オフィスが狭いと業務に問題?6つの改善策で働きやすい環境を作ろう

オフィスレイアウト・デザイン・設計

Home コラム オフィスレイアウト・デザイン・設計 オフィスが狭いと業務に問題?6つの改善策で働きやすい環境を作ろう
オフィスが狭いと業務に問題?6つの改善策で働きやすい環境を作ろう

従業員の増加や家具・荷物のスペースによる圧迫、あるいはもともとのスペースの小ささなど、オフィスが狭くなる原因はさまざまです。十分なスペースが確保されていない狭いオフィスで業務することは、従業員のストレス問題や生産性の低下など数多くのデメリットをもたらす可能性があります。

この記事では、狭いオフィスにおける働きにくさを改善するために必要な施策を解説します。実務上での注意点もあわせて解説していくため、オフィス改善の実務担当者の方はぜひご覧ください。

オフィス移転を検討中の企業様へ
オフィス移転に必要なチェックリストを配布中

アイリスチトセでは、年間1000件以上にも及ぶオフィス移転・改修をサポートしています。移転先の選定から移転完了までに必要なことをまとめたチェックリストを無料でダウンロードしていただけます。

オフィスで必要な広さの目安

オフィスが狭いかどうかを把握するために、まずは法律に定められたサイズと実際に推奨されるオフィスの広さを把握しておきましょう。

 

■法令上必要なオフィスの広さ

オフィスの広さは、法律によって最低限の広さが定められています。労働安全衛生法に基づく事務所衛生基準規則によって規定されており、オフィスの気積(場所の床面積×高さ)に関しては次のように定められています。

 

(気積)
第2条 事業者は、労働者を常時就業させる室の気積を、設備の占める容積及び床面から4メートルをこえる高さにある空間を除き、労働者一人について、10立方メートル以上としなければならない。

※出典:e-gov法令検索 事務所衛生基準規則

 

事務所衛生基準規則によれば、オフィス面積は一人当たり約1.4坪(4.8平方メートル)以上の確保が求められています。ここから設備関連を引いた約1坪が最低ラインであると言えるでしょう。

 

■推奨されるオフィスの広さ

オフィスで推奨される広さの目安は、従業員一人当たり2〜4坪とされています。法令上の広さはあくまで最低ラインであり、従業員に快適な環境をつくるためには、より多くのスペースが必要です。

通路幅についても、快適に通過できるだけの広さを設定する必要があります。通路の種類ごとに推奨される広さは異なるため、次の表を参考に考えましょう。

通路の種類 幅の広さ
メイン通路 60~160cm
座席間の通路幅(デスクからデスクまでの距離) 160~210cm
デスク間の通路幅 160~210cm
座席背面が壁の通路幅 85~120cm
座席背面に書棚や収納棚がある通路幅 105~145cm

人の行き来が多い通路が狭いとすれ違いも難しくなり、使いにくいオフィスになってしまいます。移動に時間がかかってしまう、周りの人の作業に影響を与えてしまうようなオフィスは改善の必要があるでしょう。

関連記事▼
オフィスにおける適切な通路幅とは?関連法規や通路幅を確保するポイントを解説

狭いオフィスで業務を続ける問題点

狭いオフィスで業務を続けることには、次のような問題点があげられます。

  • ストレスの要因になる
  • 生産性の低下
  • モチベーションの低下

現在は顕在化していないとしても、従業員はこれらの不満を感じている可能性があります。問題点を放置したまま業務を続けるリスクを把握しましょう。

 

■ストレスの要因になる

狭いオフィスでの業務では、窮屈感やパーソナルスペースへの侵入がストレスの要因になります。実例には、通路が狭く通行人が机や椅子と衝突しやすい状態などがあげられるでしょう。デスクに向き合って仕事をしたい状況でも落ち着けなくなります。

また、狭い空間で長時間過ごすことそのものがストレスにつながることもあります。ささいなストレスでも、それが日常的に積み重なればより深刻な結果を招くでしょう。従業員の健康状態が悪化し、休職や退職にまで至るケースもありえます。

 

