オフィス移転の手続き&各機関への届出を徹底解説【チェックリストあり】
オフィス移転

オフィス移転の際には、各所への連絡や各機関への届出など、数多くの手続きが必要になります。それぞれ手続き方法や届出先、届出期限が異なるため、抜けや漏れのないよう事前によく確認しておきましょう。本記事では、オフィス移転の際に必要な手続きや各機関に提出が義務付けられている届出を、移転前と移転後に分けて解説します。
【オフィス移転前】必要な手続き&届出

オフィス移転が決まったら、現オフィスの解約やインターネット・電話回線の移転手続きなど、やるべき手続きが複数あります。チェックリストを用いて、抜けや漏れがないよう確認しましょう。
<オフィス移転前に必要な手続き・届出チェックリスト>
手続き・届出の内容 | 手続き・届出先 | 期限・目安 |
□ 現オフィスの解約 | オフィスのオーナーやビルの管理会社 | 退去の6ヵ月前まで |
□ インターネット・電話回線やライフラインの移転手続き | 各サービスを契約している会社 | 移転先が決定したタイミング |
□ 銀行口座・クレジットカードの登録情報の変更 | 銀行・クレジットカード会社 | 移転先が決定したタイミング |
□ 取引先への連絡 | 各取引先 | 移転の1ヵ月前 |
□ 消防関連の手続き(防火対象物使用開始届出書、防火対象物工事等計画届出書など) | 消防局・消防署 | 防火対象物使用開始届出書はオフィス使用開始の7日前まで
防火対象物工事等計画届出書は内装工事着工の7日前まで |
□ 転居・転送サービスの手続き(転居届) | 郵便局 | 移転の1週間前 |
オフィス移転前に必要な手続きや届出について、詳しく解説します。
1. 現オフィスの解約
移転が決定したら、現オフィスの解約手続きをおこないます。退去の6ヵ月前までに、オフィスのオーナーやビルの管理会社に解約通知を提出するのが一般的です。契約内容によって通知の期限が異なるので、必ず事前に確認しておきましょう。
また、入居時に改装をした場合は、原状回復工事の範囲や指定業者の有無をオーナーや管理会社に確認する必要があります。オフィスの場合、基本的に原状回復工事はテナント側の負担でおこないます。
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2. インターネット・電話回線やライフラインの移転手続き
インターネット回線や電話回線、電気・ガスなどのライフラインについても事前に手続きが必要です。特にインターネット・ガスは工事や立ち会いを要するため、希望日におこなえるよう、移転が決まった段階で早めに連絡しておきましょう。
移転を機に別会社のサービスに切り替える場合は、現会社へ解約手続き、新会社へ契約手続きをおこないます。複合機やOA機器のリース契約をしている場合は、リース会社にも連絡します。
それぞれ契約内容によって期限や手続き方法が異なるので、注意が必要です。
3. 銀行口座・クレジットカードの登録情報の変更
銀行口座やクレジットカードに登録している住所や連絡先も変更が必要です。銀行口座の情報変更には通帳や届出印、社印、移転後の登記事項証明書が必要なため、事前に揃えておきます。
クレジットカードの情報変更は時間がかかることがあるので、早めにカード会社に連絡しておきましょう。最近では窓口だけではなく、Webサイトでも手続き可能なケースが増えています。
4. 取引先への連絡
移転により住所や連絡先が変わる場合は、取引先や関係各所に連絡を入れます。漏れがないよう、連絡すべき取引先をリストアップしておくとスムーズです。
基本的には書面とメールのどちらで連絡しても問題ありませんが、失礼にあたらない内容か、誤字脱字はないかなどをよく確認しましょう。連絡のタイミングは移転の1ヵ月前が目安です。
5. 消防関連の手続き|消防局・消防署
消防関連の手続きは移転前におこないます。移転先の管轄消防局・消防署に次の届出が義務付けられています。
届出の名称 | 提出が必要となるケース | 提出期限 |
防火対象物使用開始届出書 | オフィスを借り、使用する場合 | 新オフィス使用開始の7日前まで |
防火対象物工事等計画届出書 | 移転先のオフィスで内装工事をおこなう場合 | 工事着工の7日前まで |
防火・防災管理者選任(解任)届出書・消防計画作成(変更)届出書 | 従業員数が50人以上の場合 | 新オフィスへの入居日まで |
防火対象物工事等計画届出書を提出する際は、防火対象物概要表、案内図、平面図、詳細図、立面図、断面図、展開図、仕上表、建具表などの書類を揃えて添付する必要があります。
消防関連の届出・手続きは内装業者が代行してくれるケースも多いので、相談してみましょう。
6. 転居・転送サービスの手続き|郵便局
「転居届」を郵便局に提出しておくと、届出日より1年間、旧オフィス宛の郵便物を新オフィスへ転送してもらえます。郵便局窓口やポスト投函の他、郵便局のWebサイトやアプリからでも届出が可能です。
転居届提出後、登録までには3〜7営業日ほど要するため、移転の1週間前を目安に手続きをおこないましょう。
【オフィス移転後】必要な手続き&届出

