自宅のテレワーク環境を整備するポイント|快適に過ごせるレイアウトやアイテムもご紹介
働き方
最近ではテレワークを導入する企業が増えています。背景として、業務効率化や多様な働き方へのニーズが高まっていることが関係しています。
自社が初めてテレワークを導入することになり、どのように環境を整えれば良いのか悩んでいる人も多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、自宅のテレワーク環境を整備するポイントを解説します。テレワークに適したレイアウトやアイテムも併せて紹介するので、ぜひ参考にしてください。
目次
テレワークの環境整備が必要な理由
テレワークとは「Tel(離れて)」と「Work(仕事)」を組み合わせた造語です。
コンピュータやネットワークなどのICTを活用した働き方の一つで、大きく分けて在宅勤務・モバイル勤務・サテライトオフィスの3つの種類があります。
サテライトオフィスは、企業のオフィスとは別の場所にあるオフィスで業務をする働き方です。モバイル勤務の働き方は、自宅やサテライトオフィス以外の場所で業務をすることです。
本章では、自宅で業務をおこなう在宅勤務において環境整備が必要な理由を中心に解説します。
■業務を円滑におこなうため
オフィスと同じように業務を遂行するためには、まず意図的に環境を整えることが必要です。特に在宅勤務の場合、生活スペースが視界に入るとオンとオフが切り替えにくく、集中力も切れやすくなります。
また、必要なアイテムやツールが揃っていないと、業務を進めていく中で支障が出る可能性もあります。さらに長時間の業務に合わない家具を使用していると、心身に負荷がかかりやすいです。
ワークスペースを確保して、できるかぎりオフィスと同様の業務環境を整えることがスムーズに業務をおこなうポイントの一つです。
■オフィスと変わらない生産性を維持するため
テレワーク導入にあたって企業が注視しているのは、オフィス勤務と変わらない生産性を維持できるかという点です。自宅は、個々のオフタイムを過ごす空間のため、高い集中力や程よい緊張感を維持しづらく感じるケースは少なくありません。
たとえば、家族が自宅で家事や育児をおこなっている場合、気になって業務に集中できない可能性があります。上司や同僚と物理的な距離があるため、コミュニケーションの低下による緊張感の欠如も懸念されます。
オフィスと同じレベルで成果をあげるには、テレワークに適した環境整備が必要です。
テレワークで必須とされる環境整備
テレワークでも必要な環境が揃っていれば、オフィスと同じような能率で業務を遂行できます。ここからは、テレワークで必須とされる環境を詳しく解説します。
■テレワークの基本的な作業環境
最初に基本的な作業環境を整えましょう。厚生労働省では、テレワークの適切な導入や実施に必要な環境整備に関するガイドラインを提供しています。ガイドラインで示されているのは、次の5項目です。
項目 | 作業環境整備のポイント |
部屋 |
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照明 |
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室温・湿度 |
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窓 |
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家具・パソコンなど |
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出典元:厚生労働省「自宅等でテレワークをおこなう際の作業環境整備」
さらにデスク・チェア・パソコンについては、情報機器ガイドラインで細かく示されています。
項目 | 作業環境整備のポイント |
デスク |
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チェア |
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パソコン |
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出典元:厚生労働省「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン」
ディスプレイとキーボード面の照度は、目の負担を軽減するために周辺の照度との差をできるだけ小さくすることがポイントです。
狭い部屋でワークスペースを確保するポイント
一室をワークスペースとして確保できれば、より快適な環境を作れます。しかし、すべての人が個室を確保できるとは限りません。その場合には、リビングやダイニングなどの一角にスペースを確保しましょう。
テレワークをおこなう部屋別の環境整備ポイントは、次のとおりです。
部屋 | 環境整備のポイント |
リビング |
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ダイニング |
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寝室 |
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自宅でのワークスペース作りはこちらの記事で詳しく解説しています。
これで自宅をオフィス化できる!レイアウトのポイントから必要な家具までご紹介
