにしましょう。

具体的な対策を検討する際には、職場の安全衛生を確保するための法令の確認も合わせて実施します。また、一定の従業員だけに負担が集中する施策とならないよう、職場全体で取り組める内容にすることが大切です。

厚生労働省が監修するサイト上で「職場環境改善ツール」としていくつか紹介されています。無料公開されていますので、自社に合うものがあれば活用してみるとよいでしょう。

 

■施策の効果を分析して改善を継続する

職場環境改善の施策を実行したあとは、効果を分析してさらなる改善を進めるようにします。

環境改善の施策は、実行したら終わりではありません。実際にどのような効果が出たか、施策事態を改善する必要はないか精査するのが大切です。具体的な数値の出るものはそのデータ、数値化が難しいものは従業員へのアンケートや面談などを実施し、効果を可視化できるようにして見直しを進めましょう。

一度の取り組みで、すべての問題が解決するとは限りません。実施後に残った課題を解決するための施策を再度実行するよう、PDCAを回して検証・改善を継続することが大切です。

職場環境改善に活用できる補助金・助成金

職場環境改善に利用できる補助金や助成金をご紹介します。

 

■働き方改革推進支援助成金

「働き方改革推進支援助成金」は、労働時間の短縮等に取り組む中小企業・小規模事業者に対して助成するものです。中小企業における労働時間設定の改善促進を目的としています。

助成金のコースは2023年度では次の5種類となっており、事業対象者・対象となる取り組み・支給額上限がそれぞれ異なります。申請には締め切りがあり、年度によって条件が変更される可能性もあるため、最新の情報はサイトを確認するようにしましょう。

コース 対象事業者 対象となる取り組み 支給額の上限
適用猶予業種等対応コース ・労働者災害補償保険の適用事業主

・業種により設定された「成果目標」の達成条件を満たしている

・すべての対象事業場において、交付申請時点で、年5日の年次有給休暇の取得に向けて就業規則等を整備している

・労働者数が300人以下もしくは資本金または出資額が3億円以下の建設業・運送業・病院等・砂糖製造業

・労務管理担当者に対する研修

・労働者に対する研修、周知・啓発

・人材確保に向けた取り組み など

250万円
労働時間短縮・年休促進支援コース ・労働者災害補償保険の適用事業主

・「成果目標」の達成条件を満たしている

・すべての対象事業場において、交付申請時点で、年5日の年次有給休暇の取得に向けて就業規則等を整備している

・労働者数が50人以下もしくは資本金または出資額が5,000万円以下の小売業

・労働者数が100人以下もしくは資本金または出資額が5,000万円以下のサービス業

・労働者数が100人以下もしくは資本金または出資額が1億円以下の卸売業

・労働者数が300人以下もしくは資本金または出資額が3億円以下の上記以外の業種

・労務管理担当者に対する研修

・労働者に対する研修、周知・啓発

・人材確保に向けた取り組み など

200万円
勤務間インターバル導入コース ・労働者災害補償保険の適用事業主

・次のいずれかに該当する事業所を有している「勤務間インターバルを導入していない」「既に休息時間数が9時間以上の勤務間インターバルを導入している事業場であって、対象となる労働者が当該事業場に所属する労働者の半数以下」「既に休息時間数が9時間未満の勤務間インターバルを導入している」

・すべての対象事業場において、交付申請時点で、36協定が締結・届出されている

・すべての対象事業場において、交付申請時点で、原則として、過去2年間に月45時間を超える時間外労働の実態がある

・すべての対象事業場において、交付申請時点で、年5日の年次有給休暇の取得に向けて就業規則等を整備している

・労働者数が50人以下もしくは資本金または出資額が5,000万円以下の小売業

・労働者数が100人以下もしくは資本金または出資額が5,000万円以下のサービス業

・労働者数が100人以下もしくは資本金または出資額が1億円以下の卸売業

・労働者数が300人以下もしくは資本金または出資額が3億円以下の上記以外の業種

・労務管理担当者に対する研修

・労働者に対する研修、周知・啓発

・人材確保に向けた取り組み など

100万円
労働時間適正管理推進コース ・労働者災害補償保険の適用事業主

・すべての対象事業場において、勤怠管理と賃金計算等をリンクさせ、賃金台帳等を作成・管理・保存できる統合管理ITシステムを用いた労働時間管理方法を採用していない

・すべての対象事業場において、賃金台帳等の労務管理書類について5年間保存が就業規則等に規定されていない

・すべての対象事業場において、交付申請時点で、36協定が締結・届出されている

・すべての対象事業場において、交付申請時点で、年5日の年次有給休暇の取得に向けて就業規則等を整備している

・労働者数が50人以下もしくは資本金または出資額が5,000万円以下の小売業

・労働者数が100人以下もしくは資本金または出資額が5,000万円以下のサービス業

・労働者数が100人以下もしくは資本金または出資額が1億円以下の卸売業

・労働者数が300人以下もしくは資本金または出資額が3億円以下の上記以外の業種

 

・労務管理担当者に対する研修

・労働者に対する研修、周知・啓発

・人材確保に向けた取り組み など

100万円
団体推進コース ・事業主団体

・共同するすべての事業主の合意に基づく協定書を作成している等の要件を満たしている共同事業主

・新ビジネスモデル開発、実験

・セミナーの開催

・人材確保に向けた取り組み など

500万円、ただし都道府県単位または複数の都道府県単位で構成する事業主団体等(構成事業主が10以上)に該当する場合は、上限額1,000万円

※参照:労働時間等の設定の改善 |厚生労働省

まとめ:職場環境改善に取り組み従業員のエンゲージメント向上を図ろう

職場環境改善は法律による義務もありますが、従業員の心身の健康促進、生産性向上、定着率の向上といった効果が見込まれるため、積極的な取り組みが求められます。

職場環境改善には「物理的環境」「企業の制度・システム」「労働環境」といった3要素から取り組むようにします。業務改善につながらなければ効果的な施策とならないため、PCDAを回して改善しながら継続することが必要です。

中小企業であれば利用できる補助金や助成金があるので、費用面の懸念がある企業は検討するとよいかもしれません。今後は少子高齢化で労働人口が減ると予測されていることから、職場環境改善に積極的に取り組み、人材確保に努めるようにしましょう。

物理的な職場環境の改善については、ぜひアイリスチトセにご相談ください。企業に最適な職場環境をご提案させていただきます。

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