オフィス移転後も、公共機関への各種届出が必要です。手続きに必要な書類については各機関のホームページなどで確認し、あらかじめ用意しておきます。また届出には期限が定められているので、しっかりと把握しておきましょう。
<オフィス移転後に必要な手続き・届出チェックリスト>
手続き・届出 | 手続き・届出先 | 期限 |
□ 移転に関する届出の提出
(異動届出書、給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出書) |
税務署 | 異動届出書は移転後速やかに
給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出書は移転後1ヵ月以内 |
□ 移転に関する届出の提出
(事業開始等申告書) |
都道府県税事務所 | 移転後速やかに |
□ 健康保険・厚生年金保険の変更手続き
(適用事業所名称/所在地変更(訂正)届) |
年金事務所 | 移転後5日以内 |
□ 労働保険関連の変更手続き
(労働保険名称・所在地等変更届) |
労働基準監督署 | 移転後10日以内 |
□ 雇用保険の変更手続き
( 雇用保険事業主事業所各種変更届) |
ハローワーク | 移転後10日以内 |
□ 移転登記の手続き
( 本店移転登記申請書、支店移転登記申請書) |
法務局 | 本店の場合は移転後2週間以内
支店の場合は移転後3週間以内 |
□ 駐車場移転の手続き
(自動車保管場所証明申請書) |
警察署 | 移転後速やかに |
オフィス移転後の手続きや届出について解説します。
1. 移転に関する届出の提出|税務署・都道府県税事務所
オフィス移転後は、税務署へ次の届出が必要です。
- 異動届出書:移転後、なるべく早めに
- 給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出書:移転後1ヵ月以内
納税地が変わる場合は、移転前と移転後の両方の税務署に提出します。窓口の他、郵送やe-Taxでも提出可能です。
都道府県税事務所には、「事業開始等申告書」の提出が必要です。税事務所によって期限は異なりますが、移転後なるべく速やかに届出しましょう。移転前と移転後、両方の税事務所に提出します。
2. 健康保険・厚生年金保険の変更手続き|年金事務所
移転前のオフィス所在地を管轄する年金事務所へ「適用事業所名称/所在地変更(訂正)届」を提出し、健康保険や厚生年金保険の変更手続きをおこないます。現オフィスと新オフィスの年金事務所の管轄が異なる場合も、移転前の管轄事務所へ提出します。
届出期限は移転後5日以内。窓口の他、郵送や電子申請での手続きも可能です。
現オフィスと新オフィスが同一管轄内か管轄外かによって手続き方法が異なる場合があるので、確認しておきましょう。また届出には、法人(商業)登記簿謄本のコピーなどの添付が必要になるため、事前に確認・用意しておきます。
3. 労働保険関連の変更手続き|労働基準監督署
移転先を管轄している労働基準監督署へ「労働保険名称・所在地等変更届」を提出し、労働保険関連の変更手続きをおこないます。
届出期限は移転後10日以内。多くの企業が該当する一元適用事業所の場合、労災保険と雇用保険の変更を労働基準監督署でまとめて手続きできます。
ただし、都道府県・市区町村がおこなう事業や、建設業や農林・水産業など二元適用事業所の場合、労災保険は労働基準監督署へ、雇用保険は公共職業安定所へ、それぞれ変更届を提出する必要があります。
4. 雇用保険の変更手続き|ハローワーク
移転先を管轄するハローワーク(公共職業安定所)へ「雇用保険事業主事業所各種変更届」を提出し、雇用保険の変更手続きをおこないます。
提出期限は移転後10日以内。手続きには、労働基準監督署に届出をした際の書類の控えが必要となるため、先に労働基準監督署での手続きを済ませておきましょう。
窓口もしくは電子申請で届出可能ですが、郵送での提出はできないので注意が必要です。
5. 移転登記の手続き|法務局
会社設立の際は本店所在地、支店設置の場合は支店所在地を登記することが法律で決められています。オフィス移転によりこれらの所在地が変更になる場合は、法務局へ次の届出が必要です。
- 本店移転登記申請書:本店の移転後2週間以内に提出
- 支店移転登記申請書:支店の移転後3週間以内に提出
現オフィスと新オフィスで法務局の管轄が変わるときは、両方に届出を提出します。同一管轄内の移転であれば3万円、管轄外への移転の場合は6万円の登録免許税が徴収されます。
6. 駐車場移転の手続き|警察署
オフィス移転により駐車場も移る場合は、移転後の駐車場を管轄している警察署に「自動車保管場所証明申請書」の提出が義務付けられています。「自動車保管場所証明書」は、自動車の保管場所があることを証明する書類で、一般的に車庫証明と呼ばれます。
届出の期限は定められていませんが、原則として車庫証明がなければ車両を保有できないことになっているため、移転後速やかに提出しましょう。
オフィス移転のポイントと注意点

