スマートワークとは?注目されている背景や企業が導入するメリットを解説

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スマートワークとは?注目されている背景や企業が導入するメリットを解説

近年、スマートワークと呼ばれる働き方に注目が集まっています。スマートワークとは、ICTを活用した柔軟な働き方であり、労働生産性や定着率の向上が期待できます。

そこの記事では、スマートワークの意味や企業が導入するメリットを解説します。スマートワークの課題や対策も併せて解説するので、自社で導入する際に役立ててください。

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スマートワークとは

スマートワークとはICT(情報通信技術)を活用した、時間や場所にとらわれない柔軟な働き方のことです。独立行政法人労働政策研究・研修機構は、スマートワークを「労働者が勤労時間の全部または一部を、自宅もしくは使用者が提供する別の事務室、または特定されない場所で、情報通信機器を利用するなどの方法で勤務する働き方」と定義しています。

※出典元:独立行政法人労働政策研究・研修機構「「スマートワーク」ガイドラインを発表」

スマートワークとテレワークは、同義で捉えられることがあります。両者の共通点は、ICTを活用した柔軟な働き方ということです。スマートワークは広くICTを活用し、業務の効率化や働く場所の選択肢の増加など、新たな働き方を意味しています。

スマートワークに注目が集まっている背景

近年、多くの企業でスマートワークを導入しようという動きが高まっています。その背景には、ライフスタイルの変化や少子高齢化などが大きく関係しています。

 

■働き方の多様化

スマートワークに注目が集まっている背景の一つは、働き方の多様化です。時代の流れとともにライフスタイルが変化し、さまざまな働き方が登場しています。たとえばテレワークやハイブリッドワーク、ワーケーションなどです。

また、国は働きやすい環境の実現に向けて、労働環境の整備をはじめとする働き方改革を推進しています。ライフスタイルの変化や働き方改革に対応するために、企業には柔軟な働き方の整備が求められています。

 

■労働力不足

企業が労働力不足を解消するためには、スマートワークの導入が効果的です。厚生労働省の「労働経済動向調査(令和3年8月)の概況」によると、多くの業界が労働力不足に陥っていることが浮き彫りになりました。

業界 労働力不足の割合
建設業 50%
製造業 35%
情報通信業 35%
運輸業・郵便業 42%
卸売業・小売業 18%
金融業・保険業 10%
不動産業・物品賃貸業 33%
学術研究・専門・技術サービス業 34%
宿泊業・飲食サービス業 16%
生活関連サービス業・娯楽業 33%
医療・福祉 45%
サービス業(ほかに分類されないもの) 31%

出典元:厚生労働省「労働経済動向調査(令和3年8月)の概況」

特に、建設業の労働力不足は深刻です。運輸業・郵便業、医療・福祉でも労働力不足は40%を超えており、少子高齢化による生産年齢人口の減少が続けば、ほかの業界でも建設業と同じような状況になる可能性があります。

人材の獲得が難しくなった今、企業は定着率の向上に努めなければなりません。貴重な労働力を確保するためには、従業員のニーズに対応した多様な働き方を提供する必要があります。

スマートワークを導入するメリット

価値観の変化や社会的な問題により、スマートワークの導入を検討する企業が増えています。企業がスマートワークを導入するとさまざまなメリットが期待できるため、企業が抱えている課題の解消につながる可能性もあります。

 

■労働生産性の向上が期待できる

スマートワークを導入すると柔軟な働き方を実現できるため、労働生産性の向上が期待できます。オフィス出社が必要な従来型の働き方の場合、居住場所によっては通勤に多くの時間を要する従業員もいます。

また、電話対応や従業員からの相談などにより、集中して取り組むべき業務がしにくいといった課題もありました。しかし、スマートワークを導入すれば時間や場所に縛られず、自身の業務に集中しやすい環境を構築できるため、効率的に働けるようになります。

 

■定着率の向上につながる

スマートワークの導入によって柔軟に働けるようになれば、従業員の満足度が高まり、定着率の向上が期待できます。従来型の働き方では、出産や介護などのプライベートな事情により、離職を選択せざるを得ない人も少なくありませんでした。

厚生労働省の「令和2年転職者実態調査の概況」では、自己都合による離職理由のうち、「結婚・出産・育児のため」「介護・看護のため」「病気・怪我のため」「家族の転職・転居のため」といったプライベートな内容も多く見られました。特に女性の方が家庭事情による離職が多いという現状があります。

