【インタビュー】フジテック株式会社「オフィス移転で生まれた社内の活気」
インタビュー
所在地 | 神奈川県横浜市 |
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クライアント | フジテック株式会社 |
業種 | 製造業(機械) |
完成年月 | 2020年8月 |
エレベータ・エスカレータの専業メーカーであるフジテック株式会社様が、2020年8月に横浜支店オフィスをJR横浜タワーに移転されました。そこで今回、これまでの支店のイメージを一新させた横浜支店移転プロジェクトのメイン担当者である総務・経理グループの課長代理 竹内聡様、横山翔一様に移転準備から移転後約1年が経った現在までのお話を伺いました。
モデルオフィスとしての新たな取り組み
※感染対策を行った上で取材を行っています。
早速ですが、オフィスを移転された理由を教えていただけますか?
支店の規模拡大によりオフィスが手狭になったことに加えて、社員間のコミュニケーションが取りにくいレイアウトであったためです。
旧横浜支店はもともと一つの場所に全員が集まっていたのですが、みなとみらい地区の受注増によって人数が増加したため、隣接するテナントの借り増しを行い同居していました。そのためフロアは同じでしたが、廊下や壁で区切られた三つの場所に分かれてしまい、メンバーとコミュニケーションが取りづらくなってしまいました。
そのような中で、近くに当社の製品(エレベータ・エスカレータ)が納入されるJR横浜タワーが建設されることとなり、支店に来訪されたお客様にもアピールできる点などから移転が決まりました。
ちなみにこの支店には、どのような職種の社員が働いていますか?
竹内:ここで働くのは設計、営業、工事、施工管理、メンテナンス、そして総務・経理など、エレベータ・エスカレータのビジネスに関わる部署の社員です。ワンフロアの見通しの良いオフィスで勤務しています。
コロナ禍真っただ中で移転計画と実働となると、計画通りの進行は難しいですよね。
竹内:そうですね…。調整が大変でしたが、何とか期限内に移転完了できました。
この横浜支店はモデルオフィスのような立ち位置なのでしょうか?
竹内:全国にある支店の新しいモデルオフィスとして期待され、計画をスタートしています。当社にとっては斬新なアイデアが随所に盛り込まれています。
準備段階ではどういったところに拘られましたか?
竹内:ひとつは、これまでの支店イメージを刷新するということです。現在、他支店の移転準備が進行していますが、いずれも横浜支店移転のノウハウが活かされています。これまでの当社オフィスのイメージを変えるために、計画当初からコーポレート機能(総務と広報)が入り、新しい働き方の実践とブランドイメージの向上を目的に、入念なマスタープランを策定しました。
移転が決まった時点で、働き方を大きく変えるというコンセプトがあり、フリーアドレスを全国の支店に先駆けて導入することなどは決まっていました。座席レイアウトはオフィスに対して対角線(斜め)に配置して、社員が動きやすいように工夫しました。
さらに、私たちは「支店の総務として」の視点で、そこで勤務する方の働きやすい環境を作ることを意識しました。そのためにマスタープランを大事にしながら、実際に働く社員の意見を聞いて上手く融合することで、働きやすい環境を作ることに拘りました。
支店イメージの刷新とコミュニケーション以外に注力された点はありますか?
竹内:社員のモチベーションをいかに上げるかについてです。
支店のエントランスからオフィスに入る中央通路を、みなとみらいの大さん橋に見立ててデザインするなど、各所に横浜らしさを取り込んだ御社の提案は、社員のやる気も上がるだろうと想像できました。「毎朝社員が気持ちよく出勤できるように」という想いで採用しましたが、期待を上回る良い影響をもたらしています。
変化したコミュニケーション
移転に伴いフリーアドレスを導入されたとのことですが、別のオフィスでも導入されているのでしょうか?
竹内:東京本社は3年前の移転時に先行してフリーアドレスを導入しています。
支店としては全国で初めてですね。他のオフィス勤務者の利用も大歓迎です。今後は続々と導入が計画されています。
今のオフィスはここに勤務していない方も自由に使えるスペースがあるということでしょうか?
