オフィスのゾーニングで働きやすい環境を実現!レイアウトの決め方を解説

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オフィスのゾーニングで働きやすい環境を実現!レイアウトの決め方を解説

オフィスレイアウトを考える際に「ゾーニング」という言葉を耳にすることがあるでしょう。「聞いたことはあるけれど何かは知らない」「ゾーニングがレイアウトとどう関係するのかわからない」という方も少なくないのではないでしょうか。

本記事では、オフィスのゾーニングの基本的な知識から、ゾーニングを効果的に活用したオフィスレイアウトの決め方まで幅広く解説します。

自社のオフィスレイアウトを決めるにあたって、ゾーニングに関する正しい情報を取り入れて、働きやすい職場環境を実現させましょう。

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オフィスにおけるゾーニングとは

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ゾーニング(英:zoning)という言葉は、「場所や空間を用途別に分ける」「サービスの利用を何らかの基準で制限する」といった意味合いがあります。

オフィス移転におけるゾーニングとは、オフィス内のスペースを機能や用途ごとに区分けし、スペースごとの機能や目的の関連性、セキュリティレベルに合わせて配置を決めていく一連の作業のことを指します。

オフィスのレイアウトを決めるには、スペースごとの役割を十分に把握してからゾーニングに取りかかります。ゾーニングの結果をもとに、各スペースの配置や必要なセキュリティツールなどを検討していく流れです。

ゾーニングをしっかりおこなうかどうかで、オフィスの働きやすさやセキュリティ対策の効果が変わります。一度レイアウトを決めた後に変更するのは難しいため、細かなレイアウトを決める前に必ずゾーニングをするのがポイントです。

オフィスにおけるセキュリティ対策に関する詳細はこちらの記事でも解説しています。

オフィスのゾーニングで区画すべき4つの機能スペース

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オフィスのゾーニングは次の4つの機能スペースに分けて考えましょう。

  • パブリックスペース
  • 共有スペース
  • ワークスペース
  • セキュリティスペース

4つの機能スペースに分けるべき理由や各スペースの使用用途、セキュリティ面で気をつけるべきポイントなどを解説します。

 

パブリックスペース

エントランスや通路など、誰もが自由に移動できるスペースをパブリックスペースと言います。社員だけではなく、取引先や出入り業者といった第三者を含めた多くの方が利用します。外からオフィスに入り、オフィス内を移動するために必要なスペースです。

人の目が行き届きやすいため、セキュリティ対策は最低限でも構いません。不審者の侵入を防ぐゲートや防犯カメラを設置すると不正行為の抑止になります。

 

共有スペース

ロビーや受付、打合せスペースなど、社員や来客が使うスペースです。来客の応対ができるように区画するスペースで、外部に開放している社員食堂もこれに含まれます。

次に紹介するワークスペースとも密接しており、社内の様子が見えやすいため、パブリックスペースよりも高いセキュリティ対策が必要になります。不審者や第三者の侵入を防ぐための防犯カメラのほか、ワークスペースが見えないようにパーテーションを設置しましょう。

 

ワークスペース

ワークスペースは社員の利用を想定したスペースで、社員が仕事に集中するために必要な空間です。執務室や会議室、役員室のほか、休憩時に利用する給湯室やリフレッシュスペースも含みます。

基本的には社員のみが使用しますが、取引先との打合せを会議室でおこなうなど、外部の方が出入りする機会もゼロではありません。情報漏洩を防ぐため、認証システムを設置し、ワークスペースへの入退室記録を管理しましょう。

 

セキュリティスペース

社員の中でも限られた人だけが使えるスペースです。社内の機密情報や貴重品を守るのが目的で、セキュリティルームやサーバールーム、金庫室などが該当します。

人の出入りを制限するためパブリックスペースからは離れた場所に配置し、最高レベルのセキュリティ対策を導入します。防犯カメラやセキュリティ錠など、複数のセキュリティツールを組み合わせると良いでしょう。防犯のみではなく火災が発生した場合も想定し、耐火に優れた収納棚や金庫の利用も検討します。

オフィスのゾーニングを検討する流れ

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オフィスのゾーニングは次の流れに沿って進めましょう。

  1. オフィスレイアウト変更の目的を決める
  2. オフィス内に必要な機能スペースを考える
  3. セキュリティレベルごとにゾーニングする
  4. 動線を考えて各スペースを配置する

