オフィスレイアウトの考え方とは|パターン別の特徴やポイントを解説

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オフィスレイアウトの考え方とは|パターン別の特徴やポイントを解説

オフィスレイアウトの変更は、予算やスケジュールといった大枠のことから具体的なデザインの内容まで、決めることが非常に多く、ポイントをおさえて進めないとトラブルになる可能性があります。その上実際にレイアウトを変更してしまった後に不都合が生じても、再度変更するのが容易ではないというケースもあります。

オフィスレイアウトを建設的に進めるために、この記事では、オフィスレイアウトの考え方のポイントやパターンについて解説します。

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オフィスのレイアウトにこだわるメリット

企業によって、オフィスに求める要素や機能はさまざまです。目的を絞ったオフィスレイアウトの導入で、次にあげるメリットが享受できます。

  • 生産性の向上が期待できる
  • 企業のブランディングに寄与する
  • オフィス維持のコストを軽減できる

それぞれについて、詳しく解説します。

■生産性の向上が期待できる

集中やリラックスを重視したオフィスレイアウトにすると、従業員の生産性向上が期待できます。

たとえば、集中ブースやパーテーションを設置すれば、周りの目を気にせず集中して業務に取り組むことが可能です。また、カフェスペースやリフレッシュスペースなどゆったりとしたスペースの設置や、植物や自然光を採り入れたデザインにすると、従業員の憩いの場となってコミュニケーションの活性化も望めます。

機能性とリラックスをうまくミックスしたオフィス環境にすることで、従業員のモチベーションアップにつながり、生産性向上にもつなげられるでしょう。

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■企業のブランディングに寄与する

デザイン性の高いオフィスレイアウトを採用すると、企業としてのブランドイメージを高められます。

これは「オフィスブランディング」と呼ばれる手法で、従業員に向けて発信するインナーブランディングと、消費者や顧客へ向けて発信するアウターブランディングがあります。特にアウターブランディングは企業のブランディング戦略に重要で、おしゃれなレイアウトのオフィス写真や映像などを発信すると、ブランドイメージの向上が可能です。

消費者や顧客に良いイメージをもってもらえると、自社の商品やサービスの利用者が増えて業績アップの可能性も高まります。また、インナーブランディングによって従業員が自社に愛着をもてば、従業員の定着率向上も見込めるでしょう。

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■オフィス維持のコストを軽減できる

スペース効率を考慮したオフィスレイアウトにすると、オフィス維持のコスト軽減も視野に入れられます。

レイアウト変更でオフィス内を整理してデッドスペースを減らせば、オフィスの必要面積そのものを見直すことができるケースもあります。賃貸オフィスであれば、現在より狭いところを借りることで、家賃や光熱費の削減が期待できるでしょう。

また、スペースに余裕ができれば現状のオフィスでも増員に対応でき、面積当たりの効率を上げられます。

デザイン変更で無駄なスペースを減らすと同時に、不要なオフィス機器を整理することで、メンテナンス費用やランニングコストの削減も可能です。

オフィスのレイアウトを決めるときの考え方

オフィスレイアウトの変更を計画する際、行き当たりばったりではうまくいきません。オフィス全体を視野に入れ、効果的なレイアウトを考えるのが大切です。

■レイアウトはオフィスのコンセプトから検討

オフィスレイアウトを考える際は、まずはコンセプトから検討します。

基本的なコンセプトがはっきり決められていない場合、現状抱えている問題が解決できず、結果として今より働きにくいレイアウトになる可能性があります。

オフィスレイアウトの目的は何か、どういった問題を解決したいのか、どのような働き方をしたいのかなど、コンセプトを決めて落とし込むことが大切です。

レイアウト変更でコスト削減を図りたい場合、ペーパーレスやフリーアドレスを導入して、オフィス内に設置する机や機器の削減を検討するといでしょう。

オフィスデザインはコンセプトが重要!理由や決め方とは

 

