社長室のレイアウトの決め方|おしゃれで機能性の高い配置決めのコツとは

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社長室のレイアウトの決め方|おしゃれで機能性の高い配置決めのコツとは

近年、ベンチャー企業やIT企業の増加に伴い、オフィススペースの有効活用や役員と社員とのコミュニケーションを活発化するなどの目的で、あえて社長室を設けずフリーアドレスを採用している企業が増えています。

しかし、オフィスに社長室を設けることで社内環境や業務効率の改善につながる場合も多くあります。

本記事では、オフィスに社長室を導入するメリットをしっかり理解できるよう、社長室の必要性や、導入前におさえておくべき基本的なことを解説します。また、社長室に必要なオフィス家具や、レイアウトで活かせる工夫ポイントもお伝えします。社長室のレイアウトを初めて検討する方は参考にしてください。

なお、「役員室のレイアウト」については別記事で詳しく解説していますので、気になる方は併せてチェックしてみてください。

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社長室を設置する必要性とは

冒頭でも触れたように、現代は「オフィスと言えば社長室や役員室があるのが当たり前」とする考え方は昔ほど多くありません。特に2020年以降はコロナパンデミックを受けてオフィス移転やスペースの縮小を検討し、役員室を排除した中小企業も増えています。

たしかに、社長室を設けることで長と社員双方にとってお互いの執務環境が見えづらくなり、コミュニケーションがとりにくくなる可能性が考えられます。また、社長室を過度にゴージャスにしすぎて、他の社員とのヒエラルキーの差を無意識のうちに見せつけてしまうといった弊害も少なからず考えられます。

では、あえて社長室を導入するメリットはどのようなものなのでしょうか。ここでは、オフィスに社長室を設置する必要性について解説します。

■社長業務に集中できる

社長は、経営について中長期的な計画を俯瞰的に検討する義務があります。1人でじっくりと思考することも多い社長にとって、現場の様子に気を取られず自身の執務に集中できるスペースがあることは大きなメリットです。

社長室という社長専用のプライベート空間があることで、会社としてのビジョンやそのために果たすべき役割などにじっくり取り組むことができるのです。

■機密情報の漏洩防止につながる

社長室があることで、気兼ねなく重要な契約や財務の話ができます。社外秘機密情報や重要書類を社長室のみで管理することで、紛失防止につながります。

他の従業員と執務スペースが一緒であれば、たとえパーテーションで区切っていても話し声が漏れてしまう恐れがあります。社内には外部の業者やクライアントが出入りする可能性もあるため、そのような空間で大切な話をするとなれば会社の信用度にも支障が出るでしょう。

また社長室を設ければ、入り口のセキュリティを強化することもできます。特定社員しか出入りできないよう管理することで、より情報漏洩のリスクを減らすことにもつながります。

 

セキュリティ対策に関する詳細はこちらの記事でも解説しています。

■企業ブランディングに寄与

社長室は常に重要顧客の来客があることを想定しておかなくてはなりません。そのため、社長室のレイアウトにこだわることで、オフィスの来訪者へ特別感を与えたりとイメージアップに努めることができます。

また、社長室のデザインを重視した間取りにしたり、高級感のあるインテリアを備えたり、社長室ならではの演出で顧客をもてなすことができます。事務的な印象の強い応接室や会議室よりも、さらに友好的で前向きな商談も可能になるでしょう。

■会議室としても活用できる

小規模な会議を社長室でおこなえる点もメリットです。前述した通り、社長室のみに保管している機密書類が会議で必要になった際に、その書類を外部に持ち出す必要がないためセキュリティ面で安心です。

また、社内でいくつかの会議が重なった際、本来の会議室が埋まっていても社長室を代用できれば、別途時間調整や場所の確保の手間がなくなり効率的です。

さらに、場所が社長室ということで参加する社員も緊張感を持って会議に臨めます。同時に社長自らがその会議に参加することで、会社理念や業務方針に関する社員の意識統制を図ることにもつながります。社長・社員双方にとって有意義な会議進行が期待できるでしょう。

社長室をレイアウトする際の6つの確認ポイント

さてここからは、実際に社長室を導入する際のレイアウトで活かしたい工夫ポイントをご紹介します。実際の設計は専門業者に任せるとしても、依頼する側の意思が曖昧では理想的なレイアウトは叶いません。

