オフィスでD&Iを推進!意味から取り組み方までわかりやすく解説

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オフィスでD&Iを推進!意味から取り組み方までわかりやすく解説

D&Iは多様性に関わる取り組みです。企業が今後の社会の変化に対応し成長し続けるためには、全社的に実践していくことが求められます。

そこで本記事では、D&Iの基礎知識やオフィス業務との関連性、取り組みのメリットや事例を解説します。自社で導入できる具体的なD&Iの施策を検討する際の参考にしてみてください。

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オフィスにおけるD&Iとは

まずは、オフィスにおけるD&Iの知識を身につけましょう。次の2点から解説します。

  • 多様性を受け入れ成長を目指す取り組み
  • 国が取り組みを推進

それぞれの詳細を解説します。

 

◾️多様性を受け入れ成長を目指す取り組み

D&Iは多様性を受け入れ、成長を目指すための取り組みです。ダイバーシティ(Diversity)とインクルージョン(Inclusion)の頭文字を組み合わせた言葉となっており、ダイバーシティは多様性を意味し、インクルージョンは包括や抱合を意味します。

ビジネスにおけるダイバーシティは、性別や年齢、国籍などが多様な人を受け入れ、生産性を高める雇用戦略というニュアンスで使われることが多くあります。従業員の属性を日本人や男性に限らず、より広く受け入れる体制などが実例として挙げられるでしょう。

また、インクルージョンは多様な人がお互いを認め合い、一体になっている状態を指します。性別などの属性はもちろん、宗教や仕事に対する価値観の違いなどの尊重が求められます。

D&Iを達成するためには、属性に縛られない多様な従業員が在籍し、互いに尊重され、成長できる環境を構築することが大切です。オフィスにおいては、レイアウトやデザイン、組織体制の変更などが具体的なD&Iの取り組みとなるでしょう。

 

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◾️国が取り組みを推進

現在、D&Iは国を挙げた取り組み推進の対象となっています。内閣府や厚生労働省、経済産業省などそれぞれの機関によって、次のような取り組みがおこなわれています。

国の取り組み 概要
女性活躍推進法
(内閣府)
・妊娠・出産で離職した女性が再就職しやすい職場環境の改善を目指す

・企業に現状把握や行動指針の作成を義務付け

職場におけるダイバーシティ推進事業
(厚生労働省)
・性的マイノリティの当事者を含む人材活躍の推進支援、周知活動
・性的マイノリティに関する取組の事例紹介
ダイバーシティ経営の推進
(経済産業省)
・ダイバーシティ経営推進に関する講義の実施
・企業が取るべきアクションをまとめたガイドラインの制定
なでしこ銘柄
(経済産業省)
・女性活躍に優れた上場企業を選定し、投資家に紹介する制度

・キャリア形成支援と働き・共育ての両立支援を企業に求める

具体的なD&Iの実施においては、国の提示した法やガイドラインに沿った施策の策定や、制度の利用をおこなうことが重要です。

D&Iが注目されている背景

D&Iは現代社会の企業に求められる取り組みであり、国も取り組みを推進するほど重要視されています。D&Iが注目されるようになった背景を解説します。

 

◾️企業のグローバル化

現代のビジネス環境はグローバル化が進み、事業の海外展開や日本に進出した海外企業との取引が増加しています。国外の企業との取引をおこなおうとする際にはこれまでとは違う価値観の理解が求められるため、D&Iの推進は欠かせないものとなるでしょう。

たとえば、商品やサービスを販売する場合には、消費者の文化・背景を理解したうえでの顧客ニーズ対応が欠かせません。食品メーカーがイスラム教文化圏で展開する際に、戒律に沿った食品の提供を求められるケースなどが代表例として挙げられます。

取引先と同じ国出身の従業員が在籍し、活躍できる環境が整っていれば、価値観のギャップを埋めてもらうことも期待できるでしょう。多様な視点が集まれば海外展開をおこないやすくなり、企業の競争力強化も見込めます。

グローバル化に対応するうえで、今後もD&Iは欠かせない取り組みとなるでしょう。

 

