アンコンシャス・バイアスについて具体例から解説|従業員の意識改革をしよう

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アンコンシャス・バイアスについて具体例から解説|従業員の意識改革をしよう

働きやすい職場環境を構築する施策として「アンコンシャス・バイアスの改善」という観点が一つ重要な要素となります。アンコンシャス・バイアスは企業の成長を阻む原因といわれており、早急な対策が求められるためです。

本記事では、アンコンシャス・バイアスの意味と具体例、原因と対策について解説します。職場環境の改善に取り組む企業担当者の方は、ぜひ参考にしてください。

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アンコンシャス・バイアスとは

アンコンシャス・バイアス(unconscious bias)とは、自分の気づかないうちに「この事象はこうだ」と思い込んでしまうことです。自分自身の知識や経験から無意識に判断してしまうため「無意識の偏見」とも呼ばれます。

アンコンシャス・バイアスは誰もが持っており、日常の些細な言動にも無意識に現われるものです。言動にゆがみや偏りがあっても、無意識であるがゆえに本人には意識しにくい特徴を持っています。

アンコンシャス・バイアスにはさまざまな種類があり、代表的な例としては次があげられます。

  • 正常性バイアス:危機的状況になっても「自分は大丈夫」と思い込む
  • ステレオタイプ・バイアス:ある集団には特定の特徴があると判断する
  • 確証バイアス:仮説を検証する際、無意識に支持する方法のみを集めてしまう
  • 集団同調性バイアス:周囲の言動にあわせたくなる
  • ハロー効果:一部に好意を抱いたものに対してすべて好意的に捉える など

【パターン別】アンコンシャス・バイアスの具体例

ここで、職場でよく見られるアンコンシャス・バイアスの具体例を順にご紹介します。

いずれの例も、程度の差はあるにせよ日常にありふれたものであり、自分の気づかないうちにこういった見方をしているかもしれません。これを機会に、思い込みや偏った考え方になっていないか、あらためて見直してみるのも良いでしょう。

 

■男女の性別によるアンコンシャス・バイアス

「男性・女性はこうあるべきだ」といった、男女の性別によるアンコンシャス・バイアスです。

【男女の性別によるアンコンシャス・バイアスの具体例】

  • 育児休暇は女性がとるべきものだ
  • 男性は家庭より仕事を優先すべきで、残業はあたりまえだ
  • 力仕事は男性がするものである
  • 来客へのお茶出しは女性の仕事だ
  • 単身赴任は男性がするものである など

 

■権威によるアンコンシャス・バイアス

権威によって無意識にランク付けしてしまい、上位と考えられる人が他の人を下に見るようなアンコンシャス・バイアスです。

【権威によるアンコンシャス・バイアスの具体例】

  • 社長や上司の意見はすべて正しく、尊重されるべきだ
  • 新入社員の意見に有益なものはない
  • 上司は部下よりも優秀でなければならない
  • 雑用は部下の仕事だと決まっている
  • 自分より早く帰る部下は仕事ができない など

 

■確証のないアンコンシャス・バイアス

根拠に乏しい意見を尊重し、反対意見を認めないといったアンコンシャス・バイアスです。

【確証のないアンコンシャス・バイアスの具体例】

  • 同じ大学出身者だから優秀に違いないので採用する
  • 高校卒なので大学卒と同じ業務はできないだろう
  • 上場企業に入社すると一生安泰だ
  • 体育会系出身だから根性があるはずだ
  • 外国人の従業員なので日本語の業務は任せられない など

 

■心の平穏を保つアンコンシャス・バイアス

現状維持を望む、周囲に合わせる、危機を見逃すといった方法で心の平穏を保つアンコンシャス・バイアスです。

【心の平穏を保つアンコンシャス・バイアスの具体例】

  • 周囲と意見を合わせておけば失敗しないと思う
  • 挑戦する前に「自分には無理だ」と断る
  • これまでのやり方をわざわざ変える必要はない
  • 他の人は失敗した手法でも自分がやれば問題は起こらないだろう
  • 経営難の同業他社は多いが当社は大丈夫なはずだ など