 

1.オフィスレイアウト変更の目的を決める

はじめに、オフィスのレイアウトを変更する目的を明確にしましょう。目的を明確にすると、必要なときに目的に立ち返って考えることができ、進むべき方向を見失わずにすみます。

レイアウト変更の目的とは、たとえば「オフィスの動線を使いやすくして業務の生産性を上げたい」「社員同士のコミュニケーションが円滑になり、チームで一体感を得られるようにしたい」「デザイン性を高め、働く社員のモチベーションアップにつなげたい」などが挙げられます。

目的が複数ある場合、すべてを実現するのは難しいかもしれません。レイアウトにまとまりがなくなってしまう懸念もあるため、優先順位をつけて取捨選択するのがポイントです。

オフィスレイアウトに関する詳細はこちらの記事でも解説しています。

2.オフィス内に必要な機能スペースを考える

レイアウトを変更する目的が決まったら、必要な機能スペースを洗い出しましょう。たとえば次のようなスペースが挙げられます。

  • エントランス
  • 受付
  • 執務室
  • 会議室
  • リフレッシュスペース
  • 金庫室

レイアウト変更の目的に社員同士のコミュニケーション促進が含まれるのであれば、フリーアドレスを導入するのも良いでしょう。フリーアドレスとは、社員が決まった席を持たず、その都度自由な席で働くスタイルのことです。近くで働く人が毎回変わるため、コミュニケーションが活発になります。

フリーアドレスでは固定された席がなく備品や私物を置く場所がないため、導入するのであれば個人向けのロッカースペースも確保しましょう。

 

3.セキュリティレベルごとにゾーニングする

必要なスペースが洗い出せたら、セキュリティレベルごとにゾーニングします。これを「セキュリティゾーニング」と言い、スペースごとに必要なセキュリティ対策が検討しやすくなります。

ゾーンごとのセキュリティレベルと必要な対策は次のとおりです。

Lv1 パブリックスペース セキュリティ対策の必要は最も低い
Lv2 共有スペース 不審者や部外者の侵入を防ぐセキュリティ対策
Lv3 ワークスペース 外部の人間も出入りするため情報漏洩に注意
Lv4 セキュリティスペース 機密情報や貴重品を守るため最高レベルの

セキュリティが必要

セキュリティゾーニングをしたら、各スペースに関係のない人が立ち入らないような配置を検討しましょう。たとえば「ワークスペースは不審者や外部の第三者が入らないようにパブリックスペースから遠ざける」「セキュリティスペースは入室できる人を限定するため、パブリックスペースや共有スペースからはアクセスできないよう配置する」などが考えられます。

 

4.動線を考えて各スペースを配置する

業務効率やセキュリティを考え、各スペースの配置を決めます。配置を考える際は次のポイントを意識しましょう。

  • 効率的に仕事ができるよう動線をシンプルにする
  • 社員と来客の動線を交えない
  • 通路幅は余裕を持つ

具体的には「動線は曲折が続かないよう直線的に確保する」「会議が多い部署は会議室の近くに配置する」「多くの人が行き交う通路は、ほかの通路よりも幅を広くする」などが挙げられます。これまでに決めたレイアウト変更の目的やセキュリティゾーニングをもとに、最適な配置を考えましょう。

オフィスのレイアウトに必要な基礎知識

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オフィスのレイアウトを考えるにあたって、知っていると役立つ知識があります。ここでは次の4つの知識をご紹介します。

  • オフィスのデスクの配置
  • オフィスの通路幅の目安
  • デスクの種類と寸法
  • オフィスレイアウトに関する法律と規定

 

オフィスのデスクの配置

デスクの配置はスペースに収まればいいというわけではありません。業務効率や社員同士のコミュニケーションに影響するため、それぞれの配置の特徴を理解し、最適なものを選びましょう。