どのような部分にこだわりたいのか、また留意したほうが良いのか、業者に任せきりにせず、しっかりと洗い出して具体的なレイアウトイメージを持っておきましょう。

■1.情報セキュリティは問題ないか

社長室のレイアウトでもっとも重視したいのは情報セキュリティです。社長室には社外秘情報や顧客情報など、管理を徹底すべき書類が多く保管されているため、基本的にエントランスから離れた場所に配置するのが推奨されています。

また、原則一般社員は立ち入り禁止として、ICカードなどで入退室を管理するなどの対策も必要です。

・社長室の配置で留意したいこと

エントランスから離れた場所以外に、社長室の配置について加味したいポイントがあります。社長室は一般的に、次のような場所に配置されることが多いので参考にしましょう。

  • 総務部、経営企画部、広報室などの関連部署の近く
  • 秘書室のように社長の状態を常に把握しておきたい部署の近く

社長室は、総務や経営など会社の中枢をつかさどる部門と動線の良い場所に配置されることがほとんどです。ただし、企業によって社長室の立ち位置や役割は異なるため、組織に合った場所を検討することも必要です。

■2.応接スペースがあるか

先述した通り、社長室は基本的に社長個人の部屋ではありますが、来客も多いことを想定しておかなくてはなりません。そのため、執務スペースだけではなく応接スペースを設置することも必須条件です。

さらに社長の来客とあらば、会社にとっても重要な顧客であることに違いありません。VIP客の応対シチュエーションにふさわしい高級感のある応接テーブルやソファを用意しましょう。また、お茶だし用の食器や業務機器の配線などが視界に入らないよう、清潔感のあるレイアウトを検討することも重要です。

■3.企業イメージに合っているか

会社が大きくなるほどメディア関連の取材訪問も増えます。応接スペースも重要ですが、企業のイメージを損なわないようなブランディングに十分な配慮が必要です。

プレミアムな企業イメージなら高級感やシックな配色、信用を重視する企業イメージならば清潔感や重厚感といった、それぞれのコンセプトを考慮しましょう。

また、おもちゃやゲームメーカーのようなポップなイメージであれば、限定品や非売品のグッズや製品を飾るなど、遊び心を取り入れ自社ブランドのアピールにつなげるのも良い方法です。

■4.コミュニケーションを取りやすい工夫があるか

社長室と一般社員の執務スペースが近すぎると、現場のこまかい問題が気になってしまい社長が自身の業務に集中しにくい弊害があります。社員にとっても、常に社長の視線を感じながら仕事をするとなれば、緊張感から大胆な決断をしづらくなり、社内の生産性が低下する恐れもあります。

しかし、逆に離れすぎると社員とのコミュニケーションが取りにくくなり、本来社長が把握しておくべき情報まで見過ごしてしまうことにもなりかねません。

近すぎず遠すぎず、お互いの状況を感じられる適度な距離が理想的です。

機密性を保ちつつ双方の様子を察知できる両立型を目指すならば、社長室の壁をガラス製にした半個室タイプがおすすめです。

仕切りをガラスにすることで、社長・社員がお互いに今どのような状況なのかを確認できる一方で、防音性にも期待できます。また、ガラスの半分ほどのスペースを擦りガラスにすることで手元だけを隠せるので、よりセキュリティ性を高めることもできます。ガラスフィルムのデザインに凝れば、おしゃれな空間を演出することも可能になります。

■5.社長室内の通路幅は適切か

基本的に社長室を利用する人は限られているため、広い通路を確保しておく必要はありません。執務デスクの背後や応接セットと壁の間など、頻繁に往来する必要がない通路は700〜800mmもあれば十分です。

ただし入り口付近や、応接テーブルとソファの間など、社長本人や顧客の動線に関してはスペースを確保しておきましょう。また書棚が両開き扉の場合は、扉を開いて作業しても窮屈にならないよう配慮が必要です。このような通路の場合は1000mmほどの幅を目安に図面を検討すると良いでしょう。

■6.社長自身の要望を取り入れているか

ここまで紹介してきたポイントを活かすためにあれこれと検討したところで、社長本人が快適に執務できないレイアウトになってしまっては本末転倒です。社長の意向も十分に取り入れて検討しましょう。