◾️時代による価値観の変化

現代社会では差別や偏見に対する社会的な批判が高まっており、不公平かつ差別的な姿勢を取ることは企業にとって大きなリスクとなっています。従業員が公正で公平な環境で働けるようにするためにも、組織体制やオフィスにおけるD&I実施が重要です。

女性であることを理由にキャリアアップや昇給が妨げられるような組織体質は、D&Iの概念に則って改善されるべきですし、障がい者でも働きやすいようなオフィスデザイン、レイアウトへの変更も、D&Iの実施として有効な手段です。

D&Iを推進し、差別や偏見を排除することは、企業のステークホルダーへのアピールにもつながります。企業としての公正さ、公平さを示すD&Iは、社会的な評価を向上させるうえで重要な施策といえるでしょう。

 

◾️少子高齢化による人材不足

日本は少子高齢化により人口が減少しており、多くの企業が人材不足に直面しています。企業の存続のためにも、D&Iを実施し、従来の枠に囚われない人材採用と活用をおこなうことが重要です。

人材採用と活用におけるD&Iでは、性別、年齢、国籍など、従来の枠にとらわれない多様な人材を採用し、長期的に活躍してもらう組織を作ることが重要です。日本人や大学新卒といった属性に限定せず、シニアや外国人などの人材採用も意識するようにしましょう。

また、多様な属性を持つ人の採用と活用は、これまでの企業組織に無かった視点やアイデアの獲得と、イノベーション(新しい価値の創出)にもつながります。D&Iを意識した人材獲得は、企業の競争力強化のうえでも重要な施策となるでしょう。

オフィスでD&Iを推進する3つのメリット

企業がオフィスでD&Iを推進することには、主に次の3つのメリットがあります。

  • 母集団形成への寄与
  • イノベーションの促進
  • 定着率の向上

それぞれのメリットを見ていきましょう。

 

◾️母集団形成への寄与

D&Iの推進は、採用活動における母集団形成に対し大きなメリットを持っています。母集団形成とは、自社の選考を受ける人数を集める採用プロセスの一つです。

D&Iの推進で、企業は性別、年齢、国籍などを問わず、より広い範囲の候補者を応募の対象とできます。価値観の違いから就職に困難を感じていた優秀な人材も登用しやすくなり、D&Iを推進できていない企業に対するアドバンテージも得られます。

多様な価値観を認め成長できる環境であることを求職者にアピールできれば、母集団の形成が容易になります。D&Iを通じて母集団形成が成功すれば、量と質の両面で採用活動の能率を大幅に改善できます。

 

◾️イノベーションの促進

D&Iの推進はイノベーションの促進につながります。イノベーションとは革新や刷新などを意味する言葉で、ビジネスにおいては企業に新たな価値を生み出すことを表します。企業の競争力強化にとって、イノベーションは欠かせない要素です。

イノベーションを生み出すためには、これまでの業務に新しい視点を加えることが欠かせません。D&Iによる人材採用・登用は、組織内に存在しなかった価値観や視点を与えることにもつながるため、イノベーションの可能性を高められます。

また、多様な価値観はマーケティングの戦略立てにも役立ちます。女性の視点から既存商品の女性向けアレンジ・展開をおこなう、海外出身者の視点から自社サービスの国外市場における価値を発見するなど、自社事業への新展開も期待できます。

 

◾️定着率の向上

D&Iの推進は従業員の定着率の向上にも大きなメリットを持ちます。多様な属性・背景を持つ従業員がお互いに認め合い、協力し合うオフィスと組織を構築することで、他社よりも働きやすい企業となれるでしょう。

従業員が職場に満足できれば離職率をおさえられ、自社に留まることを期待できます。離職率が高まると、人員不足や能力不足で企業の活動に影響を及ぼす恐れもあります。人材不足という経済状況も相まって、従業員の定着は重要な課題といえるでしょう。

たとえば、優秀な人材であっても「女性である」という一点でキャリアアップを阻んでしまえば、その従業員は転職を試みる可能性が高くなってしまいます。D&Iを実施、個人を尊重できる組織とすることで、企業の持続的な活動を維持できるようにしましょう。