オフィス内をすべて同じ配置にする必要はなく、各スペースにあわせて選ぶのがポイントです。次の表では、オフィスでよく用いられるデスクの配置をご紹介します。

デスクの配置 特徴
対向型 対面するようにデスクを配置する。島型とも言う。

【メリット】

  • 誰がどこにいるかわかる
  • コミュニケーションがとりやすい
  • 省スペースで配置できる

【デメリット】

  • 個人のスペースがとりにくい
  • 作業に集中しにくい
  • 他部署とコミュニケーションがとりにくい
背面型 背中合わせにデスクを配置する。

【メリット】

  • 周りの視線が気にならない
  • お互いの距離が近くコミュニケーションがとりやすい

【デメリット】

  • コミュニケーションが固定される
同向型 学校の教室のように全員が同じ方向を向いた配置。スクール式とも言う。

【メリット】

  • 会議室や研修で使いやすい
  • 作業に集中できる

【デメリット】

  • 業務におけるコミュニケーションはとりにくい
クラスター型 列ごとに向きを変え、デスクを互い違いに配置する。

【メリット】

  • 作業に集中できる
  • 人と距離がとれ、感染症対策になる

【デメリット】

  • 背後からの視線が気になる
  • スペース効率が良くない
ベンゼン型 120度角のデスクを組み合わせたY字型の配置。亀の甲羅型。

【メリット】

  • 机上のスペースが広い
  • 周りの視線が気にならない

【デメリット】

  • スペース効率が良くない

オフィスデスクの選び方に関する詳細はこちらの記事でも解説しています。

オフィスの通路幅の目安

働きやすいオフィスにするには、通路幅もしっかり確保することが大切です。スペースに机や棚を詰め込みすぎると人が通りにくく、作業効率が落ちてしまいます。圧迫感もあり、ストレスを感じる社員もいるでしょう。

また、通路は火災や災害時の避難経路にもなります。安全性も加味して通路の幅を決めましょう。具体的には次の数値を目安にします。

【メイン通路】

  • 一人当たり60cm(余裕を持つなら80cm)
  • すれ違う場合は120cm以上

【座席と座席の間】

  • 160~180cm(210cmあればより快適)

【コピー機のまわり】

  • 105cm以上

【デスクと収納棚の間】

  • 140cm以上

車椅子での通行も考えるのであれば、最低でも75cmの通路幅が必要です。方向転換のために回転できるスペースを確保するのであれば140cm、車椅子と歩行者がすれ違うのであれば150〜180cmの幅を確保しましょう。

 

デスクの種類と寸法

デスクの種類と寸法を把握しておくと、スペースの無駄がないレイアウトが考えられます。次表では一般的にオフィスで使用されるデスクをご紹介します。

デスクの種類 横幅 奥行
コンパクトなデスク 100cm 60~65cm
標準タイプのデスク 120cm 70cm程度
左右にワゴン付きのデスク 140cm 70cm程度
重役向けデスク 150cm以上 75cm以上

デスクを選ぶ際は、デスクの上に何を置くのか、どのような作業をおこなうかを踏まえて検討します。たとえば、デスク上に置くパソコンの大きさや台数、モニター設置の有無でも必要なサイズが変わります。

 

オフィスレイアウトに関する法律と規定

オフィスレイアウトを考える際、考慮しなければならない法律に建築基準法と消防法があります。建築基準法では廊下に関する規定があり、これに従ってレイアウトを決めていきます。

両側に居室がある廊下における場合 1.6m以上
その他の廊下における場合 1.2m以上

消防法ではオフィスの通路幅に関する具体的な規定はありませんが、火災や災害が起こった際の避難経路の確保が求められています。通路に物を置きすぎて避難経路が確保できない状況だと、指導を受けるため注意しましょう。

オフィスのゾーニングを成功させるポイント

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オフィスのゾーニングを成功させるポイントを3つご紹介します。

  • 社員の希望をヒアリングする
  • 電話やネットワークの配線をシンプルにする
  • 専門家のアドバイスを聞く

 

社員の希望をヒアリングする

担当者がこれで良いと思って決めたレイアウトでも、社員にとっては働きにくい環境になる可能性があります。そうならないためにも社員の声を聞き、みんなが満足できるレイアウトを考えましょう。

たとえば、一人ひとりにデスクがあるほうが良いか、共有デスクで作業をするほうが良いかは部署によって異なるケースがあります。また、頻繁にやりとりする部署同士を隣接させることで、業務効率が上がるケースもあるかもしれません。

