アウターブランディングとは?インナーブランディングとの違いや成功事例を紹介
オフィスレイアウト・デザイン・設計

アウターブランディングは、企業が外部向けにおこなうブランディング戦略を指す言葉です。顧客や社会全体に企業の価値やビジョンを伝えることを目的としています。
企業の競争力を高めるためには、単に製品やサービスの質を高めるだけでなく、企業自体のブランドイメージを向上させることが不可欠です。ブランドイメージは企業の認知度向上や信頼性の強化、市場での優位性確保に直結します。
この記事では、アウターブランディングの概要や期待できる効果、基本的な基準を解説します。アウターブランディングを成功させるポイントや、アウターブランディングに成功した企業の事例もあわせてご紹介しますので、ぜひご覧ください。
目次
アウターブランディングの概要

まずは、アウターブランディングの概要を、次の3つの観点から把握していきましょう。
- ブランディングの重要性
- アウターブランディングとは
- インナーブランディングとの違い
それぞれ詳細を解説します。
◾️ブランディングの重要性
ブランディングは企業の成功と成長に不可欠な要素です。企業の価値を高め、市場での競争力を強化する鍵となります。特に中小企業にとって、戦略的なブランディングは他社との差別化を図り、社会的信頼度や他社にない魅力を高めるための重要な手段と言えるでしょう。
ブランディングを通じて、企業は自社の独自性や強みを明確にし、顧客に対して一貫したメッセージを伝えられます。例えばオーガニック食品を販売する食品会社の場合は、製品の健康性などを前面に押し出したブランディングが求められます。
製品のアピールだけでなく、企業文化や社風、評価制度や福利厚生などを通じたブランディングも有効です。働き方改革を実施できている企業は求職者にとってブランド価値が発生するため、求人面で大きなメリットを得られるでしょう。
また、おしゃれなオフィスをアピールするオフィスブランディングも、「スタイリッシュに働きたい」という希望を持つ求職者に対するイメージ戦略として有用です。オフィスブランディングについて詳しく知りたい方は次の記事もご覧ください。
オフィスブランディングとは?成功に導く具体的な方法を徹底解説
◾️アウターブランディングとは
アウターブランディングはブランディングの一種で、企業が顧客や取引先など外部に向けておこなうブランディング活動です。自社商品やサービスをアピールするタイプのブランディングは、アウターブランディングに分類されます。
潜在的顧客に対し、企業のブランド価値や認知度を高めることがアウターブランディングの目的です。商品やサービスそのものの紹介だけでなく、ブランドロゴやキャッチフレーズ、企業のストーリーなどを通じた戦略的展開が求められます。
アウターブランディングで自社ならではのアピールポイントを提示し、潜在的顧客の共感や関心を得られれば、競合他社の類似商材にはない価値を獲得できるでしょう。市場での競争力を強化するうえで、とても重要な施策と言えます。
◾️インナーブランディングとの違い
インナーブランディングは、従業員に対する内部的なブランディング活動です。アウターブランディングが実施する、顧客などの外部に向けたブランディング活動とは逆方向の性質を持ったブランディングと言えます。
インナーブランディングは、従業員に企業理念や価値観を共有し、モチベーションや従業員エンゲージメントを高めることを目的としています。社内イベントや研修、社内報などがブランディング手法として用いられるため、CMやSNSを用いるアウターブランディングとは別の技術が必要です。
それぞれ違う対象を目的としたブランディングですが、インナーブランディングの成功は従業員が自社の価値を理解することにつながるため、アウターブランディングを成功させるための基盤と言えます。
アウターブランディングで期待できる効果