オフィスにおけるD&Iへの取り組み事例

ここからは具体的な取り組み事例をご紹介します。自社でどのようにD&Iを実践していくか、施策を検討する際の参考にしてみてください。

 

◾️オフィスをユニバーサルデザイン化する

オフィスのユニバーサルデザイン化は、D&Iの実現として有効な手段の一つです。ユニバーサルデザインとは、年齢や障がいに関わらず、全ての人が利用しやすいように設計された環境や製品のことを指します。

オフィスにおけるユニバーサルデザインでは、障がい者の方でも万全に働ける環境の構築が重要視されてます。身体や精神、視覚など各種の障がいに配慮して、オフィスのレイアウトや家具を選ぶことが重要です。

たとえば、車いす利用者でも動きやすい動線設計は、オフィスユニバーサルデザイン化で重要な要素として挙げられるでしょう。オフィス内に段差を作らず、車椅子でも動きやすい通路幅を用意することが大切です。また、車椅子対応の床材やデスク導入も有効です。

ユニバーサルデザインのオフィスを構築することは、障がいを持つ人であっても採用、活躍できる企業組織の実現につながります。D&Iの一環として、オフィスのユニバーサルデザイン化を検討し、全ての人が働きやすい職場環境構築を検討してみましょう。

 

◾️宗教の多様性に配慮したオフィスづくりをする

宗教の多様性に配慮・対応したオフィスづくりというアプローチ方法もあります。宗教的なルールや戒律に適したオフィスであれば、より多くの人の採用と活躍につながります。

宗教は個人のアイデンティティに大きな影響を与えるものですが、生活習慣そのものを定義する規範となっているケースもあります。日々の生活における義務や禁止事項を遵守することは、信徒の人生にとって極めて重要な要素です。

たとえば、イスラム教には毎日、夜明け前、昼、午後、日没時、夜の5回の礼拝をおこなう教えがあります。礼拝は仕事中であってもおこなわれ、イスラム教国では職場内に礼拝用の場所が定められていることも珍しくありません。

イスラム教徒の従業員にとって働きやすい環境を想定すると、オフィスへの礼拝所の設置が求められるでしょう。また、社員食堂におけるハラール食(イスラム法に則った食物。豚肉など禁じられた食材もある)の提供も重要です。

 

◾️オフィスカラーに配慮する

オフィスの壁紙や家具に使用するカラーの配慮も、D&I実践のうえでは重要な要素となります。D&Iの観点からオフィスカラーを決める際は、視覚障害者の存在を考慮した配色をおこなうことが求められます

視覚障害者にとって真っ白な色は刺激が強く、必要以上の眩しさを感じる要因となります。より刺激の薄い色味の壁紙や家具を選び、目に優しい環境を作ることが大切です。クリームホワイトなどの優しい色味を選ぶようにしましょう。

また、ブラウンカラーや木目調の色合いも目に優しく、D&Iに則ったオフィスづくりに役立ちます。明るさや暖かさなどの印象を与えることもでき、多くの人が落ち着いて働けるオフィスデザインにもつなげられるでしょう。

 

◾️カームダウン・クールダウンエリアを設ける

オフィス内にカームダウン・クールダウンエリアを設けることも、D&I実施として有効な手段です。カームダウン・クールダウンエリアとは、発達障がいや精神障がいを持つ人がパニックになった際、静かに落ち着ける場所を指す言葉です。

カームダウン・クールダウンエリアは、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会をきっかけに生まれたスペースの概念です。実例としては、成田空港に設置されたボックス型のカームダウン・クールダウンエリアが挙げられます。

オフィス内では業務のため会話や騒音、人の移動などが発生しますが、その情報量の多さがストレスとなり大きな負担を感じたり、パニックになってしまったりする人も居ます。そうした際に外界の情報を遮断し、落ち着くための空間としてカームダウン・クールダウンエリアが求められているのです。