■オンライン会議に必要な機器
テレワークではオンライン会議をおこなうことがあります。最近のパソコンやタブレットはマイクやWebカメラが標準搭載されているケースが多いため、オンライン会議自体は可能です。
しかし、モデルによっては画質が悪い、または声を拾いにくいといった問題が発生する可能性があります。スムーズにオンライン会議をおこなうためには、次のようなアイテムがあると良いでしょう。
アイテム | 選ぶときのポイント |
Webカメラ |
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マイク |
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ヘッドセット |
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オンライン会議で鮮明な画像を映し出すためには、解像度の高いWebカメラを選びましょう。複数人で映し出す機会がある場合は、視野角が100~120度のものが適しています。
周囲の音が気になるときには、単一指向性でノイズキャンセリング機能を搭載したマイクがあるとノイズをカットしてくれるので安心です。Bluetooth対応のヘッドセットは、連続通話時間5時間程度が一般的です。オンライン会議が長時間続くまたは連続する場合は、5時間以上のモデルを選ぶようにしましょう。
■テレワークに適した家具
自宅に適した家具がない場合は、ダイニングテーブルとチェアを代用するのも手段の一つです。しかし、より快適な仕事環境を整えるためには、テレワーク向きの家具を揃えた方が良いでしょう。長時間の業務や体格に合わない家具を使用すると、身体に負荷がかかりやすくなります。
デスクとチェアを選ぶときのポイントは、次のとおりです。
アイテム | 選ぶときのポイント |
ワークデスク |
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ワークチェア |
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一般社団法人日本オフィス家具協会が推奨するデスクの高さは72cmです。ただし、身長や体格によってジャストサイズは変動するため、実際に座ってみて作業しやすい高さを選ぶと良いでしょう。
高さを調整できるものを選べば、スタンダードなチェアのほかにソファで業務をおこなう際にも便利です。天板のデザインはバリエーションが豊富なので、L型やI型などのレイアウトに合わせて選ぶとインテリアにマッチしやすくなります。
チェアは機能性に優れているものも多く、正しい姿勢を維持できるものや腰痛対策に役立つのもあります。多機能になるほど価格が高くなる側面もあるため、どんな点を重視するかしっかり確認しておきましょう。
■インターネット環境の整備
テレワークを導入するうえで、インターネット環境の整備は必要不可欠です。企業によっては社員に対してWi-Fiルーターを貸与するケースもあるため、あらかじめ自社の状況を確認しましょう。
個人で準備する場合は、おもに光回線と無線回線の2種類から選択することになります。それぞれ特徴が異なるため、メリットやデメリットを踏まえて自分に合ったインターネット環境を整えてください。
回線の種類 | メリット | デメリット |
光回線 |
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無線回線 |
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テレワーク環境に適したデスクレイアウト
レイアウト次第では、より快適なテレワーク環境を整えられます。ここでは、テレワーク環境に適したデスクレイアウトをご紹介します。
■I型
デスクの正面を壁に向かって配置するレイアウトで、「壁付け型」と呼ばれることもあります。視界に余計なものが入らないため、業務に集中しやすいレイアウトです。
デスク以外にはチェアを置ける場所を確保すれば良いため、狭い場所でも取り入れやすいです。日中に自然光で十分な明るさを確保したい場合は、窓に向かって配置すると良いでしょう。日差しの向きによっては眩しさを感じることもありますが、ブラインドやレースカーテンを活用すると明るさを調整できます。
■L型
部屋のコーナーを利用し、デスクをL型に配置するレイアウトです。L型デスクのほかに、I型デスクを2つ並べる方法もあります。コーナーを上手く利用できるため、作業スペースと収納スペースを広めに確保できる点が魅力です。
L型はデスク自体が場所を取ることから部屋を狭く感じるかもしれませんが、机上に置くアイテムの配置の工夫次第では作業効率のアップが期待できます。
デスク間の移動のしやすさを重視するなら、キャスター付きの回転チェアを取り入れると良いでしょう。
■アイランド型
「島」の名前のとおり、壁から離れた場所にデスクを配置した開放感があるレイアウトです。アイランド型の大きなメリットは、どのような形状のデスクにも対応できることです。デザイン性の高いデスクを使用すれば、おしゃれな空間を演出できます。
コンセントが近くにない場合は、延長コードが必要です。デスクから移動する際には、配線に注意しましょう。気になるときには、配線カバーや配線ボックスを利用すると見た目がスッキリします。
開放感があるだけに余計なものが視界に入りやすいです。生活スペースや仕事に関係ないものが目に入らないようにするなど、集中できるようデスクの向きを工夫しましょう。
レイアウトに関してはこちらの記事も参考にしてください。
