オフィスデザインはコンセプトが重要!理由や決め方とは
オフィスレイアウト・デザイン・設計
オフィスデザインとはレイアウトや家具、装飾などのデザインや設計などをおこなう「オフィス作り」の活動を指します。つまり社員にとって働きやすい環境を整備することがオフィスデザインです。工夫次第では社員のモチベーションアップや生産性の向上なども期待できるため、企業にとってこだわりを持って取り組みたいポイントと言えます。
この記事では、オフィスデザインのコンセプトが重要な理由や方向性の決め方を徹底解説します。
オフィスデザインに関する詳細はこちらの記事でも解説しています。
目次
オフィスのコンセプトとは
オフィスデザインにおけるコンセプトとは、企業理念をデザインで表現することです。具体的には企業が大切にしていること、社員や来訪者に伝えたいことなどです。
企業のコンセプトをオフィスデザインに反映することで、ステークホルダーに企業の想いを効果的に伝えられます。オフィスデザインにおいて、コンセプトが重要になるのはデザインのベースとなる設計や内装だけではありません。
企業のコンセプトは、オフィス家具やICTツールなどの細部まで反映することが大切です。オフィスをデザインする際には、コンセプトの重要性やメリットを正しく理解し、あらゆる形で反映させるようにしましょう。
オフィスデザインのコンセプトが重要な理由
時代の流れとともに今やオフィスは単なるワークスペースとしてだけでなく、企業ブランディングにつながる場所へと変化しました。
オフィスには、経営ビジョンの共有やチームワークの創出などの役割もあるため、それを反映させるためには企業が進むべき方向を社員に見せる必要性があります。また、オフィスデザインは企業ブランドのイメージに直結します。そのため、オフィスデザインを考える際はコンセプトを明確化することが大切です。
オフィスデザインでしっかりとコンセプトが固まっていれば、それが内外にきちんと伝わり、自社ブランドの確立や生産性の向上につながっていきます。
オフィスコンセプトを設定するメリット
オフィスデザインに企業のコンセプトを上手く取り入れると、さまざまな効果が期待できます。
ここからは、オフィスデザインのコンセプトにはどのような役割があるのかを解説します。
◾️モチベーションや作業効率の向上
企業のコンセプトに沿ったオフィスをデザインすると、自社の働き方に適した労働環境が整備できるためより快適に働けるようになります。
社員にとってオフィスは、業務のために1日の大半を過ごす場所です。居心地の良いオフィスは社員の満足度やモチベーションの向上に寄与します。また、業務しやすい環境では業務効率も上がるため、社員一人ひとりの生産性の向上が期待できます。
生産性を向上できるオフィス環境に関する詳細はこちらの記事でも解説しています。
◾️おしゃれなオフィスの実現
コンセプトに沿ってオフィス作りをおこなうとデザイン性に統一感が生まれ、「おしゃれなオフィス」を実現できます。ここでのおしゃれなオフィスとは、企業のオリジナリティを感じつつ、社員が快適で居心地が良く働けるオフィスです。
おしゃれなオフィスで働いている社員は、満足度が高い傾向にあります。その場所で働いていることを誇りに思い、帰属意識が高まるためです。コンセプトが明確化されたおしゃれなオフィスは社員の満足度向上だけでなく、働き方改革の実現にもつながります。
インナーブランディングに関する詳細はこちらの記事でも解説しています。
◾️企業ブランディングへの寄与
コンセプトに沿ったオフィスデザインは、アウターブランディングとインナーブランディングの取り組みの一つとして効果的です。
コンセプトが明確化されたオフィスは、ステークホルダーに対して企業理念をアピールできる空間になります。共感を得られれば商談が進みやすくなり、企業ブランディングにつながるでしょう。
また、企業のコンセプトが反映されたオフィスは、社員に向けたインナーブランディングにも効果をもたらします。インナーブランディングとは企業理念やブランド価値を社員に浸透させ、共感力を高める活動です。
オフィスデザインを通して、自社の理念やブランドの価値などへの理解を深めてもらうことも可能です。
◾️多様なワークスタイルへの対応
最近は、時代とともに変化しているワークスタイルに合わせたオフィス環境が必要とされています。
オフィスデザインを決める際、「企業としてどのような働き方を実現したいか」という方向性、つまりコンセプトを取り入れると理想のワークスタイルに適した環境を整備できます。
オフィスコンセプトを決める前に決定すべきこと
自社で初めてオフィスのコンセプトを決める場合、どのように進めて良いのか迷うこともあるかもしれません。内装工事の着手後はデザインを用意に変更できないため、オフィスデザインにおいてはコンセプトを決める段階が非常に重要になります。
