オフィスに仮眠室を設置するメリットとは?睡眠に関する現状や便利グッズも紹介

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オフィスに仮眠室を設置するメリットとは?睡眠に関する現状や便利グッズも紹介

従業員の健康対策として、仮眠室の設置を検討する企業が見られるようになりました。適度な仮眠を促すことは、従業員の健康増進や生産性の向上などさまざまなメリットがあります。

また、労働環境によっては法的に仮眠室の設置義務があるケースもあります。

そこで本記事では仮眠室を設置するメリットと課題、設置のポイントをはじめ、仮眠室に関する法的義務について解説します。

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【最新版】日本人の睡眠に関する現状

日本人の睡眠に関する状況について、厚生労働省の「令和4年度健康実態調査結果の報告」をもとに見ていきましょう。

 

■6時間以上7時間未満が最多

厚生労働省の調査によると、睡眠時間が「6時間以上~7時間未満」と答えた方は、男性33.8%、女性32.9%と、もっとも多くなっています。一方で、睡眠が「5時間以上6時間未満」「5時間未満」と答えた方の合計は、男性29.3%、女性41%となっています。

【睡眠時間】

睡眠時間 男性(%) 女性(%)
9時間以上 3.7 4.7
8時間以上~9時間未満 13.1 7.9
7時間以上~8時間未満 19.3 13.0
6時間以上~7時間未満 33.8 32.9
5時間以上~6時間未満 22.0 29.9
5時間未満 7.3 11.1
未回答 0.8 0.6

※出典元:厚生労働省「令和4年度健康実態調査結果の報告」

 

■約4割が日中に眠気を感じている

人によって最適な睡眠時間は異なるため、睡眠時間のデータだけでは睡眠不足と判断できません。しかしながら「日中に眠気を感じている」とアンケートに答えた方は、男性37.7%女性38.9%と、3人に1人以上の割合となっています。
※出典元:厚生労働省「令和4年度健康実態調査結果の報告」

オフィスに仮眠室を設置するメリット

オフィスに仮眠室を設置するメリットとしては、次の点が考えられます。

  • 従業員の健康増進を促せる
  • 生産性の向上が期待できる
  • 企業イメージの向上につながる

それぞれについて、詳しく説明します。

 

■従業員の健康増進を促せる

仮眠室によって、従業員の健康増進を促進できます。

業務が忙しく長時間労働や休日出勤が続くことで、十分な睡眠時間を確保できていない従業員がいるかもしれません。睡眠不足が続くと心身の疲労が蓄積され、健康への悪影響が懸念されます。

経済産業省の「健康経営オフィスレポート」には、健康を維持・増進する行動の一つとして「仮眠」があげられています。オフィスに仮眠室があると業務の合間に仮眠が取れるため、心身のリラックスと健康増進の効果が見込めるでしょう。

※出典元:経済産業省「健康経営オフィスレポート」

 

■生産性の向上が期待できる

仮眠室の設置で、従業員の生産性向上が期待できるでしょう。

短時間でも仮眠を取ると、心身のリフレッシュにつながるものです。厚生労働省の「健康づくりのための睡眠指針2014」では、睡眠不足は集中力や作業能率を低下させてヒューマンエラーの危険性を高めるとしています。

「健康づくりのための睡眠指針2014」には、30分以内の短時間の睡眠は作業効率の改善に効果的とも記されています。仮眠室があれば横になって休憩できるため、椅子で座って仮眠するよりも疲労回復の効果がより高くなるでしょう。

※出典元:厚生労働省「健康づくりのための睡眠指針2014」

 

■企業イメージの向上につながる

仮眠室が設置されている企業だと周知することで、企業のブランディングにも寄与します。

従業員の健康維持に取り組むと、働きやすい環境を提供している企業というイメージがつけられます。仮眠室を設置している企業はまだそれほど多くないため、新しい取り組みに積極的な企業として話題性も提供でき、各種SNSや就職情報サイトなどでもアピールが可能です。

企業のブランド力が向上すれば、就職市場でも求職者に企業の魅力をアピールできます。

オフィスに仮眠室を設置する際の課題

オフィスに仮眠室を設置する際、次にあげる問題が生じる可能性があります。

  • 仮眠時間の調整が難しい
  • 残業時間が増加するおそれがある

それぞれについて、詳しく説明します。

 