■目的別にオフィス内をゾーニング

使用目的別でオフィス内をゾーニングするのも、オフィスレイアウトでは非常に重要です。

ソーニングとは、オフィスに必要な機能をどのように配置するか計画する作業を指します。たとえば、ワークスペース・会議室・休憩所・倉庫など、さまざまな機能のスペースを効率的に配置するように考慮します。

ゾーニングを考える上で重要なのは、セキュリティレベルの検討です。セキュリティレベルの低い順に、大きく次の3つに分けられます。

  • 共用スペース:社外の人間が出入りできる場所(受付・エントランスなど)
  • 執務スペース:従業員や関係者が日常的に使う場所(ワークスペース・会議室など)
  • セキュリティスペース:限られた従業員が必要時のみ立ち入る場所(サーバー室。重要書類保管室など)

ゾーニングでは、利用しやすさと合わせて、セキュリティレベルの高い場所は共用スペースからアクセスしにくい場所にするなどの配慮も求められます。

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■必要な通路幅・業務スペースを確保

オフィスに十分な面積が確保されていると、従業員に快適で働きやすい労働環境を提供できます。ただし、広すぎるとかえって業務効率が落ち、光熱費や賃料が高くなるデメリットが生まれます。働き方に合わせて、働きやすい広さを確保するようレイアウトすることが求められるでしょう。

なお「労働安全衛生法に基づく事務所衛生基準規則」には、次のように定められています。

(気積)

第2条 事業者は、労働者を常時就業させる室の気積を、設備の占める容積及び床面から4メートルをこえる高さにある空間を除き、労働者一人について、10立方メートル以上としなければならない。

※出典:e-gov法令検索 事務所衛生基準規則

また、多くのオフィス家具メーカーで推奨する一人当たり面積は、約2〜4坪(約6.6〜13.2平方メートル)です。スタンダードな通路幅の目安も一覧にしておきますので、その範囲内でレイアウトできるように検討してみましょう。

場所 幅(センチメートル)
メイン通路幅 60~160
座席間通路幅 160~210
デスク間通路幅 160~210
座席背面が壁の場合の通路幅 85~120
座席背面が棚の場合の通路幅 105~145

■スムーズな移動のため動線を計画

レイアウトを考える上では、従業員がスムーズに移動できるための動線確保も大切です。

スムーズに移動できない動線では、オフィスの使い勝手が悪くなりストレスの原因となります。動線を計画するには、基本的には次のポイントを押さえるようにしましょう。

  • メイン通路は広くする:人がすれ違っても余裕のある広さを確保する
  • 行き止まりをなくす:行き止まりだとすれ違いできず立ち往生する
  • 抜け道を作る:広いオフィスだと横に抜け道があると便利
  • 目的地まで最短距離で行ける:毎回遠回りしなければならないとストレスの原因となる
  • 従業員と来客の動線は交わらないようにする:お互いの邪魔にならない配慮が必要

動線はできるだけ広く取り、シンプルにすることが求められます。

 

■物理的・技術的にセキュリティの強化

機密情報や個人情報が簡単に持ち出されないよう、セキュリティの強化も必要不可欠です。

ゾーニングによってアクセスしにくい場所にセキュリティスペースを確保するだけでは、セキュリティ対策としては十分とは言えません。配置場所という物理的対策以外にも、システムを利用して入室者を限定する、入室記録をとるなど、技術的な面からもセキュリティを強化する必要があります。

  • 物理的対策:監視カメラ・入退室管理 など
  • 技術的対策:IDによるアクセス制限、セキュリティソフトの導入 など

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■コンセントの位置と消費電力を把握

レイアウト変更時に見落とされがちなのが、コンセントの位置です。

コンセント位置を考慮しないでレイアウトしてしまうと、電源まで遠くなり配線が複雑になる可能性があります。消費電力を把握していないと、大きな電力を必要とする機器のコンセントが最適な場所になく、電力不足で使えないことも考えられます。

コンセント自体を追加することもできますが、別途工事が必要です。余計な費用をかけないためにも、既存のコンセント位置を把握しておき、現状でまかなえるレイアウトにすると良いでしょう。

