オフィスにファミレス席を設置するメリットと課題|有効活用する方法や事例も紹介
オフィスレイアウト・デザイン・設計

働く環境が変化する中、いわゆる「オフィスデスク」以外で仕事をするワークスタイルも増えています。さまざまなスタイルのワークスペースがあれば、従業員の業務内容や気分に応じて働く場所を変えることが可能です。
オフィスに新たなスタイルのワークスペースの導入を検討する際、ファミレス席も選択肢に入れてみてはいかがでしょうか。この記事では、オフィスにファミレス席を設置するメリットや用途などを解説します。
目次
オフィスにおけるファミレス席とは

ファミレス席とは、テーブルを挟んでソファを配置するボックス席のことです。まるでファミレスのような席なので、「ファミレス席」と呼ばれています。「ファミレスブース」と呼ばれることもあります。
一つひとつのブースには間仕切りがないため、個室ではありません。しかしながら、パーテーションや観葉植物などを席の周囲に設置することで、周りのスペースとは隔絶したセミクローズドのような空間に仕上げることも可能です。
近年は多様な働き方へのニーズが高まっていることや、政府が働き方改革を推奨していることなどを受け、新しいスペースとしてオフィスにファミレス席を導入する企業が増えています。
オフィスにおけるファミレス席のおもな用途

オフィスではさまざまな用途でファミレス席を利用できます。幅広い用途に対応できれば利用率の向上が見込まれるため、実際にはどのように利用されているかを確認しておきましょう。
■ミーティングやWeb会議
ファミレス席は会議室で開催する会議のほかに、簡易的なミーティングやWeb会議などの多様な会議スタイルに対応できます。
テレワークからオフィス出社への切り替えにより、会議室不足を課題に抱える企業も少なくありません。オフィスの面積は限られているため、会議室に必要なスペースを十分に確保できないこともあります。また、会議室には予約制を採用している企業も多く、空きがなければ利用できないこともあります。
機密性が高い内容の話し合いでなければ、ファミレス席をミーティングやWeb会議をする際の会議室代わりに利用することも可能です。オフィスにファミレス席を設置すると、会議室不足の解消にもつながります。
■来客対応
顧客や取引先などの来客対応の場として、ファミレス席を活用する方法もあります。商談や面談は、応接室で対応するケースがほとんどです。しかし、応接室はフルクローズドな空間なので、相手が緊張して上手く話せない可能性もあります。
また、応接室には限りがあるため、すぐに来客対応できないこともあります。ファミレス席は他とは隔離された雰囲気ではあるものの、会議室よりも開放的な空間なので、リラックスした状態での話し合いがしやすいでしょう。応接室が使用中でもすぐに案内できるため、来客を待たせる心配もありません。
■従業員の休憩スペース
ファミレス席は、従業員の休憩スペースとして有効活用できます。オフィスの面積は限られているため、従業員の休憩スペース自体を設置できないこともあります。また、休憩スペースを設置できても、従業員数に対して十分な広さが確保できないこともあるでしょう。
ファミレス席は食堂ほどのスペースを必要としないため、レイアウトの工夫次第では、デッドスペースに設置することも可能です。社内ルールを決めて運用すれば、飲食スペースとしての利用も可能でしょう。
オフィスにファミレス席を設置するメリット