■生産性の低下

オフィスが狭いことでさまざまな問題が生まれて働きにくくなると、業務の生産性が低下してしまいます。

オフィスが狭いと従業員の密度が上がってしまうことも原因の一つです。働く場所の周辺に人が多ければ、周囲の音や視線が気になり業務に集中しにくくなります。集中力が下がると作業が進まず、オフィスの生産性は低下する可能性があります。

また、通路が狭いことも生産性の低下の原因です。狭い通路を利用することの不快さから移動が億劫になり、業務連絡などのコミュニケーション頻度が減少してしまうこともあります。連絡不備によるトラブルの恐れも生じ、業務的リスクを抱えることになります。

 

■モチベーションの低下

狭く不便なオフィスでは思うように業務がはかどらず、従業員のモチベーションが低下することがあります。モチベーションが低下したままでは従業員の定着率が下がり、離職者が発生する可能性も高くなってしまいます。

狭いオフィスは日常的な業務における不便さだけでなく、気分転換用のスペースが確保できないという問題も抱えています。業務の合間のリフレッシュはストレス解消になるだけでなく、モチベーションの維持や向上に役に立ちますが、狭いオフィスでは十分にリフレッシュできない可能性があります。また、働きにくさを感じる職場そのものがモチベーション低下の要因になることもあるでしょう。

狭いオフィス環境の改善案6つ

狭いオフィスを放置すると従業員の働きやすさに大きな影響を与えます。次のようなオフィス環境改善案の導入を検討してみましょう。

  • 一つのスペースを複数の用途で活用する
  • オフィス家具を見直す
  • オフィスレイアウトを見直す
  • フリーアドレスを採用する
  • ペーパーレス化を推進する
  • オフィス内のカラー・配色を変更する

それぞれの改善案の詳細を解説します。

 

■一つのスペースを複数の用途で活用する

リフレッシュスペースとミーティングスペースに使い分けられる空間など、一つのスペースを複数の用途で活用できるようにすればオフィスの容積に余裕ができます。また、必要な通路幅や業務スペースを確保しやすくなるでしょう。

リフレッシュスペースの設置は従業員同士のコミュニケーションを増やし、チームワークを向上させる効果などが期待できます。しかしオフィスが狭いと作業環境などが優先されるため、リフレッシュのためのスペースそのものが確保できないことがあります。用途に応じて使い分けられる空間を設置して、問題を解決しましょう。

複数の用途で活用できる空間をつくるときには、違う用途がそれぞれ機能するようにレイアウトを設計することが重要です。リフレッシュスペースとミーティングスペースを兼用する例では、設置場所や遮音性に注意することが求められます。

 

■オフィス家具を見直す

現在のオフィスで使用しているデスクをコンパクトなものに交換できないか検討してみましょう。これは特に、デスクの大きさがオフィスの狭さの原因となっている場合に有効です。デスクサイズをおさえられれば、当然その分のスペースを有効活用できます。

たとえば、多数の書類と比較的大型のパソコンが必要な内勤職と比べ、ノートパソコンでの作業がメインとなる外勤職はデスクサイズの縮小がしやすいと考えられます。具体的には幅100cm奥行60cm程度のコンパクトなデスクでも業務は可能です。

また、背の低いオフィス家具の採用で、オフィスは狭くとも全体を見渡したときに圧迫感を感じにくい空間を作ることもできます。

 

■オフィスレイアウトを見直す

オフィスレイアウトを根本的に見直すことで、従業員数に最適な業務面積や通路の広さを確保できないか検討しましょう。一からレイアウトを検討すれば、現在のデッドスペース(設備や家具の配置が非効率なせいで利用できていない空間)を解消できることがあります。

従業員の増員があったから一部だけレイアウトを見直す、という方法ではその場しのぎとなり、十分な広さを確保できない可能性があります。レイアウト見直しはオフィス全体でおこなうほうが効果的です。

オフィスの狭さの原因が建物の面積そのものにある場合は、小規模オフィスならではのレイアウトのコツを知ることが大切です。次の記事では、小規模オフィスのレイアウトのコツについて解説しています。


小規模オフィスのレイアウトのコツ|課題と解決策を徹底解説

 