竹内:ありますね。ここがまさにそうです。サテライトオフィス的に使われるスペースです。
サテライトオフィスとなると色々な支店の方と接触する頻度が増えると思いますが、社員の方々の反応はいかがでしたか?
竹内:当初は、他支店の人が入ってきたときに「誰だろう?」という声がオフィス内で上がっていました。他支店との接点が少ない社員もおりましたので…。
ですが社員も自然に徐々に慣れ、今ではとてもいい雰囲気で打ち解けられるようになりました。それもコミュニケーションという点で良い効果が生まれました。
移転してから働き方で大きく変わったと感じるところはありますか?
竹内:ショートミーティングが増えましたね。
これまでは時間を設定して会議室に集まっていましたが、今はオフィス内に打ち合わせテーブルがいくつもありますので、すぐに集まって話をするようになりました。ショートミーティングが増えたことによってコミュニケーションが活発になりました。とても変わったと実感しています。
フリーアドレスを支店としては初めて導入されたということですが、皆さん戸惑いはありませんでしたか?
横山:以前は、デスクトップパソコンでの業務で、席は固定で書類もそこに保管していました。
新支店ではフリーアドレス導入に合わせて、ノートパソコンへ変更し、パーソナルロッカーを用意しました。社員からはサイズが小さいという声もありましたが、いままで個人保管していた資料を共有キャビネットで管理するようになりました。またペーパーレス化も進み、キャビネットの不足問題は解消されて、現在は上手く運用できています。
移転前と比べて、ここは改善されたと感じることはありますか?
横山:これまでは、同じ横浜支店の社員でも、実はあまり話したことがない人もいました。現在のオフィスだと壁がないので、いろんな仕事の話も聞こえてきますし、さらに明るいオフィスになったと実感しています。
竹内:各人がノートパソコンを使用し、フレキシブルに席を移動できるようになったことは、デスクトップパソコンで席が縛られ移動が大仕事だった時とは格段の違いです。
「働く社員にとって過ごしやすい環境を」総務担当者としての想い
※感染対策を行った上で取材を行っています。
実際に支店で働く社員の皆様の意見を集約するのは大変ではありませんでしたか?
竹内:基本的なコンセプトが決まった時点で、各部署からメンバーを一人選出してもらい、集まってああでもないこうでもないと意見を出し合いました。その結果、プリンターの位置や更衣室のレイアウト、コンセントの位置や荷物置きのスペースを十分に取るなど、多くの意見が出て、反映しました。
こういったことは意外にもコンセプト決めの段階では分からず、意見を集約することによって気が付くことができました。
アイリスチトセの担当者大高さんには土壇場で「ここ変えてください!」といった急ぎの対応を何度もしてもらいました。
ありがとうございます!
お話を伺っていると取りまとめが大変そうですね・・・
横山:本当に大変でしたがやりがいはありました(笑)
竹内:すでに決まっていて変更できない部分と変更できる部分ということが、その時期ごとにあったので、それを考慮していきました。本当にギリギリまでかかりました(笑)
横山:最後は毎週1回集まって打ち合わせしました。今となっては良い思い出ですが、その時はなんて無茶な、という意見が飛び出したりしまして・・・(笑)
あの時間があったからこそ移転してすぐに「ここをこうするべきだった!」という問題が出てきていないのかもしれません。それなりに働く社員の意見を集約できて織り込むことができているからかなと思いました。
お話を聞いている限りではかなり細かい回数でヒアリングされていたようですが、どのくらいの期間でされていたのでしょうか?
