女性が働きやすい環境とは?企業が取り組むメリットや具体例を紹介

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女性が働きやすい環境とは?企業が取り組むメリットや具体例を紹介

ライフスタイルや価値観の変化により、「働く女性」は増えています。しかし、育児や介護などのライフステージに直面したときに、未だ女性の負担が大きく、離職を余儀なくされる人も少なくないのが現状です。

女性従業員の離職を防止し、定着率を向上させるには、女性が働きやすい環境を整備することが大切です。そこでこの記事では、女性が働きやすい環境とは何か、働きやすい環境を実現することで企業が得られるメリットを解説します。

また、女性が働きやすい環境を実現する際には、実態を把握しておくことも必要です。働く女性を取り巻く環境の実態や具体的な取り組み方法も併せて解説するので、自社で環境整備をする際にぜひ役立ててください。

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働く女性を取り巻く環境の実態

2022年には、女性活躍推進法が改定されました。女性活躍推進法とは、労働意欲がある女性が個性と能力を十分に発揮できる社会の実現を目指す法律です。政府が主導して女性の活躍を推進する背景には、労働力不足や女性が置かれている立場などが関係しています。

日本は少子高齢化による生産年齢人口の減少により、多くの業界が労働力不足に陥っています。労働力不足を解消するには、労働意欲が高い女性の活躍が必要です。

一方で、1985年には男女雇用機会均等法が制定され、翌年から施行されましたが、未だに男女間の賃金格差が大きいのが現状です。女性管理職の割合も、諸外国に比べて低い水準です。

厚生労働省の調査によると、管理職における女性の割合について、「増えた」と回答した企業は数パーセントにとどまっていることがわかりました。

項目 従業員101人以上300人以下 従業員301人以上
増えた 2.8% 8.5%
やや増えた 15.2% 29.2%
変わらない 51.2% 43.2%
やや減った 1.4% 1.2%
減った 0.5% 0.4%
わからない・該当者がいない 26.5% 15.6%
無回答 2.4% 1.9%

さらに育児や介護などを理由に仕事を離れた場合、労働意欲があるにも関わらず、再就職できない女性も少なくありません。厚生労働省の調査によると、結婚や出産によって離職する女性が多いことわかりました。

項目 従業員101人以上300人以下 従業員301人以上
結婚・出産で離職する女性はほとんどいない 55.9% 44.8%
結婚・出産で離職する女性も少数派だがいる 28.9% 47.1%
結婚・出産で離職する女性が多い 8.1% 6.4%
結婚・出産でほとんど離職する 4.7% 0.5%
無回答 2.4% 1.1%

上記の調査からは会社の規模に関わらず、約半数の女性が結婚や出産を機に仕事を離れていました。日本が抱える課題を解消し、女性が活躍できる社会を実現するためにも、企業は労働環境の整備が不可欠と言えるでしょう。

※出典元:厚生労働省「平成27年度ポジティブ・アクション「見える化」事業女性活躍推進に関する調査報告書」

女性が働きやすい環境を実現することで企業が得られるメリット

企業が女性の活躍を推進するには、女性が働きやすい環境を整備する必要があります。女性が働きやすい環境を整備すると労働力不足を解消できるだけでなく、優秀な人材の流出防止が期待できます。

 

■優秀な人材の流出防止

女性が働きやすい環境を実現すると、さまざまなライフステージに直面しても働き続けやすくなるため、優秀な人材の流出を防止できます。世界的にジェンダー平等への動きが高まる中、日本では未だ家事に対する女性の負担が大きいのが現状です。

実際のところ、出産や育児、介護などを理由に離職を余儀なくされる女性は少なくありません。少子高齢化が顕著な日本では、介護や看護による離職者が増えています。男女共同参画局の調査では、2016年の介護や看護を理由とした離職者のうち、男性の20,000人に対し、女性は70,000人だったことがわかっています。

【介護・看護を理由とした離職者数】

男性 女性
2011年 10,000人 50,000人
2012年 20,000人 70,000人
2013年 30,000人 60,000人
2014年 10,000人 70,000人
2015年 20,000人 70,000人
2016年 20,000人 70,000人