■フリーアドレスを採用する

オフィスレイアウトのフリーアドレス化により、デスク総数の削減を狙うことも有効な

選択肢です。オフィスにおけるフリーアドレスとは、従業員に固定席を設けず、空いている席を自由に使用できるようにする働き方のスタイルを指す言葉です。

外出の多い営業が多かったり、リモートワークの併用などで在席人数分の席を常に用意する必要がない場合などは、オフィスのフリーアドレス化によるデスク削減も有用な方法です。、空間に余裕を作ると同時に、他部署間でもコミュニケーションが取りやすい環境もつくれます。従業員同士のコミュニケーション活発化から生産性の向上も見込めるでしょう。

フリーアドレスを導入する際には部署ごとの仕事内容を意識することが大切です。総務や人事など他の従業員の訪問を受けることが多い職種の場合、一定の場所にいないと人探しの手間が増えてしまうため、フリーアドレスに向いてはいません。

次の記事では、フリーアドレスオフィスのメリットや導入方法を解説しています。フリーアドレスの導入を検討する場合は参考としてください。


フリーアドレスオフィスを導入する3つのメリットと失敗させないコツを徹底解説

 

■ペーパーレス化を推進する

書類のペーパーレス化もスペース削減に役立ちます。ペーパーレスとは、紙媒体の書類を電子データとして保存し、パソコンなどで管理・活用する取り組みです。物理的な形態がないため、書類用の保管スペースを設ける必要がなくなります。

ペーパーレス化ではテレワークもおこないやすくなる効果があります。クラウドストレージなどのサービスを利用し、インターネットを経由して書類にアクセスできるようになれば場所を問わずに働けるようになるだけでなく、紙やインクの費用も削減できます。

紙の書類を電子データとして保存するためにはデータ入力の手間がかかるため、ペーパーレス化は段階的におこなう必要があります。オフィスのペーパーレス化については次の記事も参考にしてみてください。


ペーパーレス化の必要性とは?企業が取り組むメリットや推進する際のポイントを解説

 

■オフィス内のカラー・配色を変更する

白やグレー系など寒色系の色は、空間を広く見せる効果が期待できます。また縦線が入った壁紙には天井を高く見せる効果があり、オフィス内をより解放的な空間に演出できます。

また、オフィス内の配色には、心理面においても効果的な色の使い方があります。たとえば、待合室や会議室では青色を使用すると、集中力を高める効果が期待できます。休憩スペースでは、緑色を基調とすることでリラックス効果を高められるでしょう。

このように、色をうまく使い分けることで、オフィスの環境を改善できる可能性があります。しかし、色の使い方には注意が必要で、過剰な色使いは目を疲労させ、むしろストレスを増やしてしまうことがあるため、バランスの良い配色を心がけましょう。

オフィスデザインにおけるカラーについては、次の記事で詳しく解説しています。


オフィスデザインにおけるカラーと配色の決め方|色が与える効果とは?

狭いオフィスを改善する際に気をつけたいポイント

狭いオフィスの改善案を実施する場合には、次のポイントに注意を払いましょう。

  • 従業員のニーズを把握する
  • 将来の人員増減や組織変更も想定しておく
  • レイアウト変更前に電源の位置を把握しておく
  • 災害時の避難経路を確保する

こうした点を踏まえずに改善をおこなうと、思ったような効果が得られない場合や、トラブルの原因にもなります。それぞれの詳細を把握しましょう。

 

■従業員のニーズを把握する

まず、オフィスが狭いせいでどのような問題がおこっているのかを調査することから始めます。従業員へのヒアリングやアンケートで、現場の意見も汲み取りましょう。

たとえば、机や椅子の配置、窓の位置、照明などについて、従業員の声を聞くことで改善の方向性が見えてくることがあります。こうした従業員の意見を聞かず、管理職や経営層の独断で改善を進めると、生産性の向上につながりにくくなってしまうでしょう。

重要なことは、そのオフィスに通勤して働く従業員が働きやすい環境を作ることです。改善の際には、意識のすり合わせも忘れないようにしてください。

 

