疲れないオフィスチェアの選び方とは?サイズ・素材・機能別に徹底解説
オフィスレイアウト・デザイン・設計
近年ではテレワーク主体ではなく、ハイブリッドワークを導入しオフィス出社を促す企業が増えています。これを受け、従業員の働きやすさを重視し、オフィス環境の改善に改めて注目が集まっています。
オフィス環境を改善する際には、オフィスチェアを見直すのも手段の一つです。疲れにくいオフィスチェアを取り入れると、従業員だけでなく企業にもメリットがあります。そこでこの記事では、疲れないオフィスチェアの選び方をサイズ・素材・機能別に解説します。
後半ではおすすめのオフィスチェアも併せて解説するので、オフィス環境の改善に取り組む際に役立ててください。
目次
疲れにくい業務環境作りはオフィスチェアの見直しから
一般社団法人日本オフィス家具協会の調査によると、オフィス家具にあまり満足していない人の割合が55.1%だったことがわかっています。さらに、オフィス環境に対する期待を聞いたアンケートでは、「オフィス環境の良し悪しは、仕事に対するモチベーションに影響する」と回答した人が71.4%でした
※出典:一般社団法人日本オフィス家具協会「ワーカーアンケート集計・分析結果報告」
デスクワークが中心の職種の場合、座位の状態で業務をすることが多いです。そのため、オフィス環境の整備においても、長時間使用するチェア選びが特に重要となります。
疲れにくいオフィスチェアを取り入れると、従業員のモチベーションや業務効率の向上が期待できます。つまり従業員だけでなく、企業にとってもメリットのある施策ということがわかります。
ただし、オフィスチェアは「疲れにくい」とうたっている製品であればどれでも良い、というわけではありません。自分の体格とサイズが合わないオフィスチェアを使用すると、姿勢の悪化や血行不良によって足のむくみを引き起こす可能性があります。そのため、従業員一人ひとりの体格に適したサイズのチェアを選ぶことが大切です。
オフィスチェアを選ぶ際は、サイズ・素材・機能の3つがポイントとなります。次章より選び方について詳しく解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。
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【サイズ編】オフィスチェアの選び方
オフィスチェアのサイズは、座面の高さと背もたれの高さを調整できるものを選ぶと、どのような体格の従業員にも対応できます。
■座面の高さ
人の体格に適した座面の高さは、「身長×0.25センチメートル」が目安です。たとえば身長が160センチメートルの場合は40センチメートル、170センチメートルの場合は42.5センチメートルが目安になります。
ただし、オフィスでは靴を履いている場合が多いため、上記の目安には靴底の厚み分がプラスされることに留意しましょう。理想的なのは座位の状態で足裏全体が床につき、膝裏が座面と水平または少し離れる程度の高さです。体格は人によって異なるため、座面の高さを調整できるオフィスチェアを選ぶようにしましょう。
■背もたれの高さ
オフィスチェアの背もたれには、おもに次の4つのサイズがあります。
- ローバック
- ミドルバック
- ハイバック
- エクストラハイバック
ローバックは腰だけをサポートするタイプで、ほかのサイズに比べると価格がリーズナブルです。ミドルバックは肩甲骨から肩までをサポートするタイプなので、ローバックよりも座り心地に優れています。
ハイバックは背面を広くカバーするため、座り心地が良く、長時間座位の状態が続いても疲れにくいタイプです。エクストラハイバックにはヘッドレストが付いており、頭部までをサポートするタイプです。後傾姿勢の状態で作業できるため、長時間パソコンと向き合う業務に適しています。
4つのサイズのうち、ハイバックやエクストラハイバックは頭部までサポートしてくれるため、身体への負担が少ない傾向にあります。
【素材編】オフィスチェアの選び方
身体の疲れにくさは、オフィスチェアの座面や背面に採用されている素材によって異なります。素材は、基本的に表面素材とクッション素材で構成されています。
【表面素材】
素材 | 特徴 |
ファブリック |
|
メッシュ |
|
レザー |
|
合成皮革 |
|
身体が直接触れる表面素材には、おもにファブリック・メッシュ・レザー・合成皮革の4種類が採用されています。
このうち多くのオフィスチェアで採用されているのは、ポピュラーな布素材であるファブリックです。ファブリックはカラーバリエーションが豊富で、デザイン性にも優れています。
