バイオフィリアとは|オフィスに取り入れる効果や導入事例を紹介
オフィスレイアウト・デザイン・設計
ストレスを抱えながら働いている人が多い現代では、社員の幸福度アップや、ストレスを緩和させる方法が求められています。その方法の一つとして注目されているのが、自然が持っている力を活用したバイオフィリアです。
この記事では、バイオフィリア基本やオフィスにバイオフィリックデザインを取り込むことで期待できる効果、バイオフィリアに取り組む際の注意点などを詳しく解説します。バイオフィリアに興味のある企業担当者の方はぜひ参考にしてみてください。
目次
バイオフィリアとは
バイオフィリアとは、生命や生き物、自然を表す「バイオ」と、愛好や趣味を意味する「フィリア」を組み合わせた造語です。1984年に提唱された概念で、「人は本能的に自然とのつながりをもとめている」という基本概念を持っています。
最近では、バイオフィリアの考え方を取り入れた自然を感じるデザイン「バイオフィリックデザイン」が、ビジネス面におけるウェルビーイング向上の施策としても注目されています。ウェルビーイングとは、幸福や健康を意味する言葉です。
以前から海外の世界的な企業では、オフィスにバイオフィリックデザインを採用しているところはありましたが、日本でも、徐々にオフィスにバイオフィリックデザインを取り入れる企業が増えています。
バイオフィリアに取り組む効果・メリット
企業がバイオフィリアに取り組む効果やメリットを解説します。
■ストレスを軽減させる
社員のストレス軽減効果は、バイオフィリアに期待される効果の一つです。バイオフィリックデザインが採用されたオフィスは自然とのつながりができることから個人のストレスを軽減し、リラックスした状態で仕事に臨めるようになります。
ロバートソン・クーパー社が発行した「ヒューマンスペース・グローバル・レポート」では、自然と接触する機会がないオフィスで働く人と比較して、自然と接触する機会が多いオフィスで働く人は幸福度が15%向上、生産性が6%向上するという結果が出ています。
さらに創造性も15%の向上が見られました。黄、青、緑といった明るい色には、創造性を促す効果が認められています。一方、窓が設置されていないオフィスは、創造性に悪影響をもたらすこともわかっています。
■ワークエンゲージメントの向上
バイオフィリアに取り組むことで、総合的にワークエンゲージメントを向上できる可能性があります。水や緑など自然の要素を取り入れることで社員のストレスを軽減できるため、社員の幸福度が向上して仕事の能率アップや欠勤・離職率の低下への効果が期待できます。
社員の健康面を考慮しても、自然を多く取り入れるバイオフィリアの取り組みは効果的な手法です。ワークライフバランスが重要視されていくなか、バイオフィリアの取り組みは今後ますます注目されていくことが予想されます。
■新しいビジネスアイデアの創出
バイオフィリアのように視覚や聴覚など五感を通じて自然を感じられる環境は、創造性のアップや柔軟な思考を生み出しやすくなる効果が認められています(※)。新しいビジネスアイデアが生まれる可能性も高まることから、企業としての創造性向上も期待できます。
※出典元:ヒューマンスペース・グローバル・レポート
オフィスにバイオフィリアを取り入れる方法
オフィスにバイオフィリアを取り入れる効果的な方法を解説します。
■観葉植物を設置する
観葉植物を壁や天井、パーテーションなどオフィスの空間全体に設置するのは、バイオフィリアの取り組みとしてよく用いられる手法です。オフィスで勤務中、視覚的に常に自然が感じられるようになるため、バイオフィリアの効果が大いに期待できます。
観葉植物は床やデスク上に置くだけではなく、天井や壁から吊るすような方法もあります。吊るす方法は、オフィスのスペースを圧迫しにくいメリットもあるため、場所に応じて効果的に使える方法です。
■壁面を緑化する
壁一面を大胆に緑化する方法も考えられます。たとえば、エントランスの壁全面を緑化することで、出社する社員のモチベーションアップや、来社する取引先の方の幸福度アップやリラックス効果などが期待できます。
業務で多くの時間を過ごすワークスペースでは、一部の壁面を緑化するのも効果的です。プランターを壁面に取り付けて、そこに植物を置くだけでも室内の印象は大きく変わります。