そして社長室は社長個人だけが利用するプライベートな空間ではありません。重要な顧客や取材対応をおこなう、「会社の顔」になる空間です。企業の経営方針やブランドイメージをしっかり反映させた間取りや内装を目指しましょう。

社長室のレイアウトで必要となる家具

社長室のレイアウトイメージがある程度固まってきたら、具体的に設置する家具を考えていきましょう。サイズや色調、素材やデザインも重要ですが、機能性と機密性を兼ね備えた製品を選ぶことが重要です。

この章では、社長室に必ず設置すべき家具(デスク、チェア、書棚)と、必須ではなくともあったほうが良い家具(サイドボード、ロッカー、ハンガーラック)を6つご紹介します。

■デスク

社長室の執務用デスクは、パソコンやたくさんの資料を広げて作業することがあるため、機能的で広めのものがおすすめです。天板の幅は1,600〜1,800mm程度、両袖デスクや平デスクタイプが理想的です。

なお、社長室がそれほど広くなく設置できる家具が限られている場合などは、片袖デスクやL字デスクのほうがバランスが取れて良いでしょう。

社長室の場にふさわしい重厚感を演出しつつ、企業イメージに沿ったデザインや色調のものを選びましょう。

■チェア

執務用チェアもデスク同様、機能性と快適性を両立したものを選ぶことがポイントです。

長時間座って作業していても疲れにくく、かつ社長室に相応しい高級感を兼ね備えた製品を選びましょう。

たとえば、座面高を上下できる昇降機能や、背もたれを倒せるロッキング機能、肘置きやフットレスト付きのものなど、さまざまなタイプがあります。執務用デスクと相性の良い素材やデザインを検討しましょう。

■書棚

社長室には、保管すべき書類も多いため書棚も必須です。一般的な書棚には次のようなタイプがあります。

タイプ 特徴 機密性
ガラス両開き書棚 ガラス扉の観音開きタイプ。全体がガラス扉のタイプや、下半分が木製扉になっているタイプなどがある。
両開きラテラル書棚 ラテラルは引き出しのこと。上半分が観音開きの扉で、下半分がラテラルになっている。
オープン両開き書棚 上部が扉なしの棚となっており、下部に両開き扉の棚となっている。 ×
ロータイプ書棚 両開き扉付きの低めのタイプ。

ガラス両開きやオープン両開きタイプは、わざわざ開かなくても外から何が入っているか確認できる便利さはありますが、セキュリティ面では劣ります。

書棚はサイズやデザインも大切ですが、重要書類を保管できるように、施錠が可能で外から確認できない機密性に重視したものがおすすめです。

また、複数の書棚を並べる場合はなるべく高さや奥行きを揃えましょう。社長室全体の統一感が増し、スタイリッシュで無駄のないレイアウトが可能になります。

サイドボード

サイドボードを導入すれば、天板に置物や花を飾ったり、壁面に設置して上部の壁の空いたスペースに絵画をかけたりして室内を彩ることができます。書棚と奥行きを合わせて並べて配置するとよりスマートです。

扉はガラス製や木製、観音開きや引き出しタイプなどさまざまですが、施錠ができないタイプが多いため、重要書類の保管には適していません。機密情報はなるべく施錠ができる書棚で管理して、サイドボードは簡単な収納として使い分けるのが良いでしょう。

■ロッカー

必須ではありませんが、洋服用ロッカーもあると良いでしょう。社長はさまざまなシーンに出席しなくてはならないことも多く、多忙なスケジュールでもすぐに着替えができるよう、社長室に個人ロッカーがあると便利です。

ロッカーにも色々なタイプがありますが、おもに木製のものが人気です。セキュリティ性に富んだパーソナルロッカーや、収納力に長けたワードロープタイプなどあるため、着替える頻度や目的に応じて最適なものを選択しましょう。

■ハンガーラック

ポールハンガーともいいますが、ハンガーラックがあれば来社時に着てきたアウターやマフラー、アクセサリーや帽子などをさっと掛けておくことができます。スペースを取らないため、来客用に複数設置しておくのもおすすめです。木目調やメタリック調に塗装されているものが多く、社長室の雰囲気に馴染むものを選ぶと良いでしょう。

社長室のレイアウトでよくある質問

社長室のレイアウトについて、よくある質問をピックアップしました。自分では意識できていなかった細かな懸念点も、ここで解決しておきましょう。

■風水を取り入れるべき?