自己都合による離職理由(3つまで複数回答可) 割合
労働条件(賃金以外)がよくなかったから 28.1
人間関係がうまくいかなかったから 25.4
満足のいく仕事内容でなかったから 22.8
賃金が低かったから 21.8
結婚や介護などのプライベートな理由 19.9
会社の将来に不安を感じたから 17.8
いろいろな会社で経験を積みたいから 16.6
ほかに良い仕事があったから 14.5
能力・実績が正当に評価されないから 13.3
安全や衛生等の職場環境がよくなかったから 10.7
雇用が不安定だったため 7.4
その他 15.5%

※出典元:厚生労働省「令和2年転職者実態調査の概況」

企業が従業員にオフィス出社以外の働き方を提供すると、仕事とプライベートを両立でき、ワーク・ライフ・バランスを実現しやすくなります。さまざまなライフステージに直面しても働き続けやすくなるため、離職を抑止し、定着率の向上が期待できます。

 

■人材市場で有利に働く可能性がある

スマートワークの導入によって従業員が働きやすい環境を実現できれば、人材市場で有利に働く可能性があります。近年は、就職先や転職先を選ぶ際に労働環境を重視する求職者が増えています。

人材市場では、スマートワークを企業の魅力としてアピールすることが可能です。求職者にとってスマートワークが働きやすい環境として映れば、多くの応募者が集まり、優秀な人材の獲得につながるでしょう。

スマートワークの導入における課題と対策

スマートワークを導入すると、企業にさまざまなメリットをもたらす可能性があります。しかし、導入後に課題に直面するおそれもあるため、事前に対策を練っておく必要があります。

 

■【課題】社内ルール・体制の整備が必要になる

新しい働き方に対応するためには、業務フローやルールなどの体制を整備しなければなりません。従業員が時間や場所にとらわれない働き方をするようになれば、従来の体制では業務の進捗状況の確認や勤怠管理も難しくなります。

また、スマートワークの導入後は従業員同士が顔を合わせる機会が減るため、コミュニケーションを取りやすい環境の整備も必要です。

 

【対策】ツールを活用する

業務の進捗状況や勤怠管理などは、ITツールを活用するのも手段の一つです。たとえばチャットツールを導入するとリアルタイムでやり取りできるため、業務の状況を把握しやすくなるでしょう。

PCのログ管理に対応した勤怠管理システムを導入すれば、従業員の労働時間を管理しやすくなります。なお、各ツールの詳細は「スマートワークの運用に役立つツール」でご紹介します。

 

■【課題】情報漏洩のリスクが高まる

スマートワークを導入し、オフィス以外の場所で働く従業員が増えると、情報漏洩のリスクが高まります。一度でも情報漏洩が起きれば企業に深刻なダメージを与えかねないため、事前に対策を検討しておくようにしましょう。

 

【対策】セキュリティ対策を見直し強化する

情報漏洩のリスクを低減するには、セキュリティの強化が必要です。すでに自宅でのリモートワークを導入しており、従業員が使用する機器にセキュリティ対策を施した企業も多いかもしれません。しかし、スマートワークの導入後は自宅以外の場所で働く従業員が出てくる可能性もあるため、今一度セキュリティを見直すようにしましょう。

セキュリティの強化と同時に、従業員一人ひとりのセキュリティリテラシーを高めることも大切です。スマートワークの導入前に研修や教育を実施し、デジタル機器やインターネットを安全に使用するための知識や技術を身につけさせましょう。

 

■【課題】人事評価が難しくなる

スマートワークの導入によって従業員がオフィス以外の場所で働くようになると、上司が部下の様子を直接見れる機会が減るため、人事評価が難しくなります。従来の方式では公平に評価できず、従業員の不満につながりかねないため、何らかの対策が必要です。

 

【対策】人事評価制度を見直す

スマートワークの導入後、公平な人事評価を維持するためにも、既存の制度を見直してみましょう。たとえば、評価基準を変更する方法があります。スマートワークに対応できる評価基準を設定すると、従来と同じように公平な評価がおこなえます。

また、スマートワークの導入後は、1on1ミーティングの実施も検討しましょう。定期的に1on1ミーティングを実施することで、上司が部下の様子を把握できるようになります。対面での1on1ミーティングが難しい場合は、Web会議システムを活用すると、オンラインで実施できます。

スマートワークに対応した働き方の具体例

スマートワークはICTを活用し、時間や場所にとらわれない柔軟な働き方とされています。しかし、スマートワークに明確な定義があるわけではありません。スマートワークは従来とは異なる新しい働き方を指しているため、テレワークやフレックスタイム制も含まれています。

 

■テレワーク

場所にとらわれない柔軟な働き方の一つとしては、テレワークがあげられます。テレワークはICT技術の発展とともに普及した働き方なので、スマートワークに含まれます。近年は新型コロナウイルス感染症拡大や働き方改革などの影響により、テレワークを導入する企業が増えました。