コンセプトを考える際には、自社で進める方法と専門家に依頼する方法があります。それぞれメリットがあるため、自社に適した方法を選びましょう。
◾️担当者に一任するか、プロジェクトを立ち上げるか
自社でコンセプトを考える際には、担当者に一任する方法と専門のプロジェクトを立ち上げる方法があります。
担当者に一任する場合は、上層部の意思決定に基づいて下部組織が動くスタイルになりがちです。トップダウン方式は意思決定のスピードが早い一方で、現場の意見が反映されにくく、社員の成長につながりにくい側面もあります。社員や来訪者に伝えたいことが明確な場合は、担当者を決めてトップダウン方式を採用しても良いでしょう。
プロジェクトを立ち上げる場合は、複数の社員が意見を出し合えるため、現場の意見も反映されやすくなります。社員が自発的に行動できるため、モチベーションアップにもつながります。特に社員が働きやすい環境を実現したい場合は、現場の意見が反映されやすいボトムアップ方式がおすすめです。
◾️オフィスコンセプトを決める際に社外のプロが介在するメリット
オフィスのコンセプトを決める際には、外部の専門家を招いてアドバイスを求める方法もあります。企業理念を策定するのは経営陣ですが、それをオフィスのコンセプトに落とし込むためには経営以外の知識が必要です。
専門家はオフィスデザインに関する専門知識を有しているため、多くの事例に基づいたアドバイスを受けられます。第三者の意見を聞くことで、より客観的な視点で自社のコンセプトを考えることが可能です。
専門家からの意見により、自社だけでは気づかなかった課題を見つけられることもあるでしょう。課題が見つかったときには、専門家ならではの解決策の提案を受けられます。専門家の介在は、自社だけでオフィスデザインを進めていく上で躓きがちな課題の早期解決にもつながります。
オフィスデザインのコンセプトの決め方
オフィスデザインのコンセプトを設定する際には、社員やステークホルダーに対して企業の姿勢や理念をきちんと伝えられるかがポイントです。まずは自社の理念やブランドイメージを分析し、コンセプトに適したカラーを決めましょう。
◾️企業の理念・ブランドイメージを分析する
まず企業理念や事業内容を振り返り、社内外に伝えたい想いや伝えたいブランドイメージを明確にしましょう。コンセプトの根幹を成すのは企業理念や事業内容です。アピールしたい点が決まることで、どのようなオフィスにするか具体的なデザインも検討できるようになります。
オフィスデザインに関わるメンバー内で、企業の理念やブランドイメージを再確認し、認識を共有します。イメージが曖昧な場合は、「出社すること自体が楽しくなるオフィス」のように言語化すると、具体的にイメージしやすくなります。
◾️決まったコンセプトに合わせたカラーを決める
コンセプトを決める際にはオフィスのイメージカラーも大切です。カラーによって相手に与える印象は異なります。適切なカラーを選ぶことで、より自社のコンセプトを反映したオフィスにデザインできるようになります。
代表的なカラーと与える印象の例は、次のとおりです。
カラー | 与える印象 |
白色 | 清潔感 |
赤色 | 情熱 |
青色 | 爽やか |
黄色 | 明るさ |
緑色 | ナチュラル |
使用するカラーが多いとポップで賑やかな印象になりがちです。オフィスという落ちついた場では多くとも3色程度におさえると良いでしょう。
オフィスデザインにおけるカラーと配色の決め方に関する詳細はこちらの記事でも解説しています。
オフィスデザインを決める際の注意点
コンセプトを決めた後は、いよいよデザインを考えるフェーズです。最近は、おしゃれなデザインに仕上げるオフィスが増えています。しかし、デザイン性を重視し過ぎると、社員が働きづらいオフィスになる可能性もあるので注意が必要です。
ここからは、オフィスデザインを決める際の注意点を解説します。
◾️動線を考慮する
オフィスをデザインする際には、使いやすさを重視することも大切です。使いにくいオフィスでは、従業員から不満の噴出につながる可能性もあります。
オフィスの使いやすさの決め手となるのは、動線です。そこでオフィスには、動線を意識したデザインを盛り込みましょう。オフィスの動線は、できるだけシンプルにすることがポイントです。
動線が複雑な場合、コミュニケーションが取りづらい、無駄な動きが増えるなどの課題も発生しがちです。スペースの関係でゆとりのある通路幅を確保できない場合は、複数のルートを作成しておくと、移動しやすい環境を構築できます。
◾️出社率を考慮する
働き方がオフィス出社に限定されている場合は、社員数に合わせたワークスペースを確保する必要があります。しかし、企業が採用している働き方によっては、オフィスに出社する社員の数が変動します。