植物をオフィスに設置するのが難しい場合は、壁紙を変えるという方法も考えられます。壁やパーテーションの材質を木材に変更するのもバイオフィリアの取り組みとして効果的です。
オフィス緑化については、この記事で詳しく解説しているので参考にしてください。
オフィス緑化で得られる効果とは?導入ポイントから費用相場まで解説
■木目のオフィス家具を設置する
室内に植物を設置するのが難しい場合は、オフィス家具にアースカラーを採用するだけでも視覚的な印象が大きく変わるため、効果が期待できます。また、デスクやカウンターなどを木目調のものにすると自然を感じやすくなります。照明をなるべく自然光に近い明るさや色にするのも効果的です。
千葉大学の研究では、木材が嗅覚や触覚、視覚を通じて生理的にリラックス効果をあたえるという結果が出ました。リラックスして、ストレスを緩和することから、免疫力の向上も期待できます。
出典元:「木材セラピー:嗅覚・触覚・視覚を介した生理的リラックス効果」
■フレグランスやBGMを活用する
嗅覚や聴覚で自然を感じられるようにするのも効果的な手法です。たとえば、自然を想起させるフレグランスなどの香りを室内に拡散することで、自然のなかにいるような感覚を実現できます。
川のせせらぎや小鳥の鳴き声などのBGMを流すのも効果的です。視覚だけではなく、嗅覚や聴覚にも訴えることで、より充実したバイオフィリアへの取り組みが可能となります。
ただし、匂いや音声は人によって感じ方が異なることもあるため、不快に感じる社員、集中できなくて働きづらくなる社員が出ないように注意しましょう。匂いやBGMが過度にならないような配慮も重要です。
■社員が外で過ごせる時間を設ける
オフィス内をバイオフィリアなデザインにするだけではなく、社員が外に出て、自然のなかで過ごせる時間を設けるのも効果的な手法です。オフィスの周囲に自然に恵まれた公園や広場などがある場合は、そこで過ごせる時間を設けると良いでしょう。
社員は丸一日室内にこもることなく一定時間外に移動することで、気分転換やリフレッシュ効果などが期待できます。軽い運動にもなるため、運動不足解消も図れます。
バイオフィリアを導入する際のポイント
バイオフィリアを導入する際、注意すべきポイントを解説します。重要なポイントを把握して、バイオフィリアの導入を成功させましょう。
■適切な量と配置場所を検討する
バイオフィリアの効果を引き出すには、取り入れるアイテムの量と配置場所が重要です。単に自然のアイテムを大量におけば良いというものではありません。
視界に入る緑の量は10~15%が適量です。それ以上になると満足度や生産性は低下して逆効果になってしまいます。オフィススペースを圧迫しないよう、また動線を邪魔しないような配置への配慮も必要です。業務の妨げとならないように注意しましょう。
■メンテナンス方法を考慮する
オフィスに植物を導入する際は、メンテナンスのしやすさも考えてアイテムを選定しましょう。植物は水やりや土の交換など日々のメンテナンスや葉っぱが落ちたときの掃除などが必要です。
自社でのメンテナンスが難しい場合や社員の負担を軽減したい場合は、外部業者への委託も検討すると良いでしょう。観葉植物のレンタルとメンテナンスをトータルで依頼できる業者なら、自社で植物を用意する手間も省けます。また、メンテナンスのみを外部に委託することもできます。
メンテナンスの手間をおさえるには、フェイクグリーンを活用するのも手です。
■BPOを利用する
自社に最適なバイオフィリアの施策がわからない場合やアドバイスを受けたい場合は、BPOの利用を検討してみましょう。BPOとは、Business Process Outsourcingの略で、自社業務の一部を外部企業に委託することを指します。BPOによって、バイオフィリアの導入計画立案からメンテナンスまで委託可能です。
BPOを利用すれば、専門知識を持った外部社員にバイオフィリアの導入計画立案からメンテナンスまで任せられるため、自社社員は通常業務に集中できるメリットもあります。バイオフィリアの導入を検討する際は、BPOの利用も前向きに検討してみてください。
バイオフィリアを取り入れた企業事例
アイリスチトセの納入実績から、バイオフィリアをオフィスに取り入れた企業の事例をご紹介します。
■積水ハウス株式会社 東四国支店