■仮眠時間の調整が難しい

仮眠室を設置した場合、仮眠時間の調整が難しくなるケースが考えられます。

仮眠室は、気軽に睡眠を取れる環境が整備されている分、睡眠時間が長時間になってしまう可能性も否めません。長時間の睡眠は、目覚めの悪さによってかえって集中力の低下を招く危険性が高まります。

厚生労働省の「健康づくりのための睡眠指針2014」にも、仮眠時間は30分程度が望ましいと明記されています。長時間の睡眠を防ぐためには、仮眠室の利用時間に制限を設ける、アラームでしっかりと時間管理するといったルール作りが求められるでしょう。

※出典元:厚生労働省「健康づくりのための睡眠指針2014」

 

■残業時間が増加するおそれがある

仮眠時間の導入で就業時間が長くなり、残業時間が増えるおそれもあります。

例えば勤務時間中に1時間の仮眠時間を設定した場合、就業時間が1時間後ろ倒しになり、その分残業となる可能性も考えられるでしょう。仮眠時間を就業時間に含めない場合は、仮眠を取ると企業への拘束時間が1時間増えてしまうこととなります。

仮眠室の設置で就業時間が長くなってしまっては、導入の意味合いが薄れてしまいます。仮眠室の利用時間にしっかりとルールを設ける、仮眠を取っても就業時間内に仕事を終わらせる業務計画を立てるといった対策を講じる必要があるでしょう。

オフィスに仮眠室を設置する際のポイント

オフィス内に仮眠室を設置する場合、設置場所や運用ルールを決める必要があります。設置の際は、次にあげるポイントを考慮するようにしましょう。

  • 仮眠室として独立させる
  • 利用時間や頻度を決めておく
  • 清潔な状態を維持するためにルールを決めておく
  • アラームにはバイブレーションを使用する

それぞれについて、詳しく説明します。

 

■仮眠室として独立させる

仮眠室は、ワークスペースと明確に区別された場所に設置します。

仮眠室がワークスペースの近くにあると、緊張感が取れずに居心地の良い空間となりにくい可能性があります。また、お互いの音が聞こえる状況だとリラックスして仮眠できず、効果を十分に得られないことも考えられるでしょう。

仮眠室はワークスペースとは完全に分けて設置し、眠りやすい環境を整えるようにします。他人の目が気にならず防音効果の高い仮眠室としたい場合は、個室を設けるのも効果的です。個室を設置するスペースが取れない場合でも、パーテーションやカーテンで仕切るだけでも快適さを向上させられます。

 

■利用時間や頻度を決めておく

仮眠室の利用時間や利用頻度のルール作りも、仮眠室の運用には必要です。

仮眠室は限られたオフィススペースに設置するため、すべての従業員分を用意するのは現実的ではありません。そのため「毎回同じ人が使っている」「長時間使っている人がいる」といった不満が出るケースも考えられます。

より多くの従業員が公平に利用できるように、例えば次の例にあげるような、仮眠室の使用ルールを決めておくようにします。

  • 利用時間は30分まで
  • 予約制にする
  • 週に2回までの利用とする など

従業員の自主性に任せすぎず、ある程度の管理体制を作って運用を進めるようにしましょう。

 

仮眠時間が労働時間に含まれるケース

勤務中に仮眠を取る場合、条件によって労働時間に含まれるかどうか決められます。

労働時間として計上されるケースとして考えられるのは「仮眠を取っている時間中に、労働が発生する可能性があるとき」です。例えば24時間勤務中の看護師や警備員などでは、途中で仮眠を取った場合でも「労働が発生する可能性から解放されていない」と解釈されるため、仮眠も労働時間に含まれます。

一方、24時間勤務中でも休憩時間中に仮眠を取る場合は、労働時間と見なされません。夜勤や24時間勤務のない業務の場合、就業中に取った仮眠時間を残業にあてる、または休憩時間として給与の発生しない拘束時間として扱うといったケースが見られます。

このあたりの判断は企業によってさまざまであり、一概には言えません。企業として、仮眠をどのようなルールで運用するか明確にしておく必要があるでしょう。

 

■清潔な状態を維持するためにルールを決めておく

仮眠室はさまざまな従業員が利用するため、清潔な状態を維持できるルールも決めておいた方が良いでしょう。

例えば、次のようなルールを定めておくことで、清潔さを維持できます。

  • 枕に直接触れないようにタオルやハンカチを敷く
  • 使用した布団や備品は元の状態に戻す
  • 使用後は除菌スプレーを散布する
  • 掃除当番を決め、清掃後に名前を記入する など