■将来の人員増減や組織変更も想定しておく

現在の組織に合ったオフィス環境を作ることも重要ですが、将来的な変化を受け入れられるような状態にしておくとより効率的です。従業員の増減や、組織体制の変更にも対応しやすいオフィスを作ることを重要視しましょう。

たとえば、フリーアドレスオフィスはレイアウトを柔軟に変更しやすいため、人数の増減に強い傾向があります。常設の個人用デスクがないため従業員が私物を置くことがなくなり、部署の移動の際にも大規模な引越しをおこなわずに済みます。

また、一度オフィスの狭さを改善したからといって無軌道に設備や家具を増やしてしまうと、近い将来同じ問題に直面することになりかねません。長期的に快適なオフィスを維持できるように、オフィス環境の維持と改善は計画的におこないましょう。

 

■災害時の避難経路を確保する

災害の発生に備えた危機管理として、避難経路はしっかりと確保されていることが求められています。通路にはものを置かず、避難を妨げない状態にしておくことが大切です。

消防法で定められた消火設備(消火器など)の機能を妨げないよう、その周辺に物を置くことはできません。

備品や荷物用の収納スペースを用意して、避難を妨げる場所に置かないよう従業員に周知しましょう。

※出典:e-gov法令検索 消防法

狭いオフィスを改善する際によくある疑問

狭いオフィスを改善するときによくある疑問をQ&A形式で紹介します。実務担当者が抱きがちな疑問点をあらかじめ把握しておき、スムーズに改善を進められるようにしましょう。

 

■オフィス移転が選択肢に入るケースは?

狭さ以外の問題や、物理的な問題を解消したい場合にはオフィス移転が選択肢に入ります。

たとえば、家賃の高さや立地によるブランドイメージの問題は移転によってしか解決できません。前者はより家賃の低い地域にオフィスを移転し、後者は業種に合ったブランド力を持つ地域(IT企業は六本木や渋谷など)に移転することになるでしょう。

そもそも物理的なスペースが足りないという場合も、移転を視野に入れても良いでしょう。家賃やブランドイメージなどの問題とともに解決を見込める場合には、移転が最適な選択肢ということもあります。

しかし、オフィス移転はレイアウトの変更よりもコストがかかる傾向にあります。物件探しや引越し作業の手間もあるため、移転でなければならない理由を考えてから計画を組み立てることが大切です。

 

■オフィス環境の改善に関する相談先はどこ?

オフィス作りの専門業者に相談をおこない、プロの知見を借りるようにしましょう。

ゼロからすべてを自社で検討することも不可能ではありませんが、実務担当者の負担は大きくなります。また、検討している改善策の精度を向上させるためには、専門家のアドバイスが非常に有効です。

アイリスチトセでは、オフィス作りに関する総合的なサポートを提供しています。オフィスレイアウトの改善案や最適なオフィス家具の提案で、狭いオフィスの改善にお力添えできます。

狭いオフィスの改善をおこなう際には、ぜひアイリスチトセへご相談ください。


アイリスチトセへのご相談はこちらから

まとめ:専門業者と相談して狭いオフィスを改善しよう

狭いオフィスだからこそ起こる課題を放置すると、従業員にストレスが生まれ、生産性やモチベーションの低下を招き、企業の競争力にも影響が出てしまいます。従業員にとって働きやすいオフィスにするため、改善の計画を練りましょう。

紹介された改善案を自社オフィスにどう適用できるかを担当者同士で話し合い、従業員の意見も取り入れて全社的に取り組むことが大切です。注意すべきポイントや法令を踏まえたうえで、快適なオフィスを作り上げましょう。

オフィス改善のアドバイスやレイアウト、家具の提案が必要な際には、ぜひアイリスチトセへご用命ください。


アイリスチトセへのご相談はこちらから

オフィス移転・内装にお悩みなら…
まずは、お気軽にお問い合わせください。

年間1000件以上にも及ぶオフィス移転・改修実績があるアイリスチトセでは、レイアウトのプランニングから引っ越しまでをトータルでサポートいたします。企業ごとに抱える悩みに寄り添い、グループの総合力で課題を解決いたします。オフィス移転、レイアウトの際はお気軽にご相談ください。

Related