天井や壁、デスク上など、部屋によって効果的に植物を配置することで、働きやすいバイオフィリックデザインのオフィスを実現しています。個室ブースや会議室なども設置されていて、オフィスとしての機能も万全です。
■H¹T品川(野村不動産株式会社)
ナチュラルな木目調のオフィス家具を中心に植物と自然光を採り入れた明るいオフィスとなっています。どのエリアにいても自然を感じながら働くことが可能です。
■マグチグループ株式会社
全体的にモノトーンを基調としたオフィスに効果的に植物の緑が導入されていて、おしゃれなバイオフィリックデザインを実現しています。デスク上や壁の一部など大量に植物を導入するのではなく、ポイントをおさえた配置でバランスの良い空間を演出しています。
■アイリスオーヤマ株式会社 アイリス心斎橋ビル
壁一面を緑化した部屋や、床一面が木目調になっているフロア、アクセントとして部分的に緑を配置したフロアなど、部屋によって異なるバイオフィリアのアプローチが見られるオフィスとなっています。
バイオフィリックデザイン向きのおすすめ家具
木目のデスクやチェアなど、バイオフィリア向きのオフィス家具をご紹介します。
■バイオフィリックサークルテーブル
バイオフィリックサークルテーブルは、中央部に植物を配置できるサークルテーブルです。天板部分も木目調のため、視覚的に自然を多く感じることができます。
中央部に設置する植物の大きさによって、大きく印象の変わるテーブルです。小さめの植物を設置した場合複数人でテーブルを囲んでの利用、大きめの植物を配置した場合は向かい側に座る人との間にパーティションがあるような感覚で利用できます。
■グリーンパーティション
グリーンパーティションは、なかに植物を設置するスペースが付いたパーティションです。設置する植物を変えるだけで、見た目の印象を大きく変えることができます。
バイオフィリアの取り組みとして、現在オフィスに設置されているパーティションをグリーンパーティションに変更するのも効果的です。
詳細はこちら
フレーム | 19×19角パイプ合成樹脂焼付塗装 |
ボード | メラミン化粧板 |
フレームカラー | マットブラック(MB) マットホワイト(MW) |
サイズ |
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■イーザック-フラップテーブル
イーザック-フラップテーブルは、カフェのような雰囲気を醸し出す曲線のデザインが印象的なフラップテーブルです。単独での使用だけではなく、複数台を組み合わせて使用することも可能です。
利用人数や用途に応じてフレキシブルに使えるうえ、スタックピッチが165mmで収納性にも優れています。脚部に取り付けられている大型ウレタンキャスターは、床面に多少の凹凸があっても、力を入れることなくスムーズに移動可能です。
詳細はこちら
天板 | メラミン化粧板 |
木口 | 樹脂巻き |
脚部 | スチールパイプメラミン焼付塗装 |
キャスター | 75Φ大型キャスター |
サイズ |
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スタックピッチ | 165mm |
■イーザックネスティングチェア
イーザックネスティングチェアは、カフェに置いてあるような木目調のチェアです。座面と背部が木目調になっています。癖のないデザインで、さまざまなシチュエーションに馴染みやすいチェアです。
座面部分は跳ね上げることが可能で、複数のイーザックネスティングチェアを重ねて収納できます。脚部にはキャスターが付いているため、移動や収納も容易です。
詳細はこちら
脚部 | 19.1φハイテンションパイプメラミン焼付塗装 |
背 | メラミン貼成型合板 |
座 |
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キャスター | 60mm双輪キャスター |
スタックピッチ | 座:合板タイプ170mm、張りタイプ183mm |
まとめ:バイオフィリアへの取り組みで快適なオフィスを実現しよう
バイオフィリックデザインのオフィスは社員の幸福度アップやストレス軽減の効果があることから、健康促進も期待できます。さらに生産性や創造性がアップすることから、企業の業績アップを実現できる可能性もあります。
自社のバイオフィリックデザインを取り入れて、社員が働きやすく企業の成長にもつながるようなオフィス環境を実現しましょう。