多様な働き方を導入している企業は、オフィスへの出社率を考慮したオフィスデザインを考えましょう。たとえばオフィスへの出社率が高い場合は固定席かつ、対向型や背面型などの規則的な配置のレイアウトが向いています。
一方でオフィス出社以外の働き方が多い場合は、席が固定されていないフリーアドレスやABWの導入も検討しましょう。フリーアドレスやABWはレイアウトを変更しやすいため、出社率の変化に柔軟に対応することが可能です。
◾️目的に合わせたデスク配置をする
オフィスをデザインする際には、ワークスペースのデスク配置を重視することも大切です。デスクの配置は、コミュニケーションの取りやすさ、機密性の高さなどにも影響します。
たとえば多くのオフィスで採用されている対向型は、社員が対面で着席するため、コミュニケーションが取りやすくなるでしょう。その一方でプライバシー性が低く、パーテーションで間仕切りする配慮も必要です。
同行型は、一定のコミュニケーションとプライバシーを両立しやすい配置です。ただし、同一方向を向いているため、部署ごとでまとまっていてもコミュニケーションが取りづらいこともあります。デスクの配置は型によってメリット・デメリットがあるため、目的に合わせて考えるようにしましょう。
◾️現状の課題への解決策を考える
企業が抱える課題は、オフィスのデザインによって解決できる可能性があります。ただし、企業の課題は会議室や収納不足などのスペース的なものだけではありません。
オフィスデザインには、社員同士のコミュニケーションやモチベーションなども影響します。まずは既存のオフィスが抱える課題を洗い出し、現状を把握することも大切です。
オフィスをデザインする際には、現状の課題を把握した上で、それを解決できるようにすることが理想的です。社員にヒアリングして意見を聞くと、現場の課題を把握でき、オフィスデザインにニーズを反映しやすくなります。
◾️コンセプトを無理にひとつにまとめない
オフィスデザインは企業ブランドのイメージに直結するため、コンセプトが重要になります。ただし、コンセプトにこだわり過ぎて、無理にひとつにまとめないようにすることも大切です。
コンセプトを無理に詰め込むと、動線が悪い、多様な働き方に対応できないなどの課題が発生する可能性があります。コンセプトやデザインは、応接室・エントランス・ワークスペースなどのエリアごとに変えることも可能です。
たとえばリフレッシュスペースとワークスペースの雰囲気を変えるだけで、社員は気分転換しやすくなります。エリアごとにコンセプトやデザインを変える場合は、オフィス全体で一貫性のあるメッセージ性を持たせることも意識しましょう。
コンセプトをうまく取り入れたオフィスデザインの事例
コンセプトに沿ったオフィスデザインの実現を目指すためには、事例を参考にするのも手段の一つです。ここからは、コンセプトをうまく取り入れたオフィスデザインの事例をご紹介します。
◾️セキュリティスタッフ株式会社
セキュリティスタッフ株式会社は愛知県を中心に交通誘導警備や商業施設の駐車場警備などの警備事業を手掛けている企業です。
エントランスの壁面には制服を着た社員2人が大きく描かれており、来訪者に理念を伝えるための工夫が施されています。また、ミーティングスペースは目的や人数に応じて使い分けられるよう、複数設けられています。
◾️コーナン商事株式会社
コーナン商事株式会社は本社を置く大阪府を中心にホームセンターチェーンの「コーナン」を展開する企業です。人材確保や商談機会の増加を目的に本社を移転し、コンセプトに沿ったオフィスデザインを実現させています。
ホームセンターならではのクラフト感を出し、コミュニケーションが活性化されるデザインに仕上がりました。
◾️株式会社TBSスパークル
株式会社TBSスパークルは番組放送やコンテンツ制作などを手掛ける企業で、TBS系のグループ会社11社が統合して新たに設立された企業です。本社の移転をきっかけに、全社の一体感が生まれるデザインが実現しました。
フリーアドレス化、ペーパーレス化、1on1開催を軸に、社員が業務に応じて働く場所を選べるレイアウトに仕上がっています。
まとめ:オフィスデザインではオフィス家具にもこだわってみよう
オフィスデザインは企業ブランドのイメージに直結するため、自社のコンセプトに沿って進めることが大切です。コンセプトを決める際には、業務や立場が異なる複数のメンバーでプロジェクトチームを発足させましょう。
オフィスに働きやすさを求めるなら、ゾーニングのほかにオフィス家具にもこだわってみてください。デザインやカラーの種類も豊富なため、コンセプトとマッチするものが見つかるかもしれません。
アイリスチトセではさまざまな目的や空間にマッチするオフィス家具を数多く取り扱っています。機能性に優れた商品も多いため、自社のコンセプトに適したオフィス家具をぜひご検討ください。