メッシュは、フィット感が抜群の素材です。通気性にも優れているため、長時間座位の状態が続き、蒸れが気になる場合でも安心です。メッシュの隙間にほこりが溜まりやすいため、ハンディクリーナーやエアダスターでお手入れする必要があります。
レザーは高級感がある見た目を演出できる一方で、通気性が悪いといった側面もあります。合成皮革は人工的に作られた革素材で、表面の手触りが滑らかです。汚れや摩擦にも強いため、長期間使用できます。
ファブリック・レザー・合成皮革は単独では使用できず、クッション素材と組み合わせる必要があります。メッシュは素材自体が伸縮するため、クッション材が不要です。
【クッション素材】
素材 | 特徴 |
ウレタン |
|
モールドウレタン |
|
ウレタンはクッション性に優れているため、多くのオフィスチェアに採用されています。モールドウレタンは、金型にウレタンを注入して成形するため、身体にフィットする形に作ることができ、またウレタンに比べて密度が高いため、長時間の使用でも型崩れしにくい特徴があります。
【機能編】オフィスチェアの選び方
近年では、さまざまな機能が搭載されているオフィスチェアが登場しています。機能性を重視することで、身体への負担軽減が期待できます。
■アジャスト機能
座面にアジャスト機能が搭載されているオフィスチェアを選べば、自分の体格に合わせて高さを調整できるため、身体への負担を軽減できます。座面のおもなアジャスト機能は、次のとおりです。
- 高さ調整
- シートスライド
- 前傾姿勢対応 など
前傾姿勢は背中と背もたれが離れており、太ももが座面に強く接触するため、血行不良を起こしやすくなります。前傾姿勢対応のオフィスチェアは、姿勢に合わせて座面と背もたれが動き、前傾姿勢でも身体をしっかりと支えてくれます。
■サポート機能
オフィスチェアのなかには、正しい姿勢を維持できるようサポートしてくれる機能が搭載されたものもあります。サポート機能によって正しい姿勢が維持できれば、長時間座位の状態が続いても身体が疲れにくくなります。
オフィスチェアのおもなサポート機能は、次のとおりです。
機能 | 特徴 |
ランバーサポート | 正しい姿勢の維持をサポートする腰当て |
アームレスト | 両腕の重さを分散させて肩周りの負担をサポート |
ヘッドレスト | 首筋が正しいカーブを描けるようサポート |
ランバーサポートとは、背骨が自然なS字カーブを描くようサポートしてくれる腰当てです。腰と腰当てが接触する部分で体圧を分散するため、特に腰部への負担を軽減できます。
アームレストは、両腕の重さを分散させて肩周りの負担をサポートしてくれる肘当てです。人の腕の重量は、体重の15~20%程度あるといわれています。腕をアームレストに乗せることで肩への負担を軽減できるため、肩こりを防ぐことが可能です。
ヘッドレストは、首筋が正しいカーブを描くようサポートしてくれます。頭の重量を支えている首を正しい位置で維持できるため、首のこりや肩こり対策になります。
■ロッキング機能
オフィスチェアにロッキング機能が搭載されていれば、背面や座面が固定されていないため、身体への負担を軽減できます。ロッキング機能があれば、背面や座面が姿勢に追随して動き、またその硬さも調整できます。
ロッキング機能には、シンクロロッキング機能と呼ばれる種類もあります。シンクロロッキング機能とは、背もたれの傾きに連動して座面が自然な角度に傾く機能です。背もたれと座面を適切な角度に調整できるため、より身体への負担を軽減できます。
オフィスチェアを選ぶ際のポイント
オフィスチェアを選ぶ際にはサイズ・素材・機能のほかに、いくつか押さえておきたいポイントがあります。人間工学に基づいたオフィスチェアを使用すると、より身体が疲れにくくなります。
また、サイズや機能性などを重視しても、必ずしも自分に合うとは限らないため、購入する際には実際に座って試してみてから購入するようにしましょう。
■人間工学に基づいたオフィスチェアを検討する
身体の疲れにくさを重視するなら、人間工学に基づいたオフィスチェアを選びましょう。人間工学とは、人ができる限り自然な状態で使用できるよう設計し、それをデザインに取り入れる学問のことです。
近年では、デスクやチェアなどのさまざまな商品に取り入れられています。人間工学に基づいたオフィスチェアは身体が疲れにくい、正しい姿勢を維持できるなどのメリットがあります。
ランバーサポートやリクライニング機能などのさまざまな機能が備えられているため、同じ姿勢の状態が続いても負荷が少なく、身体への負担を軽減することが可能です。