横山:期間でいうと1か月半くらいで集中して行いました。6月中旬から7月にヒアリングして8月に移転という流れですね。
なんと!結構短期でやられましたね。
竹内:そうですね。みんなガーっと集まって、バーッと言って去っていくみたいな感じでしたよ(笑)で、次の週に「こういう風になりました!」とまた図面を見せて話し合いをするという繰り返しでした。
その間に、当然図面や什器類も変わるので担当の大高さんには無茶言いました(笑)
本当に皆さんの意見が集まってこのオフィスがあるということですね。
竹内:そうですね。最初に課題を抽出した時には本当に項目がたくさんあって、正直なところ「間に合うのかな…」と思いながら作っていました(笑)その課題リストがあったからこそ、満足できるオフィスになったと思っています。
完成したオフィスに出社された社員の皆さんの反応はいかがでしたか?
竹内:良い意味で、びっくり!という反応が多かったですね(笑)
準備段階で見てもらう機会もなかったですし、移転日の8月1日に初めてオフィスに来た人ばかりでした。それを見て「喜んでもらえてよかった」と初めて思えました。
では、移転に関わられた立場として、初めて完成したオフィスを見たときの感想はどうでしたか?
竹内:自己満足かもしれませんが・・・(笑)
入居前のオフィスを見て、働く人の想像がつきました。想像できたということは、ある程度イメージ通りだったかということかと思います。図面という平面イメージは見ていましたが、実際に人が来て、新しいオフィスで働いてみると上手くいったのかなと感じました。
不測の事態もポジティブに変換
※感染対策を行った上で取材を行っています。
新型コロナウイルスの感染拡大によって、強制的に働き方を変えざるを得ない企業が多くあったと思います。貴社でも変わったなと感じるところはありますか?
竹内:仕事の仕分けを皆が意識できるようになりました。
新しい生活様式では、オフィスで行う仕事とリモートで行う仕事の仕分けが必要になりますよね。人とのコミュニケーションが必要な仕事や、逆に一人でまとめてやった方が効率よく進む仕事も中にはあると思います。そういった仕分けをみんなが働きながら意識できるようになりました。エレベータやエスカレータの仕事は現場で行うことが多いので、すべてをテレワークにできないからこそ仕分けが上手くできるようになりました。そこが変化した部分ですね。
テレワークが増えたときのコミュニケーション方法に変化はありましたか?
竹内:コミュニケーションをとるにあたってGoogleのハングアウトが非常に有効でした。すぐに顔を見ることができますし、複数人でのミーティングもすぐにできるのでとても役に立っています。
これまでもWEB会議システムを活用していましたが、ハングアウトの場合、ノートパソコンがあればどこでもWEB会議ができるので、格段にリモートでもコミュニケーションが取り易くなりました。
コロナ禍という状況もネガティブなところだけでなくポジティブな影響も少しはあったということでしょうか?
竹内:「色々なことを考えなおす」という意味では、そうですね。
業務効率やコミュニケーションの取り方、会議の在り方もそうですし色々と考え直すきっかけになったと思います。もちろんみんなで集まってワイワイとする良さもあります。まだまだ試行錯誤していますし、社外の事例も見ながら進化していければと思います。
非常に眺めが素晴らしいオフィスですが、今後はどういった展開をお考えですか?
竹内:まだ実現できていないですが、社員の家族に向けて「ファミリーDAY」のようなものができればと考えています。
家族に対して「ここで働いているんだよ!」と見せてあげられるような企画です。時期については、これから社会情勢的に許されるようになってからではありますが、花火大会の時にオフィスから花火がよく見えることもあるので、夏に開催できたらと思っています。社員が家族に向かって、ここで働いていると自信をもって話せる。そんなオフィスにしたいですね。
新型コロナウイルスの感染拡大という状況下での移転でありながら、課題だった社員同士のコミュニケーションを改善されたのは、状況にあわせて柔軟に対応されたからこそだとこのインタビューを通じて感じました。計画から移転に至るまで、コロナ禍でも会社としての取り組みを大事にしながら、「支店の総務として」実際に働く社員方々の為に奮闘された皆さんのお話を伺いました。実際にオフィス内を見学させていただいた際にも、至る所でショートミーティングが実施されており、非常に活気の感じられるオフィスでした!
本日は、ありがとうございました!