オフィスレイアウトのパターン別の特徴

オフィスレイアウトでは、どのように机を配置するかが大きなポイントになります。従業員の生産性や組織のコミュニケーションに直結する要素なので、オフィスに求める機能を生かせる配置にすることが大切です。

ここでは、代表的な6種類のレイアウトをご紹介します。

 

■部署ごとにまとめる対向型

同じ部署やチームごとに、机を向かい合わせに並べるレイアウトです。島型レイアウトとも呼ばれ、多くのオフィスで採用されているレイアウトになります。

同じ部署のメンバーで机が集中して置かれているため、コミュニケーションが容易です。小さなスペースで配置でき、電源や電話の配線がしやすいのもメリットとなります。

対面に人がいる配置なので、集中して個人作業をするにはやや不向きです。エンジニアのように個人が集中する作業が頻繁にあるチームであれば、ローパーテーションで机の周囲を囲むケースも見られます。

 

■一方向にそろえる同向型

同じ方向に机を並べるレイアウトです。並列型レイアウトとも呼ばれ、学校の教室で見られるレイアウトをイメージするとわかりやすいでしょう。

金融機関や不動産会社など、窓口や受付業務のある業態でよく見られるパターンで机の向かい側に従業員がいないため、視線を気にせず作業に集中できます。

同向型のレイアウトでは左右とのコミュニケーションは取りやすい一方で、前後の従業員とはコミュニケーションを取りにくくなります。机を並べるための広いスペースが必要となるのも、デメリットと言えるでしょう。

 

■業務に集中しやすい背面型

チームメンバーの机を背中合わせに配置するレイアウトが背面型です。机の前は壁やパーテーション、もしくは何もないスペースになります。

同向型と同じく前面からの視線がないため、個人の業務に集中しやすい環境です。チームメンバーとのコミュニケーションは、机から振り返るだけで可能なことから、個人業務とチーム業務の両立がしやすいレイアウトだと言えるでしょう。

チームごとである程度仕切られた空間のレイアウトなので、他のチームメンバーとの連携は取りにくい一面があります。

 

■Web会議で活躍するブース型

ブース型は、デスクそれぞれをパーテーションやパネルで仕切り、個人専用の空間を造るレイアウトです。

一人ひとりのスペースが確保されているため、こちらも個人の業務に集中しやすい環境が作れます。周囲の音や視線を遮断できることから、社外秘の情報を扱う業務や、Web会議の多い職種にも向いているでしょう。

ブース型の問題点は、コミュニケーションの取りにくさです。それぞれのブースがきっちり分けられていることから、外からは何をしているのか見えにくく、トラブルを抱えていても気付きにくいデメリットがあります。

■業務スペースに余裕があるブーメラン型

120度の角度がついたブーメラン型の机を3つひとまとめに配置した、斬新なレイアウトがブーメラン型です。

机の面積が大きく、作業用スペースが広く取れます。また、同じまとまりにいるメンバーとのコミュニケーションが取りやすいのもメリットです。さらに、座席が斜め前にずれているため目線が合いにくく、集中が必要な作業にも向いています。

それぞれの机が大きくスペースを取るため、かなり広いスペースがないと設置できないのがデメリットです。

 

■動線を固定化させないクロス型

デスクを90度回転させて、十字型に配置したレイアウトがクロス型です。卍型、十字型と呼ばれることもあります。

正面の従業員とは視線が合わず、業務のプライバシーが確保できます。横を向くと隣の人に話しかけられるため、隣接の従業員とのコミュニケーションは取りやすいです。また、ジグザグに配置することで動線が固定化されず、多くの従業員と接する機会を持てます。

レイアウトに場所を取るのでスペース効率が悪く、レイアウトの自由度が低い点はデメリットです。

オフィスレイアウトを変更する際のポイント

オフィスレイアウトの変更を検討する際、気をつけておきたいポイントがいくつかあります。

 