アンコンシャス・バイアスがある職場の問題点

アンコンシャス・バイアスは誰もが持っているものであり、それ自体が問題となるわけではありません。アンコンシャス・バイアスに気づかずに、知らない間に誰かを傷つける状況を生み、さまざまな可能性を狭めることが問題視されるのです。

こういった前提を元に、企業においてアンコンシャス・バイアスを放置すると、次の問題が起こる可能性が考えられます。

  • ハラスメント行為の常態化
  • 業績の伸び悩み
  • 職場の人間関係の悪化

それぞれについて、詳しく説明します。

 

■ハラスメント行為の常態化

アンコンシャス・バイアスには、無自覚のハラスメント行為を生み、常態化する危険性があります。

客観的にみるとハラスメント行為であっても、その職場環境では当然のようにおこなわれているため、ハラスメントと認識されていないケースがあります。たとえば「上司が部下に対して大声で叱責する」「性別によって仕事量のバランスを変える」などは、内部にいるとハラスメントだと気づきにくいものです。あからさまなハラスメント行為でも、立場上伝えにくいケースもあるでしょう。

こういった当事者が新入社員や新しい取引先の人と関わる場合、場合によっては訴えられることも考えられます。ハラスメントが常態化している部分から目をそらさず、客観的な視点で見直す事が必要となるでしょう。

 

■業績の伸び悩み

アンコンシャス・バイアスを見過ごしていると、企業の業績にも大きく影響します。

正常性バイアスや確証バイアスによって、企業の抱える問題点が先送りとなり、そのまま見過ごされるケースが考えられます。企業内の常識が固定化され、これまでの手法にこだわり変化を求めない状況となると、イノベーションも生まれません。

アンコンシャス・バイアスが企業内にまん延していると、明らかな失敗も見過ごされてしまい、適切な対策を取れないまま経営が危機的状況に陥る可能性も否めません。思い込みや決めつけによって問題点が見過ごされていないか、経営状態を注視しておく必要があります。

 

■職場の人間関係の悪化

職場の人間関係は、アンコンシャス・バイアスが原因で悪化する恐れがあります。

経営陣や上司が従業員の意見をないがしろに扱っている場合、改善につながる提案だとしても採用されず、問題改善に生かされません。上からの決めつけだけで物事が進むと、従業員にストレスが生じます。上司のバイアスにより正当な評価がされないと、モチベーションの低下を招いて退職を選ぶ従業員が出る可能性もあります。

また、アンコンシャス・バイアスによってハラスメントの問題がある場合でも、職場の人間関係が改善することは考えにくいでしょう。人間関係の改善には、アンコンシャス・バイアスの対策は必要不可欠です。

アンコンシャス・バイアスの3つの原因

アンコンシャス・バイアスの原因として考えられるのは、次の3点です。

  • 個人のエゴ
  • これまでの習慣
  • 培われた感情のスイッチ

それぞれについて、詳しく説明します。

 

■個人のエゴ

アンコンシャス・バイアスの要因として、人間のエゴがあげられます。

エゴとは、自身を正当化するために、自身の欲求や価値観を中心として優位性を保ち、自己防衛したいと考える心理状態です。このような状態となると、自分自身と行動や考え方の異なる人に対して、自身と同様と考えて行動することが難しくなるでしょう。

また、自身がエゴを出している状態だと気づいていないため、アンコンシャス・バイアスを形成していると考えられます。

 

■これまでの習慣

自身が慣れ親しんできたこれまでの習慣や慣習も、アンコンシャス・バイアスの原因です。

これまで常識として捉えてきた習慣が、時代の変化とともに現状と合わなくなっているにもかかわらず、気づかずに変化させないことで周囲に違和感やストレスを生みます。特定の人物や集団で長く一緒にいると、暗黙のルールとして習慣化する傾向が強くなります。