部署ごとの特徴を把握するのは、オフィスのゾーニングを決めるにおいて非常に大切なプロセスです。全員に対面でヒアリングするのが難しければ、アンケートで意見を集めましょう。

 

電話やネットワークの配線をシンプルにする

電話やネットワークの配線がむき出しだと、雑然とした空間になってしまいます。配線はなるべく隠す、一つにまとめるなどの工夫をすると良いでしょう。

場所によっては配線が届かない、コンセントの増設が必要など、思うようにレイアウトできない可能性もあります。その際は、事前にコンセントやLANポートの位置を確認しておきましょう。またデスクは対向型に配置すると、配線をまとめやすいです。

 

専門家のアドバイスを聞く

初めてゾーニングに取り組む担当者であれば、何から始めれば良いか、どのやり方が合っているのか悩んでいる方も一定数いらっしゃるでしょう。一度決めたレイアウトは簡単には変更できません。よくわからないまま進めるよりも、専門家に相談してアドバイスをもらうのも一つの選択肢です。

実際に相談する際は、オフィスのレイアウト変更やオフィス移転の実績が豊富な業者がおすすめです。複数社から見積もりを取り、予算に見合っているかも確認します。

専門家に相談する場合でも、すべてを任せてしまうとレイアウト変更の目的と外れたレイアウトになる可能性があります。こちらの希望もしっかりと伝え、アドバイスをもらうことが大切です。

オフィスのゾーニングに導入したいセキュリティツール

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オフィスでは、スペースの使用用途やセキュリティレベルによって効果的なツールが異なります。各スペースに合ったツールを選びましょう。

ここでは一例として、次の3つのツールをご紹介します。

  • 利用者を制限する「認証システム」
  • 抑止力になる「防犯カメラ」
  • 設置が容易な「パーテーション」

 

利用者を制限する「認証システム」

ワークスペースやセキュリティスペースに設置して、出入りする人の制限や入退室記録の管理をします。テンキータイプやICカード、生体認証など複数の種類があるため、それぞれの特徴を理解してスペースに合ったものを選びましょう。

種類 特徴
テンキー
  • 暗証番号を知っていれば誰でも通過できる
  • カードを持つ必要がない
  • 盗み見られる可能性もある
ICカード認証
  • 偽造が困難で入退室者を管理できる
  • カードを近づけるだけなので操作が簡単
  • 忘れた場合に入室できない
  • 貸し借りが可能なためセキュリティ面で不安あり
スマホ認証
  • ICカード認証と同様の使い方で、紛失のリスクを下げられる
  • 普段使っているスマホで対応可能
  • スマホを忘れる、または充電が切れたら使えない
生態認証
  • 基本的に偽造はできず、利用者は何も持たなくても良い
  • 生体認証(顔や指紋)なので認証精度に個人差がでる

抑止力になる「防犯カメラ」

パブリックスペースや共有スペース、セキュリティスペースをはじめ、人目が届きにくいエレベーターにも設置すると効果が高まります。防犯カメラがあるだけで「見られている」という意識が働き、不正行為の抑止力になるでしょう。トラブルが起こった際も防犯カメラに録画された映像を確認して対応できるため、万一のときにも安心です。

 

設置が容易な「パーテーション」

打合せスペースや、受付などに設置します。デスク上の資料やパソコン画面の目隠しをするのであればローパーテーションやデスクトップパーテーション、不審者の侵入を防ぐのであれば天井までカバーできるパーテーションなど、場所や目的にあわせて選びましょう。

また、パーテーションを置くことで防音にも役立ちます。より遮音性を強化したいのであれば、パーテーションに防音パネルの取り付けを検討しましょう。

パーテーションに関する詳細はこちらの記事でも解説しています。

まとめ:ゾーニングを活用して働きやすいオフィスレイアウトを導入しよう

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オフィスのレイアウト変更の際に大切な「ゾーニング」について、基礎知識や気をつけるべきポイント、ゾーニングを効果的に活用したレイアウトの決め方などを解説しました。

働きやすいオフィス環境を作るには、ゾーニングが欠かせません。ゾーニングをしっかりおこなうことで、社員の満足度とセキュリティレベルの高さを両立したオフィス環境の構築につながります。

担当者だけで考えるのではなく、社員の希望や専門家のアドバイスも聞きながら進めていきましょう。

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