■オフィスレイアウトは従業員の意見を反映する

オフィスレイアウトは、利用頻度の高い従業員の意見を採り入れるようにします。

オフィスレイアウトをトップダウンで決めると、実務の際に使い勝手が悪くなる可能性があります。トップや一部の従業員がよかれと思って変更しても、実際に仕事をする従業員が使いにくいと感じることがあれば、従業員のやる気にも影響します。

ある程度の方向性はトップで決めておき、従業員へアンケートやヒアリングを実施し、実務者の意見を反映させるとうまく進められるでしょう。

 

■オフィス家具は新品にこだわらない

レイアウト変更の予算が限られている場合、オフィス家具は新品にこだわらず選ぶようにしましょう。

新品のオフィス家具であれば選択肢も多く、理想に近いデザインのものが見つけやすいのは確かです。しかし、すべてを新しいものでそろえると、その分費用が高額になります。すべて新品で準備することにこだわらず、コスト面を優先して一部に中古やリースを使うのも視野に入れるのも良い方法です。

中古家具は、自分のイメージにぴったり合ったものがあるとは限りません。その分費用はおさえられるので、社外の人の出入りが少ない場所や実務に影響も少ない部分では中古家具を検討してみると良いでしょう。また、リース家具は長期的に見るとコスト高となるかもしれませんが、新しい機種への入れ替えが容易です。

予算とデザインを考慮して、一部に中古やリースを使用するなど、全体のバランスを取るようにすると良いでしょう。

 

■業務に支障がでないよう社内ルールを見直す

レイアウト変更によって、業務に支障がないように注意しましょう。

たとえばオフィスレイアウト変更によって、フリーアドレス(従業員が個々の席を持たず自由に席の移動ができる)やABW(仕事内容に応じて働く時間と場所を自由に選べる)を導入するケースがあるでしょう。

その場合、これまでのように管理職の目の届く範囲に従業員がいるとは限らず、既存のシステムでは人事評価をしにくくなることが考えられます。オフィスレイアウトの変更に合わせて社内ルールやシステムを見直し、業務に支障のないような対策が求められます。

 

■補助金・助成金の申請は最新情報を確認する

オフィスレイアウトの変更時、使える補助金や助成金についても合わせて確認しておきましょう。「ものづくり補助金」「IT導入補助金」「受動喫煙防止対策助成金」など、補助金や助成金の要件に該当すれば、費用負担の軽減が期待できます。

ただし、助成金や補助金に適用される要件や支給額は、随時変更されるものです。場合によっては、制度そのものがなくなっているケースも考えられます。

レイアウト変更を検討する段階で最新情報を確認し、条件に合うかその都度検討することが重要です。

 

■レイアウト変更の依頼先を厳選する

大規模なオフィスレイアウト変更は、基本的に専門業者へ依頼することとなります。業者を探す際には、次のポイントに留意して検討すると良いでしょう。

  • レイアウト変更の実績は十分か:実績が多いと提案力・技術力が高いと判断できる
  • どのようなデザインが得意か:自社の望むデザインと合致しているか確認しておく
  • ワンストップで依頼できるか:ワンストップで対応できると連絡の手間が省ける

アイリスチトセでは、内装のデザイン・工事、オフィス家具の選定、場合によっては物件紹介から引越しまで、ワンストップでオフィスレイアウトの変更が完了します。働き方改革に合わせたオフィスレイアウトや、生産性向上を見込めるオフィス環境の提案など、アイリスグループのネットワークを生かしたサポートが可能です。

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まとめ:オフィスレイアウトで従業員のエンゲージメントを高めよう

オフィスレイアウトの変更によって、従業員の生産性向上・企業のブランディング・オフィス維持コストの軽減などが期待できます。

レイアウト変更の考え方で重要なのは、コンセプトをしっかりと決めることです。トップダウンで決めるのではなく、実際に働く従業員の意見を採り入れたレイアウトにすると、従業員のエンゲージメントも高められます。従業員の望む理想的なオフィスレイアウトへ変更できるよう、考え方のポイントを押さえるようにしましょう。

アイリスチトセではオフィス作りに関して総合的なサポートを提供しています。オフィス空間の改善におけるお悩みは、ぜひアイリスチトセへご相談ください。

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