オフィスにアートを導入!メリットや事務所に依頼する流れを解説
オフィスレイアウト・デザイン・設計
オフィスアートはオフィス内にアート作品を導入する施策です。企業のブランディング形成や従業員の生産性向上に寄与し、購入するものによっては節税対策でも利用可能です。本記事ではオフィスにアートを導入するメリットと導入方法を解説します。
目次
オフィスアートへの注目が高まっている背景
オフィスアートとは、オフィス内に絵画やオブジェなどのアート作品を導入する施策です。
オフィスにアート作品が飾られることはこれまでにもあったことで、とくに珍しいケースではありません。しかし、経営者個人の趣味で飾られる装飾品といった意味合いが強いものでした。
最近は働き方改革の推進を受けテレワークやリモートワークが導入され、オフィスのあり方自体が変化してきています。テレワークからオフィス出社へ回帰させるためには、作業場としてのオフィスではなく付加価値の高い「出社したいオフィス」を作ることが求められています。
気持ちよく働ける、オフィス空間作りの一環としてオフィスアートを利用する企業が増えてきたと考えられるでしょう。
オフィス向きのアートとは
オフィスに飾るアートは、オフィスの雰囲気に合わせたものや企業の個性を活かすものを選ぶと、見る方に強い印象を与えられるでしょう。
種類 | 特徴 |
ウォールアート | オリジナルのアートで唯一無二のものとなる |
感性を刺激する創造的なアート | クリエイティブ系の業種では生産性向上が期待できる |
緑を題材としたアート | リラックスや癒しの効果をもたらす |
文字入りのアート | 見る人にメッセージを与えられる |
著名画家のアート | 著名なアートに触れることで感性が養われる |
会社の理念を表現したアート | 来客や従業員に会社の考え方を浸透させられる |
社史のアート | 企業の歴史がわかり理解を深められる |
オフィスにアートを導入する3つのメリット
オフィスにアートを導入すると、次のメリットが考えられます。
- 従業員の生産性向上への寄与
- 企業のブランディング形成
- 節税対策
それぞれ詳しく説明します。
■従業員の生産性向上への寄与
従業員がアートに触れることで、生産性の向上が期待できるでしょう。
出社時や休憩時にアートを鑑賞できる環境があると、何もない状況と比較して自身の感性や創造性が揺さぶられ、思考が活性化して新たなアイデアの生まれる可能性が高まります。また、アートによる癒やしやリラックスの効果によって、気持ちをリフレッシュして仕事に集中して取り組めるようになります。
結果的に従業員の生産性が高まり、企業の業績向上への寄与も期待できます。
■企業のブランディング形成
オフィスアートによって、企業のブランディング形成が可能です。
例えば企業のミッションやビジョン、企業文化を表現したウォールアートやオブジェを設置すれば、視覚から企業のイメージが理解できます。社史をアートに取り入れると、新旧の従業員へ対してのインナーブランディングにもつなげられます。
アートの雰囲気や色彩で企業理念を訴えかけることで、文字から受けるよりもさらに印象深く企業イメージを植え付けられるでしょう。
■節税対策
アートの購入が、節税へとつなげられるケースがあります。
「ロビーやホールに展示する」「転売しても美術品としての市場価値がない」などといった事業に使う目的で取得した美術品は、購入金額によって会計処理が可能です。
例えば10万円未満で取得したものは「消耗品費」、10万円以上100万円未満なら「減価償却資産」として処理できます。100万円以上のものは基本的に減価償却資産にはなりませんが、「時の経過によりその価値が減少することが明らかなもの」と見なされる場合は、減価償却資産の対象と見なされます。
なお、税制は改正されるケースも考えられますので、最新の税制については国税庁のサイトで確認してください。
オフィスにアートを導入する流れ
オフィスにアートを導入するには、次の流れでおこなうとスムーズです。
- アート導入の必要性・導入したいアートの種類を検討する
- アーティスト・作品を厳選する
- オフィスにアートを設置する
それぞれ詳しく説明します。
■アート導入の必要性・導入したいアートの種類を検討する
まずは、オフィスにアートを導入する必要性があるかどうか検討します。
アートの導入には、どうしても費用がかかります。アート導入によるメリットを考慮して、予算を割いてまで導入する効果があるか検討しましょう。
また、アートは種類・規模・イメージによって費用が大きく変わるものです。どのくらい費用がかかるのか、オフィスアートの導入を専門とする企業へ見積もりを依頼します。見積もり依頼の際は、何社かで相見積もりを取っておおよその相場を知ることも重要です。
■アーティスト・作品を厳選する
導入するアートの種類と規模が決まったあとは、アーティストや作品を選定します。
新たなアートを制作物として作ってもらう場合、アーティストを誰にするか決める必要があります。アーティストによって、作られるアートのイメージは大きく変わるものです。ポートフォリオを参考に、企業やオフィスのイメージや作ってもらいたいアートの雰囲気などを考慮して、アーティストを厳選するようにしましょう。
既存の作品を購入する場合は、設置を考えている場所の数だけ作品を確保します。もしサイズが合わなければ思っている場所へ設置できないばかりか、搬入すらできないケースも考えられます。価格と合わせてサイズも事前に確認するように注意しましょう。
■オフィスにアートを設置する
アートを購入後は納期を確認し、実際に設置します。
作品を購入する際は、可能であれば自社で設置しても問題ありません。「壁の強度がわからない」「賃貸物件なのでどのように設置すれば問題ないかわからない」など設置に不安のある場合、アートの設置業者を手配して設置してもらうと安心です。
壁に直接描いてもらうアートの場合は、完成にどのくらい作業日程がかかるか事前に確認し、業務に支障がでないようにスケジュール調整するようにしましょう。