仮眠室は共有スペースになるので、利用時のルールを細かく決めておくと、利用者にきれいに使おうとする意識を持ってもらえます。運用ルールを周知するため、仮眠室に掲示しておくのも有効です。

 

■アラームにはバイブレーションを使用する

利用時間の設定にアラームは効果的ですが、うるさくならないようバイブレーションを使用するようにしましょう。

アラームを大音量で設定すると、他の利用者の睡眠を邪魔するおそれがあります。外部に漏れるほど大きな音の場合、業務中の従業員にまで聞こえてしまい、業務の妨げになるかもしれません。

他の従業員に配慮するよう、アラームは音の鳴らない設定にするようにします。スマートフォンや音楽プレーヤーで音楽を聴く場合も、イヤホンから音が漏れないように注意しましょう。

オフィスの仮眠室にあると便利なもの

ここで、仮眠をより効果的に取るため、仮眠室を利用する際にあると便利な睡眠グッズをご紹介します。

 

■アイマスク

仮眠に効果的なアイテムとして、アイマスクがあげられます。

仮眠室では十分に光を遮断できるとは限りません。また、少しでも明るさがあると、気になって仮眠できないという方もいるかもしれません。そういったケースに対応するため、アイマスクを準備しておくと光の影響をおさえられます。

使い捨てできるアイマスクを仮眠室に準備しておくと、常に新しいものを使えるので衛生面でも安心です。

 

■耳栓

もう一つの効果的なアイテムとして、耳栓があげられます。

仮眠室は、できるだけ静かな場所に設置するのが理想です。しかし、オフィススペースの関係上、周囲の音が多少入ってくる場所となることも考えられます。また、複数人が利用する仮眠室であれば、出入りの音が気になって寝られない人もいるかもしれません。

そのような状況に対応するため、耳栓をして仮眠すると静かな環境を確保できます。自分の耳にあったものを用意しておくと、常に同じ環境が確保できます。使い捨てできるものもあるので、仮眠室に準備しておくのも便利でしょう。

オフィスに仮眠室を設置する際の注意点

企業の勤務形態によっては、仮眠室の設置は義務となる場合があります。

例えば、宿直(夜間に泊まり込みで勤務するに当たる勤務形態)のある企業では、男女別の仮眠室設置が必須です。また業種を問わず「常時50人以上」または「常時女性30人以上」の従業員がいる場合、横になれる休養室・休養所を男女別に設けなくてはならないと、労働安全衛生規則に定められています。

自社には仮眠室設置が必須なのかどうか、必須であればどのような形で設置しなければならないか、まずは法律面で条件を確認してから検討するようにしましょう。

※出典元:労働安全衛生規則 第六百十六条-第六百十八条

昼寝ができる仮眠スペースを設置する方法もあり

「仮眠室を設置するほどスペースに余裕がない」「本格的な仮眠室の設置までは考えていない」といった場合、仮眠のできるスペースやリラックスを重視した休憩所を作るのも一つの方法です。

例えば、次のようなアイデアがあります。

  • フラットなフロアを作り、横になって休憩も作業もできるスペースにする
  • 昼寝もできるようなソファーや大きめのクッションを設置し、ランチタイムなどの休憩時には昼寝可とする など

オフィススペースには限りがあるため、効率的に活用できるような休憩スペースの設置も、従業員のリフレッシュには有効となります。

まとめ:仮眠室の設置は従業員の健康維持に効果的

睡眠を十分確保できていない従業員にとって、仮眠室の設置は健康増進に役立ちます。企業にとっては、生産性向上やブランディングの効果も見られるでしょう。

実際に仮眠室を設置する際は、運用のルールをしっかり決めておくことが大切です。また、法的に男女別仮眠室の設置義務がないかどうかもチェックするようにしましょう。

仮眠室の設置を検討するには、オフィス移転や改装の専門業者に依頼するのも一つの方法です。アイリスチトセでは、お客様の希望に添った仮眠室のご提案から設置まで、トータルでサポートしています。

お問い合わせいただければ、オフィス設計に関するさまざまなご相談が可能です。ご興味をもたれた担当者の方は、ぜひお気軽にご連絡ください。

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