テレワークで働く場所は自宅だけでなく、カフェやコワーキングスペースなどさまざまです。テレワークを希望する求職者も増えているため、企業が導入すると応募者が集まり、優秀な人材の確保につながる可能性もあります。

 

■フレックスタイム制

フレックスタイム制とは、一定の範囲内で従業員が勤務時間を自由に調整できる制度です。日本では、1998年の労働基準法改正で導入されました。通勤時間をずらせるため、ラッシュ時間帯を避けた出社の仕方も可能です。

一般的なフレックスタイム制では、必ず出社が必要になるコアタイムが存在します。近年は、コアタイムを一切設けないスーパーフレックスタイム(フルフレックス)制を導入する企業も増えています。フレックスタイム制は自由度が高いため、ライフスタイルに合わせた働き方も実現できるでしょう。

関連記事▼
フレックスタイム制とは?コアタイムの意味や遅刻・早退・欠勤の扱い方

 

■ワーケーション

ワーケーションとは、休暇を楽しみつつ仕事をする働き方です。働く場所にとらわれないという点では、テレワークと変わりません。しかし、テレワークとの大きな違いは、休暇が含まれている点です。

ワーケーションを利用すると、リゾート地や家族との旅行先で仕事をすることも可能です。政府が主導する働き方改革では、一定日数の有給休暇取得が義務化されています。ワーケーションは休暇も楽しめるため、有給休暇の取得率だけでなく、従業員の満足度向上が期待できます。

関連記事▼
ワーケーションのメリットとは?効果や導入時の課題と対策を解説

スマートワークの運用に役立つツール

スマートワークの導入後は、コミュニケーションの希薄化や勤怠管理の難しさなどの課題に直面するかもしれません。しかし、さまざまなITツールを活用することで、課題の解消につながります。

 

■情報共有ツール

情報共有ツールは、従業員同士の情報共有や進捗状況を確認する際に役立ちます。たとえば資料管理ツールを活用すれば、PCやタブレットがある環境であれば、どこからでもアクセスできるようになります。

資料管理ツールを導入する際には、社内資料もデータ化しましょう。社内資料をデータ化することで、ペーパーレス化の促進につながります。社内の資料の保管スペースも削減できるため、余ったスペースをリフレッシュルームやマグネットスペースなどに有効活用することも可能です。

 

■コミュニケーションツール

スマートワークの導入後は、従業員がさまざまな場所で働くようになるため、コミュニケーションツールが必須です。メールには作成に時間がかかる、カジュアルな表現が難しいなどの課題があります。

コミュニケーションツールはリアルタイムで気軽にやり取りできるため、離れた場所で働く従業員同士のコミュニケーションが円滑になるでしょう。多くのツールには、グループを作成できる機能があります。グループを作成すれば、チームやプロジェクト単位でのやり取りもしやすくなります。

 

■Web会議ツール

スマートワークを導入する際には、Web会議ツールの活用を検討しましょう。メールやチャットツールはテキスト情報でのやり取りになるため、相手に正しく情報が伝わらない可能性があります。

Web会議ツールを活用すると、離れた場所で働く従業員同士がいつでも会議をおこなうことが可能です。相手と会話しながらコミュニケーションを取れるため、必要なタイミングで疑問点をすぐに解消できます。ファイルや画面を共有できるツールも多いため、自社の目的に合うWeb会議ツールを選びましょう。

 

■勤怠管理システム

スマートワークは時間や場所にとらわれない働き方なので、従来の方法では従業員の勤怠管理が難しくなる可能性があります。新しい働き方の導入後も勤怠管理を円滑におこなうためにも、勤怠管理システムの活用を検討してみましょう。

勤怠管理システムでは業務の開始時刻と終了時刻を記録できるため、勤務状況を把握できます。システムのなかには、休暇申請に対応したものや残業が超過した場合にアラートで通知する機能を搭載したものもあります。機能はシステムによって異なるため、自社の目的に合うものを選びましょう。

まとめ:新しい働き方を導入して生産性や満足度を向上させよう

スマートワークはICTツールを活用し、時間や場所にとらわれない新しい働き方です。新しい働き方を実現する具体的な方法としては、テレワークやフレックスタイム制、ワーケーションの導入があげられます。

スマートワークの導入により、労働生産性の向上や優秀な人材の獲得が期待できます。従業員の満足度が高まれば、定着率も向上するでしょう。スマートワークを導入するとオフィスに出社する従業員が減るため、オフィスの在り方を見直すチャンスです。

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