「会社の業績を上げたい」「社内環境を改善したい」など、会社のトップに立つ社長であればこのような悩みをもつのは日常茶飯事でしょう。仕事運アップを願って社長室のレイアウトに風水が取り入れられるケースは少なくありません。

風水では、土地選びや周辺建物との立地関係のほか、室内のレイアウトも大事なポイントと考えられています。そのため、オフィス内でもっとも重要な場所である社長室で、置物や間取り、家具の配置などを調節することで、気が高まり、運気アップにつながるとの考え方があります。

ただし、あくまでも風水を取り入れるかどうかは方針によるため、社長の意向によって判断すると良いでしょう。

■家具の色味による印象の与え方の違いは?

家具の色味によっても社長室全体の雰囲気は大きく変わります。オフィス全体のテーマカラーや社長室の役割によって家具の色味を検討すると良いでしょう。

まず、オフィスに取り入れられるテーマカラーには、白・茶・青・緑・黄・赤などさまざまあり、会社が目指す社内環境によって異なります。

たとえば白は、きれいで洗練された雰囲気を演出するため、社内の生産性アップにつながるとしてオフィス全体に取り入れられるケースは多いです。また清潔感や信頼感といったイメージもあるため、一般的に医療関係の建物にも多く使用されています。

また、緑や青は自然色でもあり安らぎ、冷静さといった印象を与える効果があり、会議室や休憩スペースによく導入されています。赤や黄などの暖色系は、刺激・情熱・ポジティブなどの印象を与えるため、革新的なアイデアを生み出す力を促進したい、活発な意見交換ができる社内環境を目指したいと会社に好まれます。

そんななか、社長室に取り入れられる色としてもっとも人気なのが茶色です。木や大地などの自然を連想する色のため、家具や小物のデザインに木目を使用されているものを選び、素材感を活かすこともできます。

茶色は温かみ・高級感・流行に左右されないスタイリッシュさ・適度な緊張感と、社長室に必要なイメージ要素がほぼ揃っているためおすすめです。

ただし、同じ茶系でも明度によって室内の印象に変化をもたらします。社長室が自社においてどんな存在感でありたいのか、次の表を参考に検討してみてください。

家具の色味 人に与える印象
ナチュラル系木目 明るい色調。緊張感を和らげ、親しみや温かみを感じさせる。コミュニケーションの活発化に期待できる。
ミディアム系木目 やや暗めの色調。上質さや重厚感を感じさせる。適度な緊張感を保ったコミュニケーションが図れる。
ダーク系木目 暗めの色調。壁紙を明るくしてコントラストを効かせることでスタイリッシュでモダンな印象に。緊張感のある真剣なコミュニケーションを重んじる場合に適している。

カラーと配色の決め方に関する詳細はこちらの記事でも解説しています。

■スペースをより広くするための工夫は?

狭いオフィスで社長室のスペースを十分に確保できない場合でも、工夫次第で広く感じさせることができます。

  • 書類を電子化してペーパーレス化
  • 不要な書類を社長室外に保管
  • 書棚を減らすorコンパクト化して執務・応接スペースを確保
  • デスクサイズを小さくしたり配置を変えたりして動線を広げる
  • 多機能家具を導入する

書類は日常業務で使うものだけでなく、契約書類も電子化が可能です。オフィスの1日の過ごし方について今一度見直して、本当に必要なものとそうでないものを洗い出してみるのも工夫のための第一歩です。

 

ペーパーレス化に関する詳細はこちらの記事でも解説しています。

社長室は”会社の顔”

オフィスに社長室を導入することで、社長が自身の業務に集中しやすい、機密情報の漏洩防止につながるなど多数のメリットがあります。しかし同時に、社員とのコミュニケーションが取りにくくなり、現場で起こっている問題を社長が把握しづらくなるなどのリスクも生じます。

社長室の扉をガラス張りにしたり、一般社員の執務スペースと距離を離しすぎないなど留意して、機密性と快適性を両立させたレイアウトが理想的です。

また、社長室は来客やメディア取材の対応をする役割もある、いわば”会社の顔”でもあります。企業のブランドイメージやコンセプトをしっかり反映させつつ、重要なシーンにふさわしい家具・インテリアを備えることも大切です。

本記事で紹介したポイントやFAQを参考に、おしゃれで機能的な社長室をレイアウトしましょう。

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