言動が習慣化しているので、無意識のうちにしてしまうケースも考えられるでしょう。習慣となっている部分に気づき、改善するための取り組みが求められます。

 

■培われた感情のスイッチ

その人の持つ感情のスイッチも、アンコンシャス・バイアスの要因となります。

感情のスイッチとは、自身の持つこだわりやコンプレックス、不安感を呼び起こす感情のポイントです。感情スイッチを刺激されると感情を平静に保つのが難しくなり、自己防衛のために現実を客観視できずに攻撃的な言動となるケースがあります。

それぞれの人生で培ってきた感情スイッチは、人によってポイントが異なります。どういった状況で感情の起伏が大きくなるのか、自分自身を客観的に知ることが重要です。

アンコンシャス・バイアスにメリットはあるのか

アンコンシャス・バイアスのメリットとして考えられるのは、思考の早さです。アンコンシャス・バイアスによって、物事を関連する情報にすばやくひも付けし、無意識のうちでの判断が可能となります。

アンコンシャス・バイアスは誰もが持っているものであり、良し悪しで判断できるものではありません。瞬時の判断が求められる場合は、ステレオタイプ・バイアスによって大まかな特徴を捉えられるというメリットもあります。

しかし、それがすべて正しい情報である保証はありません。思い込みや間違った情報である場合、アンコンシャス・バイアスはネガティブな影響を与えてしまうでしょう。アンコンシャス・バイアスは、こういったデメリット面の大きくなる傾向が強いため、できるだけ改善するのが望ましいと考えられます。

企業ができるアンコンシャス・バイアスへの対策

企業としてアンコンシャス・バイアスの改善に対する取り組みとして、次の施策が考えられます。

  • 認知テスト・アンケートの実施
  • アンコンシャス・バイアスに関する研修の実施

それぞれについて、詳しく説明します。

 

■認知テスト・アンケートの実施

対策するには、まずアンコンシャス・バイアスとは何かを知り、自身の行動の中にあるアンコンシャス・バイアスに気づくことが大切です。アンコンシャス・バイアスを知るには、テストやアンケートの実施が効果的でしょう。

アンコンシャス・バイアスを測定するテストとして「IAT(Implicit Association Test)」があります。IATは、簡単に説明すると「アンコンシャス・バイアスを測りたい対象の言葉」と「ある属性の特徴についての言葉」の間の連想を測るテストです。

IATによってアンコンシャス・バイアスが可視化され、行動の変化につながったと答える方も多くみられます。テストによって自身のアンコンシャス・バイアスに気づくことで、対処するマインドが形成されるようになります。

 

■アンコンシャス・バイアスに関する研修の実施

アンコンシャス・バイアスに関する研修の実施によって、自身の持つバイアスに気づかせられるでしょう。

多くの企業によって、アンコンシャス・バイアスの研修が実施されています。男女を逆転させるロールプレーイングや、ダイバーシティ推進のトレーニングなど、研修として実際に体験することで従業員へアンコンシャス・バイアスの意識付けがなされ、改善につながります。

ただし、研修を実施してもすぐに効果が出るものではありません。継続して教育をおこなうことが、企業のアンコンシャス・バイアス解消への近道となるでしょう。

まとめ:アンコンシャス・バイアスの改善で快適な職場環境を目指そう

アンコンシャス・バイアスは、誰もが持っている無意識の偏見です。男女差や企業内での立場、確証のない事案など、さまざまな面にアンコンシャス・バイアスはみられます。

アンコンシャス・バイアスには素早い判断が可能となるメリットはありますが、ハラスメントや業績・人間関係の悪化につながるため、企業にとって好ましいものではありません。従業員に対して認知テストや研修の実施で、アンコンシャス・バイアスの改善を進めていきましょう。

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