■試座してから購入する
疲れにくいオフィスチェアを選ぶ際には、自分の体格に合ったものを見つけることが大切です。サイズや機能性などをテキスト情報で確認しても、必ずしも自分に合うとは限りません。
そのため、できるだけ実際に試してから購入するようにしましょう。着座してみると、好みの素材でも座り心地が悪い、不要だと思っていた機能の使い勝手が良いなど、新たな発見があるかもしれません。
メーカーによっては、試座できるショールームを構えているところもあります。ショールームにはさまざまなタイプのオフィスチェアが取り揃えられているため、自分に合うものが見つけられる可能性が高まります。
疲れにくいおすすめオフィスチェア3選
アイリスチトセでは、さまざまなタイプのオフィスチェアを取り揃えています。ここからは、疲れの軽減が期待できるおすすめのオフィスチェアをご紹介します。
■VIGOR Series
VIGOR Seriesは、身体への負担を軽減できるさまざまな機能が集約された回転椅子です。おもな機能は、次のとおりです。
- 背ロッキング調節レバー
- ロッキング硬さ調節ハンドル
- ランバーサポート
- ガスシリンダー上下昇降
- 可動肘
- シートスライド
座面は、シートスライド機能で前後に10ミリメートルずつ4段階の調整が可能です。上記の機能はレバーを握る、引き上げるなどの簡単な操作で調整でき、誰でも使用しやすいよう設計されています。
また、VIGOR Seriesは、国内オフィス家具メーカー初の海洋プラスチック再生樹脂を採用したVIGOR-OBPも展開しています。VIGOR-OBPをオフィスで使用することでSDGsに貢献できるため、企業が環境問題に取り組んでいることを社内外にアピールできるでしょう。
■ラグリス
ラグリスはスマートなデザインでありつつも、機能性が充実したオフィスチェアです。おもな機能は、次のとおりです。
- シンクロロッキング
- ロッキングストッパー
- リクライニング 硬さ調整
- ランバーサポート
- ガスシリンダー上下昇降
ラグリスは、背もたれと座面を適切な角度に調整できるシンクロロッキング機能が搭載されています。背もたれの傾きに連動して座面が自然な角度に傾くため、より身体への負担を軽減できます。
■SIMFORT -シンフォート-
SIMFORT -シンフォート-は、座面にモールドウレタン素材を採用した座り心地抜群のオフィスチェアです。おもな機能は、次のとおりです。
- ガスシリンダー上下昇降
- 背座ダブルロッキング機能
座面と背面にはアジャスト機能が搭載されているため、体格や姿勢に合わせて調整できます。背面には通気性に優れたメッシュ素材が採用されているため、長時間座位の状態が続くことによる蒸れを軽減できます。
「疲れにくさ」はチェアだけでなくデスクも重要
従業員が疲れにくいオフィス環境を作る際には、チェアだけでなくデスクの見直しも検討しましょう。疲れにくいチェアを取り入れても、デスクとの相性によっては身体に負担がかかるので注意が必要です。
チェアとデスクの高さが合っていない場合、肩こりや腰痛を引き起こす可能性があります。一般社団法人日本オフィス家具協会(JOIFA)が公開しているチェアとデスクの高さの目安は、次のとおりです。
座面の高さ | 身長×0.25センチメートル |
デスクの高さ | 座面高+差尺 |
差尺 | 身長×0.17センチメートル |
たとえば身長170センチメートルの場合、座面の高さは42.5センチメートル、デスクの高さは71.4センチメートルが目安になります。アジャスト機能が搭載されたデスクを選ぶと、さまざまな身長の従業員にも対応できます。
まとめ:オフィス家具を見直して業務環境を改善しよう
体格に合わないオフィスチェアやデスクを使用すると、姿勢の悪化や血行不良によって従業員の健康に悪影響をおよぼす可能性があります。身体への負担を軽減するためには、チェアやデスクなどのオフィス家具を見直すのも手段の一つです。
疲れにくい家具を取り入れると従業員のモチベーションが高まり、業績アップも期待できます。また、従業員が働きやすい業務環境を整備することは、働き改革にもつながります。チェアとデスクの適切な高さは体格によって異なるため、どの従業員にも対応できるよう、アジャスト機能が搭載されたものを選びましょう。
アイリスチトセでは身体への負担を軽減できる機能を備えたオフィスチェアをご用意しています。ショールームで実際に試座することもできますので、オフィスチェアをお探しの場合はぜひ一度ご相談ください。