近年、オフィスにファミレス席を設置する企業が増えています。理由としては、ファミレス席の設置によって企業や従業員に大きなメリットがあるためです。
■オフィスのスペースを有効活用できる
企業がファミレス席を設置するメリットの一つは、狭い空間でも導入できることです。特に賃貸オフィスの場合、自社で利用できる面積は限られているため、新たに会議室や応接室などのスペースを設置できないこともあります。
企業のなかにはデッドスペースがあるものの、うまく活用できていないケースもあるでしょう。ファミレス席は広い面積を確保できない場合でも設置できるため、オフィススペースを有効活用することにつながります。
■コミュニケーションの活性化が期待できる
従業員同士のコミュニケーション不足が気になっている場合は、ファミレス席の設置で課題が解消できる可能性があります。ファミレス席は会議室のような完全個室ではないため、リラックスした状態で相手と会話できます。
ワークスペースの一角にファミレス席を設置すれば、必要なタイミングでメンバーを集めて簡易的なミーティングを開くことも可能です。まるでファミレスのような雰囲気で気軽に会話できるため、コミュニケーションの活性化が期待できます。
■比較的容易に設置・レイアウト変更できる
ファミレス席はテーブルとソファがあれば設置できるため、導入のハードルが低いだけでなく、レイアウトの自由度も高い傾向にあります。会議室を設置する場合、それなりのスペースの確保と大規模な工事が必要です。
一方のファミレス席は省スペースで設置できるだけでなく、工事も不要です。基本的にはテーブルとソファを準備できれば、すぐに設置できます。レイアウトを変更する場合でも、家具を移動するだけなので大きな手間がかかりません。
オフィスにファミレス席を設置する際の課題

ファミレス席を設置すると、オフィススペースを有効活用できる、コミュニケーションの活性化が期待できるなどのメリットがあります。しかし、いくつかの課題もあるため、設置する際には対策を検討しておくことも必要です。
■機密性の高い内容の話し合いには不向き
フルクローズドな空間の会議室に対し、ファミレス席はセミクローズドに近い空間です。周囲と物理的に仕切られたスペースではないため、機密性の高い内容の話し合いには不向きです。
ファミレス席で機密情報が含まれる内容の話し合いをすると、第三者に会話を聞かれ、情報漏洩につながるおそれもあります。機密性の高い話し合いをする場合は、従来のように会議室を利用した方が良いでしょう。
■大人数での利用には不向き
ソファを用いたファミレス席では着席できる人数に限りがあり、2~6人程度の利用が一般的です。会議への参加人数が多いと着席できない従業員が出てくるため、大人数での利用には不向きです。
会議室の場合、チェアを増やせば参加人数が多くても対応できます。しかし、ファミレス席の場合、周囲に追加できるチェアの数にも限りがあるため、少人数での会議にしか対応できない側面があります。
■騒音や視線が気になる場合もある
基本的にはオープンスペースに設置するファミレス席は、周囲の騒音や視線を完全に遮断できないため、会議の進行に支障をきたす可能性があります。状況によっては、参加者の発言内容が聞き取りにくい、視線が気になって集中できないなどの弊害が生じることもあるかもしれません。
特にWeb会議の場合、相手の声が聞き取りにくくなるだけでなく、こちらの声も届きにくくなるでしょう。このような事態を防ぐためには、簡易パーテーションの準備や設置場所の工夫などで、快適な環境を整備する必要があります。
オフィスにファミレス席を設置する際のポイント

ファミレス席の設置後はより多くの従業員に利用してもらい、上手く運用していくことが大切です。ここからはファミレス席を設置する際のポイントを解説するので、自社で導入する際に役立ててください。
■用途を限定しない
オフィスにファミレス席を設置する際には、会議や休憩室などのさまざまな用途に利用できるようにしましょう。用途を限定すると、設置したにも関わらず、利用率が低くなり、スペースを有効活用できなくなります。
設置場所に迷う場合は、ワークスペース周辺への設置を検討してみましょう。ワークスペースの一角に設置すると、従業員が業務内容や気分に合わせて働く場所を変えられるため、多様な働き方の推進にもつながります。
■使用ルールを策定しておく
設置できるファミレス席の数は限られるため、従業員が公平かつ快適に利用できるよう、事前に使用ルールを策定しておきましょう。例えば予約制にするのか、時間制にするのかなどです。
ただし、すべての席を予約制にした場合、必要なタイミングで利用できなくなる可能性があります。予約制を導入する場合、一部を自由席として残しておけば、柔軟性を高められるため、公平で快適な利用環境を実現できるでしょう。
■ほかのオフィススペースとは雰囲気を変える
ファミレス席はフルクローズドな会議室とは異なり、オープンな空間に設置できることが魅力の一つです。適度な開放感があるセミクローズドな空間にすることで、会議室やワークスペースとは異なる、ファミレス席だからこその良さをより発揮できるでしょう。
従業員がリラックスし、気軽に話し合える場所を提供するためにも、レイアウトや家具のデザインなどを工夫して、他のスペースとは異なる雰囲気を演出しましょう。
オフィスのファミレス席の業務環境をより快適にするポイント