アウターブランディングを成功させることで、次のような効果を期待できます。
- 自社の認知度向上が期待できる
- 他社と差別化を図れる
- 中長期的な成長が期待できる
いずれも企業の成長と成功には欠かせない要素です。
◾️自社の認知度向上が期待できる
アウターブランディングは、企業の認知度向上に大きな効果があります。自社の理念や価値観を外部に伝えることで、製品やサービス、ひいては自社の存在そのものが消費者の記憶に残りやすくなるためです。
アウターブランディングの成功で好印象を得られれば、企業のイメージ向上にもつながります。例えば、SDGsの推進を表明するなど、現代企業に求められている責任を果たしていることのアピールが大切です。
顧客に自社と自社商材の存在を意識してもらうことが、アウターブランディングの要と言えます。
◾️他社と差別化を図れる
アウターブランディングの成功で得られる効果の一つには、他社との差別化があります。市場競争が激化する中、自社ならではのブランドは製品やサービスを差別化するための重要な手段です。
差別化のメリットを得るためには、競合他社にはない自社ならではの魅力やメッセージをアピールできるかどうかを見定める必要があります。商品に用いられたユニークな素材・製法やサービスを説明するストーリーなど、アピールポイントを探しましょう。
独自のアピールポイントはブランドの持つアイデンティティ(ブランドアイデンティティ)となります。ブランドアイデンティティを示すアウターブランディングは、競合他社との差別化を図り、消費者に独自の価値を提供するうえで欠かせないプロセスです。
◾️中長期的な成長が期待できる
ブランドの認知度向上や競合との差別化により、顧客の定着が期待できます。顧客の定着によりリピート率が高まれば、中長期的な収益が見込めるでしょう。
商品やサービスに好感触を持った消費者が実際に製品やサービスを利用し、その体験がブランドイメージに結びついていると、より定着を見込めるでしょう。
ブランドメッセージで主張されていた効果や意図を実感できることが重要なため、製品・サービス開発とも連携を取ったアウターブランディングが求められます。一貫したブランドを提供できれば、顧客からの信頼性も高まると期待できます。
アウターブランディングの基本的な手順

実際にアウターブランディングを実施する際には、次の手順を基本に自社ならではの施策を打つことが大切です。
- STEP1:市場における自社商品やサービスの現状を把握する
- STEP2:ブランド要素を決定する
- STEP3:ターゲットに合わせた方法でアプローチする
それぞれの詳細を理解し、自社での施策実施イメージを固めていきましょう。
◾️STEP1:市場における自社商品やサービスの現状を把握する
市場における自社商品やサービスの現状を把握することが、アウターブランディングの第一歩です。市場調査は、自社が置かれている環境を理解するために必要です。競合分析をおこない、主要な競合他社の強みと弱みを把握しましょう。市場トレンドを分析し、業界の最新動向や消費者行動の変化を把握することも必要です。
ターゲット顧客のニーズや購買動機を明らかにできれば、アウターブランディングで明確に示したいメッセージや宣伝をおこなうチャネルも明確にできます。「自社の製品やサービスはどのような属性を持つ消費者に求められているのか」という課題を解決できるようにしましょう。
◾️STEP2:ブランド要素を決定する
現状を把握したあとはブランド要素を決定しましょう。ブランド要素とは、自社の商品やサービスを他社と差別化し、顧客に強い印象を与えるための要素を指します。具体的にはブランドネーム、ロゴ、シンボル、キャラクター、スローガンなどが含まれます。
ブランド要素は企業の業種やターゲット市場の特性を考慮しながら決定することが大切です。
衣服を販売する企業を例に考えてみましょう。ひとくちに服といっても、年齢や性別、シーンによって示すべきブランドは異なります。働き盛りの年齢層をターゲットにビジネス系の衣服を販売するならば、フォーマルなロゴやシンボルが求められます。
自社の潜在顧客層に届くブランドは、企業の価値を伝える役割を果たし、アウターブランディングの成功に欠かせない要素となるでしょう。
◾️STEP3:ターゲットに合わせた方法でアプローチする
アウターブランディングの成功には、ターゲットに合わせた適切なアプローチが不可欠です。例えば次のようなアプローチ手段があります。
- TVCM
- Web広告
- オウンドメディア
- SNS
高齢者をターゲットにしたサービスを提供する会社の場合は、SNSやWeb広告よりTVCMが有効な可能性が高くなります。一方で若年層をターゲットにする場合、SNSや動画プラットフォームでのアプローチが効果的に働くでしょう。
アプローチ方法の効果を分析・評価し、必要に応じて戦略を修正していくことも大切です。ブランドイメージは短期間で構築できるものではなく、顧客層のなかで長期的に醸成されていきます。継続的なアウターブランディングの実施を心がけましょう。
アウターブランディングを成功させるためのポイント