また、賃貸物件の場合は管理会社の許可が必要になる可能性もあるため、アート購入前に確認しておくと安心です。
オフィスへのアートの導入パターン
オフィスアートの導入には、次の手段が考えられます。
- オリジナルのウォールアートを作成
- 作品を購入してオフィス内に設置
- レンタル・サブスクで作品を設置
それぞれにメリットとデメリットがあるため、自社の運用にあったパターンを選ぶようにしましょう。
■オリジナルのウォールアートを作成
壁やフロアにオリジナルのアートを描いてもらう方法です。
壁やフロアの一部分に描くものから、一面すべてを使ったものまであります。自社ビルであれば、外壁すべてを利用したデザインも可能です。
ウォールアートでは比較的大きな面積を使えるため、企業のブランディングに大きな効果が期待できます。企業の理念やビジョンを可視化でき、直感的に訴えることも可能です。
いったんウォールアートを描いてしまうと、簡単に修正や変更できないのがデメリットとしてあげられます。また、賃貸物件や地域の条例によって外壁に派手なウォールアートが描けないケースもあるため、事前に確認するようにしましょう。
■作品を購入してオフィス内に設置
アート作品を購入し、オフィス内に設置する方法です。エントランスや休憩スペースなどの壁面に絵画を飾る、オフィスの一角に立体的なオブジェを設置するといったケースが考えられます。
アートのサイズは、人物より大きなものから片手で持てるくらいのものまでさまざまです。設置するアートによって会社の個性が表現でき、購入費用によっては消耗品や資産として経費計上できるのもメリットとして考えられます。
小さなものであれば設置場所の変更は容易ですが、大きなものを設置すると簡単に移動させられません。大きすぎるアートの場合は搬入できない可能性があるのも、デメリットとして考えられるでしょう。
■レンタル・サブスクで作品を設置
レンタルやサブスクを利用して、アート作品を設置する方法もあります。
レンタルやサブスクを利用する場合、アートを購入するより初期費用がおさえられます。定期的な交換や入れ替えができることから、さまざまな雰囲気のアートを月単位で入れ替えて鑑賞するといった楽しみ方も可能です。
レンタルやサブスクでは定期的に費用がかかるため、長期利用する場合は結果的にコストが高くなる可能性は否めません。レンタルしたアートを購入できるサービスを実施しているところもあるので、気に入ったものは購入してしまうのも一つの方法です。
また、アートを破損・汚損した場合にどのような対応となるか、保険加入の有無も含めて事前に確認しておくようにしましょう。
オフィスにアートを導入する際の注意点
オフィスにアートを導入する際、次の点に注意するようにします。
- 賃貸オフィスのウォールアートは原状回復が必要
- 外壁へのウォールアートは申請が必要なケースがある
- 劣化が進まないように管理・対策が必要
それぞれ詳しく説明します。
■賃貸オフィスのウォールアートは原状回復が必要
賃貸物件にウォールアートを施す場合、原状回復は必須です。
賃貸物件の外壁や柱など建物の躯体に直接アートを描きたい場合、勝手に施工するとトラブルとなる可能性が非常に高くなります。必ずオーナーに打診し、許可を得てから実施するようにしましょう。
基本的に、賃貸物件は退去時に原状回復する必要があります。オーナーの意向にもよりますが、描いたウォールアートは上から塗り直すか、原状回復費用を支払って退去するのが一般的です。ウォールアートを実施する際に退去時の処理についても確認しておくと、トラブルを未然に防げます。
なお、退去時に内壁を取り払ってスケルトンに戻すオフィス物件の場合、内壁へのウォールアートが問題となるケースは低くなります。とはいえ勝手に施工を進めず、どのような場合でもオーナーに確認してから実施するようにしましょう。
■外壁へのウォールアートは申請が必要なケースがある
外壁へのウォールアートは、場合によっては申請が必要となるかもしれません。
単なるアートであればウォールアートが問題となるケースは少ないですが、自社商品やサービスの宣伝広告にあたる内容を描いている場合、屋外広告物と見なされる可能性があります。明らかに特定の商品を描く場合、広告物に該当しないか必ずチェックするようにし、必要があれば各都道府県に申請を出すようにしましょう
また、地域の景観条例がある地区では、ウォールアートそのものが禁止されているケースがあります。ただし、屋外広告物としては条件により許可されることもあるため、よくわからない場合は地域の自治体で確認するようにしましょう。
■劣化が進まないように管理・対策が必要
温度・湿度・紫外線は、アート作品の劣化を進めてしまいます。設置の際は、劣化対策を事前に施すことが必要です。
室内に設置する場合は、直射日光と湿気に注意すれば基本的に問題ありません。絵画の場合はUVカットが施された額に入れて置くと、紫外線や湿気による劣化が進みにくくなります。
ウォールアートの場合は、基本的に何かでカバーする対策は取れません。建物の内壁であればそれほど問題にはなりませんが、外壁の場合は雨風や紫外線にさらされているため劣化のスピードが圧倒的に速くなります。費用は高くなりますが、できるだけ耐用年数の長い塗料を使用して上からクリア塗装を施すと、耐用年数を延ばせます。
まとめ:オフィスへのアート導入で企業ブランディングを確立しよう
オフィスにアートを取り入れるメリットとして考えられるのは、生産性向上と企業のブランディングです。購入するアートによっては、節税対策として利用できるものもあります。
オフィスにアートを導入する際は、費用対効果を考えるのが大切です。賃貸物件では壁面に大きなアートを描くのは難しいかもしれませんが、できる範囲内でアートを導入することで企業ブランディングの一助となります。
アートを購入するか迷っている場合は、レンタルから始めてみるのも一つの方法です。自社にあった方法を見つけて、オフィスアートの導入を前向きに検討してみてはいかがでしょうか。