ファミレス席は、基本的にテーブルとソファを用意すればすぐに設置することが可能です。会議や仕事などのさまざまな用途で有効活用する場合は、次のようなサポートツールがあると、より快適な環境を整備できます。
- ホワイトボード
- モニター
- コンセント
- グリーンパーテーション など
ホワイトボードを用意しておくと、会議で話し合った内容を書き込む際に役立ちます。ファミレス席を壁側に設置する場合は壁掛けタイプ、その他の場所に設置する場合はキャスター付タイプがおすすめです。
従業員同士で資料を共有する際には、モニターがあると便利です。パソコンやモニターの使用を想定し、コンセントを設置しておくと良いでしょう。
また、簡易的な間仕切りとして、グリーンパーテーションを使用する方法もあります。グリーンパーテーションは、オープン空間の中にセミクローズド感を演出できるだけでなく、グリーンによるリラックス効果も期待できます。
ファミレス席を設置した企業の事例
これからファミレス席を設置する場合は、他社の事例を参考にすると、よりイメージしやすくなります。ここからは、ファミレス席を設置した企業の事例を3例紹介します。
■株式会社Seven Arcs

株式会社Seven Arcsはオフィスの改装を機に、ワークスペースの中にファミレス席を設置しました。ワークスペース内の多くの席は、デスクとチェアを用いたフリーアドレス席です。
スペースの一角にファミレス席を設置することで、必要なタイミングで簡易的なミーティングを実施できるようになりました。また、ファミレス席のソファはチェアとは素材やクッション性が異なるため、より快適な座り心地を求め、席を変えて働く従業員が増えることが想定されます。
■株式会社大和電業社

株式会社大和電業社では、リフレッシュルームにファミレス席を設置しました。リフレッシュスルームとは、従業員が休憩するために使用するスペースです。近年は、仕事中のリフレッシュや従業員の満足度向上などを目的として、導入する企業が増えています。
リフレッシュルームには、ドリンクサービスを備えているケースもあります。ファミレス席でドリンクを飲めば、まるでファミレスやカフェで休憩しているような気分になり、よりリフレッシュ効果が高まるでしょう。
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■アイリスグループ淀屋橋オフィス

アイリスグループ淀屋橋オフィスは、フリーアドレス制のワークスペース内にファミレス席を設置しました。ファミレス席は窓側に位置しているため、屋外の景色と相まって開放的でリラックス効果が期待できます。
また、テーブル上にはモニターを設置しているため、パソコンと接続して会議資料を共有することも可能です。ボックス席のつなぎ目に置かれたグリーンは、ほかのボックス席からの視線を遮る目隠し効果も期待できます。
まとめ:ファミレス席を設置してスペースを有効活用しよう

自社のオフィススペースに限りがあり、新たな会議室を増やせない場合は、ファミレス席の設置で課題を解消できる可能性があります。ファミレス席は会議だけでなく、仕事や休憩、来客対応などのさまざまな用途に活用できます。
会議室ほどの広いスペースを必要としないため、窓際や部屋の角などのデッドスペースを有効活用することも可能です。設置場所に悩む場合は、オフィスデザインの専門家に相談する方法もあります。
アイリスチトセでは、オフィスが抱えるさまざまな課題の解消に向けてサポートさせていただきます。限られたスペースを有効活用するために、自社に適したプランを提案させていただきますので、ぜひご相談ください。