※出典元:男女共同参画局「介護・看護を理由とした離職者数の推移(男女別)」

出産や育児、介護などは、企業が優秀な人材を失う大きな原因の一つです。個別の事情で一時的に仕事を離れる状況になっても、復職しやすい環境が整備されていれば、優秀な人材の流出を防止し、定着率の向上につながるでしょう。

 

■労働力不足の解消

自社で女性が働きやすい環境を実現し、活躍できる場が増えれば、労働力不足の解消が期待できます。近年、労働力不足を課題に抱える企業が多い傾向にあります。厚生労働省の調査によると、「建設業」「運輸業・郵便業」「医療・福祉」の業界では、40%を超える労働力不足に陥っていることがわかっています。

業界 労働力不足の割合
建設業 50%
製造業 35%
情報通信業 35%
運輸業・郵便業 42%
卸売業・小売業 18%
金融業・保険業 10%
不動産業・物品賃貸業 33%
学術研究・専門・技術サービス業 34%
宿泊業・飲食サービス業 16%
生活関連サービス業・娯楽業 33%
医療・福祉 45%
サービス業(ほかに分類されないもの) 31%

※出典元:厚生労働省「労働経済動向調査(令和3年8月)の概況」

多くの業界が労働力不足を課題に抱える背景には、少子高齢化による生産年齢人口の減少が大きく関係しています。限られた労働力から離職者が増えると、企業の生産性にダメージを与えかねません。女性が活躍しやすい環境があれば定着率が向上し、労働力不足の解消につながるでしょう。

 

■男性にとっても働きやすい職場環境の醸成

女性が働きやすい環境の実現は、結果的に男性にとっても働きやすい環境の醸成につながります。近年はライフスタイルや価値観の多様化により、共働き世帯が増えています。子育てしながら仕事を続けるためには、男性による家事や育児への協力が必要です。

しかし、長時間労働や休日出勤が常態化している場合は、プライベートの時間を多く確保できず、家事や育児に十分に協力できない可能性があります。また、離婚率も高いため、シングルマザーだけでなく、シングルファザーの従業員もいるかもしれません。企業が子育てしやすい職場づくりに取り組めば、プライベートを充実させながら仕事を続けられるようになり、男女ともに働きやすい環境の実現につながるでしょう。

女性が働きやすい職場環境とは

女性が働きやすい環境を実現するには、離職の原因に対する具体策を講じる必要があります。自社で働いている女性にヒアリングし、ニーズを反映させるのも良いでしょう。

 

■育児や介護の制度・サポートが充実している

企業は育児休暇や介護休暇など、女性がどのようなライフステージに直面しても働き続けられる制度を構築しましょう。子育てや介護などの個別の事情により、やむを得ず離職を選択する女性も多いのが現状です。職場に子育てや介護に関する支援制度があれば、さまざまなライフステージに直面しても離職することなく、働き続けることが可能です。

また、育児休暇や介護休暇だけでなく、社内託児所やベビーシッター利用料補助などのサポートも検討しましょう。女性従業員が多い企業のなかには、オフィス内に保育所を開設し、育児しながら働き続けやすい環境を整備したところもあります。

 

■子育てや介護に関する支援制度が利用しやすい

育児休暇や介護休暇などの制度がある場合は、女性従業員が利用しやすいようサポートすることが大切です。企業に各種制度が設けられていても、ほかの従業員からの理解が得られなければ利用しにくいのが現状です。

女性従業員が育児休暇や介護休暇を取得しやすくするには、ほかの従業員の理解を深める必要もあります。育児や介護経験がある女性が多い企業は休暇の取得率も高く、ほかの従業員からの理解も得やすいため、安心して制度を利用できるでしょう。

また、各種休暇の取得率が高い企業は魅力的に映るため、女性求職者からの応募が増える可能性もあります。企業説明会や求人情報などで高い取得率をアピールできれば、人材市場で有利になり、優秀な人材の獲得につながるかもしれません。

 