具体的には、照明が暗く、パーテーションなどで仕切られた個室のような空間を用意することが求められます。外部からの音をシャットアウトし、一人で落ち着ける空間であることが大切です。

 

◾️社内制度を見直す

D&Iには、オフィスデザインに加え、社内の制度を見直すことも重要です。多様な人が働きやすい制度の設置はもちろん、正当な評価を与えていくことも求められます。

 

「働き続けられる」制度を設ける

従業員個々人を取り巻く状況の変化があっても「働き続けられる」制度を導入しましょう。従業員がライフスタイルと仕事の両立を難しいと考え、離職してしまうケースは少なくありません。従業員個々人のライフスタイルを尊重できる制度が求められます。

たとえば、育児や介護があるためこれまで同様に出勤できないという従業員が居ても、フレックスタイム制や在宅勤務、時短勤務が適用できれば離職をしないで済みます。また、産休制度などの整備も重要です。

D&Iへの取り組みの一環として、仕事と家庭の両立が可能な、柔軟な働き方を認められる制度を構築しましょう。

 

人事評価を見直し改善する

人事評価制度の見直し・改善もD&Iの一環として重要な取り組みです。労働時間の長さだけで評価していると、育児や介護のために時短勤務をしている人を公平に評価できなくなってしまいます。

多様な働き方を認めるためにも、人事評価においては労働時間の長さ以外の要素を評価項目に加えることが大切です。設定された目標の達成度や、成果も重視するようにしましょう。

目標達成や成果を基準とした評価方法であれば、短時間の勤務で結果を出している人を適切に評価できるようになります。柔軟な働き方を可能とする制度の設置とともに、人事評価の見直しもおこないましょう。

 

◾️能力に合わせた人材配置をおこなう

D&Iを適切に推進するためには、年齢や社歴に囚われない、能力重視の人材配置が重要です。マネジメント層が個々人の得意・不得意を理解し、適材適所の配置をおこなうことで、人材のスキルや経験を最大限に発揮できるようになります。

また、個々人の属性を活かした人材配置もD&Iの取り組みとして有効です。育児や介護経験者の知見を活かした商品開発や、海外出身者の主導による国外市場での自社事業展開可能性の検討などは、イノベーションの促進にもつながるでしょう。

オフィスにD&Iを浸透させるポイント

D&Iを浸透させるためにも、まずは全社的な周知と理解を進めましょう。D&Iは新しい概念であるため、認知のないままオフィスや制度の変更をおこなうと反発の原因にもなりかねません。

たとえば、従来の評価基準や人事制度が変わることで、一部の従業員から不公平感が生じる可能性は否定できません。また、従業員同士の価値観の相違によるトラブルやハラスメントの発生もリスクとしては想定できます。

D&Iの達成にはオフィスに在籍する人、全員が変化しなければいけません。「D&Iの推進によって自分に不利益があるのではないか?」「具体的に何をどう配慮すればいい?」といった疑問や不安に答え、既存の従業員をケアすることも忘れないようにしましょう。

具体的には、社内報やセミナーなどを実施し、自社におけるD&I推進の目的やメリット、オフィスや制度の変更点を周知することが求められます。自社におけるD&I取り組みを全従業員に漏れなく周知し、理解を得たうえで施策を進められるようにしましょう。

まとめ:オフィスのD&Iを推進して成長と適応を実現しよう

D&Iは、多様性を受け入れ、成長を目指すための取り組みとして現代の企業に欠かせないものとなっています。グローバル化や価値観の変化、人材不足といった社会の変化に適応するためにも、D&Iの推進を検討しましょう。

オフィスにおけるD&Iの取り組みとしては、デザインやレイアウト、設備の変更などが有効です。D&Iの実施でより多くの人が働きやすく、イノベーションを生み出しやすいオフィスを実現できれば、自社の未来にとって、よい効果を期待できるでしょう。

アイリスチトセでは、オフィスデザインやレイアウト、家具に関するサポートを提供しております。「オフィスからD&Iを実現したい」とお考えの方は、ぜひ一度アイリスチトセへご相談ください。

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