最後に、オフィス移転をスムーズに進めるためのポイントや、押さえておきたい注意点を紹介します。各種手続きや届出とあわせて確認しておきましょう。
オフィス移転の流れを把握し、効率的な計画を立てる
オフィス移転はやることが多いため、流れや進め方をしっかりと把握しておくことが大切です。オフィス移転の大まかな流れは、次のとおりです。
移転計画の立案
↓
移転先の選定
↓
現オフィスの解約手続き
↓
新オフィスのレイアウト決定
↓
業者の選定・手配
↓
原状回復の工事
↓
引越し
↓
各種届出の提出
移転日の6〜8ヵ月前くらいから計画をスタートさせるとスムーズです。オフィス移転のチェックリストなどを用い、抜け漏れがないように進めましょう。
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費用の削減ポイントを知っておく
オフィスの移転により、おもに次の費用が発生します。
- 原状回復費用
- 引越し費用
- 移転先オフィスの契約費用
- 移転先オフィスの内装工事・設備費用
- 移転に伴う手続きの費用 など
届出関連の費用をおさえるのは難しいものですが、なるべくコストを削減したいなら、複数の業者から見積もりをとって比較する、使える備品は移転先で再利用するなどの工夫をしましょう。
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オフィス移転にかかる費用はいくら?相場やコスト削減方法も紹介
オフィス移転専門業者への依頼を検討する
オフィス移転には膨大なタスクが発生します。自社だけで対応するのが難しい、社内担当者の負担を軽減したいなどの不安や要望がある場合は、オフィス移転専門業者への依頼も検討してみましょう。
ポイントは、サポート体制が整ったオフィス移転業者を選定すること。移転後のアフターフォローが充実しているかどうかも確認しておくと安心です。
アイリスチトセでも、オフィス移転トータルサービスを提供しています。年間1,000件以上の移転・改修実績に基づき、計画の立案から物件紹介、オフィスデザイン、内装工事、オフィス家具の納品、引越し作業までトータルにサポートします。オフィス移転を検討の際は、ぜひ一度ご相談ください。
必要な手続き・届出を把握しオフィス移転をスムーズに進めよう

オフィス移転に伴い多くの手続きが発生するため、事前に確認しておく必要があります。また各機関への届出には、移転前に提出するもの、期限が決まっているものもあるので、しっかりと把握しておくことが重要です。手続き・届出の抜け漏れを防ぎ、オフィス移転をスムーズに進めましょう。