アウターブランディングを成功させるにはいくつかおさえておきたいポイントがあります。一つずつ解説します。
◾️ブランドコンセプトを明確にする
アウターブランディングを成功させるためには、ブランドコンセプトを明確にすることが重要です。ブランドコンセプトは、ブランドの核となる価値を具体的に言語化したものを指します。
例えば、ある工務店が家族向けの住宅建築に強みを持った会社としてアウターブランディングをおこなおうとしたとき、ブランドコンセプトとして言語化すべきものは、住宅を通じた家族団欒の実現などになるでしょう。
アウターブランディングでは、顧客にどのような価値を提供するブランドなのかを示すことが大切です。ブランドコンセプトを明確にすることで、他社との差別化を図り、唯一無二のブランドの確立を目指しましょう。
◾️適切なチャネルを選定する
年齢層や性別、職業など、ターゲットによって利用するチャネルは異なります。
例えば、SNSを用いてアウターブランディングを実施する際には、XやTikTokなど各SNSの性質によって利用者の属性が変化する点を意識する必要があります。ビジネスパーソンをターゲットにした企業が、学生の多い性質を持つSNSでブランディングを展開しても効果は見込めないかもしれません。
複数のチャネルを組み合わせて一貫したメッセージを発信することも知名度の増進につながります。学生の多いSNSに対し「いずれ就職をする」という観点でブランディングを展開し、同時にビジネス的なSNSでも展開するといった選択肢も検討できるでしょう。
◾️オフィスの改装も検討する
アウターブランディングの手法として、オフィスを改装する方法もあります。スタイリッシュなオフィスは人々の注目をひいて話題となり、SNSや口コミを通じて自社の認知度が高まる可能性もあります。
加えて、おしゃれなオフィスはBtoBの分野では商談に訪れた他社ビジネスマンに対し特別な印象を与えることが期待できます。「競合他社より印象深い取引相手」というブランディングの実現のうえで、オフィスの改装は有効な手段となるでしょう。
また、オフィスの改装はインナーブランディングの成功を目指すうえでも有効な手段となります。企業のロゴやカラーを取り入れたオフィスデザインを通じた組織への帰属感や、おしゃれなオフィスで働くことによる自信の高まりを期待できます。
アウターブランディングに成功した企業の事例
ここからはオフィス改装や移転を機に、オフィスデザインなどにブランディングを反映させて成功した事例をご紹介します。
◾️第一カッター興業株式会社様

第一カッター興業株式会社様のオフィス改装では、「コンプライアンスを真ん中におく企業文化をつくる」というブランディング施策に基づき、誰が、どこで、なにをしているのかがわかる解放的なレイアウトのオフィスを実現しました。
閉ざされた会議室や応接室で誰が何をしているのかがわからないというケースを減らすため、役員室や会議室などの壁をガラスパーテーションにし、来社される方々にも社風などが感じられるオフィスとなっています。
【インタビュー】第一カッター興業株式会社「オフィス改装が生むエンゲージメントと採用への効果」
◾️アイリスグループ|東京アンテナオフィス

アイリスグループの東京アンテナオフィスは、人々の健康やウェルネスに着目した国際的なビル評価指標であるWELL認証最高ランクであるプラチナを取得しています。
従業員の心身の健康を意識した企業というメッセージを従業員に伝えるデザインやレイアウトを意識して設計されました。各商談室は全て異なるデザインで構成されていて、来社される方もワクワク感と多様性を感じられる、そんなオフィスを実現しています。
◾️セキュリティスタッフ株式会社様

セキュリティスタッフ株式会社様の事例では、採用に強いオフィスを実現することを重点的に改装をおこなっています。「人口密度が過密なオフィスでは求職者から好印象を得られない」という課題から出発し、解放感のあるレイアウトを目指しました。
ホワイトボードで管理していた警備員配置をアイリスグループの製品であるAIインタラクティブボードに移行することで、DX化にも成功しています。
まとめ:アウターブランディングを実施して自社の競争力を高めよう

アウターブランディングは自社の価値を高め、市場での競争力を強化するうえで欠かせない施策です。企業の認知度を向上させ、他社との差別化を図り、中長期的な成長を促進するためにもアウターブランディングを実施しましょう。
アウターブランディングの実施では、市場調査で自社ならではの価値と立ち位置を明らかにし、顧客層に応じたブランド要素とアプローチ方法を設定することが欠かせません。また、オフィス改装で人々に好印象を与えることも有効な手段となるでしょう。
アイリスチトセは、オフィスに関する総合的なサポートを提供しています。顧客や取引相手に自社ブランドを伝えるオフィスデザインもお手伝いさせて頂きます。オフィスを通じたアウターブランディングを検討の際は、ぜひアイリスチトセへご相談ください。