■有給休暇の取得率が高い

企業が有給休暇の取得を促すと、女性が働きやすい環境の実現につながります。政府が主導する働き方改革では、一定日数の有給休暇の取得が義務化されています。義務化の目的は、働く人の心身のリフレッシュです。

従業員がプライベートを充実させるためにも、有給休暇は必要です。性別を問わず有給休暇の取得率が高い企業は、女性が働きやすい環境だと言えます。しかし、育児や介護中の女性だけが有給休暇を取得しやすい状況では、ほかの従業員から不満が出やすいため、平等性を確保するよう心がけましょう。

すべての従業員が有給休暇を取得しやすくなると、満足度が上がり、定着率の向上やモチベーションアップなどの良い影響を与える可能性もあります。

 

■女性管理職が多い

女性が働きやすい環境を実現するためには、女性管理職を増やすことも効果的です。女性活躍推進法により、政府は女性管理職の比率を増やすことを企業に求めています。厚生労働省の調査では、従業員30人以上の企業における女性管理職の割合が年々上昇していることがわかっています。

年度 課長相当職以上の女性管理職を有する企業
2003年度 48.3%
2006年度 53.0%
2009年度 54.5%
2011年度 55.3%
2013年度 56.0%
2015年度 59.0%
2016年度 58.8%
2017年度 60.5%
2018年度 59.2%
2019年度 53.3%
2020年度 58.8%

※出典元:厚生労働省「令和3年度雇用均等基本調査」

性別を問わず女性管理職が多い企業は、誰でも正当に評価されていると考えられます。特に育児や介護経験がある女性管理職がいれば、育児休暇や介護休暇を取得した後でもキャリアアップできる環境にあると言えるでしょう。

 

■多様な働き方に対応している

企業がオフィス出社以外の多様な働き方を提供すると、女性が働きやすい環境を実現できます。女性のライフステージによっては、働ける場所や時間が制限されるケースも少なくありません。

たとえば出産や子育て、介護、家族の転勤などです。オフィスに出社し、フルタイムで働く従来型の働き方だけでは、プライベートな事情によって離職を選択せざるを得ない女性従業員が出てくる可能性があります。

柔軟な働き方に対応し、仕事とプライベートを両立できる企業は、場所や時間に縛られない働き方を実現できます。働き方がオフィス出社に限定されている場合は、リモートワークやフレックスタイム制などの導入を検討してみましょう。企業のなかには全国転勤が必要な職種に対し、勤務地限定への変更を認めているところもあります。

→フルフレックス、フルリモートの働き方で子育て世代の社員が働きやすい環境を整備した企業「株式会社Helpfeel」へのインタビュー記事もご覧ください。
【インタビュー】株式会社Helpfeel「フルリモート・フルフレックス:働き方の実態とその魅力」

■キャリア形成のサポート体制が整っている

女性が働きやすい環境を実現するためには、キャリアアップやスキルアップにつながるサポート体制を整備する方法もあります。たとえばセミナーや講座の費用を補助する、テキストの購入費用を補助するなどです。

企業のなかには、女性従業員を対象とした研修を実施しているところもあります。管理職候補の女性従業員には、管理職に就くことへの不安を払拭するために、女性管理職とコミュニケーションが取れる機会を設けるのも良いでしょう。

また、政府は女性活躍推進策の一環として、「女性版骨太の方針2023」にリスキリングの推進を盛り込みました。リスキリングをサポートすると、女性のキャリア形成につながるだけでなく、企業としての生産性の向上にも寄与します。

 

■従業員のニーズを反映させた制度を設置している

女性が働きやすい環境を実現するために、女性従業員の声に耳を傾け、ニーズを反映したフレックスキャリア制度や勤務エリア限定制度を設置した企業もあります。フレックスキャリア制度とは期間に制限を設けず、正社員のまま1日の勤務時間を4~8時間まで1時間単位で選択できる制度です。

勤務エリア限定制度は自宅から一定以上の距離であれば、転居を伴う異動をおこなわない制度です。女性従業員のニーズに対応した制度を設けたことで、離職率の減少だけでなく、育児休暇や介護休暇の復職が100%に近づきました。