テレワーク環境で重宝するアイテム
最近では、テレワークをより快適にするためのさまざまなアイテムが登場しています。ここでは、テレワーク環境で重宝するアイテムをご紹介します。
■パーテーション
部屋の広さやレイアウトの関係からワークスペースと生活スペースの区分けが難しい場合は、パーテーションを活用してみましょう。パーテーションがあると視覚的に生活スペースを遮断できるため、業務に集中しやすくなります。
卓上スタンドタイプのものなら、デスクに設置するだけなので手軽で便利です。軽量で装着が簡単なものや複数段階で高さ調整できるものなど、バリエーションも豊富です。
オンライン会議の際に自宅の映り込みを防ぐ「背景」としても活用できます。サイズや色味など、目的に合わせて適切なパーテーションを選びましょう。
■モニターアーム
モニターアームがあるとディスプレイの角度や位置を自由に調整し、作業しやすい環境を作れます。
デスクの向きによっては、日差しの変化でディスプレイが見にくくなることもあります。また、ノートパソコンは下を向いての作業で首や腰などに負担がかかりやすいため、それを緩衝させる意味でもあると便利なアイテムです。
購入する際には、「VESA規格」に対応しているかを確認しましょう。VESA規格とは、アームの装着に使用するネジ穴の位置を定めた国際基準です。規格に対応していない場合、ディスプレイにアームを装着できないので注意が必要です。
■クッション
テレワークは座位の姿勢で業務をおこなうことが多く、背中や腰に負担がかかりやすいです。身体の不調は業務効率にも影響するため、負担を軽減させるような工夫が必要になります。そこで取り入れたいアイテムがクッションです。
素材やタイプによって特徴が異なるため、重視したい機能を基準に選びましょう。
素材・タイプ | 特徴 |
低反発クッション |
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ゲルクッション |
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チェアクッション |
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ベーグルクッション |
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骨盤サポートタイプのクッション |
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クッションの使用感は、実物を見ないとわからないことも多いです。ホームセンターやデパートなどで実物を確認し、自分に合うものを購入しましょう。
テレワークに関するよくある質問
最後に、テレワークに関するよくある質問もご紹介します。
■インターネットはフリーWi-Fでも問題ない?
テレワークでインターネット回線を利用する際に、フリーWi-Fiは極力避けるようにしましょう。フリーWi-Fiは、第三者による盗み見やウイルス感染などのリスクが高いためです。特にパスワード不要で利用できるものはセキュリティ面の不安が高く注意が必要です。
企業の中には、自社で提供するWi-Fi以外は利用を禁止しているケースもあります。必ず自社のマニュアルや方針を確認しておきましょう。
セキュリティレベルを高めるためには、VPNの活用を活用する手もあります。VPNとは、仮想空間で構築されたプライベートネットワークサービスです。自分専用のルートを確保できるため、通信内容が外部に漏洩するリスクを防ぐことができます。
■オンライン会議中に背景を工夫する方法は?
オンライン会議の背景に生活スペースが映り込まないようにするには、おもに次の3つの方法があります。
- 家具のレイアウトを工夫する
- パーテーションを設置する
- バーチャル背景を活用する
背後が壁になるようにデスクを配置するほか、背後にパーテーションを置くと物理的に目隠しができます。また、多くのオンライン会議ツールに装備されている「背景設定」を活用するのも手です。デフォルト画像だけでなく、任意の画像をバーチャル背景として映し出すこともできます。
■肩こりや腰痛を起こしにくくするには?
リモートワークによる肩こりや腰痛を防ぐために、自分の体格に合うデスクやチェアを選ぶことを意識しましょう。デスクの高さは日本オフィス家具協会が推奨する72㎝がスタンダードですが、体格によって調整した方が良いでしょう。
高さが72㎝のデスクに対するチェアの座面高の目安は、42~45cmです。商品の中には、デスク・チェアともに高さを調整できるものも多いです。また、クッションやモニターアーム、ノートパソコン用のスタンドなどのアイテムを上手く活用することで、身体の負担を軽減しやすくなります。
デスクとチェアの適正な高さについてはこちらの記事も参考にしてください。
デスクと椅子の高さの話
まとめ:まずは自分に必要なアイテムを整理しよう
快適なテレワーク環境を整える際には、まずは自分に必要なアイテムが何かを整理しましょう。心身の負担を軽減し、効率的に業務をおこなうには機能面や使い勝手も大切です。新たに購入が必要なものは、ホームセンターや家電量販店などで実物を見て判断するのも賢い手段です。
ワークスペースとして個室を確保できない場合は、できるかぎり生活スペースが目に入らないレイアウトにすると良いでしょう。
テレワークを導入する際には、オフィスと変わらない形で円滑に業務をおこなえるよう、適切なテレワークの環境整備について考えてみるのはいかがでしょうか。