管理職や担当部署だけで働きやすい環境を実現しようとしても、必ずしも女性のニーズが反映できるとは限りません。女性が働きやすい環境を実現するためには、女性従業員のニーズに対応した制度づくりを心がけることが大切です。

 

■国の認定を受けている

女性が働きやすい環境を整備している企業の多くは、「くるみん」や「えぼし」などの認定を受けています。「くるみん」と「えぼし」は都道府県労働局への申請により、厚生労働大臣の認定を受けられる制度です。

両者の認定基準は、次のとおりです。

認定の種類 認定基準
くるみん 次世代育成支援対策推進法にもとづく子育てサポート
えぼし 女性活躍推進法にもとづく女性の活躍促進

「くるみん」や「えぼし」は企業の取り組みが第三者によって認められた証となるため、社内外から女性が働きやすい環境の企業だと印象づけることが可能です。

女性が快適に働けるオフィス環境の整備も重要

女性が働きやすい環境を実現する方法は、各種休暇やサポートなどの制度づくりだけではありません。清潔さやオフィス家具なども働きやすさを左右するため、オフィス環境の見直しも検討してみましょう。

 

■常に清潔な環境を心がける

清潔なオフィス環境を求める女性も多いため、常に清潔な状態を維持するよう心がけることが大切です。定期的な清掃はもちろんのこと、オフィス内にはできるだけ新鮮な空気が入り込むようにします。においが充満したオフィスでは、頭痛やのどの痛みなどの不調を引き起こすおそれもあるため、必要に応じて空気清浄機の導入も検討しましょう。

また、採用面接はオフィスで実施されるケースが多く、環境をチェックする求職者もいるかもしれません。劣悪なオフィス環境が内定辞退や早期離職につながる可能性もあるため、オフィス内は常にきれいな状態を維持するようにしましょう。

 

■リフレッシュスペースを設置する

快適なオフィス環境を実現するためには、リフレッシュスペースの設置も効果的です。リフレッシュスペースとは、従業員の気分転換を目的としたフリースペースです。働く女性のなかには、リフレッシュスペースの設置を希望している人も多い傾向にあります。

オフィスにリフレッシュスペースを設置すると、オンとオフを切り替えしやすくなる、社内コミュニケーションが活性化しやすくなるなどのメリットがあります。リフレッシュスペースで女性管理職とコミュニケーションが取れる機会があれば、管理職を目指す女性従業員が増えるかもしれません。

 

■オフィス家具にこだわる

働きやすいオフィス環境づくりに取り組む際には、オフィス家具にもこだわってみましょう。女性と男性では身体的な違いも大きく、画一的な家具ではどちらかに負担が寄ってしまいます。

たとえば自分に適した高さに調整できる椅子やデスクなどを採用することで、正しい姿勢を維持して業務に取り組むことができ、ストレスのない、身体的にも働きやすい環境を整えることができます。

アイリスチトセでは、機能性やデザイン性に優れた数多くのオフィス家具を取り揃えております。天板の位置を調整できるデスクやランバーサポート機能を搭載したチェアなども取り扱っているので、女性が働きやすい環境を実現する際にぜひお試しください。

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まとめ:ニーズを反映させて女性が働きやすい環境を実現しよう

子育てや介護などのプライベートな事情により、離職を余儀なくされる女性は少なくありません。離職する女性従業員が増えると定着率が低下し、十分な労働力を確保できなくなる可能性もあります。

優秀な人材の流出を防止するためには女性のニーズを把握し、働きやすい環境を実現する必要があります。各種休暇制度があっても利用しにくい状況では離職につながるおそれがあるため、利用しやすい環境を作ることも大切です。

女性が働きやすいオフィス環境づくりに取り組む際には、オフィスデザインの専門家に相談するのも手段の一つです。アイリスチトセでは、多くの企業の「働く」をデザインし、最大のパフォーマンスが発揮できる礎づくりをサポートさせていただきます。

オフィス環境は従業員のエンゲージメントにも影響します。オフィスづくりをご検討される際は、ぜひアイリスチトセにご相談ください。

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